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令和2年2月 県議会定例会 知事提案説明要旨
令和2年2月 県議会定例会 知事提案説明要旨
本日は,皆様御多用のところ御参集いただきまして,誠にありがとうございました。
今回提案いたしました諸議案の説明に先立ちまして,所信の一端を申し述べ,県議会及び県民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。
はじめに
(所信表明)
平成29年3月に策定した「新晴れの国おかやま生き活きプラン」に基づき,本県にとっての好循環を生み出すため,各種施策を全力で進めてまいりました。「教育県岡山の復活」では,非行率の減少や家庭学習時間の改善,「地域を支える産業の振興」では,企業誘致による雇用の創出やインバウンドの増加,「安心で豊かさが実感できる地域の創造」では,おかやま縁むすびネットによる成婚数の増加や刑法犯認知件数の減少など,施策の効果が表れつつあると感じております。来年度は,生き活きプランにおける計画期間の最終年度になります。これまで進めてきた施策のさらなる加速化を図るとともに,EBPMやナッジなど新たな手法も試行し,「生き活き岡山」の実現に向け,しっかりと取り組んでまいります。
また,平成30年7月豪雨災害からの復旧・復興につきましても,河川等の復旧工事が順調に進捗するとともに,仮設住宅の入居者がピーク時に比べ半数に減少しており,歩みを止めることなく,被災者のニーズを汲み取りながら,着実に取組を進めてまいります。
(県財政の状況等)
令和2年度当初予算案につきましては,豪雨災害発生直後から行ってきた復旧事業の進捗に伴い,災害復旧事業費などの投資的経費が減少する一方で,消費税率引上げの影響により,地方消費税清算金及び市町村交付金が大幅に増加したことなどから,前年度に引き続き一般会計の歳出規模が7,000億円台となりました。
また,歳入につきましては,国庫支出金や県債が減少する一方で,地方消費税の増収,地方交付税と臨時財政対策債を合わせた地方交付税等の増加などを見込んでおります。
なお,今回の予算編成は,前年度と同様に,財政調整基金の取崩見込額に対して残高が不足している状況の中で行うこととなったことから,2月補正予算によって生じる収支改善を活用し,財政調整基金を82億円程度取り崩すこととしております。
今後も,社会保障関係費の累増や公共施設の老朽化への対応など,本県財政は依然として厳しい状況が続くと認識しております。引き続き,これまでの行財政改革の取組の成果を維持するとともに,不断の改革・改善に取り組み,経費支出の効率化や県税をはじめとした歳入確保などにより,堅実な財政運営に努めてまいります。
(被災者の生活とくらしの再建)
続きまして,平成30年7月豪雨災害からの復旧・復興について,ロードマップの体系に沿って,御説明申し上げます。
まず,「被災者の生活とくらしの再建」につきましては,昨年末,国から仮設住宅の入居期間延長の同意を受け,現在,入居者の住まいの再建状況を確認しているところであります。引き続き,全ての被災者が1日も早く生活を再建できるよう,先月から受付を開始した転居費用助成も活用しながら,被災市町村と連携して必要な支援を行ってまいります。
災害廃棄物の処理につきましては,家屋解体廃棄物を受け入れる倉敷市玉島地区での処理が先月末で完了するなど,被害の大きかった倉敷,総社両市から受託した処理業務も大詰めを迎えており,その結果,先月末の県内の処理進捗率は,91.6%と順調に推移しております。今後,災害発生時に,市町村が適正かつ迅速に災害廃棄物の処理を行えるよう,関係団体と連携して仮置場開設に係る訓練を実施するなど,一層の体制強化を図ってまいります。
(公共施設等の復旧)
次に,「公共施設等の復旧」につきましては,河川,道路などの被災箇所のほぼ全てにおいて原形復旧工事に着手しており,引き続き,早期の工事完了を目指してまいります。また,河川の防災・減災対策については,豪雨災害検証委員会の提言を踏まえ,令和6年度までの概ね5年で,ふるさとの川リフレッシュ事業を大幅に拡充し,河道掘削や樹木伐採を一層積極的に進めるとともに,重要水防箇所の総点検や堤防の樹木伐採,樋門の無動力化等についても,併せて取り組んでまいります。
