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2013年2月15日知事記者会見

印刷ページ表示 ページ番号:0309112 2013年2月15日更新公聴広報課
会見写真

平成25年度当初予算概要について

 25年度当初予算につきまして、最終的な当初予算案として取りまとめましたので、その概要をご説明いたします。
 まず、お手元資料1をご覧ください。
 要求段階からの変動についてご説明します。一般会計の計をご覧いただき、予算額は約6,562億円となり、要求段階から約11億円の増となりましたが、括弧の中の一般財源ベースでは1億円余りの減となっております。要因といたしましては、下記の理由別をご覧いただきますと、私の査定によるもので約1億円の増額、国に準じた退職手当の引き下げ等で約13億円の減額、国の平成25年度当初予算関連で約9億円の増額、平成24年度補正予算関連で約14億円の増額となっております。
 2枚目には、先般の予算総括協議会等での議論も踏まえた私の査定結果をお示ししております。
 特別職職員費について、副知事を1名増員するとともに、私をはじめ、特別職について、平成25年4月以降も引き続き現行の率で給与の減額措置の継続をすることといたしましたほか、各種事業について、事業の追加、拡充等を実施しております。
 続きまして、お手元資料2「当初予算のあらまし」をご覧ください。まず、1ページですが、先ほど申し上げたとおり、平成25年度当初予算の規模は、一般会計で対前年度比1.2%、約75億円増の6,562億円となりました。
 次に7ページ、右下をご覧ください。先日、お示しした要求ベースの収支見込みでは73億円のマイナスとなりましたが、最終的な財源不足額は72億円となりました。これについては、財政調整基金の通常分の取崩し及び特定目的基金からの借入れにより対応いたしますが、これまで積み立ててきた財政調整基金の通常分を全額用いるなど、大変厳しい状況になったものと認識しております。
 続きまして、8ページには、今後の収支見通しとして、向こう10年間の粗い長期試算をお示ししております。今回の収支見通しは、前回に比べ、全体的に20から30億円程度下振れしております。この要因としましては、平成25年度については、地方財政対策により、地方交付税が減額されたことなどによるものであり、平成26年度以降については、9ページの前提条件等に記載しておりますが、より慎重な財政運営を図るという観点から、名目経済成長率を国の示した成長率の2分の1に設定したことに加え、歳出について、「倉敷地域等新設特別支援学校」(仮称)の運営経費等を新たに反映させたことなどによるものでございます。
 なお、今回の収支見通しには反映していない「収支変動要因」として、消費税・地方消費税引き上げに伴う影響や県庁舎耐震改修工事などがあり、これらについても留意する必要があると考えております。
 次に、10ページ以降には各種財政指標をお示ししております。まず、県債残高については、臨時財政対策債の発行が高水準で続くことを前提としているため、県債全体では増加傾向となっておりますが、これを除くと減少を続ける見込みとなっております。11ページに移りまして、実質公債費比率についても、民間資金での県債の発行に国との協議が不要となる基準16%を下回って安定的に推移する見込みとなっております。13ページには、社会保障関係費の将来推計をお示ししていますが、今後も年20から30億円程度の伸びが見込まれており、財政を圧迫する要因となっております。14ページには、参考として、国の「慎重シナリオ」を用いた場合の試算や名目経済成長率を0%とした試算をお示ししております。
 次に、15ページをご覧ください。平成25年度は、重点的に取り組む施策として、「教育県岡山の復活」、「岡山の強みを生かした産業の振興・雇用創出」など、5つの分野を設定し、関連する施策に重点的に予算配分したところであります。
 16ページ以降については、平成25年度予算の主な施策を記載しております。時間の都合上、私の査定など要求段階から追加・変更となったものを中心にいくつか紹介したいと思います。
 最初に、「教育県岡山の復活」であります。まず、「問題行動等への対応」についてでありますが、不登校や問題行動等の改善を図るために、スクールソーシャルワーカーを現行の6人から13人へ、7人増員する要求に対して、私の査定でさらに12人増員し、25人にしたいと考えております。
