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令和5年6月 県議会定例会 知事提案説明要旨

印刷ページ表示 ページ番号:0859823 2023年6月13日更新政策推進課

令和5年6月 県議会定例会 知事提案説明要旨

 本日は、皆様御多用のところ御参集いただきまして、誠にありがとうございました。

 今回提案いたしました諸議案の説明に先立ちまして、所信の一端を申し述べ、県議会及び県民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。

はじめに

・新型コロナウイルス感染症

 まず、はじめに、新型コロナウイルス感染症について申し上げます。

 5月8日から感染症法の5類感染症に位置付けられ、基本的な感染防止策については、一律に対応を求めるのではなく、個人や事業者の自主的な判断により取り組んでいただくこととなりました。

 一方で、位置付けが変わっても、ウイルスそのものが消失するわけではないことから、感染防止に役立つわかりやすい情報提供や、幅広い医療機関による医療提供体制の確保、ワクチン接種の推進などに努めてまいります。

 この春以降、マスクなしで活動する子どもたちの豊かな表情が見られるようになったほか、知人との外食機会の増加や県内観光地でのにぎわいの回復など、徐々にかつての日常を取り戻してきているところであり、社会経済活動の本格化に向け、しっかりと取り組んでまいります。

・平成30年7月豪雨災害からの復旧・復興等​

 次に、平成30年7月豪雨災害からの復旧・復興につきましては、災害発生からまもなく5年を迎え、3,000世帯以上が入居されていた応急仮設住宅も、来月には全ての世帯が退去されることとなっており、一つの区切りを迎えることになります。引き続き、一人ひとりの状況に応じた支援に取り組んでまいります。

 あらためて豪雨災害の経験や教訓を振り返り、県民の防災意識の向上を図るため、来月、県民防災シンポジウムを開催することとしております。

 また、小田川3支川などの改良復旧は、再度災害防止に向け、鋭意工事を進めており、復旧・復興の総仕上げを目指して事業を推進してまいります。

教育県岡山の復活

 続きまして、第3次晴れの国おかやま生き活きプランに掲げる3つの重点戦略に沿って、御説明申し上げます。

 まず、「教育県岡山の復活」についてであります。

・学ぶ力育成

(学ぶ力の育成)

 学ぶ力の育成につきましては、1人1台端末の効果的な活用により、各学校において一層短いサイクルで学習内容の定着状況を確認し、早期につまずきの解消を図るほか、児童生徒がみずから設定した課題の解決に向け、主体的に学ぶ授業づくりを推進し、学ぶ意欲の向上につなげてまいります。

 また、4月には全国学力・学習状況調査とともに、県独自調査を新たに中学校1年生に英語を追加して実施したところであり、今後、調査結果を分析し、児童生徒の学力の着実な定着を図ってまいります。

・徳育・体育推進

(不登校対策)

 不登校対策につきましては、スクールソーシャルワーカーなど専門家との連携を一層進め、学校の組織的対応力をさらに向上させるとともに、教室復帰に向け、学習支援や生活支援を行う不登校対策専用教室の設置校を48校から93校に拡充し、取組を強化してまいります。

 また、これらの県の取組の好事例等を市町村と共有し、その成果を県内へ普及させることにより、一人でも多くの不登校児童生徒の状況が改善するよう取り組んでまいります。

(悩みや不安を抱える青少年の支援)

 悩みや不安を抱える青少年の支援につきましては、県青少年総合相談センターでのSNSを活用した相談窓口を先月から通年で開設し、相談しやすい環境を整備したところであります。必要とする人が一人でも多くアクセスできるよう、引き続き、相談窓口の周知に努め、孤立や潜在化の防止に取り組んでまいります。

・グローバル人材育成

(グローバル人材の育成)

 グローバル人材の育成につきましては、昨年度には70名の高校生が海外留学を経験するなど、コロナ禍で中断していた取組を本格化させているところであります。今後、留学コーディネーターの配置や費用の補助等により海外留学を促進し、グローバル人材に必要な語学力、コミュニケーション能力等の育成につなげてまいります。

地域を支える産業の振興

 続きまして、「地域を支える産業の振興」についてであります。

・企業誘致・投資促進

(企業誘致と投資の促進)

 企業誘致と投資の促進につきましては、昨年度、27件の誘致が決定し、2,100億円以上の投資を呼び込み、600人を超える新たな雇用を創出するなど、大きな成果を上げております。

 今年度から新たに、市町村と民間が共同で行う団地開発を支援の対象に加えたところであり、引き続き、市町村と連携しながら企業ニーズに応じた産業用地の確保に努めるとともに、さらなる誘致と投資の促進に取り組んでまいります。

