カキへい死対策に係る専決処分について
本日は、カキへい死対策に係る専決処分について、お話をさせていただきます。
瀬戸内海を中心にカキの大量へい死が発生し、本県においても、大変な状況になっております。
こうしたことを受けて、12月11日に、国が漁業者等への支援に係る政策パッケージを示したところであり、今回、国の政策パッケージに呼応した、県独自の支援策につきまして、本日、補正予算を専決処分いたしましたので、その概要をご説明いたします。
お手元配付の資料をご覧ください。
このたび、へい死被害を受けた漁業者を支援するため、融資枠7億2千万円とする新たな利子補給制度を創設いたします。専決処分の内容は、この制度に必要な債務負担行為1件、また、へい死の原因究明などに要する予算457万円などとなっております。
利子補給制度の内容としましては、融資限度額は600万円、利子補給率は2%以内、利子補給期間は最大3年とし、令和7年12月1日から令和8年4月30日までに借り入れた資金を対象としております。
次に、へい死原因の究明と調査体制の強化でありますが、水産研究所において、塩分等の漁場環境とへい死との関係を明らかにする実証試験、調査地点の拡大などモニタリング精度の向上、これまで蓄積した漁場環境等の情報のデータベース化を行います。こうした取組を進めることで、へい死の原因を究明するとともに、今後のへい死リスク低減につなげてまいります。
県としましては、県独自の支援のほか、国の政策パッケージの活用や、関係県・関係市等とも幅広く連携し、カキ養殖業の経営安定に向け、取り組んでまいりたいと存じます。
私からは、以上でございます。
質疑応答
記者)
今回のかきへい死対策に関わる専決処分なのですけれども、先日(19日)まで開かれていた11月定例岡山県議会とのことも考えると、このタイミングで専決処分をされたという、その狙いを伺えますでしょうか。
知事)
もうできるだけ早く(支援を)したかったわけでありますけれども、この11月議会にはギリギリ間に合わなかったということでこのタイミングになりました。
記者)
国の政策パッケージも今示されておりますけれども、国の政策パッケージと、この県独自対策との関係、相乗効果というのを伺えますでしょうか。
知事)
国の政策パッケージが示されたということで、大変ありがたく思っております。国のパッケージの考え方とすれば、損失に対して補填をするということになります。これ非常に、考え方として、正道というか、まっとうな考えなのですけども、ただ一点難があるとするならば、どれぐらいの損が出たかということを確定させようと思ったら、このシーズンが終わらないと確定しないのですよね。今はまだ途中経過で、いや、このままいったら結構な損が出そうだぞということはわかるのですけれども、申請にあたっては、大体これぐらい損が出そうだから、これぐらい払ってくださいというのは、これ(漁業者に)払うものが税金ですので、そしたら300万円ぐらいにしますかとか、350万円でいきますか、みたいな、そんなものではないものですから。きちんと売り上げがどうだったか、コストがどれだけあったか、で、収支がこうなっているので、その損失に対して何割補填をしますということが確定するまでに資金が回らなくなったら、それは会社で言うと倒産状態になりますので、我々はその資金繰りの支援をいたしますと。その資金繰りの支援とともに、大変な状況でしょうから、利子について、普通、私は元々商売人ですから、お金借りたら利息を払うのは当たり前なのですけれども、そこについても、この皆さんが大変この心配をされているので、利子補給もいたしますという、そういうのが県の支援と、あともう一つは、国も(大量へい死の)原因究明をしているのですけれども、広島県が(大量へい死の原因究明を)しているのも知っているのですけれども、それぞれの漁場で微妙に状況が違いますので、岡山県は岡山県で独自にこの原因究明をしている。当然情報交換をするわけなのですけれども。モニタリング(調査)の場所を増やすですとか、(漁場環境測定用の)機器を購入する、そういった予算も今回専決処分で決めています。
記者)
あらためて、原因究明のお話もされましたけれども、これは天候によって、気候によって、こういうことが起きたとしたら、今後も大規模な気候変動等で、同じことが繰り返されかねないというそういう懸念をベースにしているということになるのでしょうか。
知事)
