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第155回 森林研究所の散歩道(アカバナユウゲショウ、トキワマンサク編)
第155回 森林研究所の散歩道(アカバナユウゲショウ、トキワマンサク編)
第155回の今回は、アカバナユウゲショウとトキワマンサクについて紹介します。
アカバナユウゲショウはアカバナ科マツヨイグサ属の多年草です。アメリカ大陸の原産で、明治時代に観賞用として日本に移入し、その後西日本を中心に広く帰化しています。
白色の短毛が多い茎は束生し、高さ20~40cmになります。根生葉は先が丸いですが、茎につく葉は先が尖って縁は波打ちます。
夏から秋の間、淡紅色の花が葉腋に一つつきます。雌しべの先が4裂しますが、その裂片は花のサイズと比べると非常に大きいです。
本種はユウゲショウと呼ばれることもありますが、オシロイバナ科のオシロイバナの別名もユウゲショウであるため、区別するためにアカバナユウゲショウとして紹介しています。
(出典)長田(1976)原色日本帰化植物図鑑.保育社.p179.
写真1 アカバナユウゲショウ 写真2 アカバナユウゲショウの花
(写真1、2は2023年5月10日に撮影)
トキワマンサクはマンサク科トキワマンサク属の常緑低木です。日本や中国南部、インド東北部に分布しています。国内では静岡県や三重県、熊本県の暖温帯という限られた場所でのみ確認されています。
樹高は3mほどになり、枝はしばしば垂れ下がります。葉は小型で楕円形をしており、両面にざらざらとした感触の毛があることが特徴です。
4~5月に、当年枝の先に白い花が約7個集まるようにつきます。写真4のように花弁が細長い独特な形状をしています。
名前の由来は本種が常緑樹のため、常磐であるマンサクということからトキワマンサクと名付けられました。
限られた場所にしか生息していませんが、中国原産の変種であるアカバナ(ベニバナ)トキワマンサクは花が紅色で、かつ葉も赤みがかることがあり全体の色味がおもしろいこともあり本種よりも多く庭木などとして植栽されているようです。
(出典)太田ら(2000)樹に咲く花 離弁花(2).山と渓谷社.p21.
馬場(2009)花実でわかる樹木.信濃毎日新聞社.p189.
林(2020)樹木の葉 実物スキャンで見分ける1300種類.山と渓谷社.p168.
北村ら(2002)原色日本植物図鑑 木本編(2).保育社.p135.
写真3 トキワマンサク 写真4 トキワマンサクの花
(写真3、4は2023年4月27日に撮影)
所内の散策をされる際にはこれらの植物も一緒に探してみてはいかがですか。
また、植物の位置がわからない場合はお気軽にお尋ねください。