(地域経済の再生)
次に,「地域経済の再生」につきましては,グループ補助金を必要とする事業者のうち,公共事業の影響により年度内の交付決定が困難な事業者を除き,申請があった全ての事業者に対して交付決定を行っており,事業再開に向けた動きが着実に進んでおります。一方で,倉敷市真備地区においては,いまだ事業が再開できない事業者も見られることなどから,引き続き,相談対応や課題に応じた専門家の派遣などの支援に取り組んでまいります。
(豪雨災害の検証と今後の対応)
次に,「豪雨災害の検証と今後の対応」につきましては,先般,防災会議を開催し,今年度発生した台風災害における他県への支援活動を踏まえ,大規模災害時の広域支援について明確にするなど,地域防災計画の修正を行ったところであります。今後,計画に基づき,県と市町村が一体となった「チームおかやま」として迅速に被災地支援を行うことができるよう,体制整備を進めてまいります。また,来月には,地区防災計画等の作成を支援するモデル事業の取組成果について,市町村等と情報共有を図るための協議会を開催することとしており,今後,防災と福祉の関係者の連携を強化し,より実効性のある地区防災計画等の作成を促進してまいります。さらに,学校や家庭における防災知識の普及啓発を充実させるなど,本県の防災力の強化と県民の防災意識の向上に取り組んでまいります。
教育県岡山の復活
続きまして,「新晴れの国おかやま生き活きプラン」の重点戦略に沿って,御説明申し上げます。
まず,「教育県岡山の復活」についてであります。
(学力向上)
学力向上につきましては,校長がリーダーシップを発揮し,学校の経営目標の下に教育活動がマネジメントされ,児童生徒に必要な学力が確実に身に付くことが重要であることから,新たに学校経営に関するアドバイザーを派遣し,学校の組織力の向上を図ってまいります。また,教員のさらなる授業改善に向け,小学校における教科担任制や,中学校で学年をまたいで教科を担当する「タテ持ち」について研究を行い,専門性を生かした授業力の向上や,教員同士が学び合う環境づくりを推進するとともに,部活動指導員の配置を拡充するなど,教員が子どもたちに十分に向き合うことのできる環境の確保に努めてまいります。
(長期欠席・不登校対策)
長期欠席や不登校につきましては,要因や背景の多様化,複雑化等により,全国の傾向と同様に,増加しております。このため,各学校において,統一的な基準による児童生徒一人ひとりの状態に応じた適切な対応や,スクールソーシャルワーカー等の専門家と連携した組織的な対応を一層推進してまいります。また,不登校の傾向のある児童生徒が通う専用教室や支援員の配置を増やすなど,学校復帰を支援する取組を充実させてまいります。
(子どもの体力向上)
次に,子どもの体力向上につきましては,昨年12月に公表された全国調査の結果によると,小学校では,体力合計点が男女とも全国平均を下回っております。今年度からは,新たに国の認証制度を活用し,児童自らが立てた目標の達成に挑戦し,個々の伸びを評価・顕彰する取組を実施しているところであり,こうした取組を通じて,子どもの運動への意欲を高め,運動習慣の定着につなげてまいります。
(学生の海外留学)
次に,学生の海外留学につきましては,留学経験のある著名人を講師とするセミナーを開催し,学生の留学への関心や意欲を高めてまいります。また,産学官が連携して留学にチャレンジする学生を支援するなど,実践的な語学力やコミュニケーション能力を備えた人材を育成してまいります。
(おかやま創生を担う人材の育成)
おかやま創生を担う人材の育成につきましては,昨年,県内高校生の活躍により,「全国産業教育フェア」や「高校生ものづくりコンテスト全国大会」で優勝するなど,様々な全国大会で優秀な成績を収めており,大変頼もしく感じているところであります。今後も,地域課題の解決等に向けた探究的な学びを推進するなど,様々な分野で主体的に活躍できる人材の育成に取り組んでまいります。
