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2014年1月15日知事記者会見

印刷ページ表示 ページ番号:0363215 2014年1月15日更新公聴広報課
会見写真

新PRの本編動画公開について

 おはようございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
 まず、今月8日に予告編を公開いたしました「晴れの国おかやま」の新たなPRについてでございます。
 岡山県は、このたび、「きびだんご県」に改名・・・するわけではございません。
 岡山県は、このたび、「岡山県民」を募集します。
 「晴れの国おかやま」にちなみ、8092人の県民を募集する「8092人移住プロジェクト」をスタートさせます。
 そして、本日、私をはじめ、「晴れ女」の合田友紀さん、「ももっち」「うらっち」や県職員有志も出演するミュージカル仕立ての動画などを掲載した新たなPR用サイトを公開いたしました。
 「住みやすさ」が全国から注目されている「晴れの国おかやま」を、晴れ男・晴れ女はもとより、県民の皆様方と力を合わせ、日本全国に力強くアピールしてまいりますので、よろしくお願いいたします。

平成26年度当初予算要求額の概要について

 次に、平成26年度当初予算について、本日、各部局からの予算要求をとりまとめましたのでその概要を説明いたします。
 資料1ページをご覧下さい。平成26年度の予算要求に当たっては、「岡山県行財政経営指針」に基づき、県民に「晴れの国おかやま生き活きプラン」の成果を実感してもらえる予算編成を目指すよう各部局に指示していたところであります。
 プランの開始年度に当たることから、スピード感を持って教育再生や産業振興をはじめとするこれからの本県に好循環をもたらす施策に全力で取り組んでまいります。
 まず、「1 要求額」をご覧下さい。一般会計の総額は6,584億8,600万円で、前年度当初予算に比べ0.4%の増と2年連続で前年度予算を上回る要求となっております。また、特別会計の要求総額は3,106億7,500万円で、公債管理特別会計において平成26年度に償還期限が到来する起債の借り換えに要する経費が大幅に増となることなどにより、前年度比24.3%の増、企業会計は122億8,800万円で、他会計への貸付金が減となることなどから、前年度比28.2%の減となっております。
 資料2ページ「4 要求額の内訳」をご覧下さい。まず、義務的経費については、対前年度比1.2%、約58億円の増となっております。
 このうち、人件費については、退職手当が減となる見込であることなどから、対前年度比0.6%、約14億円の減となっております。
 公債費については、臨時財政対策債の償還に要する経費が増となることなどにより対前年度比1.5%、約16億円の増となっております。
 また、社会保障関係費については、医療・介護等の社会保障の充実分や高齢化の進展に伴う自然増等により、国民健康保険費6.7%、介護給付費負担金3.8%の増をはじめとして、全体で対前年度比3.9%、約32億円の増となっております。
 次に、一般行政経費については、瀬戸大橋出資金の終了や、国の経済対策により措置された基金事業が終了することなどから、対前年度比3.5%、約36億円の減となっております。
 次に、投資的経費については、公共事業等費において倉敷地域等新設特別支援学校整備事業及び倉敷警察署庁舎建替整備事業の終了により、対前年度比で1.5%、約9億円の減となっております。一方で、道路・橋梁等に係る維持修繕費については、対前年度比9.0%、約4億円の増となっているところです。 
 次に、「5 晴れの国おかやま生き活きプランに基づく主な重点事業」についてですが、「教育県岡山の復活」、「地域を支える産業の振興」、「安心で豊かさが実感できる地域の創造」の3つの重点戦略などに基づき、重点的に推進する施策・事業が、各部局から要求されていますので、主なものを紹介したいと思います。
 資料3ページをご覧下さい。
 まず、教育県岡山の復活についてでありますが、(2)番の小学校への登校支援員の配置や、課題の多い小中学校に対するスクールカウンセラーを拡充する「不登校児童生徒の解消に向けた対策」1億5,400万円、(3)番の各学校ごとの課題を明らかにし、基礎基本の定着につなげるため、学力の定着状況を把握する悉皆調査を小4まで対象を拡大して実施する「教師の教える技術の向上」2,500万円など、教育の再生に向けた事業が要求されているところです。
 次に、地域を支える産業の振興についてでありますが、(3)番の企業ニーズの高い県南内陸部に産業用地を確保するとともに、市町村による団地開発の支援、本県の優れた操業環境のPRなどを行う「新産業団地の開発等」1億2,500万円、(4)番の新たなスキームによる試作Evの研究開発を通じた、次世代自動車技術の高度化など事業化につながる企業の取組を支援する「おかやま次世代自動車技術研究開発プロジェクト」1億1,200万円、(5)番の融資制度の充実やチャレンジサポート補助金の創設等により、新規創業の促進や中小企業の円滑な事業承継、経営者層の育成を進める「ビジネスチャレンジを支援」6,900万円、(6)番の選ばれる観光地への転換による観光消費額の増加等を図る「新・晴れの国おかやま観光推進事業」1億1,600万円など、産業の振興に向けた事業が要求されています。
 次に、安心で豊かさが実感できる地域の創造についてでありますが、(2)番の動画コンテンツ等を用いて岡山のイメージをインパクトのある形で全国に発信するなど、本県の認知度向上等を目指す「「晴れの国おかやま」情報発信力強化事業」4,700万円や、(4)番の太陽熱温水器及び住宅窓断熱等の設置に対する補助制度を創設する「再エネ&省エネ型ライフスタイル推進事業」7,100万円、(5)番の結婚から妊娠、出産、子育てに至るまで、切れ目のない総合的な支援を社会全体で進め、少子化の抑制を図る「少子化・子育て包括支援プログラム推進事業」9億3,700万円、(6)番の県民の健康寿命の延伸を図る「健康寿命延伸セカンドショット事業」3,700万円、(8)番のカーナビゲーションシステムに蓄積されたビッグデータを活用した中長期的な渋滞対策や即効的な交通安全対策の検討を行う「新たな渋滞・交通安全対策事業」3,200万円などが要求されています。
 このほか、中山間地域等活力創出支援事業については、今年度が最終年でありますが、それに代わる総合的な中山間地域の活性化対策を、現在私の指示により検討させているところであり、具体的な事業内容等については、来月中旬の予算発表の際にお示しさせていただきたいと考えています。
 これらの要求内容を見てみますと、私の指示を踏まえ、最重要課題である教育の再生と産業の振興をはじめとする諸課題に対応するための事業が要求されておりますが、本日の要求内容を精査の上、「生き活き岡山」の実現を強力に推進するため、私がより一層力を入れたい部分でさらに必要と感じるところへの事業の追加等を行いたいと考えております。
 来月中旬には、現在検討中の経済対策に係る2月補正予算案と当初予算案とを一体的にとりまとめたいと存じます。

