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中津<なかつ>遺跡 倉敷市玉島黒崎
その3(令和6年11月18日更新)
6月に開始した発掘調査は10月末に終了しました。5か月間の調査では、梅雨時の調査区浸水やその後の猛暑など、自然環境との調整が不可欠であることを再認識しました。
今回は、調査区南東側で検出した縄文時代の貝層について紹介します。貝層のうち、特に貝が密に堆積する範囲は東西約6m、南北約4mで、最も厚い部分の堆積は約20cmを測ります。貝層やその周辺からは、ハイガイを主体にアカニシやオキシジミなどの貝類や獣骨、縄文時代後期~晩期の土器、石鏃(せきぞく)・石斧(せきふ)・石匙(いしさじ)・石錘(せきすい)などの石器が出土しました。また、貝が密に堆積する範囲については、掘り上げた貝や土を今後の整理時に洗浄し、微細な資料を見つける予定です。それらの微細資料を分析することで、当時の自然環境や食環境、生業活動などが復元できる可能性があります。
10月16日(水曜日)には、地元地区を対象とした現地説明会を開催し、34名の方々に参加いただきました。参加者の皆さんは、貝層調査中の様子や出土品を興味深く見学されていました。
現地説明会資料はこちら(現地説明会資料ページへリンクします)から御覧いただけます。
貝層の作業風景
現地説明会の様子(西から)
その2(令和6年9月13日更新)
調査開始から3か月が経ちました。まだまだ暑い日が続きますが、寒冷紗(かんれいしゃ)を立てて日差しを遮りながら調査を進めています。
これまでの調査で、北側の斜面下方では完形の土師器椀を含む土器が数点出土した溝や鉄滓(てっさい)を含んだ土坑、掘立柱建物などの中世の遺構を検出しました。これらの成果から海浜部における中世集落の様相の一端が明らかになりました。
南側の斜面上方では、ハイガイを主体とする貝層を検出しました。その周辺からは縄文土器や石製品なども出土しています。
現在は貝層と調査区の西側の調査を進めており、貝層の掘り下げと集落の広がりを調査していきます。
鉄滓が出土した土坑(南から)
貝層の調査状況(北から)
作業風景(北西から)
その1(令和6年7月17日更新)
6月から水島港唐船線改築工事に伴い、倉敷市玉島黒崎にある中津遺跡の発掘調査を行っています。調査地点は、確認調査の成果から、中世の集落遺跡を想定していますが、南側には縄文時代草創期から晩期の土器や石器が出土する中津貝塚が接しており、周辺では縄文時代から人々の活動のあったことが分かっています。
調査地点は南から北へ向かって下がる緩斜面に位置し、現在低位部で中世の溝や土坑を検出しています。今後はこれらの遺構の広がりを確認していく予定です。
発掘調査は10月まで続きますので、今後の成果にご期待ください。
調査風景(北西から)
調査風景(南から)