次の警察官OBによる非行防止教室を開催する「少年非行防止・健全育成強化事業」についても、警察官OBを専門員として新たに3人雇用する要求に対し、さらに3人増員し、6人とすることといたしました。
 次に、19ページをご覧ください。「岡山の強みを生かした産業の振興・雇用の創出」でありますが、「東アジア総合プロモーション、瀬戸内ブランド広域観光推進事業」のうち、3つ目の「瀬戸内観光ブランド推進事業」については、沿岸各県と連携した旅行商品の開発や、モニターツアーの実施を行うものであり、私の査定により盛り込んだ事業であります。
 次に、20ページの「企業誘致補助制度の拡充」をご覧ください。企業の立地インセンティブについて、今回、県北県営団地への立地に対する補助率を市町村と連携し、最大20%拡充するとともに、新たに食料品製造業を大規模工場等立地促進補助金の対象に位置づけることといたしました。
 次に、22ページをお願いします。「県民が実感できる安全・安心の創造」ですが、右側の一番上の働くお父さん・お母さん応援事業であります。病児・病後児保育については、国庫補助制度もありますが、看護師の常時配置など要件が厳しく、事業が活用されていないことから、全国に先駆けて要件を緩和した県単独の補助制度を設けたものでございます。
 また、23ページをご覧いただき、「県立学校施設の耐震化」でございますが、平成24年度に前倒しを行うなど、平成27年度末までの完了を目指し、引き続き、県立学校の耐震化を進めてまいります。右側をご覧ください。「110番通報支援カメラ整備事業」であります。犯人の迅速な検挙や犯罪抑止効果による体感治安の向上のため、事件・事故が多発する交差点等に全方位カメラを設置し、110番通報時に、映像を通信指令に伝送するシステムを新たに構築する事業を追加しました。
 次に、24ページをご覧ください。「中山間地域等活力創出支援事業」を引き続き実施し、ソフト・ハード両面から中山間地域等の活性化に総合的に取り組みます。
 また、25ページをご覧いただき、「元気な岡山の情報発信」でございますが、美作国建国1300年記念事業につきましては、「NARUTO列車」の運行や右下の欄に記載しております特別展など、多彩な記念事業を実施して、県全体で美作地域を盛り上げてまいりたいと存じます。
 最後に、27ページをご覧ください。「効率的行政運営や県民との協働の推進」でございます。
「土木施設アセットマネジメント推進事業」をはじめ、コスト意識に基づいた行政運営に資する施策や、NPOや企業、ボランティアとの協働を進めるための施策を実施します。
 次に、28ページをおめくりください。経済・雇用対策であります。
 まず、平成24年度2月補正予算についてご説明いたします。このたび、「日本経済再生に向けた緊急経済対策」に沿って編成された国の補正予算に呼応し、本県においても必要な対策を取りまとめたところでございます。まず、国の補正予算に対応するものとして橋梁・トンネルの補修など事前防災・減災対策等の公共事業等を約117億円、緊急雇用創出事業臨時特例基金など、経済対策交付金の基金への積立てなど約51億円を計上しております。また、県独自に実施するものとして、県立学校耐震化事業32億円や地域活性化・安全安心事業約14億円などを計上しており、総額で233億円の補正予算を編成いたしました。
 29ページをご覧いただき、平成25年度当初予算においても、補正予算で積み増した基金を活用した事業など、800億円弱の経済・雇用対策を実施することとしており、国の15カ月予算に対応する本県としての経済・雇用対策等は、総額で1,000億円を超える規模となっております。
 平成25年度当初予算案及び平成24年度補正予算案の概要は以上でありますが、昨年11月に知事に就任し、すぐに予算編成作業に入りました。時期的に既存の事業などについて大きな変更ができるタイミングではありませんでしたが、それでも、教育再生や産業振興をはじめとした県の重要課題について、職員と議論を交わし、県議会のご意見も伺いながら、私の考える県政に向けたスタートとなる予算を編成したところであります。新年度は、この予算に掲げられた施策を着実に進めながら、執行段階においても、お金をかけずとも効果が上がるよう工夫を凝らしてまいりたいと思います。
 また、参考までに平成25年度予算にあえて名前をつけるとすれば、『「生き活き岡山」発進予算』ということにしたいと思います。