(学校におけるICT環境の整備)
学校におけるICT環境の整備につきましては,ICTを効果的に活用した学習活動の充実に向けて,児童生徒が使用するコンピューターの整備等を順次進め,技術革新が進んでいく時代を生きていく上で基盤となる資質・能力の育成に取り組んでまいります。
地域を支える産業の振興
続きまして,「地域を支える産業の振興」についてであります。
(企業誘致と投資の促進)
まず,企業誘致と投資の促進につきましては,今年度,新たな誘致の決定などにより,先月末までに900億円を超える投資を呼び込むなど,着実に成果を上げております。引き続き,本県の優位性をPRするとともに,投資環境の整備に努めるなど,地域経済の活性化につながる企業誘致と投資の促進に積極的に取り組んでまいります。
(国道2号岡山バイパスの渋滞対策)
国道2号岡山バイパスの渋滞対策につきましては,先日,国に早期事業化を要望したところであります。引き続き,沿線市町と連携し,国が進める計画段階評価など,事業化に向けた手続きが円滑に進むよう協力していくとともに,国道180号岡山西バイパスを含む総合的な渋滞対策が早期に事業化されるよう,国に対して強く働きかけてまいります。
(自動車産業の振興)
次に,自動車産業の振興につきましては,世界的に進む自動車産業の再編やEVシフトなどの環境変化の中で,受注競争が激化していることから,県内企業が自社の技術を生かしながら,新たな受注を獲得することができるよう,研究開発等に加え,技術提案力の強化を支援してまいります。また,EV等を安心して利用できる環境の整備に向けて,充電設備の設置支援を拡充するとともに,県民による一定期間の試乗モニターを実施し,普及につなげるなど,EVシフトに対応した産業と地域の実現に向けた取組を推進してまいります。
(大学と連携した地域産業振興)
大学と連携した地域産業振興につきましては,昨年10月に開設した,企業と大学との共同研究センターを拠点に,IoTやAI,次世代電池に加え,新たに自動車軽量化等の分野の共同研究を支援するとともに,大学の寄付講座において技術開発力等の向上に向けたカリキュラムを実施するなど,大学の知見を生かしながら,県内企業の成長を促進し,地域産業の一層の発展につなげてまいります。
(食品産業の振興)
食品産業の振興につきましては,特に,海外での評価が高まっている日本酒について,良質な酒米の生産地である本県の強みを生かし,「酒米処おかやま」のブランド化に取り組むとともに,県産日本酒の認知度向上と,フランスでのプロモーションなどによる国内外での販路拡大に,関係団体と連携して積極的に取り組んでまいります。
(中小企業の支援)
中小企業の支援につきましては,先月開催した「おかやまテクノロジー展2020」において,高校生等を含め,過去最高の10,863人の来場があり,県内企業が誇る最先端の技術をアピールし,各企業の魅力を伝えたところであります。引き続き,こうした取組を通じ,本県の技術力の発信とビジネスチャンスの創出に取り組んでまいります。また,IoTの導入などによる生産性の向上に向けた支援を強化するとともに,円滑な事業承継を一層推進し,中小企業の持続的な成長・発展につなげてまいります。
(観光振興)
次に,観光振興につきましては,今年度の観光キャンペーン「おかやま果物時間」では,「おかやま絶品フルーツめぐり」など,周遊につながる企画が好評を博したことから,来年度も,引き続き,フルーツをテーマにキャンペーンを展開するとともに,通年点灯に向けて準備が進められている瀬戸大橋のライトアップや,「天文王国おかやま」などのコンテンツを活用し,滞在型観光につなげてまいります。また,さらなる観光消費の拡大を図るため,令和4年度に,JRグループ6社と地元自治体,観光事業者等が一体となって誘客を図るデスティネーションキャンペーンを,本県で実施したいと考えております。
(インバウンドの拡大)
