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ボツリヌス症
ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)が産生するボツリヌス毒素、又はC. butyricum、C. baratiiなどが産生するボツリヌス毒素により発症する神経、筋の麻痺性疾患である。
ボツリヌス毒素又はそれらの毒素を産生する菌の芽胞が混入した食品の摂取などによって発症する。潜伏期は、毒素を摂取した場合(食餌性ボツリヌス症)には、5時間~3日間(通常12~24時間)とされる。
神経・筋接合部、自律神経節、神経節後の副交感神経末端からのアセチルコリン放出の阻害により、弛緩性麻痺を生じ、種々の症状(全身の違和感、複視、眼瞼下垂、嚥下困難、口渇、便秘、脱力感、筋力低下、呼吸困難など)が出現し、適切な治療を施さない重症患者では死亡する場合がある。
感染経路の違いにより、以下の4つの病型に分類される。
- 食餌性ボツリヌス症(ボツリヌス中毒)
食品中でボツリヌス菌が増殖して産生された毒素を経口的に摂取することによって発症 - 乳児ボツリヌス症
1歳以下の乳児が菌の芽胞を摂取することにより、腸管内で芽胞が発芽し、産生された毒素の作用によって発症 - 創傷ボツリヌス症
創傷部位で菌の芽胞が発芽し、産生された毒素により発症 - 成人腸管定着ボツリヌス症
ボツリヌス菌に汚染された食品を摂取した1歳以上のヒトの腸管に数ヶ月間菌が定着し毒素を産生し、乳児ボツリヌス症と類似の症状が長期にわたって持続
ボツリヌス症(国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト)
※ 各感染症情報については、厚生労働省のホームページより文章を引用しています。