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第152回 森林研究所の散歩道(カマツカ、センダン編)
第152回 森林研究所の散歩道(カマツカ、センダン編)
第152回の今回は、カマツカとセンダンについて紹介します。
カマツカはバラ科カマツカ属の落葉小高木です。日本や朝鮮半島、中国中南部、台湾に分布しており、国内では沖縄を除く温帯で見られます。岡山県内全域で確認されています。
樹高は2~7mになります。葉裏の毛量に変化があることが特徴で、綿毛が多くつくものから無毛のものまで存在します。
4~6月に、直径1cmの白い花を大量につけます。アジサイの花に近い印象があります。また花柄には特徴的なイボ状の皮目があります。実も約1cmで、赤く甘みがあるようです。
名前の由来は鎌の柄に使用するほど材が丈夫で折れにくいという特性に由来します。他にも、牛の鼻に綱を通す際に使われていたことから牛殺し(うしころし)の別名も存在します。
(出典)林(2020)樹木の葉 実物スキャンで見分ける1300種類.山と渓谷社.p248.
石井ら(2000)樹に咲く花 離弁花(1).山と渓谷社.p648-651.
岡山県農林部林政課(1986)岡山県樹木目録.p27.
牧野(1982)原色牧野植物大圖鑑.北隆館.p199.
馬場(2009)花実でわかる樹木.信濃毎日新聞社.p237.
写真1 カマツカ 写真2 カマツカのつぼみと特有の皮目
(写真1、2は2023年5月23日に撮影)
センダンはセンダン科センダン属の落葉高木です。日本と中国、台湾、ヒマラヤに分布しており、国内では四国、九州、沖縄にある海岸沿いの日当たりのよい場所で生育します。岡山県内では中部以南に自生が確認されています。
樹高は基本的に10mほどですが、大きいものだと高さ20m、直径80cmにもなります。2回羽状複葉であることが特徴的で、幼木では鋸歯の切れ込みが深いです。
若木の樹形は逆三角形をしています。老木になると丸く大きな樹冠をつくるため、街路樹などに利用されています。
近年では成長の早い早生樹として注目されており、最新の林業白書にも前回紹介したコウヨウザンとともに紹介されています。特に家具への利用が検討されているようです。
昔は花から樹皮までを殺虫剤、駆虫剤に使用していたそうです。そのためか、種小名である「azedarach」は毒の木の意味を持ちます。
(出典)太田ら(2000)樹に咲く花 離弁花(2).山と渓谷社.p266-269.
千葉(1985)岡山の樹木.山陽新聞社.p146.
林(2020)樹木の葉 実物スキャンで見分ける1300種類.山と渓谷社.p518.
岡山県農林部林政課(1986)岡山県樹木目録.p31.
牧野(1982)原色牧野植物大圖鑑.北隆館.p278.
林野庁(2023)令和4年度 森林・林業白書.p100, 152.
写真3 センダン 写真4 センダンの花
(写真3、4は2023年5月23日に撮影)
所内の散策をされる際にはこれらの植物も一緒に探してみてはいかがですか。
また、植物の位置がわからない場合はお気軽にお尋ねください。