我々これまでもずっといろいろな、例えば水温ですとか、クロロフィル、つまり餌の量についての特定の場所でモニタリングを続けてきました。それは約30年間の(データの)蓄積をしてきたわけでありますけれども、これまでもいろいろな(漁場環境の)変動があったわけですけれども、この30年間、ここまでの被(大量へい死の)害は出ていないということで、我々大変な危機感を持って今原因究明に当たっているわけです。究明すること自体大事なのですけれども、それが今のシーズンに間に合うかもしれませんし、少なくとも、必ず次からのシーズンの対策を立てる場合のベースになりますので、我々として非常に関心が高いわけです。海水温が高かったこと、これはもう間違いありません。ただ同じぐらい高かった年もあったわけで、そのときはそこまで(大量へい死の)被害はなかったわけで、あと塩分濃度が高かったということが効いた可能性も十分あります。ここでも申し上げたかもしれませんけれども、広島県は酸素濃度が低かったと。これも(大量へい死の)原因の可能性があるというふうに公表されていますけれども、岡山県のそれぞれの漁場では、酸素濃度が低かったというデータはないものですから、我々の場合は原因を少し絞り込める状態になっているのかなと思っています。まだ今調査中ですけれども、そういったことがわかると、例えば漁場(養殖筏の設置場所)を少しずらすことがいいのではないかとか、次の対策の一つの可能性が見えてくるのではないかと思います。
記者)
カキの養殖は海の町の基幹産業ということから、国を始め地元自治体も支援を相次いで表明していますが、今回広域行政の県として、利子補給と本格的な原因究明に乗り出す、この方針に込めた知事の思いをあらためて伺えないでしょうか。
知事)
それぞれの分野で、それぞれの地域で皆さん頑張られているわけでありまして、ただ、カキというものが、ずいぶんそのカキを作っている地域にとって大事な存在なのだなということを、今回あらためて我々も認識をしたところです。実際、カキが少ないということで生産者にとって打撃であるだけではなくて、カキを起点とした裾野産業ですかね、先日、日生に行ってカキオコを長﨑(備前)市長と一緒に食べさせて(いただいて)、すごく美味しかったのですよ。そんなカキが獲れる、で、皆さん(観光客等)が来られる。カキだけではなくて、そこ(備前市)の五味の市にもいろいろな魚がありましたけれども、(カキと)一緒に買って帰られる、カキオコを中心にいろいろ美味しいものを食べて帰られる、観光もして帰られる、ということで、やっぱりカキを中心にいろいろなことが回っていっているのだな。まあシーズンにもよると思うのですけれども、ということで、それぞれの地域の、岡山でいろいろな美味しいものがありますけれども、この冬の海岸沿いの岡山のグルメということでは、もう本当にね何というか、(カキは)売り物の一つです。カキをそのまま食べるだけでも、それも美味しいのですけれども、だけじゃなくて岡山の場合、お好み焼きとセットにして、カキオコという名物を作り上げたという点でも素晴らしいことだと思います。あのとき(21日)、カキオコをずっと広めてきてくれた、今でも広める会の会長を続けてくださっている、県庁OBの(日生カキオコまちづくりの会)江端(会長)さんも一緒にいらっしゃいましたけれども、そういう、この美味しいカキを作ってきた、しかもそのカキを使って名物を作って広めてきた皆さんの努力も、そうだよな、長くかかってここまで来たのだよなということを、美味しくカキオコを食べながら思い起こしていたところです。そういった皆さん、今回、カキが少なくてご苦労されていますけど、でも冷凍しておいたものを使っているのだとか、7割駄目になっても3割はあるのだと、いろいろなことでそれぞれ回っているそうですので、ぜひ、(カキを食べに)お越しいただければなということもPRしたところであって、ぜひ頑張ってもらいたいと思います。
記者)
今回の支援策というのは、地域産業を守るということから事業化をなされたということなのですかね。
知事)
はい、すいません、私、長々喋りましたけど、一言でまとめるとそっちの方が適切です。
記者)
産地を回られる中で、風評被害の払拭が大きな課題となっていますが、あらためて風評被害の払拭については、どう取り組まれていかれますか。
知事)
実際に(大量へい死で)7割とか8割(カキの)収穫が減った、元々へい死というのは、例年2割、3割あるので、そこと比べると実際7割、8割減ったというよりも、半分になった、6割減とかということに計算上なるのかもしれませんけれども、ずいぶん減ったのは事実なのです。減ったのは事実なのですけれども、ちゃんと(カキは)あるので、少し量は減りましたけど、ちゃんとあるので、美味しいので、ぜひ、カキ好きの方は例年どおり訪れていただきたいですし、まだまだカキあるのですよということがPRしきれてない可能性が高いので、いやちょっとこれ大変だな、何とか自分でもできることないのかなというふうに思われている方がいらっしゃったら、ちょっと問い合わせてからがいいかもしれませんけれども、現地に行ってカキを買う、もしくはカキを食べる、カキオコを食べるというのが、もうそれぞれの地域の皆さんにとっても一番ありがたい応援になりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