事業再点検における県の対応方針について

 最後に、事業再点検における県の対応方針についてであります。
 昨年、11月に事業再点検における県の対応方針を公表したところでありますが、先ほど説明した平成26年度当初予算要求に反映した内容について、ご説明させていただきます。
 配付資料の「1 対応方針についての見直し状況」をご覧下さい。
 11月に公表した県の対応方針に対して、11月定例会での議論や、関係団体からの意見等を踏まえた上で検討し、対応方針の見直しを行ったものであります。具体的には、単県医療費補助では、平成26年6月診療分までとされていた低所得者に対する自己負担限度額軽減措置について、国における社会保障制度改革の影響等を見極める必要があるため、軽減措置の1年間の継続を行うなど、6事業について対応方針の見直しを行っております。
 なお、この6事業以外については、別紙に記載のとおり11月に公表した県の対応方針どおりとして予算要求に反映させているところであります。
 その結果、平成26年度効果額については、県全体で約1億2,900万円となったところであります。
 また、平成26年度中に結論を得るとされたものなど、本日公表した平成26年度当初予算要求に反映されていないものについては、引き続きしっかりと検討してまいりたいと存じます。
 私からは以上でございます。

質疑応答

記者)
 2点伺いたいのですが、まず予算のことですけど、昨年度は知事査定で上積みされたのが1億円ぐらいだったと思いますが、今年度はどれくらい額的に余裕がありそうなのかということと、知事は、さきほど自分がより一層力を入れたい分野に配分したいとおっしゃっていたのですけれども、どういった分野・事業に予算を上積みしたいとお考えでしょうか。

知事)
 まず、上積みする規模でございますが、前回は2つの理由で上積み額が非常に小さくなったと私自身は考えております。
 1つは、予算を立てた時点でマイナス70億円の、赤ではないのですけれどもマイナスでスタートするという非常に逼迫した状況であったということ。あともう一つは、私自身がきちんと予算について理解する時間がなかったということで、そんなに大きな規模になりませんでしたけれども、今回は、それはかなり上回る額にしたいと考えております。地方財政対策では地方に予算も確保していただいておりますし、しっかりとした予算を立てていきたい。どういう分野にということは今検討している最中なわけでありますけれども、当然ながら、私が重点戦略として掲げている教育の再生、産業の振興、ここにはきっちりと予算をつけていきたいと思っています。