夢づくりプランについて

 予算についてのご説明は以上でございますが、私はこのたびの予算編成作業を通じまして、より一層、県政の現状や課題の把握を進めることができたと思います。
 また、私の目指す「生き活き岡山」を実現するためには、県民の皆様に、私の思いや県政の方針をわかりやすくお示しし、県民の皆様とともに手を携えて取り組むことが何よりも重要でございます。
 こうしたことから、来年度には、県政推進の羅針盤である夢づくりプランの見直しに着手したいと存じます。
 この見直しに当たりましては、以前から申し上げておりますように、行政には継続性が必要であると承知しておりますし、また、現在の夢づくりプランは、県民の皆様から幅広くご意見をお伺いして策定されたものであることを十分に踏まえるべきでありますので、現プランの大枠は維持した上で、県政運営に当たっての私の思いや、今年度の事業成果などを反映させていく方向で検討を進めたいと考えております。
 そして、平成26年度予算に盛り込む施策や事業は、見直し後のプランに基づいたものにしたいと考えております。

玉島ハーバーアイランドへの企業誘致促進策について

 玉島ハーバーアイランドへの企業誘致推進策についてでありますが、先ほど、当初予算の概要の中で、「企業誘致補助制度の拡充」についてご説明いたしましたが、その他の取組を補足させていただきます。
 玉島ハーバーアイランドにつきましては、現在分譲している区画は、5ヘクタール以上の大規模分譲を目指してきたところでありますが、県南部の公的な工業団地が限られている中、本県に問い合わせのある企業のうち、多くは3ヘクタール未満での立地を希望していることから、一部エリアについては、業種を問わず、今後、1区画2ヘクタール以上で分譲してまいります。
 これによりまして、本県産業の発展を担う優良企業のさらなる誘致を積極的に進めてまいりたいと考えております。
 私のほうからは以上でございます。

質疑応答

記者)
 石井前知事が手がけた前年度予算と比べて、大きな差は出ないと思いますが、あえてここの違いについて注目してもらいたいという点がございましたらお示ししください。

知事)
 おっしゃられるとおり、私の就任のタイミングは大きな変更ができるようなタイミングではございませんでした。あえて私の思いが反映されたところを申し上げますと、まず「教育の再生」でございます。スクールソーシャルワーカーの要求からのさらに大幅な増員、それから警察官OBを活用した少年非行防止教室、もともと3人の要求であったものを6人にして、よりきめ細やかにできるようにいたしました。私とすれば、是非、この学校の「荒れ」にまず対応をして、きちんとした授業が当たり前のように受けられるようにしたいと思っております。
 あと、産業振興につきましては、企業誘致をするに当たって、阻害をしている要因を取り除きたい。あと、引っ張る力を他県並みにしたいという思いがございました。この阻害をしている要因につきましては、予算と関係ないことも多くありましたので、今回の予算には反映されておりませんが、この引っ張る力におきましては、先ほど申し上げましたように補助制度を拡充することにいたしております。特に、県北の公的な団地について補助率を大幅に市町村との連携によって拡充することにいたしております。
 そのほか、体感治安の向上ということで、先ほど申し上げましたとおり110番に呼応したカメラの新設でございます。とにかく岡山県、安心して暮らせて、きちんとした教育が受けられて、産業が盛り上がって雇用が増える、そのような岡山にしたいと、私の限られた時間と予算の中で重点をつくったつもりでございます。

記者)
 前年度、あるいはそれ以前との比較で、例えば前年度は夢づくりプラン関係ということで1,000億円を超えるオーダーのものが重点分野として提示されていたり、あるいは知事査定の額に関しても今年度よりボリュームが大きかったと思いますが、今回の予算を見る限り、知事の思いが反映できたボリュームが相当小さかったのではないかという印象を受けます。そのあたり知事の思いがどこまで反映できたのかお伺いします。