インバウンドの拡大につきましては,せとうちDMOや近隣県などと連携し,国や地域の特性に応じた戦略的なプロモーションを展開してまいります。また,新たに,厳選された県内の飲食店等が掲載されるミシュランのガイドブックを活用して,本県の魅力を発信するほか,外国人旅行者を対象に,レンタカーを利用した周遊・滞在型の観光を促進するなど,インバウンドの効果が県内に広く波及するよう努めてまいります。さらに,岡山後楽園については,ヨーロッパからの個人旅行者を主なターゲットとして,能楽公演や着物など和文化体験を定期的に開催するとともに,海外プロモーションを展開するなど,東京オリンピック・パラリンピックの効果も生かしながら,海外からのさらなる誘客に取り組んでまいります。
(岡山桃太郎空港)
岡山桃太郎空港につきましては,将来ビジョンの検討や,コンセッションなど民間活用による管理運営手法等の調査を行い,より一層利用される空港づくりに向けた基本構想の策定に取り組んでまいります。
(県産農産物のブランド力強化)
次に,県産農産物のブランド力強化につきましては,品質の高い桃やブドウを中心に,東京オリンピック・パラリンピックに合わせた首都圏でのプロモーション展開や,台湾,香港など海外での積極的なPRによる輸出拡大を図るほか,産地整備やスマート農業による生産性向上を進めるなど,供給力の強化にも取り組んでまいります。また,昨年12月に発表した県産いちごの統一ブランド「晴苺」についても,首都圏を中心に販売PRを展開し,国内外に通じる岡山ブランドの確立を目指してまいります。
(産業人材の確保)
次に,産業人材の確保につきましては,来月,「大学コンソーシアム岡山」と連携し,大規模な合同企業説明会を開催するほか,若者に県内企業の魅力が伝わるよう,インターンシップの内容を一層充実させるとともに,Uターン就職の奨学金返還支援事業の対象を拡大するなど,県内就職の促進にしっかり取り組んでまいります。また,留学生をはじめとする高度外国人材の受入れセミナーの開催や,就職氷河期世代を対象とした相談体制の強化などを通じて,多様な人材が地域産業の担い手として活躍できるよう,環境整備を進めてまいります。
安心で豊かさが実感できる地域の創造
続きまして,「安心で豊かさが実感できる地域の創造」についてであります。
(受動喫煙防止対策)
まず,受動喫煙防止対策につきましては,望まない受動喫煙防止の取組を総合的かつ効果的に推進するための条例案を,今議会に提案しております。引き続き,改正健康増進法の周知徹底を図るとともに,経過措置により喫煙も可能な既存の小規模飲食店に,禁煙エリアを整備する際の費用の一部を支援するなど,取組が推進されるよう環境整備に努め,県民が健康な生活を送ることができる社会の実現を目指してまいります。
(認知症施策の推進)
認知症施策の推進につきましては,今後とも増加が見込まれる認知症の人に適切に対応するため,認知症サポーターのさらなる養成に努めてまいります。また,認知症の人やその家族のニーズに合った支援体制を構築するため,認知症サポーターを中心とした様々な支援者によるチーム,いわゆる「チームオレンジ」を整備しようとする市町村を,新たに支援してまいります。
(新型コロナウイルス)
新型コロナウイルスに関連した感染症対策につきましては,県民に,咳エチケットや手洗いなどを呼びかけるとともに,中国の武漢市の滞在歴がない国内症例の発生を受け,今月7日より,県内医療機関に「帰国者・接触者外来」を設置するなど,医療体制の強化を図ってきたところであります。また,観光業をはじめとした県内中小企業への影響の拡大が懸念されることから,先日,県融資制度である経済変動対策資金の適用要件を緩和し,資金面での対策を講じることとしたところであります。引き続き,県民の安全の確保を最優先に,国や関係機関と緊密に連携しながら,対応に万全を期してまいります。
(少子化対策・子育て支援)
次に,少子化対策・子育て支援につきましては,今年度中に策定する「岡山いきいき子どもプラン2020」に基づき,結婚支援事業の強化や,乳幼児期における教育・保育の充実,困難を抱える子どもや家庭に対するサポートなどを総合的に実施することとしており,少子化の流れを緩和し,次代を担う子どもたちが健やかに生まれ育つ岡山を目指してまいります。
