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「女性リーダーから学ぶキャリアアップ交流会2022」を開催しました。

印刷ページ表示 ページ番号:0902950 2023年4月1日更新人権・男女共同参画課
 県では、男女が共に活躍できる社会の実現に向けて、「女性リーダーから学ぶキャリアアップ交流会」を開催しました。

 キャリアアップしたいけど自信がない、家庭と両立できるか不安などお悩みの女性に積極的にご参加いただき、女性リーダーや他の参加者と交流することで、未来設計へのヒントを得たり、不安の解消につなげるとともに、女性同士のネットワークを築くことを目的としたものです。

概  要

1 名称  女性リーダーから学ぶキャリアアップ交流会

2 日時   令和5年1月21日(土曜日) 10時00分~13時00分

3 場所  きらめきプラザ401会議室(岡山市北区南方二丁目13-1)

4 対象   岡山県内の女性でキャリアアップに関心のある方、女性同士で交流したい方等

5 内容

  10時00分~11時30分 パネリスト2名による体験談(パネルトーク)

  11時30分~11時50分 パネリスト2名による質問タイム

  12時00分~12時30分 パネリスト・参加者同士の交流、名刺・意見交換

  12時30分~13時00分  フリータイム(参加者同士の交流) ※任意参加

 

ファシリテーター、パネリスト

■ファシリテーター   高松太田社労士事務所 社会保険労務士 谷川 由紀氏

1

■パネリスト

(1) (株)ポーラ 中国エリア 岡山ゾーン 統括リーダー 吉尾 美香氏

2

(2) 両備ホールディングス(株) 両備スカイサービスカンパニー

        スカイ1部リーダー(ANA旅客及び両備スカイプラザ兼務) 瀧口 桃香氏

3

 

トーク内容

4    5

自己紹介

〇谷川氏

 社会保険労務士(社労士)として、就業規則を作ったり、職場風土を改善するための研修、支援等を行っている。きっかけは、30代前半の頃。大きな会社のリーダー的立場で、正社員になるための転職支援をする中、30代を越えて転職したい女性はたくさんおられたが、優秀でも企業側にどんなにPRしても、「子どもができたら…」「結婚したばかりだから…」と言われ、履歴書で落とされる。男性は採用するのに女性は採用しない、そのような状況を少しでも改善したいという思いも一つのきっかけになり、社労士の仕事をしている。

〇吉尾氏

 ポーラに入って20年経ったところ。異例だが、派遣社員から始めて正社員になった。現場の方とお仕事をさせていただき、美容スタッフになり、結婚・出産しながら働いてきた。推薦されて当初は断ったものの、今のようなリーダーをさせていただくことになった。会社の体制が変わり、昨年までは岡山だけだったが、今年から鳥取、島根、岡山3県のリーダーを任されることになった。私からは「大変なことがいっぱいあったらあっただけ、楽しいことが待っているよ」と皆さんに伝えたい。

〇瀧口氏

 2007年に入社し、岡山空港のANAの旅客ハンドリング業務を行っている。搭乗手続きや手荷物預かり、搭乗口での改札業務などを行う仕事。小さい頃から飛行機が大好きで、この仕事に憧れを持って入った。30代前半まで仕事が楽しいという思いだけで働き、最終的に旅客ハンドリングの総責任者まで経験。しかし、空港の仕事は「狭く深く」なので、他のこともしてみたいと思い、旅行業に興味をもった。総合旅行業務取扱管理者の資格を2年かけて取得。会社の旅行業部門へ異動となり、現在、旅客ハンドリング業務と兼務。旅客ハンドリングではエキスパートだが、旅行業では新人という、忙しいような気持ちが追い付かないような日々。プライベートは、夫と旅行に行ったりしながら、リフレッシュ。

 

リーダーになるきっかけ

〇吉尾氏

 会社の体制が変わる中で、当時のリーダーの方が転勤になり、私に話がきた。子どもがいて今でさえ大変なので、そんな責任のある仕事はできないと最初はお断りしたが、その当時の上司に、「吉尾さんはこの会社でどういう風になりたかったのかな」と問われた。リーダーになりたいとは思っていなかったが、ポーラという仕事を通じて、女性がもっと社会に進出していく、輝いていける世の中になってほしいといつも思っていた。虐待など、子供に関する悲しいニュースを聞くが、女性が自立して輝いていれば、子供たちが豊かな生活を送れ、そういうニュースも少なくなるのではないかと思った。「だったら、リーダーという立場で、もっともっとやりたいことを広げていけばいいんじゃないの?」と上司に言われた時に、ああそうかと思った。自分の中のこうしたいという思いを引き出していただいたので、リーダーをさせていただいている。

