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高尾宮ノ前<たかおみやのまえ>遺跡 津山市高尾

更新日:2023年3月14日更新

その4(令和5年3月14日更新)

 今年度の調査も大詰めを迎えて、高尾宮ノ前遺跡の様子がずいぶんと明らかとなってきました。

 特に夏から調査を進めていた室町時代の屋敷地は、良好な状態で確認できたことから、その全容を知ることができる貴重な成果となりました。屋敷地は南向きの尾根裾を平坦に造成して作られており、そこで見つかった掘立柱建物は溝によって区画されていました。その中央部分にあるのは総柱(そうばしら)建物で、主屋(おもや)を中心に両側に厨(くりや)などの副屋(そえのや)を配置したようです。建物の前面と考えられる南東側には空閑地がひろがり、庭や作業場としての利用が考えられます。

 存続時期は、備前焼の擂鉢(すりばち)や、中国製の染付(そめつけ)や白磁(はくじ)や青磁(せいじ)の椀・皿などの出土品から、15世紀中頃~16世紀末頃と考えられます。屋敷地を作るための造成により、これ以前の時代の遺構の残存状況はあまりよくありませんが、谷部からは縄文時代早期や後期、弥生時代中・後期、古墳時代後期、また鎌倉時代の遺物が出土します。元の地形は、傾斜の緩やかな幅の広い尾根上であり、長い期間人々が生活を営んでいたことが想像できます。。

 この遺跡の調査は、来年度も引き続き行う予定です。高尾宮ノ前遺跡の古い時代の様子が、さらに明らかになっていくことでしょう。

津山市高尾宮ノ前遺跡の空撮です。皿川沿いの丘陵上に屋敷地が見つかりました。高尾宮ノ前遺跡で見つかった屋敷地の写真です。多くの柱のあとが並んでいます。
​(左)調査地遠景(南西から) (右)屋敷地全景(南東から)  

その3(令和4年10月31日更新)

 7月から調査を行っている2区では、古墳時代の土坑墓(どこうぼ)1基や柱穴列(ちゅうけつれつ)3列、室町時代を中心とする時期の掘立柱建物(ほったてばしらたてもの)7棟とこれらの建物を囲む溝などが見つかっています。

 古墳時代の土坑墓の中からは、供えられた須恵器(すえき)の杯身(つきみ)・蓋(ふた)各2点が出土しました。出土遺物から6世紀末~7世紀初め頃のものと考えられます。柱穴列は、検出状況から建物となる可能性があります。

 掘立柱建物は、建物の外周のみに柱を立てる側柱建物(がわばしらたてもの)4棟、建物の内側にも床を支えるための柱を立てる総柱建物(そうばしらたてもの)3棟が見つかりました。これらの建物の柱穴(はしらあな)は深さ約50~70cmと深く、中には柱の一部や柱の下に敷いた礎板(そばん)が残っているものもあります。複数の建物が並ぶこと、これらが「コ」字形の溝によって区画されていることから屋敷地と考えられます。

 現在、2区をさらに拡張し、調査を進めています。今後の調査成果をどうぞ楽しみにお待ちください。

 
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土坑墓から見つかった須恵器

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柱穴と区画溝の検出作業風景

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柱穴の掘削作業の様子

その2(令和4年8月19日更新)

 6月まで調査を行っていた1区では、弥生時代中期と古墳時代後期の竪穴住居(たてあなじゅうきょ)4軒と段状遺構(だんじょういこう)2面などが見つかり、これらの時期に集落が営まれていたことが分かりました。

 このうち、比較的傾斜の緩やかな斜面上方で検出した弥生時代中期の竪穴住居には、少し位置をずらして古墳時代後期の住居が重なって見つかりました。このほかにも重複した住居が見つかっており、同じ場所で建て替えを繰り返していた様子がうかがえます。また、この古墳時代後期の住居に伴う溝からは、須恵器の杯身(つきみ)1点、杯蓋(つきふた)2点とともに鉄鏃(てつぞく)が出土しています。
 このほかに、中・近世の土坑や溝などとともに江戸時代以降に使用された道も確認されており、この地点での人々の生活の様子を明らかにする調査成果が得られました。

 現在は北東側の2区の調査に着手しており、溝で区画された内側で柱穴を多数検出しています。中世の掘立柱建物(ほったてばしらたてもの)が数棟か建てられていたようです。今後の調査成果にぜひご期待ください。

fig1
重複する弥生時代と古墳時代の竪穴住居

fig2
竪穴住居から見つかった須恵器と鉄鏃

fig3
近世以降の生活道

fig4
2区で検出した溝と多数の柱穴

その1(令和4年5月25日更新)

 一般国道53号(津山南道路)改築工事に伴う調査は、今年で6年目に入りました。この4月からは、高尾宮ノ前遺跡の発掘調査を行っています。
 遺跡は、嵯峨山(さがやま)南東端の丘陵上、皿川を眼下に望む南向きの斜面に位置しています。これまでの調査で、古墳時代後期の段状(だんじょう)遺構の他、土坑(どこう)や柱穴列(ちゅうけつれつ)などを検出しています。これらの遺構は、調査区上部の傾斜が比較的緩やかな場所で見つかりました。
 今後の調査にご期待ください。

ただいま発掘中_R53_1区
上空からみた調査区(東から)

ただいま発掘中_R53_段状遺構
段状遺構の調査状況(北西から)

ただいま発掘中_R53_柱穴列
柱穴列の調査状況(南から)