今議会を終えて
では、私のほうから、まずコメントさせていただきます。
今議会では、追加提案いたしました補正予算等につきまして、議決をいただきますとともに、私の公約であります教育の再生や産業の振興を初め、医療・福祉といった諸課題について、幅広いご意見や貴重なご質問をいただくことができました。特に、本県の置かれております教育に関する厳しい現状に対する強い危機感に基づき、教育再生への熱い思いに満ちたご意見、ご提案をいただきましたところでございまして、教育の再生なくして岡山の発展なしといった強い思いを県議会の皆様と共有できたと考えております。
必ずや、教育県岡山の復活をなし遂げるという決意を新たにしたところでございまして、県教育委員会ともども、汗をかき、知恵の限りを尽くして、子供たちの未来、そして岡山の未来のために、全身全霊をかけて取り組んでまいります。
また、今議会が私にとりまして初陣とも言える県議会での質問戦でございました。議員の皆様からいただいた個別かつ具体的なご意見につきましては、今後の県政に反映し、県民の皆様が笑顔で暮らす「生き活き岡山」の実現に向けて、全力で一生懸命取り組んでまいります。
私からのコメントは、以上でございます。
皆様からの質問をお受けしたいと思います。
質疑応答
記者)
来週にも、自民党の安倍首相が誕生する見通しなのですが、安倍内閣に対する期待についての質問と、金融政策なのですが、安倍さんは2%の物価上昇目標による大胆な金融緩和で、デフレ脱却と景気の回復を目指す考えのようですけど、これは地方経済にも影響を与えることになります。一部で慎重論もありますが、安倍さんの金融政策に対するスタンスについて知事はどのように思われますか。
知事)
まず、1問ずつ。新政権に対する期待でございますが、その前には、3年続いた民主党政権で、国民の大きな期待を受けて発足した政権だったわけでありますが、外交、防衛ですとか産業政策について、何か慣れていない、政権運営をこれまでしたことがなかった面が出たのではないかと思っています。
安倍内閣、3年ぶりの自民党内閣、自民党はこれまでも長らく政権を担当、運営してきた政党でありますので、しっかりとした着実な政権運営、国家運営をお願いしたいと考えております。
特に、外交ですとか防衛ですとか、大きな産業政策など、地方自治体が全く手を出せない分野に関しては、しっかり頑張っていただきたいと期待をいたしております。
2番目の質問の安倍内閣の経済運営に関しましてですが、私自身、金融の専門家ではありませんので、個別の評価は差し控えさせていただきますけれども、是非、景気対策はしっかりやっていただきたいという思いと、ギリシャもそうでしたけれども、国家が抱える債務は、今、日本は非常に高いレベルにありますので、財政再建の取り組みと是非両立をしていただきたいという思いがございます。
記者)
まず、初めての議会を終えられての感想と、あと、議会に対して以前から持たれていたイメージと違った部分があればお願いしたいのですが。
知事)
私、11月12日に初登庁いたしまして、わずか1カ月で議会の論戦に臨むことになりました。
私自身は、県政に貢献をしたいという思いで、会社をやめてまで立候補し、当選をさせていただいたわけでありますが、正直言って、県のことについて十分勉強ができていない段階で県議会に臨むに当たりまして、私自身が県政の妨げになってはいけないという強い緊張感を持って臨ませていただきました。
幸い、議事が大混乱するといったようなことは起きなかったので、正直ほっといたしております。
ただ、議員の皆様もしくは傍聴されている皆様、テレビ等を通じて議会の様子をごらんになった皆様からすると、明らかに伊原木隆太はまだ知識・経験が足りてないなというところはおわかりになったと思います。これからしっかり勉強をして、皆様方としっかりした議論ができるように、できるだけ早くしたいと思っております。
記者)
副知事の選任について伺いたいのですが、どんな思いを込めて副知事に足羽さんを起用されたのかと。それから、副知事になられた後、どんなことに期待されるのか、お願いします。
知事)
私自身、県政の経験もしくは行政の経験がないにもかかわらず、私でも岡山県をよくすることができる、私だからこそよくできる部分もあると訴えて当選をさせていただきました。ただ、私の行政経験のなさがそれ自体プラスであるわけはないというのは最初から私自身も理解をいたしておりまして、それを補ってくれる、経験のある人を副知事として必要といたしておりました。
