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第34回 森林研究所の散歩道(ツリバナ、イノコヅチ編)
第34回 森林研究所の散歩道(ツリバナ、イノコヅチ編)
第34回の今回は、ツリバナとイノコヅチについて紹介します。
ツリバナの和名は「吊り花」で、長い柄を持った花が吊り下がって咲きます。
落葉小高木で、北海道・本州・四国・九州の丘陵地帯から山地帯に自生し、本県岡山県でも中北部に分布しています。果実は、球形のさく果で、9~10月、紅色に熟し、秋に果実が着生した樹姿は非常に美しく、感動します。
材は黄白色で緻密で堅く、弾力があり、木理が美しいことから、将棋の駒、印材、寄木細工に用いられて、弓の材料にもなっています。
(出典)馬場(2009)「花実でわかる樹木」. 信濃毎日新聞社. P237
伊田(1999)「大山 花の散歩」. 山陰放送. P62.
岡山県農林部林政課(1986)「岡山県樹木目録」. P27.
財団法人 林業科学技術振興所(1985)「有用広葉樹の知識-育てかたと使いかた-」.大平社. P347-348.
写真-1 ツリバナ 写真-2 ツリバナの実
イノコヅチの和名は「猪の子鎚」で、節高の茎をイノシシの膝頭に見立てたものとも言われています。
林や竹やぶなどに多い多年草で、茎は高さ50~100cm、枝はまばらに広がり、葉とともに対生します。葉は長楕円形で、先が尖り、枝の先に、8月以降、細い穂状花序をつけます。
(出典)川崎(1995)「山渓カラー名鑑 日本の野草」.山と渓谷社. P527.
写真-3 イノコヅチ
所内の散策をされる際にはこれらの植物も一緒に探してみてはいかがでしょうか。また、植物の位置がわからない場合は当研究所1階の事務室へ気軽にお尋ねください。