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住宅瑕疵担保履行法の概要
新築住宅については、平成12年4月施行の「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づき、請負人等に対し構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分について10年間の瑕疵担保責任を負うことが義務付けられていましたが、平成17年11月に「構造計算書偽装問題」が発覚すると、請負人等が倒産した場合や請負人等の財務状況等によっては、瑕疵担保責任が履行されず、消費者保護としては不十分なことが明らかになりました。
そこで、平成19年5月に「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」(住宅瑕疵担保履行法)が制定され、新築住宅を引き渡す際には「保険への加入」又は「保証金の供託」が義務付けられる等、消費者の救済を図ることとなっています。
資力確保の仕組み
平成21年10月1日以降に、新築住宅を引き渡す際には、「住宅瑕疵担保責任保険への加入」又は「住宅瑕疵担保保証金の供託」が必要になります。
供託額の算定方法
基準日から過去10年間に遡り、引き渡した新築住宅の戸数(保険加入分を除く)に応じて次の算定式により計算した額の保証金を供託しなければなりません。
- 55平方メートル以下の小規模住宅は2戸をもって1戸と数えます。
- 共同請負の場合で、あらかじめ当事者間で負担割合を定めた書類を交付している場合は、その割合をかけた戸数で算定します。
【算定式】
供給戸数の合計 × 乗ずる金額 + 加える金額 = 供託金額
供給戸数の合計 |
乗ずる金額 |
加える金額 |
---|---|---|
1戸以下 | 2,000万円 | 0円 |
1超10戸以下 | 200万円 | 1,800万円 |
10超50戸以下 | 80万円 | 3,000万円 |
50超100戸以下 | 60万円 | 4,000万円 |
100超500戸以下 | 10万円 | 9,000万円 |
500超1000戸以下 | 8万円 | 1億円 |
1000超5000戸以下 | 4万円 | 1億4,000万円 |
5000超1万戸以下 | 2万円 | 2億4,000万円 |
1万超2万戸以下 | 1万9,000円 | 2億5,000万円 |
2万超3万戸以下 | 1万8,000円 | 2億7,000万円 |
3万超4万戸以下 | 1万7,000円 | 3億円 |
4万超5万戸以下 | 1万6,000円 | 3億4,000万円 |
5万超10万戸以下 | 1万5,000円 | 3億9,000万円 |
10万超20万戸以下 | 1万4,000円 | 4億9,000万円 |
20万超30万戸以下 | 1万3,000円 | 6億9,000万円 |
30万戸超 | 1万2,000円 | 9億9,000万円 |
対象となる事業者
所有者となる発注者又は買い主に、平成21年10月1日以降に新築住宅を引き渡す、請負人である建設業法の許可を受けた建設業者、売り主となる宅地建物取引業者には、資力確保措置の義務が課されます。
建築工事業、大工工事業の許可を受けた建設業者が新築住宅の建設工事を元請けとして請け負う場合が主な対象となりますが、それ以外の業種の許可を受けた建設業者であっても、分割発注等により、新築住宅の構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分を施行する場合も対象になります。
新たに必要となる手続
- 毎年基準日(3月31日)ごとに、資力確保措置の状況について、基準日から3週間以内に許可行政庁へ届出(履行法第4条、様式第1号)
- (基準日において資力確保措置が不十分なとき)
瑕疵担保保証金の不足額の供託についての確認の申請(履行法第5条但書、様式第2号)
※標準処理期間:3日 - (還付等により、供託金が基準額に不足することになったとき)
瑕疵担保保証金の不足額の供託についての届出(履行法第7条第2項、様式第4号) - (主たる事務所の移転により最寄りの供託所が変更になったとき)
瑕疵担保保証金の保管替え等についての届出(履行法第8条、第5号様式) - (基準日における保証金が基準額を超えたとき)
瑕疵担保保証金の取戻しについての承認の申請(履行法第9条第2項、様式第6号)
※標準処理期間:3日
発注者への説明等
- 請負契約を締結するまでに、供託を選択した場合は、発注者に対して、供託に関する書面を交付して説明(履行法第10条)
※請負契約書に記載することにより兼ねることができる
※令和3年9月30日から、電磁的方法による提供も可能となりました。 - 請負契約に際して、資力確保措置に関する書面を交付(建設業法第19条) ※請負契約書に記載することにより兼ねることができる
- 保険を選択した場合、保険法人が発行する証明書を発注者に交付(履行法第3条第2項)
監督処分等
資力確保措置やその状況に関する届出を行わない場合、基準日の翌日から50日を経過した日以降において、新たに新築住宅の請負契約を締結することが禁止されます。
また、住宅瑕疵担保履行法に違反した場合は、同法による罰則が科されるほか、建設業の適正な実施の確保の観点から、建設業法に基づき、監督処分も課されます。
岡山県の監督処分基準は、下記のページでご確認ください。
建設業法第40条の3帳簿に関する留意事項
住宅瑕疵担保履行法の施行に伴って、建設業法第40条の3に基づく帳簿については、記載事項と保存期間の取扱いが変更されています。
記載事項の追加
・床面積
・(共同請負の場合の)瑕疵担保割合
・(保険加入している場合の)保険法人の名称