私、非常に嬉しかったことが、県庁の中に入って幹部の方と日々お仕事をさせていただいて、皆さんそれぞれ非常に優秀でかつ熱心だということが、私自身確認できましたので、優秀な人を選ぶということをもともと考えていたわけですけれども、それプラス、より幅広い経験がある、それから人望、人徳を感じる人という、当初思っていたよりも贅沢な条件で選ぶことができました。
足羽さんは、私が考えていた条件を満たす非常に立派な方だと私は判断いたしまして、自信を持って選ばせていただきました。
記者)
今まで、副知事はお二人任命をされたいというお話しでございましたが、もう一人について、今どのようなお考えをお持ちでしょうか。
知事)
一人目を選ぶことで手いっぱいでございまして、私自身は、私のもう一つ足りない点、霞ヶ関ですとか永田町に人脈が余りないというところも補ってまいりたいと思っておりますので、外部のそういった人脈をお持ちの方に助けていただければと思ってはいますけれども、これから考えていきたいと思います。
記者)
今日、条例の改正案が可決された政務活動費のことでお伺いします。知事は議会の最後で、議会改革を肯定されるようなご発言をされていましたけれども、会派の論戦にもなりました、一万円を超えるものの領収書しか添付しないという条件を設けているのは岡山県を含めてもわずかとなっており、こうした状況についてどのように受けとめていらっしゃいますか、お願いします。
知事)
まず、首長と議会は、お互い緊張感を持って牽制をしつつ協力して県政を推進していく、そういう立場でありますので、私が、議会でなされた議決について、これはよかった、あれは残念だったという立場にはないと思っております。私自身は、議会の皆さんが議論をして、これまでよりも前進をしたことに対して敬意を表した次第でございます。
記者)
新政権に関連したことで、TPPの交渉参加についての知事の今のお考えはいかがですか。
知事)
私自身、TPP、いい面、心配する面、両方あると思っておりまして、あともう一つ、TPPに関しては、これはもう国のレベルの話ですので、国会で十分議論をして、いい方針を、国会での議論とともに、これは政府の方針ですね、決めていただければと思います。ただ、是非、心配事があるわけですので、それに対してどういうふうに対応するのかはしっかり教えていただきたいと思っています。
記者)
初めての予算編成に臨まれているわけですけれども、費用対効果ということを発言されていて、このことについてどのようにお考えですか。
知事)
私自身、是非、県が皆様方の税金を使って行う事業については、しっかり費用対効果を考えていきたいと思っています。当然、費用対効果が全てではないことはもう大前提なのですけれども、同じことをするのであれば、いかに節約するか、同じお金を使うのであればもっとたくさんの人に喜んでいただく、もっといい意味で喜んでいただけるようにするか、これは私が一番大事に思っているところでございます。
ただ、私自身、このタイミングで就任をいたしまして、予算の骨格は実際できておりまして、私自身の思いが反映されるのはその中の一部になると理解をいたしております。
あと、私自身は、予算主義から決算主義をということを選挙中も申しておりまして、会社であれば、予算というのは目標を立ててこういうことをしよう、もしくはここまでの費用については使ってもいいですよということでありますので、予算を立ててから本当の仕事が始まるというのが民間企業の経営者の、もしくは民間企業に勤めている人の素直な実感であります。予算において、私の思いが十分反映できなかったにしても、これから1年間、しっかり執行の面で、皆様の期待に応えるような仕事をしたいと思っています。
記者)
2点ほどお伺いしたいのですが、まず1問ですが、県と岡山市が準備を進めているおかやまマラソンについて、昨日、高谷岡山市長が、総社市と協力して県をあげてのマラソン大会にして発信力のあるものにしていってもいいのではないかというようなご自身の考えを述べられたのですが、知事は、そのおかやまマラソンについて、今後の方針というか、どのようにお考えでしょうか。
知事)
特に、前回と変わっておりませんで、現在、検討中でございます。私どもが検討している期間、岡山市にはお待たせをいたしておりまして、ご心配をおかけいたしております。実際には、本当に全ての選択肢を今検討している状態でありますので、これから岡山市をはじめ、関係する皆様とよく話し合いをし、ご意見をお伺いしながら、検討して、最終的に判断をしたいと思っております。
記者)
もう一つですが、来年に向けていろいろと知事もお考えのこともたくさんあると思いますが、改めて、来年、岡山県をどのように変えていきたいかというのをひと言お願いします。
知事)