知事)
 おっしゃられるとおりでございます。私自身、選挙を戦っているときに県庁のホームページ等、詳しい方に教えていただいたりなどして、県庁の予算について自分なりに勉強していたつもりではありましたが、実際に予算編成に自ら携わってみて、この義務的経費が7割に上る、これは頭ではわかっていたわけですけれども、義務的経費が7割の中でまた社会保障関係費など自然増が入ってくる、それを義務的経費以外のところで吸収しなければいけない。この大変さですとか、今回の地方財政対策で交付税が一方的に削減されるなど、非常に国の影響を大きく受けるのが、県の予算だということを身をもって体験をいたしました。
 また、私自身、民間企業にいるときに赤字予算など立てたことがなかったわけでありますが、今回、72億円の収支不足でスタートせざるを得ない、そういう厳しい状況の中で、正直申し上げまして、私がとりたいような独自施策のための予算がとれたとは言い難い状況でありました。ただ、そういった厳しい制約の中で、私の思いを皆さん汲んでくれたと思いますし、私なりに最大限、選挙中に皆様からお伺いした県にとって大事な施策を盛り込んだつもりでございます。実際、規模が小さいではないか、というご指摘は当たっていると思います。来年度はもっとしっかり考えていきたいと思いますし、あと私自身はこの予算から決算主義を唱えておりまして、この執行段階でまだまだできることはいっぱいある、このように考えております。

記者)
 今後の収支見通しで、来年度以降も非常に厳しい状況が続くようですが、改めて財政改善への道筋とか、その辺りはいかがお考えでしょうか。

知事)
 先ほどお示しいたしました見通しでも、今後4年間、70億円から80億円の収支不足が続く見込みとなっております。大変厳しい状況でございます。当然ながら、徹底的に無駄を省くことは必要でありますが、それだけで問題が解決できるとは私自身思っておりません。今後、これから1年間をかけまして、行財政運営のよるべき一定の指針的なものはつくらなければいけないと考えております。その具体的な内容についてはこれから考えていきたいと思っております。

記者)
 指針というのは、今後夢づくりプランの見直しもあるとおっしゃっていましたが、そういったところにも関わってくるのでしょうか。

知事)
 はい、夢づくりプランはやりたいことでありまして、行財政改革はそれを支えるためのものでございます。どういう形になるかはわからないんですけれども、とにかく構造的に努力をしなければ、ちょっとした節約だけでは間に合わないと考えています。

記者)
 先ほど厳しい予算でなかなか独自色を出したとは言い難いということで、それに対応するために、執行段階で予算を削っていく、そして決算主義にしていくということでしたが、決算主義とは具体的にどのような考え方なのかお伺いします。

知事)
 私自身、以前の会社にいるときに、何かしたい、改善したい、工夫をしたいというときに、さあお金がかかるなということに突き当たることのほうがむしろ少なかったと思うんです。例えば、現場に行ってみんなの話をじっくり聞いて対応策を考えるですとか、そこまでできなくてもとにかく現場に行ってみんなを励ますですとか、そういうことに基本的にお金はかからないわけでありまして、あと、今回してもらうことになりました、みんなから改善策を募るといったこともほとんどお金のかからないことでございます。私は、是非、お金のかからないことをいろいろ始めて、その中でお金がかかるものも含めて少しずつやっていく、何かいいことをやろうと思ったらすぐ億単位のお金を考えてしまうという、その発想の順番から変えていきたいと思っています。

記者)
 倉敷駅連続立体交差事業について、今回の予算にどのように反映されているのでしょうか。

知事)
 もうお分かりだと思いますけれども、県として来年度も含めこの数年間、連続立体交差事業の予算は計上いたしておりません。倉敷市の予算については私は承知をいたしておりませんけれども、その詳細につきましては土木部にお尋ねいただければと思います。

記者)
 結果として72億円の財政不足ということですけれども、その大きな要因として、県職員の給与を元に戻して、115億円ですか、新たに予算として計上しなくてはならないということが大きく影響していると思うのですが、来年度以降、見直すに当たって、県職員の給与にもう一度メスを入れるのかどうなのか、その辺りのお考えをお聞かせいただきたいのですが。

知事)
 実際、今回こういう状況に追い込まれた一つの要因は、国が地方公務員の給与削減を前提として交付税を一方的にカットして送りつけるということがございました。私は、このやり方は地方自治体の自主性を損なうものであり、また地方交付税の性格を変えてしまうものであり、非常に問題だと思っているわけですが、もう強行されてしまった以上、これに対応せざるを得ません。収支不足も大変大きなものでありますので、これからどのようにして対応していくのか、この72億円もしくは70億円から80億円の収支不足、とりあえずは基金の取り崩しで対応できるんですけれども、これは2年、3年とはもう全く続きません。職員給与のことについてもご相談させていただかざるを得ないのではないかと考えています。