(水島コンビナートの脱炭素化)

 水島コンビナートの脱炭素化につきましては、3月に策定された2050年カーボンニュートラル実現に向けた取組方針の下、今後、立地企業による脱炭素化の具体的な取組が進むよう議論を深め、企業間の連携を促進するなどしっかりとサポートをしてまいります。

・企業の「稼ぐ力」強化

(EVシフト)

 EVシフトにつきましては、県内企業に対し、開発人材の育成や新分野進出、販路拡大等の支援を行うとともに、EVの普及に向け、充電設備を導入する事業者等に対する支援を拡充するなど、全国をリードするEVシフトに対応した産業と地域の実現を目指してまいります。

・観光振興

(観光振興)

 観光振興につきましては、来月から9月までの3か月間、「おかやま夏旅キャンペーン」を実施することとしております。蒜山高原をメイン会場に、カラフルなマスキングテープで装飾するアートイベントをはじめ、ぶどうの食べ比べや夜の桃狩りなど、本県ならではの特別な企画を数多く用意し、滞在期間の延長と観光消費の拡大につなげてまいります。

 また、インバウンドにつきましては、国際線が再開した台湾において、8月に私みずからトップセールスを行うこととしており、現地旅行会社への商品造成の働きかけや県産農産物のPRにより、さらなる誘客の拡大を図ってまいります

(岡山桃太郎空港)

 岡山桃太郎空港につきましては、先月下旬から台北線がコロナ禍前と同じ毎日運航となり、多くの方に御利用いただいております。引き続き、他の国際線の早期再開に向け、航空会社へ働きかけるとともに、路線のPRや集客支援など、利用促進にしっかりと取り組んでまいります。

・儲かる農林水産業加速化

(県産農産物のブランド化)

 県産農産物のブランド化につきましては、桃、ぶどうの供給力強化に向け、ハイブリッド産地の育成を図ってまいります。また、先般、首都圏の市場に対してトップセールスを行ったところであり、引き続き、デジタルマーケティングで蓄積したデータを生かした戦略的な情報発信により、新たな顧客の開拓と定着を図り、国内外に通じる岡山ブランドの確立を目指してまいります。

(スギ・ヒノキの花粉発生源対策)

 スギ・ヒノキの花粉発生源対策につきましては、先月、国において花粉症対策の全体像が取りまとめられたところであり、今後、国の動向を踏まえながら、少花粉スギ・ヒノキ苗木による植替え等の関連施策を引き続き強力に推進してまいります。

・働く人応援

(雇用対策)

 雇用対策につきましては、コロナ禍で落ち込んだ県内の雇用情勢が回復基調にある中、新規学卒者の積極的な正社員採用などを継続していただけるよう、先日、県内経済団体に要請したところであります。

 また、県外学生も参加しやすいオンラインでのインターンシップ情報の発信や、おかやま就活サポーターと学生の交流イベントなどを通じ、本県への人材の還流と定着に積極的に取り組んでまいります。

安心で豊かさが実感できる地域の創造

 続きまして、「安心で豊かさが実感できる地域の創造」についてであります。

・保健・医療・福祉充実

(子宮頸がんの予防)

 子宮頸がんの予防につきましては、これまでの国への働きかけが実を結び、9価ワクチンが4月から定期予防接種の対象となり、大変喜ばしく感じているところであります。HPVワクチンの接種人数は徐々に増加しているものの、積極的接種勧奨前の水準までには回復していないことから、これまでの取組に加え、今後、学校等への出前講座の開催や、新たに啓発漫画を作成するなど、さらに取組を強化することとしております。引き続き、若い世代の命を一人でも多く救うため、正しい知識の普及啓発に一層取り組んでまいります。

(健康寿命の延伸)

 令和2年の本県の女性の平均寿命は50年ぶりに全国1位となり、男性についても平均より高い水準を維持しているところであります。生涯にわたり健康で日常生活を送ることが重要なことから、今後とも、生活習慣の改善のほか、受動喫煙の防止やがん検診の受診促進など、健康寿命の延伸にしっかりと取り組んでまいります。

・結婚・妊娠・出産応援

(少子化対策の推進)

 少子化対策の推進につきましては、おかやま縁むすびネットの登録「無料」キャンペーンを4月から展開しており、新規及び更新登録者数は前年同時期に比べ2.3倍と大幅に伸びているところであります。また、新たな少子化対策に挑戦する市町村への伴走型支援や、企業と連携した子育て支援を行うための調査を進めているほか、来月には、鳥取県との合同による婚活イベントを後楽園において実施いたします。