私自身、常に前向きの努力を自分自身でしていきたいと思っていますし、岡山県全体もそういうふうになればいいと思っています。一言で言えば、「生き活き岡山」ということなのですけれども、どこに住んでいても、どういう年齢、どういう仕事をしていても、今頑張って明日が楽しいんだという、そういう人たちでいっぱいの岡山県にしたいと思っています。
記者)
また、話が戻るのですけども、政務活動費の領収書添付についてですが、先ほど首長と議会という関係でコメントを避けられたと思うのですけれども、政務活動費も原資は県民の税金であって、知事はかねがね、県民ニーズを汲み取るであるとか、コスト意識を持たないといけないとか発言されていて、今回の議会の判断というものを県民の代表としてどういうふうに見られるのか、改めて伺います。
知事)
そこも含めて、議会の裁量の中だと思っています。当然、そこだけを見れば、そのほうが厳格にわかるという思いがあるわけですけれども、例えばどうなのでしょう、自分自身、今日起きたことを日記に残すというのは、10年後、すごくいいことだと思うのですけれども、それを毎時間、何日、12月21日の12時から13時まで何をした、13時から14時まで何をしたかということを日記にする、より詳しくわかります。ただ、それをもし1分ごとに記録しなさいということになると、多分、記録としては完璧なのですけれども、実用性がどうかとか、その物事のどこら辺が一番バランスがいいのかということもありますので、そういうことも含めて議会の判断だと思っています。
記者)
一万円を超えるものしか領収書を添付しないというのは理解できるという考え方ということですか。
知事)
はい。それは議会のお考えだと思っています。
記者)
先ほど予算編成の考えで、自分の思いを入れることができるのは一部だけだということをおっしゃったのですけれども、「教育、教育」とおっしゃっていますが、例えば、どこに重点配分するとか、具体的にこういう施策を考えているとか、もう少し具体的なことがあればお伺いしたいのですけれども。
知事)
実際、今、それを詰めている段階、詰めているというか、研究している段階ですので、今、ここで申し上げられるようなことはないのですけれども、ただ私自身、予算の関連の会議に出席をして、自分自身違和感を感じ、皆さんにお伝えしているのですけれども、何か予算が増えなければ改善ができないというような思い込みでいろんな発言をされているように、私は見えるのです。先ほどのお話もそうなのですが、教育の改革をするためには予算が増えているはずだということなのですけれども、私自身の経験からすると、例えば高校生のときに、ちょっと成績が悪いと、成績を伸ばさなければというときに、まず考えるのが参考書とかも新たに買わなければいけないからお小遣いを増やしてもらおうということでは、私自身なかったです。時間をどういうふうに使うかとか、勉強の仕方に改善のやり方があるのではないかということを考えるわけでありまして、我々としても、今のやり方をどういうふうに変えることで成果を出していくのか。その変え方によっては、この予算を増やさざるを得ないことも十分あるのですけれども、私は、いろんな会議の中で、まず予算ありきではなくて、まずどういうことを変えればこの授業が改善するのか、成績が改善するのか、もっと落ちついた授業ができるようになるのか。それを考えて、予算にどういう変化が出てくるのかという、そういう順番で考えてほしいと、何度かお伝えをいたしました。
記者)
政権交代がらみでお伺いしますが、出先機関の移管反対を自民党が掲げていましたが、広域連合を作ろうとしている地域にとっては梯子を外される格好にもなりかねませんけれども、この点について地域・他県との連携のお考えはどうでしょうか。
知事)
自由民主党の公約で、特定広域連合への国の出先機関の移管に反対するということが書いてあるわけでありますけれども、その公約は、復興と防災の項目の中で書かれておりまして、非常に防災を意識したものだと私は理解いたしております。
そのロジックは、それはそれで理解できるところもあるわけでありますが、今、中国地方が移管を求めている国の出先機関は経済産業局でございまして、それは災害とか危機管理とは特に関係ない部局ですので、これはきちんとお話をすればご理解いただけるのではないかと考えております。
記者)
考え方として問題ないだろうから、きちんと移管を求めていくというスタンスということでよろしいですか。
知事)
これは、移管を求める先は岡山県ではなく広域連合ですので、中国地方の他の県と連絡を取り合いながら、その方向で進めていきたいと考えております。
記者)