記者)
 国のほうは今年度中にということで、6月くらいまでに結論をある程度出さなければならないということですけれども、その辺は知事としては決断はそれまでに行うということでしょうか。

知事)
 そうですね。7月からの実施ということを国が想定いたしております。実際に我々が削減された金額も、7.8%カットを7月1日から始めるという前提でカットをされたわけでございます。7月1日からのカットをもしするとなりますと、6月議会にお諮りしなければいけませんし、その前に組合の皆さんと交渉をしなければいけませんので、年度内にご相談を始めなければいけないと、このように考えています。

記者)
 先ほどの続きで、倉敷駅連続立体交差事業で、倉敷市の伊東市長が、JR、国と県と市の4者での会談の場を持ちたいという話をされていますが、県としてはどのような考えでしょうか。

知事)
 倉敷市のほうからそのお話は現時点では聞いておりません。事務的な協議は倉敷市、JRと進めているわけでありますが、4者による協議の場を設けるとは現時点で聞いておりませんので、話を聞いてから考えたいと思っております。

記者)
 収支不足について改めて伺いたいのですが、72億円が足りないという中で財政調整基金を全額取り崩し、特定目的基金から借入れを行うということで、こうした予算編成になったことについての受け止めと、今後具体的にプランを考えられるということですけれども、抜本的な構造改革の必要があると思います。その中で民間ご出身ならではの、どのような発想で今後どのような行財政改革に取り組んでいくのか教えていただけますか。

知事)
 私自身、はじめから赤字予算を組まざるを得なかったのは大変残念でありますが、この1カ月、2カ月で思っていなかったようなことがいくつか起きたので、やむを得なかったと考えております。これから長期のことについてはそういう短期のドタバタは言い訳にはなりませんので、きちんと対応していかなければいけません。おっしゃられたように、私は民間出身ですし、これまでのしがらみについてもありませんので、とにかく今の時点から将来にかけて、岡山県にとって何が本当に大事なのかということを考えて、しっかり県議会の皆様はじめ、いろんな方のご意見を踏まえながら、いいやり方、現実的なやり方をとっていきたいと考えています。一部厳しいこともやらなければいけないと思いますけれども、痛みを先送りして、将来、20年後、30年後になぜあんなその場しのぎのことをしたのかと言われないようにしたいと考えています。

記者)
 一部痛みをというのは例えばどういうことでしょうか。

知事)
 それはどこに来るかわかりませんけれども、高度経済成長期のように関係する人たちにみんなご褒美、ボーナスをあげるようなことにはならないと思います。みんなで負担を分かち合って、それぞれ我慢しながら明るい明日に向けて頑張っていく、そういうようなことになるのではないかと思っています。

記者)
 冒頭で主要施策に掲げられた「教育再生」ですが、今回、市町村教委が所管する小・中学校に対しても積極的に関わっていこうという意図が見えるようですが、今回、これにかける思いと、特に思いを込めた事業とはどういったものでしょうか。それと新年度に向けた目標についてお願いします。

知事)
 おっしゃられるとおりなんです。私自身、教育に強い思いを持って選挙に臨み、初登庁以降、仕事をしてまいりました。その教育、もういろんなことがございます。幼児教育から高等教育まであるわけですけれども、今の岡山県の一番の問題は、中学校の「荒れ」に代表される規律の問題だと思っています。その規律が維持できていない、ここが何とかなればもう一つの大きな問題である学力も、ある程度は自然に向上していくと思っています。当然、そこから先はまた別のいろんなことを考えていくわけでありますが。で、「荒れ」という点で一番大きな問題になってるのは中学校と一部の小学校で、これも皆様ご案内のとおり、小学校と中学校は県の教育委員会ではなく、市町村の教育委員会の管轄でありますので、私とすればちょっともどかしいところはあるわけでありますが、自分の権限の外であるということを私は言い訳にしたくありませんので、市町村長と協力しながら市町村の教育委員会が管轄している中学に関しても積極的に関わっていきたいと、このように考えています。私の任期中に目に見える成果をしっかり、できるだけ早く出していきたいと思っています。