 先般、国において昨年の出生数及び合計特殊出生率が公表され、本県はいずれの数値も前年に比べ悪化する結果となっております。新型コロナウイルス感染症の影響もあるものと思われますが、厳しさは一層増しており、あらためて強い危機感を持って受け止めたところであります。

 少子化対策は、まさに待ったなしの課題であり、20年後、30年後を見据え、「できることは、すべてする」との決意の下、全力で取り組んでまいります。

・子育て支援充実

(子どもの虐待防止)

 子どもの虐待防止につきましては、子どもの視点に立ち、権利擁護を一層推進してまいります。また、児童相談所と県警察との連絡会議を先月開催し、連携強化等による早期発見・早期支援の重要性を確認したところであり、市町村の体制整備を通じた虐待の予防、里親委託等の推進や自立支援などと併せ、包括的な子どもの虐待防止対策に取り組んでまいります。

・防災対策強化

(防災対策の推進)

 防災対策の推進につきましては、拡張工事等により機能を充実させた防災・危機管理センターにおいて、先月、関係機関と連動した訓練を実施したところであります。新たに導入したAI解析による浸水予測図や、情報量を増やした防災情報システムを有効に活用するなど、本県の災害対応力の充実強化に努めてまいります。

(盛土による災害の防止)

 盛土による災害の防止につきましては、先月施行された盛土規制法に基づき、被害を及ぼしうる区域の早期指定に向け、基礎調査に取り組んでいるところであり、盛土の災害防止対策を着実に推進してまいります。

・暮らしの安全推進

(暮らしの安全対策)

 暮らしの安全対策につきましては、昨年は刑法犯認知件数が20年ぶりに前年に比べ増加しましたが、今年は特に、無施錠の自転車等が盗まれる被害が増加しているため、県民の防犯意識の向上を目指し「鍵かけ」の徹底を呼びかけ、防犯対策の浸透を図ってまいります。

 また、特殊詐欺の被害も依然として深刻な状況にあることから、特殊詐欺対策に有効な留守番電話設定等の「電話対策」を呼びかける広報啓発活動を強力に展開してまいります。

(交通安全対策)

 交通安全対策につきましては、昨年、人口10万人当たりの交通事故死者数は全国で最も多くなり、今年も重傷事故が多発するなど、厳しい状況にあることから、交通事故情勢を踏まえた交通安全教育や交通指導取締りを強化してまいります。

 また、4月に全ての自転車利用者にヘルメット着用の努力義務を課す改正道路交通法が施行されたことから、動画配信やチラシ・ポスターの配布による着用率向上に向けた啓発に取り組んでまいります。

・持続可能な中山間地域等形成

(JR在来線)

 JR在来線につきましては、昨年度実施したパーソントリップ調査の結果等を分析し、「岡山県JR在来線利用促進検討協議会」を活用しながら、市町村等と連携の下、実効性のある利用促進策を立案し、実施につなげることなどにより路線の維持・確保に取り組んでまいります。

 また、4月に地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律が成立し、現在、国において具体的な運用に関する検討が進められていることから、その動向を注視しながら、市町村等と連携し、県として必要な対応を行ってまいります。

(移住・定住の促進)

 移住・定住の促進につきましては、地域資源をテーマにしたセミナーや移住・定住フェアに加え、新たに体験型セミナーや暮らしを体感するバスツアーを開催するなど、市町村等と連携し、関係人口の創出や移住検討段階に沿った戦略的な情報発信と受入体制の強化に取り組み、本県への移住・定住の促進へとつなげてまいります。

・快適な環境保全

(地球温暖化対策の推進)

 地球温暖化対策の推進につきましては、3月に改定した「岡山県地球温暖化対策実行計画」において、2050年カーボンニュートラルの実現を見据え、温室効果ガス排出量の削減目標を新たに設定したところであります。今後、省エネ対策に取り組む家庭や事業者への支援を拡充するほか、市町村との連携を強化しながら、計画の目標達成に向けた取組をしっかりと進めてまいります。

(海ごみ対策の推進)

 海ごみ対策の推進につきましては、岡山・広島・香川・愛媛の4県と日本財団が連携して、瀬戸内海の広域的な海ごみ対策のプロジェクトを進めているところであります。海につながる河川ごみの回収を一層進めるためには、市町村と一体となった取組が必要であることから、今年度から、県管理のエリアに限ることなく、ボランティアの依頼に基づき市町村が行う回収ごみの運搬・処分について、県が費用負担することとしており、全県的な取組となるよう効果的な回収活動のモデルづくりに取り組んでまいります。