予算のことでお聞きしますが、予算編成の過程のなかで、なるべく費用対効果を明示するようにということをおっしゃられているそうなんですけども、教育とか福祉とかなかなか費用対効果を数字では明示しづらいところもあると思いますが、そういうところも考えを徹底していくということでしょうか。
知事)
明示する、別に数字に出すよう求めているわけではないのですけれども、おっしゃるとおり、何か線を引くという形で費用対効果を使うことではなくても、これまでやってきたよりも費用対効果を上げていく、これまで100人しか救えなかったのを110人救えたら、私はそれのほうが必ずいいことだと思っていますし、その考え方、使い方には気をつけなければいけませんけれども、非常に大事な考え方だと思っています。
記者)
教育の建て直しの関係でお伺いするのですが、吉備中央町のおかやま希望学園のことなのですが、一度閉校の危機がありまして、前の石井知事が支援を表明されたことで難を逃れたという経緯があります。伊原木知事はこちらの不登校の受け皿となっているこの学園をどういった思いで支援していくのか、支援のあり方について伺いたいのですが。
知事)
これは、一つ一つの学校というよりは、まず私立学校の支援のルール、考え方が、まずありまして、それに沿っての支援というのが大前提なわけでありますけれども、ただそのルールの決め方が希望学園にとっては不利なことがありましたので、最初の4月時点での人数ということになると、希望学園は少しずつこれから増えていくわけですから、そういう希望学園のことを考えてみると、確かにこれはちょっと不利だな、厳しいなということについて配慮をするですとか、あと、実際、今不登校の問題が岡山にとって非常に大きな問題であって、そういうときにその受け皿があるというのは本来すばらしいことなわけです。その受け皿がきちんと認識をされていなかったことで、十分生徒を確保できなかったというのは、これは残念なことですから、今回、教育委員会が希望学園さんと連携をして、不登校で悩まれている場合は、こういう可能性も、こういう解決策の可能性もあるのですよということをお伝えできるのは、皆さんにとって非常にいいことだと思っています。
記者)
順番に、2点伺いたいと思います。マラソンに関してですが、先日、片岡市長が来られた時に、今後のスケジュールについて年末年始までに来年度予算をつくる予定もあるという発言もありましたけど、いつ頃までにマラソンの結論を出したいと考えていらっしゃいますか。
知事)
このマラソンにつきましては、予算に反映させなければいけませんので、マラソンをするのであればそのための準備、経費を計上しなければいけませんし、中止するのであれば計上しないことになりますので、その予算を確定するまでには決めなければいけないと考えております。
実際には、年を越えたあたりになると思っています。それも、日にちを決めているわけではございません。
記者)
もう一点、国政の話ですが、知事は特に教育に力を入れることを示していらっしゃいますけども、今後、教育の制度に対してどういった点の改正を求めていかれるのか。
知事)
私、県議会でも答弁いたしましたとおり、制度改正ありきで臨んでいるわけではありません。先ほどの予算増ありきで臨んでいるわけではないのと同じく、とにかく今のルールの中、今の予算、ちょっと増えることはあるかもしれませんけれども、そこの中で改善できることはまだまだあるのではないかということで、いろいろ試してみたいと思っています。
もし予算が足りないからだということであれば、予算をどうやりくりしてでも増やしますし、いやもう予算の問題ではないのだと、これはそもそもルールというか、仕組みがものすごく大きな障害になっているということが明らかになってくれば、そのルールを、仕組みを変えるための努力を本気で始めなければいけないと思っていますけれども、ルールを変えることで何か自動的に教育がよくなっていくとは、現在、思っておりません。
ただ、つけ加えさせていただきますと、現在、私が一番問題だと思っているのは中学校です。中学校をよくするために、小学校の高学年も視野に入れなければいけないと思っています。県と県の教育委員会が持っている権限は、ほぼ高校に集中をいたしておりまして、中学のことに関しては市町村長と市町村の教育委員会が持っております。私とすれば、甚だ間接的な権限しか持っていないのはこれはもう事実でありますので、そういった方々と協力して岡山県の教育を立て直していきたいと思っています。
記者)
教育委員会と知事部局のあり方について、今後の改善を求めると、そういう考えは。
知事)
現時点では、とにかくよく話し合う、考えをすり合わせる、それが第一だと思っています。
司会)
よろしいですか。
それでは、以上をもちまして知事定例記者会見を終了いたします。