記者)
 知事の思いという点で伺います。やはり県民は新知事の就任ということで、ある程度スピード感をもってカラーを出していくことを期待していたと思うのですが、正直、今回いろんな状況があったとはいえ、なかなか色が出せていたいのではないでしょうか。

知事)
 そうですね。予算において余り出ていないという指摘はそうかもしれません。私自身も先ほど、ちらっと申し上げましたけれども、義務的経費の大きさ、自然増の影響の大きさなどで、裁量的に使える幅が実質的にはほとんどない中でやりくりした予算でございます。そのご指摘は、私自身なかなか反論することはできないなと。
 また、先ほど申し上げましたけれども、私自身これまでの経験でお金、予算が制約にならないところでやれることはいっぱいあると考えておりまして、お金が余りかからないところでいかに成果を上げるか、それが非常に大事だと思っています。

記者)
 知事査定で盛り込まれた予算についてですが、ご批判が出にくそうな分野につけられているようにも見えます。効果として、例えば「働くおとうさん・おかあさん応援事業」では、知事は費用対効果ということをよく言われていますが、どういうところを効果として見込まれているのか教えていただきたいのですが。

知事)
 私、それぞれの施策効果が高いと思っております。まんべんなく、ずらっとつけていくというのは、私にとってあまり好きなやり方ではありません。ボトルネックになっていたり、センターピンであったり、結局そこの一点、突破できればほかのものも随分流れがよくなる、状況が改善する、そういうところに私は当然限られた予算をつけたいわけであります。
 例えば、子育て支援ということに関しましても、首都圏と違って岡山の場合は待機児童がそんなに数字上いっぱいいるわけではないんです。でも、個別具体にお母さん、お父さんにお話を聞いてみますと、「いやそれは一応入れるんだけれども、実際にそれで仕事ができるかっていうと、病気になったときにはどうしようもない。急な残業のときには対応できない」ということで、結局「やっぱり私が働くのはまだ早いかな」ということになってる。では、その病児・病後児保育をしっかりやっていかなければいけない。先ほどの説明でもありましたけれども、実は制度はあるんです。ただ、今の考え方は、保育園に看護師さんを常駐してもらって対応するということなんですけれども、非常に負担が重く、赤字になってしまうので、なかなか手を挙げてくださらない。実際に手を挙げてくださったところが、300万円の年間の赤字を出してしまったような例もありまして、そうやって制度があっても保育園が手を挙げてくれないということであるならば、今度は発想を変えて、お医者さん、看護師さんがもともといる病院に保育園を併設する形に、保育園を併設するというか、保育機能をつけてもらったほうが早いのではないかという新たな発想で子育て支援をしていこう、子育て支援のボトルネックに、ボトルネックの一つである病児・病後児保育の問題を解決していこうと、そういう考え方であります。すごい大きなお金をかけなくても、これで子育て中のお母さん、お父さんが働きやすくなれば、非常に効果は高いと思っています。

記者)
 そういう意味で「働くおとうさん・おかあさん応援事業」には・・・。

知事)
 気合いが入っています。で、これは予算の説明ですので、お金がかかることについてのみご説明してるわけでありますが、何度も申し上げますように、私がこれまでの仕事でやってきたことの経験からすると、お金をかけなくても問題が解決できることというのはいっぱいありますので、しっかり頑張っていきたいと思っています。

記者)
 予算とは別件になりますが、県立操山高校の野球部のマネージャーさんの件で、県教委から知事の方に報告はあがっているのでしょうか。

知事)
 操山高校の問題につきましては、若い命が自らの手で絶たれたということは大変痛ましいことでありまして、誠に残念に思っております。ご冥福をお祈りしたいと思っています。
 その報告の件でありますが、私自身は報道ではじめて知りました。その日のうちに教育委員会から以下のような報告を受けております。
 警察の捜査では、いじめ等の事件性がなかった。また、学校は保護者の当初「そっとしておいてほしい」という意向を踏まえて、関係の教員や生徒に対し「当該生徒に何か変わったことはなかったか」などの確認をしたということ。もう一つは、8月の中旬以降、保護者の方から、顧問教諭の指導について確認の要請があったことを受けまして、学校及び教育委員会は、関係生徒、教員に聞き取りを行ったこと。最後に、その結果、行きすぎた指導がなかったとは言えないが、それが自殺の直接的な原因とまでは断定できないこと、以上のような報告を受けております。

