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第154回 森林研究所の散歩道(コヒルガオ、タチバナモドキ編)
第154回 森林研究所の散歩道(コヒルガオ、タチバナモドキ編)
第154回の今回は、コヒルガオとタチバナモドキについて紹介します。
コヒルガオはヒルガオ科ヒルガオ属の多年草です。アジアの東部と南部に広く分布します。日本全土の道ばたや野原に自生し、乾燥した場所にも強いそうです。
茎はつるになっており、何かに巻き付きながら成長します。名前のとおりヒルガオに似ていますが写真1の中央上部のように葉が3裂であること、また花柄に翼があることが大きな違いです。
初夏に写真2のような淡紅色の花をつけます。名前のとおり昼に咲き、ヒルガオよりも早い時期から咲きます。
基本的には結実をしません。ヒルガオに似たものになるほど結実率が高くなるようです。通常は白い地下茎を伸ばすことで増えていきます。
(出典)林(1983)日本の野草.山と渓谷社.p243.
片桐(1997)山野草.西東社.p193.
牧野(1982)原色牧野植物大圖鑑.北隆館.p451.
長田(1981)原色野草観察検索図鑑.保育社.p223.
写真1 コヒルガオ 写真2 コヒルガオの花
(写真1、2は2023年5月10日に撮影)
タチバナモドキはバラ科トキワサンザシ属の常緑低木です。中国原産で明治中期にフランスから新宿御苑に輸入されたことが始まりだそうです。庭木として利用されます。まれに野生化したものもいるようです。
樹高は最大で4m程度になり、その樹形はいびつです。短枝が棘となることがあるため注意が必要です。写真4のように葉は細長い形をしており、ほとんどは全縁です。葉裏には白色の毛が密生しています。
5~6月に写真4のような白色の小さな花をつけます。その後になる橙色の果実は10~翌3月まで続きます。
本種も属しているトキワサンザシ属は学名から来るピカランサという名で呼ばれ、園芸の分野で親しまれています。
(出典)太田ら(2000)樹に咲く花 離弁花(2).山と渓谷社.p186-187.
永田(1997)樹木.山と渓谷社.p265.
林(2020)樹木の葉 実物スキャンで見分ける1300種類.山と渓谷社.p569.
岡山県農林部林政課(1986)岡山県樹木目録.p43.
写真3 タチバナモドキ 写真4 タチバナモドキの花
(写真3、4は2023年6月5日に撮影)
所内の散策をされる際にはこれらの植物も一緒に探してみてはいかがですか。
また、植物の位置がわからない場合はお気軽にお尋ねください。