〇瀧口氏

 私も同じで、自発的にリーダーになりたいと思ったことは一度もなく、できればそんなに責任はないところで、空港ハンドリングを楽しくできたらいいなと思っていた。

 一方で、職場は、女性が多いが上にいる管理職は全員男性で、将来的に見ると女性の誰かが最初の管理職にならないといけないといけないとは思っていた。しかし、みんな自分はやりたくない、責任を持ちたくないと避けているような状況の中、自分の社歴も長くなり、それなりに経験を積んだところで、「やらなければ」とリーダーになる自覚を芽生えさせていった。

 

管理職となり、やれることが広がったか。

〇吉尾氏

 一スタッフの時には個人で自分の思いを伝えていたが、リーダーになると、部下であるスタッフに浸透させると、スタッフがそれを広げてくれる。ビジョンが広っていき、その影響力も違う。そういう面で、リーダーを引き受けてよかったと思う。スタッフや代理店さんが、ポーラの思いとして伝えてくれ、リクルート活動につながっている部分もある。

 

職場内の人間関係での苦労、やってみてよかったこと

〇吉尾氏

 部下になる方が、私より年上の場合もあるが、人生の先輩方なのでリスペクトし、いろいろなことを教えてくださいという姿勢でコミュニケーションをとる。

 方法としては、世間話などを密にする。自分を開示しないと相手も心を開いてくれないので、自分のプライベートな話もする。雑談はよくしている。県外のスタッフへは夕方には電話することになっており、例えばお子さんの体調が悪いと以前聞いていたとしたら、その後どうかと聞いたりする。朝は全体ミーティングが必ずあるので、そこでも雑談を取り入れたりする。全員と毎日ではないが、誰かと一日一回は雑談している。

 もう一つは、一人ひとりと10分でも30分でもいいので、月に1回くらいは1on1ミーティングを行い、現状や思っていることを話している。まずは、その方の仕事に対する思いを聞かせていただいて、その思いに私も共感しますよという姿勢を伝えている。そうすることで、年齢・性別関係なく、同じ仕事の仲間として一緒に目指していこうという思いを伝えている。

〇瀧口氏

 20代のスタッフも多いので、コミュニケーションをとるのが難しいなと思う。積極的に話をし、休憩時間に好きなアイドルのことを聞いて調べて、その話題を振ってみたりしている。そこから話が盛り上がって仲良くなれたりすることもあるので、世間話を取り入れながら接している。

 また、会社の中でグッドジョブカード、グッドアサーションカードというカードのやり取りがある。グッドジョブカードは、誰かがいいことをしたときにカードで相手に気持ちを伝えるもの。グッドアサーションカードは、例えば、手順を忘れていた時に「瀧口さんこれやっていますか」と誰かが尋ねてくれて、エラーチェーンを切ってくれた時に、ありがとうと渡すもの。名刺サイズくらいのカードをいつでもどこでも取れるように置いておく。感謝する事象が発生したときに書いて、提出ボックスに入れておくと、集計係の人が集計して本人にお返しするという仕組み。四半期に一度、一番良かったグッドジョブ、グッドアサーションを投票で決めて、表彰して皆さんにお知らせする。一番良いグッドジョブだけではなく、一番たくさんグッドジョブを出した人・もらった人も表彰する。

 下から上、後輩から先輩に渡すことが多いものだが、私の職場では意識的に上から下へ渡すようにしていて、私も積極的に渡すようにしている。言葉で言うようにもしているが、カードをもらうと嬉しいので、そこでコミュニケーションを取り、人間関係を作るようにしている。  

〇谷川氏

 人の上に立つ人は、人の気持ちがわからないと人を動かせない。仕事だけの指示を出して、仕事だけの進捗管理では、困った時に、その人のために頑張ろうということになるだろうか。自分のことをここまで気にかけてくれていたな、この人のために役に立ちたいな、そう思われることは最強。「最強の戦略は信頼関係」とも言われている。お二人の話を聞いて、そんなことを思った。