(保育士の確保)
保育士の確保につきましては,新たに導入する保育士就職マッチングシステムにより,潜在保育士の掘り起こしと就業促進を図るとともに,処遇改善にもつながるキャリアアップ研修に,eラーニングを導入し,受講機会の拡大と受講者の負担軽減を図るなど,確保対策を強化してまいります。
(ため池の防災・減災)
次に,ため池の防災・減災につきましては,豪雨災害後の再選定により増加した防災重点ため池の安全性確保を図るため,サポートセンターにおいて改修や廃止に向けた提案や技術的助言を行うとともに,市町村事業を一部受託するなど,市町村への支援を強化してまいります。
(暮らしの安全対策)
次に,暮らしの安全対策につきましては,昨年の刑法犯認知件数は,一昨年に続いて1万件を下回り,減少傾向を維持しております。一方で,特殊詐欺の被害は,キャッシュカードをすり替える新たな手口が多発するなど,依然として深刻な状況にあることから,引き続き,「だまされんのじゃ岡山県・県民運動」を一層強力に展開し,被害防止に努めるとともに,詐欺組織の拠点監視等に対応できるカメラを整備するなど,徹底検挙に取り組んでまいります。また,犯罪被害者やその家族が,被害に遭った直後に経済的な困窮に陥る状況があることから,早期に平穏な生活を取り戻せるよう,市町村と連携して経済的負担の軽減を図ってまいります。
(子どもの安全確保対策)
子どもの安全確保対策につきましては,登下校時の見守り活動のほか,子どもが日常的に集団で移動する経路の安全点検の結果や,キッズゾーンの設置状況を踏まえて交通安全施設等を整備するなど,通学路等の安全対策を進めてまいります。また,可搬式の速度違反自動取締装置をさらに整備し,従来,取締場所の確保が困難であった通学路等における取締りを強化するなど,交通事故から子どもの命を守るための対策を推進してまいります。さらに,全国的に,登下校中の子どもが凶悪事件の被害に遭うケースが後を絶たないことから,市町村等による防犯カメラの設置を支援し,犯罪を未然に防ぐための環境整備を促進してまいります。
(中山間地域等の活力創出)
次に,中山間地域等の活力創出につきましては,おかやま元気集落の活動支援や生活道路の交通難所の改善など,これまでの取組の成果を踏まえ,引き続き,市町村等と連携しながら,総合的な施策をソフト・ハード両面から展開し,中山間地域等の振興を図ってまいります。
(移住・定住の促進)
移住・定住の促進につきましては,デジタルマーケティングの手法を活用し,ビッグデータから首都圏における潜在的な移住希望者の志向性を把握した上で,ニーズに沿った最適な情報発信を行うためのプロモーション戦略を策定するなど,移住者のさらなる増加に努めてまいります。
(大気環境の保全)
次に,大気環境の保全につきましては,稲わらの「野焼き」がPM2.5の原因の一つとなっていることから,農業関係者と連携しながら,稲わらを焼かずにすき込むなどの有効利用を促進する事業を新たに実施し,焼却処理からの転換を図ってまいります。
(スギ・ヒノキの花粉発生源対策)
スギ・ヒノキの花粉発生源対策につきましては,県をまたがる広域的な対策が必要であることから,少花粉スギ・ヒノキの種子や苗木の中国5県間での相互融通体制の拡大を図るとともに,安定供給に向けた取組を進めてまいります。
(循環型社会形成の推進)
循環型社会形成の推進につきましては,沿岸部だけでなく全ての県民が,海ごみ問題を自らの課題として発生抑制に取り組むよう,7月のレジ袋有料化も踏まえ,一層の働きかけを行ってまいります。さらに,プラスチックごみ削減のアイデア募集や,積極的に3Rに取り組む事業所の登録・PRなどを行う「おかやまプラスチックスマート運動」を展開してまいります。
(東京オリンピック・パラリンピック)