(放置艇対策)

 放置艇対策につきましては、国、県、市などを中心とした対策推進会議において、関係機関が連携し、放置艇の把握調査を実施するとともに、地区別の対策実施計画及び放置等禁止区域の指定方針を3月に公表したところであります。今後、適正な保管や処分を促すため、令和7年度からの関係法令の適用に向け、船舶所有者に周知するとともに、簡易型係留施設の整備などに取り組み、秩序ある水域利用の実現を目指してまいります。

(全国植樹祭)

 来年春に開催される第74回全国植樹祭につきましては、先月、1年前記念イベントを開催したほか、先般、今年の開催県である岩手県から大会のシンボルである木製地球儀を引き継いでまいりました。今後、式典準備を着実に進めるとともに、県民参加の植樹イベントなどを通じて、一層の開催機運の醸成を図ってまいります。

・生きがい・元気づくり支援

(第79回国民スポーツ大会冬季大会)

 令和7年に開催される第79回国民スポーツ大会冬季大会スケート・アイスホッケー競技会につきましては、先月、開催市となる岡山市、倉敷市などと実行委員会を設立したところであります。また、大会のテーマが「晴れて輝け!おかやま国スポ」、スローガンが「輝く君は氷上の華」に決定したところであり、西日本で初めて開催される本大会が、本県の冬季スポーツの振興や競技人口の拡大の契機となるよう、引き続き、関係団体等と連携して開催準備を進めてまいります。

(おかやまマラソン2023)

 おかやまマラソン2023につきましては、4年ぶりの開催となるファンランも含め、23,540人のランナーから参加申込みをいただくとともに、大会を支えるボランティアの募集も順調に進んでおります。

 オリンピアンをゲストランナーに迎えるほか、今大会では、EXPO会場でのステージイベントや飲食ブースを復活させるなど、地域に元気と感動をもたらし、岡山の魅力を全国に発信する大会となるよう、関係者と一体となって、11月の開催に向け、着実に準備を進めてまいります。

・行政のデジタル化推進

 行政のデジタル化の推進につきましては、県立美術館など16の県有施設において、10月を目途にキャッシュレス決済を導入してまいります。また、デジタル技術を活用できる職員の育成や、市町村に専門人材を派遣することにより、DXの推進を支援するなど、引き続き、県民の利便性向上や行政の効率化に取り組んでまいります。

諸議案

 次に、今回提案しております諸議案の概要につきまして、御説明申し上げます。

 まず、予算案件についてでありますが、物価高騰対策分と通常分を提案しております。

 物価高騰対策分につきましては、国の物価・賃金・生活総合対策本部において、地方創生臨時交付金の増額が決定されたことから、本県においても、これに呼応した措置を講じることとし、所要額を計上しております。

 その結果、今回の補正予算額は、

   一般会計において   88億7,200余万円の増額

であります。

 補正後の一般会計予算額は、歳入歳出それぞれ8,110億4,500余万円であります。

 一般会計歳入予算の内容につきましては、国庫支出金88億7,200余万円を増額する所要の補正措置を講じるものであります。

 一般会計歳出予算の主な内容につきましては、産業労働総合対策費33億5,300余万円、畜産経営安定推進事業費25億5,600余万円などを計上しております。

 次に、通常分につきましては、当初予算編成後の情勢の変化に伴い、早急な対応を必要とするものについて、補正措置を講じることとし、所要額を計上しております。

 その結果、今回の補正予算額は、

   一般会計において      4,400余万円の増額

であります。

 補正後の一般会計予算額は、歳入歳出それぞれ8,110億9,000余万円であります。

 一般会計歳入予算の内容につきましては、国庫支出金4,400余万円を増額する所要の補正措置を講じるものであります。

 一般会計歳出予算の内容につきましては、地域保健医療体制推進費2,400余万円、ICT戦略推進費2,000余万円を計上しております。

 次に、事件案件につきましては、工事請負契約の締結についてのもの1件であります。

 次に、条例案件につきましては、「岡山県職員特殊勤務手当支給条例の一部を改正する条例」など8件であります。

 最後に、報告案件につきましては、「地方税法等の一部を改正する法律」の施行に伴う「岡山県税条例の一部を改正する条例」についてのもの1件で、事情やむを得ず専決させていただきましたので、御報告申し上げ、御承認賜りたいと存じます。

 以上、今回提案いたしました諸議案につきまして、その概要を申し上げた次第であります。

 なにとぞ、慎重御審議の上、適切な議決を賜りますようお願い申し上げます。