 

1on1ミーティングの時に、気を付けていること

〇吉尾氏

 仕事以外だと、今困っていること、気になっていることを溜め込む前に吐き出してもらうよう心掛けている。しっかり聞くのは月1回だが、その前に10分とか短い時間でも状況を確認するようにしている。

 自分から言いたくない、言わないような場合、その人の背景を知るためのアプローチとしては、私の実体験で、子供が小さい頃、熱を出して休まなければいけないことがよくあった。子供は放っておけないし、会社も大事だしという状況で私自身も悩んでいた。そのため、スタッフには子育てママさんも多くいるので、急なお休みをサポートできるよう体制を作っている。また、話を聞く時には「急に子供さんの関係で任せている仕事ができないとなった場合、あなたも周りも困るので、私たちが何かサポートできるようにする。だから今の状況を教えてください。」という聞き方をして、プライベートな背景を話しやすくしている。

〇谷川氏

 「仕事と家庭を分けてね」というような職場、特に男性が多い製造系の職場などでも、介護の問題が出てきており、男性社員がいきなり退職願を持ってくるようなことがある。人事の担当者としては、管理職の人にいきなり辞められては困るので、先に相談してくれたらと言うが、決意を固めてから持ってくる。特に男性社員の場合、プライベートのことを言わないケースも多い。

 2025年問題といって、もう少ししたらもっとひどくなり大介護時代が来る。育児の場合は同時進行で2、3人くらいまでだが、介護の場合は、お互いの両親や親族など、人数が多くなることもある。

 経営上の戦略として、プライベートの話もしてほしいと社労士としては思っている。「家庭のこと持ちこむな」という経営者もいるが、だんだんシフトしてきている。人事の担当者には、育児に理解のない社員には「介護」の話をしてくださいと言っている。就業規則はすぐ変更できるが、人間関係が一番ネックになる。「なんでこっちが尻ぬぐいしないといけないんだ」と言う人もいる。40、50代はこれから介護に直面するし、すでに介護をしながら働いている人もいる。もし親族がいないから、介護も自分に関係ないという場合には「治療」の話をしてもらう。一生、病気にならないと言えるのか。もし治療が必要になり休む時、誰に頼むのか、辞めるのか。そういうことをひっくるめると、お互い様の風土づくりが大事だと思う。

 

他に人間関係で気をつけていること

〇瀧口氏

 何か指導しないといけない時、相手の性格によって指導の仕方を変えていかないといけない。厳しく言った方が響く人もいれば、やさしく言った方がいい人もいる。普段のコミュニケーションの中で様子を見て、その辺りを判断している。

〇吉尾氏

 指導する際は、自分自身が間違っているかもしれないと不安な気持ちもあるので、コーチングの方法で相手に答えを聞くようにしている。今までの上司はトップダウンの方が多かったが、自分はあのような的確な指示を出せないと思って、私は皆からアイデアや思いを聞いてまとめる、部活のキャプテンのような役目でいようと思っている。最初からその姿勢で人間関係を作っていった。

 

タイムマネジメントについて(仕事と家庭の両立、家事の工夫など)

〇吉尾氏

 子どもが小さい時は、朝9時~夜7時まで働いていて、保育園も延長で最後まで預けて働いていた。夫も自営をしているのでほぼワンオペで、家事も育児も私がしていた。その環境を変えたかったので、今のメンバーにはそうならないようにしているが、私の時はそういった中で出張・会議で夜が遅い時には、まず人を頼るということをした。近くに身内がいないので、ファミリーサポートさんとか行政の力を借りながら子育てをしてきた。また家事では、やめることを増やした。自分がしなきゃだめだと追い込むと苦しくなる。洗い物は食洗機にしてもらう。掃除も、子どもが小さい時は汚れていて気になるけれども、これは今日じゃなくてもいいとか、気持ちに余裕が持てるような家事をしていた。