次に,東京オリンピック・パラリンピックにつきましては,来月26日に福島県をスタートするオリンピック聖火リレーが,5月20日,21日に本県内を巡ります。また,8月のパラリンピック聖火フェスティバルについても,先般,県内全市町村の参加による実施内容を公表したところであります。さらに,美作市でのアメリカのラグビー,赤磐市でのニュージーランドのホッケーのオリンピック事前キャンプが新たに決定したところであり,これらの取組を通じて,県内での盛り上がりを加速させてまいります。加えて,次世代の日本代表選手の輩出を目指し,競技の普及や競技者の確保,ジュニア世代の育成・強化にも,しっかり取り組んでまいります。
諸議案
次に,今回提案しております諸議案の概要につきまして,御説明申し上げます。
まず,予算案件のうち,令和2年度当初予算案についてでありますが,国の令和2年度一般会計当初予算案は,消費税増収分を活用した社会保障の充実や,個人消費や投資を切れ目なく下支えするための「臨時・特別の措置」の実施などにより歳出が増加し,予算規模は,102兆6,580億円と過去最大となっております。また,地方財政計画は令和元年度と比較して1.3%増の90兆7,397億円となったところであります。
このような状況を踏まえ,本県の令和2年度当初予算編成にあたりましては,豪雨災害から2年が経過することを念頭に,被災地の課題やニーズを踏まえながら,「より災害に強く,元気な岡山」を目指し,引き続き,復旧・復興ロードマップに掲げる各種施策に全力で取り組むとともに,生き活きプランの行動計画期間最終年度となることから,プランに掲げる目標達成のため,教育の再生,産業の振興,人口減少問題への対応などを中心に,より実効性の高い事業を数多く盛り込んだところであります。
以上により編成しました令和2年度の当初予算案は,
一般会計において 7,464億5,700余万円
特別会計において 4,537億5,500余万円
合わせて 1兆2,002億1,200余万円
企業会計において 211億8,800余万円
となっております。
このうち,一般会計につきまして,その内容を性質別に申し上げますと,
義務的経費 5,402億5,000余万円
一般行政経費 1,122億 800余万円
投資的経費 939億9,800余万円
となっております。
次に,一般会計につきまして,その概要を申し上げます。
まず,歳入予算についてでありますが,県税収入は,令和元年度当初予算に対し2.7%増の2,413億5,600余万円,地方交付税は1.2%増の1,632億円,臨時財政対策債は3.7%減の288億円となっており,一般財源は総額5,691億9,200余万円を計上しております。特定財源は,災害復旧事業の進捗などにより,投資的経費が11.7%減少したことなどから,国庫支出金は7.9%減の780億1,600余万円,県債は6.2%減の560億6,300万円など,合わせて1,772億6,500余万円を計上しております。
次に,歳出予算についてでありますが,主な事業を申し上げますと,豪雨災害関係では,応急仮設住宅借上事業6億4,900余万円,転居費用助成事業2億3,000万円,災害廃棄物処理受託事業12億9,100余万円,河川激甚災害対策特別緊急事業36億9,600万円,中小企業者向け融資制度金融機関等補助金1億1,200余万円などを,また,生き活きプランに基づくものでは,小学校における長期欠席・不登校対策システム化推進事業1億700余万円,航空ネットワーク拡充事業1億5,300余万円,インバウンド拡大事業1億700余万円,受動喫煙のない環境整備促進事業2,000余万円,子ども見守り防犯カメラ設置支援事業1,300万円,保育人材確保等対策強化事業2,200余万円,河道内整備事業10億円などを計上しております。
債務負担行為につきましては,河川改修事業など新たに債務を負担しようとするもの108件であります。
地方債につきましては,歳出予算の財源として必要な額を予定するものであり,一時借入金につきましては,年度内の歳計現金が不足する場合の借入れの最高額を定めようとするものであります。
特別会計につきましては,岡山県公債管理特別会計に2,253億2,200余万円を計上するなど,14会計においてそれぞれ所要額を計上しております。
企業会計につきましては,岡山県流域下水道事業会計に87億4,300余万円を計上するなど,3会計においてそれぞれ所要額を計上しております。