記者)
 知事から県教委に対して何か指示を行ったのでしょうか。

知事)
 私は、まず再発防止等に向けた努力を指示をいたしました。それより先につきましては、まだ詳細な報告を受けておりませんので。

記者)
 遺族の方の思いとしては、学校側が文部科学省のガイドライン、そういうことが見つかった場合は速やかに関係する生徒に調査をしないといけないというガイドラインがあるのですが、遺族が要請するまでは調査をしていなかったのではないかという思いがあり、その辺りの初動対応についてどう思われますか。

知事)
 私自身、7月はまだ就任いたしておりませんで、全てのことはこの数日に聞いたことなわけでありますけれども、それも教育委員会のほうから説明を聞いただけで、それ以外の情報ソースが報道以外にないわけでありますけれども、私が説明を受けたところによりますと、まず保護者の方からあまり騒がないでほしい、ということがあったので、できるだけご迷惑をかけないように注意しながら、それでも先ほどのガイドラインはありますので、何もしないというわけではなく、この関係の教員や関係した周りの生徒に聞き取りを行ったということですので、現時点の非常に短い報告を受けた私の第一感とすれば、教育委員会はその時点での状況で、適正と思われる対応をしたのではないかと考えております。これから詳細な説明を受ければ、また少し感想が変わってくるかもしれませんけれども。

記者)
 遺族は第三者による調査というのを望んでおられるようですが、第三者機関による調査ということは必要とは考えていないのでしょうか。

知事)
 私自身、本当に短い説明を受けただけでありますので、別組織をつくるかどうかについても教育委員会としっかり説明を聞いたうえで検討してまいりたいと考えております。

記者)
 さきほど、今後の収支不足の具体的なところで、職員給与についてもご相談をさせていただかなければいけないということでしたが、26年度以降も給与カットを含めた対応を相談させていただくということでしょうか。

知事)
 いえ、今回、収支が大きく下振れした要因は、地方財政対策での大幅な交付税カットによるものであります。これは国の説明では、国が2年間7.8%行う給与削減、国家公務員の給与削減に地方もならうべきだということで、一方的に切られたことが原因であります。その我々2年目にお付き合いを強制的にさせられるということでありますので、とりあえず平成25年度をどのように凌いでいくのか、そのことに関するご相談ということになろうと思います。

記者)
 収支見通しではしばらくの間、かなりの額が足りないということですが、この収支見通しでは新たに国の名目経済成長率2分の1の数値を使うよう指示をしたということですが、なかなかまとまった額の財源の捻出が難しい中で安易な給与カットにつながりかねないと思うのですが、どのようなお考えで指示をされたのでしょうか。

知事)
 おっしゃるとおり、来年、25年度の次の26年度からはどういうふうになるのか大変不透明であります。国が給与カットの強要を続けるのか、続けないのか、非常に流動要因が大きいものですから、それについてはまた状況が固まってから考えたいと思っております。
 先ほどの国の慎重シナリオの2分の1にするということでありますけれども、実際、過去5年間ですか、国の示した慎重シナリオ、この積極シナリオ、慎重シナリオ、この低いほうの見通しと実際どういう成長率を達成したのかということを比べてみますと、平成19年から23年まで、とりあえず私、指示をして数字を出してもらったわけですけれども、5回全てにおいてその慎重に計算した数字よりも実際の成長率が下回っています。ですから、私自身、民間から来て現実的な対応ということを考えますと、国の言う積極はもちろん、これはもうとんでもない話ですけども、国の言う慎重シナリオすら私からすると見通しが甘過ぎるので、実際は国の慎重シナリオの半分程度が一番現実的な推計だと考えます。

司会)
 それでは、以上をもちまして定例記者会見を終了いたします。ありがとうございました。

知事)
 どうもありがとうございました。

2012年の記者会見