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岡山県ダム長寿命化計画
このことから、長期的視点を踏まえたダムの維持管理及び設備更新をより効果的・効率的に推進し、維持管理費の縮減と平準化を図るため、予防保全の考え方を取り入れたダムの長寿命化計画を策定しました。
1.ダムの現状
1-1.老朽化の進展
ダム名 | 完成年度 | 供用開始後年数(2017) | 主な施設(常用洪水吐) |
---|---|---|---|
旭川ダム | S29 | 63 | テンダーゲート10門 |
湯原ダム | S29 | 63 | ローラーゲート6門 |
河本ダム | S39 | 53 | テンダーゲート2門 |
高瀬川ダム | S56 | 36 | オリフィス1門 |
鳴滝ダム | S56 | 36 | オリフィス1門 |
八塔寺川ダム | H元 | 28 | オリフィス1門 |
津川ダム | H7 | 22 | オリフィス1門 |
楢井ダム | H8 | 21 | オリフィス1門 |
千屋ダム | H10 | 19 | オリフィス2門 ジェットフローゲート2台 |
竹谷ダム | H15 | 14 | オリフィス1門 |
河平ダム | H17 | 12 | オリフィス1門 |
三室川ダム | H17 | 12 | オリフィス1門 |
図1.供用開始後50年以上が経過するダムの割合
1-2.対象施設
土木構造物 | 機械設備 | 電気通信設備 |
---|---|---|
堤体 | 常用・非常用放流設備 | 受変電設備・配電設備 |
洪水吐き | 利水放流設備 | 予備発電設備 |
基礎地盤 | 係船設備 | 通信設備 |
堤体周辺斜面 | 流木止設備 | ダム管理用制御処理設備 |
周辺構造物 | 昇降設備 | 放流警報設備 |
その他土木構成部 | 堤内排水設備 | 観測・計測設備 |
水質保全設備 | その他電気通信設備 |
<土木構造物>
<機械設備>
<電気通信設備>
2.基本方針
方針1
ダム操作規則に定められたダム点検整備基準及び調査測定基準に基づき実施する点検等により、ダムの状態を定期的・継続的に把握します。それらの結果を総合的に分析・評価した上で、必要な更新・対策を実施することで、ダム施設の安全性及び機能を長期にわたって保持するとともに、貯水池機能を保全するよう努めるものとします。
図2.予防保全型の維持管理による長寿命化とライフサイクルコスト縮減のイメージ
方針2
ダム施設及び貯水池については、ダム維持管理方針に基づき、更新・対策の優先順位を判断した上で、トータルコストの縮減・平準化を考慮し、計画的に維持管理を行うものとします。
出典)国土交通省水管理・国土保全局河川環境課「ダム総合点検実施要領・同解説」(平成25年10月)
図3.ダムのメンテナンスサイクル
3.点検・検査及び補修の優先度
3-1.点検・検査
ダムの維持管理では、ダム施設および貯水池等の状態とその経年的な変化を継続的に監視することが重要であり、日常的な点検とあわせて中長期的な点検・検査を行い、ダム施設等の安定性や貯水機能の保持の観点から、定期的に健全度を評価する必要があります。このため、日常管理と中長期的な点検・検査を組み合わせたマネジメントサイクルにより、長期的にダムの健全度を確保できるよう努め、効果的・効率的な維持管理を行います。
図4.点検・検査の構成
<点検・検査の状況>
3-2.点検基準
(1)土木構造物等
ダム総合点検実施要領・同解説
(2)機械設備
ダム用ゲート設備等点検・整備・更新検討要領
ダム用ゲート設備等点検・整備・更新検討マニュアル(案)
(3)電気通信設備
電気通信施設維持管理計画指針(案)
電気通信施設アセットマネジメント要領・同解説(案)
3-3.優先度
構成要素の 管理レベル
健全度の区分 |
H |
M |
L |
|
「貯水機能」及び「洪水調節機能」を低下させる可能性のある構成要素 |
「利水機能」の低下につながる構成要素 |
「貯水機能」「洪水調節機能」及び「利水機能」に直ちに影響を及ぼす恐れの少ない構成要素 |
||
a |
直ちに何らかの処置が必要と判断される場合 |
予防保全 (直ちに対策を実施) |
予防保全 (速やかに対策を実施) |
事後保全 (必要に応じて対策を実施) |
b |
何らかの兆候があり、今後注意して監視する必要があると判断される場合 |
予防保全 (速やかに対策を実施) |
予防保全 (必要に応じて対策を実施) |
事後保全 (保全対象に至っていない) |
c |
特に問題がないと判断される場合 |
予防保全 (状態監視) |
予防保全 (状態監視) |
事後保全 (保全対象に至っていない) |
4.長寿命化による効果
4-1.安定的かつ効率的なダム機能の確保
4-2.コスト縮減及び必要経費の平準化
図5.年代別事業費推移(従来計画と長寿命化計画の事業費予測)
※上記のコスト縮減効果は、現時点での点検結果、標準的な工法・単価などに基づき試算したものです。 このため、今後の点検結果や補修状況により事業費は変化する可能性があります。