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園井土井<そのいどい>遺跡 笠岡市園井
その2(令和7年6月27日更新)
5月末で園井土井遺跡の発掘調査を終了しました。昨年度と同じく、地面からの湧水などに悩まされた2か月間でしたが、無事に調査を終えることができました。
調査した範囲では、主に鎌倉・室町時代から江戸時代中頃の人々の暮らしの様子が明らかとなりました。鎌倉~室町時代(約700年前)の遺構としては、幅2m以上の堀と考えられる遺構が見つかっており、過去に調査された館跡の北端を画する堀の可能性が考えられます。
江戸時代中頃(約300年前)の遺構としては、長さ25m以上の溝や土坑が見つかっています。溝の幅は150cm以上、深さ約80cmで、こぶし大の石を非常に多く含む土で埋められていたことから、暗渠<あんきょ>排水のための溝と考えられます。この溝からは、多量の陶磁器類や備前焼、瓦、焙烙<ほうろく>などが出土しました。
5月15日(木曜日)と16日(金曜日)には地元の方向けに現地説明会を実施し、18名の方にご参加をいただきました。地面に埋もれていた地元の風景の歴史に、多くの方に関心を持たれていたようです。
現地説明会資料はこちらのページからご覧いただけます。
鎌倉~室町時代の堀と考えられる遺構(写真手前側)
暗渠排水と考えられる溝(写真左側の溝)
現地説明会の様子
その1(令和7年5月2日更新)
4月から、県道園井里庄線地方道路改築に伴い、笠岡市園井にある園井土井遺跡の発掘調査を開始しました。今回の調査では、昨年度の調査区より南へ約100メートル、諏訪神社の南側を調査しています。この場所は1984~85年度に山陽自動車道の建設の際に、当センターが発掘調査を行った場所と隣接しています。過去の調査では、鎌倉から室町時代ごろの礎石建物を含む17棟の建物跡や長さ30m以上の柵を伴う堀跡などが見つかり、一辺が約60m四方の館跡と考えられています。今年の調査区は館跡の北東部分に当たります。
今年の調査で新たに何が見つかるのか、ぜひ、今後の調査にご期待ください。
作業風景(北から)
作業風景(南西から)