記者)
今回専決処分という形でカキの対策、支援について打ち出しましたが、まだまだ原因というか被害の実態までは見えてこない部分はあると思います。その中で、今後県として、引き続きどのような支援だとか、こういった原因究明だとかに取り組むかなど、今後について何か姿勢などあればお願いします。
知事)
今日、県独自の対策パッケージを表明したばかりですので、今の時点で、これというのがあったら多分盛り込んでいるのですよね。これから様子を見てみたいということなのですけれども、この数週間、急に状況が悪くなったぞという話を聞くこともあれば、先日、日生に行きましたら、いやこの数日(カキの)身入りが良くなってきているのだという話も聞いています。元々一番最初に、あまり広島と違って岡山で影響ないようだということを(11月19日に)この記者会見で申し上げたときに聞いていたことと重複するのですけれども、カキが大きくなろうと思ったら、その周辺のプランクトンが餌になって取り込んでいきます。これブドウとちょっと似ているようなところがあるのだそうで、ブドウの房があって、良いブドウを出荷しようと思ったら、先にちょっと房の粒を減らすのだそうですね。で、この(粒の)減らし具合がもう名人技なのだそうですけど、いやもったいないからと言って全部残しておくと、一つ一つ(の粒)が大きくならなくて、なんか小さいブドウがいっぱいふわっとなる、で、減らすから太ると。それにちょっと近くて、カキも一応いっぱい吊るすのだけど、もし全部生き残ると、それぞれが小さくなってしまう(成長しない)のだそうです。プランクトンの量は大体決まっているので。例年2割、3割死んでしまうのだけれども、その分他(のカキ)がぷっくり膨らむということもあって、今、ずいぶん死んでしまっているので、生き残ったカキは結構大量にプランクトンを食べられる状態になっているので、そこの太り方は非常に急速なのだということですから、ここから先の、主に1年もの(のカキ)について、すごく身入りがよくなる可能性もある。これも場所によってずいぶん違うのですけれども、ということで、まだまだちょっとそれぞれの産地の皆さんと頻繁に連絡取り合ってということのだろうなということなのですけれども、どちらにしても全滅したという話は聞いていませんので、どこに行っても必ずカキはあるので、どうぞよろしくお願いします。
記者)
連携を取りながら、状況はやっぱり県としてはしっかりとこれから見ていきたいということでしょうか。
知事)
はい。あと市町村で独自の他の支援策を発表されているところがポロリポロリと出てきていると承知をしています。それぞれの生産者、関係者の皆さんからすると、国の支援パッケージというのがあって、県の主に資金繰り支援があって、市がどうするという、事実上の3本立てということになるのではないかと思います。
記者)
知事は今月頭(7日)には(現地視察で)漁協を見られて、そこで不安な声とかいろいろ直接多く聞いたのではないかなと思うのですけれども、今回の専決処分で、多分、漁業関係の方とかも待っていたのかなとは思うのですけど、そういう中で漁業者の方に、あらためて(専決)処分についてどういう思いを持ってもらいたいのか、どういうふうに感じて欲しいのか、またあらためて知事の思いを教えてください。
知事)
今回のカキの問題、皆さま方(報道機関)も多く大きく取り上げてくださいましたし、私自身もたくさんの方から、いやこれ心配だね、大変そうだね、かわいそうだよねというお話を聞いたところです。その県民の皆さんの声を受けての今回の専決処分ということになります。この支援というのは、私がする支援というのはもう全て原資が税金ですので、県民の皆さんがなんでここだけ応援するのということになると、なかなか我々動けないわけなのですけれども、多くの方の賛同を得た、これはちょっと不可抗力で大変な目に遭っているのだから、ぜひ応援して欲しいという県民の皆さんの声を受けての対応策ですので、ぜひ、それぞれの生産者の皆さん、頑張っていただきたいと思っています。
司会)
それでは以上をもちまして、知事臨時記者会見を終了します。
知事)
ありがとうございました。
今回の会見が今年最後になるかどうかは確定しないのですけれども、1年間大変お世話になりました。どうもありがとうございました。