 また、保育園のママ友は働くお母さんたちなので、お互い様で、ママ友が子どもを連れて帰ってくれたことがあった。ただ、自分のことを知ってくれていないと、声をかけてもらえないので、仕事以外のところでも自分を開示する。昨日も、帰りが遅くなるという話をしたら、うちでご飯食べたらいいよと向こうから言ってくれる。自分の弱みというか、こういう状況だと知ってもらうことで、周りが助けてくれることが多い。

〇瀧口氏

 私は一日の中で午前中が強いタイプ、朝型人間だと自覚してから、今日は仕事が残業になるかもしれないと思った時には、後ろの残業ではなく、ちょっと早く仕事を始める。その方が、頭が働くので、なるべく早め早めに仕事を進めていくということを心掛けている。家事も休みの日の朝にするようにしている。あれもこれもやらないといけないと思い、時間がなくてできない、どんどん家が汚れていらいらする、人にあたるという悪循環に陥ったので、自分ができない時は夫に任せることにした。以前は、洗濯のたたみ方ひとつも気に入らなくて任せられなかったが、たたみ方が自分の思い通りではなくても何も困らないと気付いた時に、だったらやってもらって自分が楽になった方がいいやと思い、任せることにした。また、夫が夜勤で自分一人になる時の究極の時短は、晩ごはんを食べないこと。買い物の時間、作る時間、片付ける時間がかかる。プチ断食になるとポジティブにとらえている。朝すっきり起きられるし、そうすると朝よく動けるし、いい循環になっている。

〇谷川氏

 日本人は頼ることが下手だが、ヨーロッパでは、子どもの頃から人間は不完全だから、人に頼って生きていきなさいと教育されている。周りも不完全だから助け合いなさいという教育になっている。男性だから女性だからとは極力言いたくはないが、やはり女性は役割が多いと思う。無理せず頼ることは大事。私もパートナーは単身赴任なのでワンオペ育児になっていて、周りに親族がいないのでママ友にも頼りまくっている。私が夜遅く帰ってくるようなときには、子供はファミサポさんのお宅でご飯を食べさせてもらうなど、いろんな人に育ててもらっている感覚がある。誰かに頼ることで、自分もまた何か頼ってもらえるというwin×winの関係になっている。

 

最後にメッセージ

〇吉尾氏

 今、リーダーになりたいと思っていない方も、やってみたらすごく楽しいことがあるよと伝えたい。お仕事をされている方であれば、今のお仕事をなぜ始めたのか、この仕事をする中で、どうしていきたかったかを振り返ってみていただいて、それを実現するために、「私はこういうことをしてみたい」、「こういう立場になってそれを引っ張っていきたい」といった思いがもしあれば、周りが絶対助けてくれると思うので、チャンスがあれば、ぜひチャレンジしてみていただけたらと思う。

〇瀧口氏

 私はわりとネガティブに物事を考えてしまうタイプで、意識的にポジティブに考えるようにしている。「試練は乗り越えられる人にしか与えられない」という言葉が自分の中にずっとあり、飛行機のハンドリングをしていると天気で飛行機が遅れたりして、お客様に迷惑をかけてしまうことがある。そういう日に自分があたると、「自分はこの状況を乗り越えられるから、今の状況に置かれているんだ」とポジティブに捉えるようにしている。悩む時には、「できないな、やりたくないな」ではなくて、「どうやったらこれができるだろうか、なぜ自分にこういうことが起きているんだろうか、きっといいことに違いない」というような感じで考えてもらえたらと思う。

〇谷川氏

 今日お話をお聞きしながら思ったのは、人生にはいろいろな選択肢があり、選択の連続で答えはなく、何を選ぶかは自分で向き合って、自分で決めるしかないかなということ。世間的にはこうすべきなどもあるだろうが、できれば、「~ねばならない」ではなく、「~したい」という気持ちを優先して考えていく。頼る力を身につけることにも可能ならチャレンジする。その結果、自分が選んだ人生を、選ばなかった人生に対して、選んでよかったと思えるようにすることが大事かなと思った。本当の自分になることが、人生を生きていく上ですごく大切だと思う。心の満足が真の勝利。周りがどう思うかではない。子育てについても、正解は分からないが、一緒にいる時間のその長さではなく濃さかなと思っている。人それぞれ何がしたいのかは違うと思うが、仕事も子育てもその人が選んだものが正解かなと思っている。