次に,令和元年度補正予算案についてでありますが,経済対策分と通常分を提案しております。
まず,経済対策分につきましては,国において,「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」として,災害からの復旧・復興と安全・安心の確保に向けた施策や,経済の下振れリスクを乗り越えようとする者への重点支援策等,総額4.4兆円規模の追加歳出を含む補正予算が成立したところであり,本県においても,これに呼応した措置を講じることとし,所要額を計上しております。
その結果,今回の補正予算額は,
一般会計において 113億1,800余万円の増額
であります。
補正後の一般会計予算額は,歳入歳出それぞれ7,460億8,100余万円であります。
一般会計歳入予算の主な内容につきましては,国庫支出金54億3,200余万円,県債53億5,300余万円,分担金及び負担金3億3,300余万円などを増額する所要の補正措置を講じるものであります。
一般会計歳出予算の主な内容につきましては,地方道路整備事業費24億8,900余万円,河川改修費24億3,400万円,県立学校IT基盤整備事業費10億6,600余万円などを計上しております。
繰越明許費につきましては,今回の補正予算に関連し,合わせて20件,98億1,900余万円を繰越ししようとするものであります。
地方債につきましては,今回の補正予算に関連し,所要の補正措置を講じようとするものであります。
次に,通常分につきましては,事業費の確定等に伴うものについて,それぞれ所要の補正措置を講じることとしております。
その結果,今回の補正予算額は,
一般会計において 227億1,100余万円の減額
特別会計において 3億2,500余万円の増額
合わせて 223億8,600余万円の減額
企業会計において 2億3,000余万円の減額
であります。
補正後の一般会計予算額は,歳入歳出それぞれ7,233億7,000余万円であります。
一般会計歳入予算につきましては,繰入金108億5,700余万円,国庫支出金64億3,800余万円,県税23億6,000余万円を減額するなど,所要の補正措置を講じるものであります。
一般会計歳出予算のうち増額措置の主なものは,一般廃棄物処理対策費10億400余万円,岡山県財政調整基金積立金10億円,個人県民税所得割交付金7億4,300余万円などであります。また,減額措置の主なものは,災害復旧事業費,人件費,地方消費税清算金,県債利子償還費等,事業費の確定に伴うものであり,それぞれ所要の補正措置を講じるものであります。
繰越明許費につきましては,関係者等との調整難航などの理由により,合わせて60件,375億4,700余万円を繰越ししようとするものであります。
債務負担行為につきましては,災害廃棄物処理のための経費の増に伴うものなど6件であります。
地方債につきましては,今回の補正予算に関連し,所要の補正措置を講じようとするものであります。
特別会計につきましては,岡山県公債管理特別会計など10会計において,また企業会計につきましては,岡山県営電気事業会計など3会計において,それぞれ所要の補正措置を講じるものであります。
次に,事件案件につきましては,岡山県広域水道企業団への出資についてのもの1件,包括外部監査契約の締結についてのもの1件,公平委員会の事務の委託を受けるもの1件,工事請負契約締結の変更についてのもの3件,工事委託契約締結の変更についてのもの1件,公有財産の取得についてのもの1件,物品の取得についてのもの1件,県営土地改良事業等に対する市町村負担金についてのもの1件であります。
次に,条例案件につきましては,「岡山県受動喫煙防止条例」など37件であります。
最後に,諮問案件につきましては,退職手当支給制限処分に係る審査請求についてのもの1件であります。
以上,今回提案いたしました諸議案につきまして,その概要を申し上げた次第であります。
なにとぞ,慎重御審議の上,適切な議決を賜りますようお願い申し上げます。