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『重症熱性血小板減少症候群(SFTS)』に注意しましょう
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に注意しましょう。
岡山県では、2020年に7名(初発例報告後(2013年以降)最多)、2021年に6名、2022年に4名、2023年に4名の患者の発生報告がありました。 全国では、2023年に134名(暫定値)の患者の発生報告があり、集計開始以降で最多となりました。これまでは、西日本中心に発生していましたが、千葉県における遡及調査の結果、2017年の時点ですでに東日本でもSFTS症例が発生していたことが確認されました。以上のことから、これまで国内で確認されていた地域よりも広い地域で、潜在的にSFTSウイルスを保有するマダニが存在することが明らかになりつつあります。 SFTSは、病原体を保有するマダニに刺咬されることで感染し、発熱や倦怠感、消化器症状(食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛)などが現れ、血小板や白血球が減少し、重症の場合は、肝腎障害や多臓器不全を来して死に至ります(死亡率3割)。 作業やレジャーなどで、林や草むら、河川敷など、ダニの生息地域に立ち入るときは、ダニに刺咬されないよう注意してください。また、SFTSを発症した動物(イヌ・ネコ)からも感染するおそれがありますので、体調不良の動物との接触は避け、動物を触った後は必ず手洗いをするなど感染予防に努めましょう。(「SFTS 予防のポイント」をご覧ください。) |
フタトゲチマダニ成虫
岡山県環境保健センター撮影 |
岡山県の発生状況
全国の発生状況
<参考> (2013年3月4日~2024年1月31日、国立感染症研究所公表データより)
重症熱性血小板減少症候群(SFTS) とは
SFTSウイルスによる感染症です。 2009年3月~7月中旬にかけて中国中央部で原因不明の疾患が集団発生したことで本感染症の存在が明らかになり、2011年にSFTSウイルスが確認されました。 このウイルスを保有している野外のフタトゲチマダニ等のマダニに刺咬されることによって感染します。これらのマダニが活動的になる春から秋に、患者が発生しています。また、感染者の血液・体液との接触感染や、感染した動物(イヌ・ネコ)からの感染も報告されています。
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「ダニ」にご注意ください(厚生労働省)
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野外で活動する際の予防のポイント
- マダニは、主に草むらや藪・森林にいます。このような場所で長時間地面に直接寝転んだり、座ったり、服を置いたりしないようにしましょう。
- 草むらなどに入るときは、長袖、長ズボン、手袋、長靴等を着用しましょう(色の薄い服はくっついたダニを見つけやすくなります)。
- ダニをよせつけないためには、肌の露出部分や服に虫除け剤(マダニの忌避を効能としているもの)の使用も有効です。虫除け剤は皮膚の露出部分や、衣服の上から使います(ただし、目、口、耳、傷がある部位、皮膚が過敏な部位には使用しないようにしましょう。乳幼児、小児に使用する場合は注意が必要です。添付されている使用上の注意をよく読んでください。)。
- 帰宅後は、上着や作業着を家の中に持ち込まないようにしましょう。
- 帰宅後はすぐに入浴し、体をよく洗い、新しい服に着替えましょう。入浴やシャワーの時には、ダニが肌についていないかチェックしてください。
- 着ていた服はすぐに洗濯するか、ナイロン袋に入れて口を縛っておきましょう。
動物と触れ合う際の予防のポイント
SFTSはマダニからの感染が一般的とされていますが、SFTSを発症した動物(イヌ・ネコなど)からも感染するおそれがあります。
- 屋内のみで飼育されている動物については、ダニ媒介感染症に感染するおそれはありません。一般的な事項として、過剰な触れ合い(キスや口移しでエサを与えたり、動物を布団に入れて寝ることなど)は控えましょう。
- 体調不良の野良イヌ・野良ネコなどとの接触は避けましょう。
- 動物に触ったら必ず手を洗いましょう。
- ペットにも、ダニがつかないように、ダニ除け剤などで予防しましょう。ダニがついていたときは、動物用のダニ駆除剤等で適切に駆除しましょう。
- 飼育している動物の健康状態の変化に注意し、体調不良の際には動物病院を受診しましょう。
マダニが皮膚に付いていることに気がついたら
マダニ類の多くは、人や動物に取り付くと、皮膚にしっかりと口器を突き刺し、長時間(数日から、長いもので10日間)吸血します。無理に引き抜こうとすると、マダニの一部が皮膚内に残ったり、ダニの体内や傷ついた皮膚から出る液体に病原体がいる可能性があるので、直接手でダニを取ったり、つぶしたりしないようにしてください。吸血中のマダニに気が付いた際は、医療機関で処置してもらいましょう。
症状がでたとき
野外活動の後、数日から2週間程度のうちに発熱・発しん等の症状が認められた場合、速やかに医療機関を受診してください。その際、野山や草むらなどに立ち入る機会があったことを伝えてください。
体調不良の動物と接触後、体に不調を感じたら、早めに医療機関を受診してください。受診する際は、動物の健康状態や接触状況についても伝えてください。
SFTS 症状と診断、治療
SFTSウイルスに感染すると、6日~2週間の潜伏期を経て、症状が現れます。
早期診断 早期治療がとても大切ですので、もしも と思ったときにはすぐに受診しましょう。
症 状 | 発熱、倦怠感、食欲低下、消化器症状(吐き気、おう吐、腹痛、下痢)、頭痛、筋肉痛、けいれん、意識障害、昏睡、リンパ節腫脹、出血症状(皮下出血、血尿、血便、下血) |
血液所見 | 血小板減少(10万/mm3未満)、白血球減少(4000/mm3未満) AST、ALT、LDHの上昇 |
診 断 | 血清や咽頭ぬぐい液からのウイルス遺伝子の検出 |
治 療 | ウイルスに対する特異的な治療法はなく、対症療法が主体となります。 |
関連情報
2013年7月、県内でSFTS患者が初めて確認されたことから、環境保健センターにおいて、2013年8月末から2014年9月までの間、マダニの季節別の種類や数、ウイルス保有状況について、県内7定点で調査を実施しました。その調査結果については、以下のリンク先をご覧ください。
→岡山県におけるマダニの生育状況と重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウイルス保有調査
(平成26年度岡山県環境保健センター年報より)