記者)
 もう1点、新PRの動画のほうですが、全国の人が見られると思いますが、この動画のどういったところが全国の人に受けると知事は思われますか。

知事)
 とにかく、岡山は住みやすい場所なのだということを考えていただくきっかけにしたいと思っています。岡山はある調査では、認知度が41位、40位台に低迷いたしておりますので、岡山のいいところはゆっくり座って説明をさせていただければいろいろあるわけですけれども、そういう機会をいただけていないというところが問題だと思っておりまして、まず岡山、大体場所はわかるけど、そういえばどんなところだったかなと、最後に行ったのはいつだったかなと、皆さんに岡山県という言葉を頭にもう一度思い起こしていただいて、ちょっと気にかけていただくというところがまず大事であろうと。それで気にかけていただければ、我々はアピールできるポイントは幾つもありますので、そういったことにこれからつなげていきたい。まず、ちょっと岡山というのを何か思い出してもらいたいと思っています。

記者)
 予算の関係ですが、各部局からあがってきた要求、特に教育、産業について、まず率直な所見というか、ご自身が考えられたものの要求を満たしているものなのかどうかどのようにお考えでしょうか。

知事)
 昨年の予算のときには、私自身がどういうふうに思っているということをそれぞれ職員に説明する時間はほとんどありませんでした。私が選挙戦でいろいろしゃべった内容を職員が勉強して、こういうことなのかなということで、多少色をつけてくれたということなのですけれども、それから1年たちまして、いろいろな場所で私はこう思うのだ、分野については先ほど申し上げたとおりですけれども、その中でも2つの分野に限らず、例えば医療だとか福祉についても好循環ということを私は何度も何度も申し上げて、今ここで、ある予算をつけてこういう仕事をすることがいいことにつながるのかどうなのか、そういうことをこれまでも考えてくれていたと思うのだけれども、より意識して施策を考えてもらいたいということを随分しつこく言ってきましたので、いろいろ上がってきた要求については、そういった好循環ということを意識した、若しくはその分野では先ほどの教育、産業を、そもそも何で私が教育、産業を重点的に言っているかというと、暮らしやすさ、福祉、医療、そういったことも含めた、安全を含めた好循環につながる一番大事なエンジン役だと思っているから言っているわけでありまして、そういったことは1年間で十分かどうかはわかりませんけれども、随分浸透した上で返ってきた予算になっていると感じます。

記者)
 それを踏まえたうえなのですが、もちろん知事は派手なことがお好きではないというか、実効性のあるものを要求されていると思うのですが、事業的にちょっと小ぶりかなと思う部分もあって、そういった中で、知事査定で相当知事の中では思い切ったものがでてくるのかどうなのかといった見通しをお願いします。

知事)
 皆さんが腰を抜かすようなものがここで出てくることは多分ないと思います。私自身、以前の会社経営でもそうなのですけれども、何か私一人が突っ走って一か八かの勝負をするというのが正しい組織運営のやり方だとは思っておりません。もし大きなものが出てくるとすると、担当部局ですとか、外部の人とかなり練り込んだ上でやることですし、私は小さいことの積み重ねで徐々に大きな動きをなしていくということが可能だと思いますし、それが一番成功への近道、その過程で大きなプロジェクトが出てくる可能性は十分あるのですけれども、トヨタですとかセブン-イレブンが成功したやり方を見ると、そんなすごいものをどかんどかんやったというよりも、小さな工夫を積み上げて大きなうねりになっていった、是非、そういうふうな形でやりたいと思います。

記者)
 関連して予算について、今回の予算について知事の受けとめを伺いたいのです。一昨年の11月に就任されて、4月からは生き活きプランがスタートします。この2つのキーワードから、この新年度予算についてどのように受けとめをされていらっしゃいますか。

知事)
 まず、私自身、就任してしばらくたったときに申し上げた6,500億円だとか、それぐらいの一般会計予算の総額、すごい金額です。ただ、大半ほとんどが義務的経費であって、なかなか新規に回せるお金が少ないのだなということは今回も改めて感じているわけですけれども、前回、予算要求が来たときには、1年前ですね、どうしてこれなの、これにどういう意味があって、若しくは継続してこれが出ているけれどももう大体仕事はできたのではないのみたいな、そういう反応をすることも多々あったわけですけれども、今回上がってきた要求については、本当にこれが県民が喜ぶ結果になるのだろうかということをそれぞれの担当職員の人が自分たちの中で自問自答して上げてくれたに違いないと思うようなことが何度もありましたので。例えば私自身はある大事なことを県民にお伝えするにしても、ただセミナーの回数を増やすだけでは、それ自体意味ないのだよというようなことであれば、例えば10回セミナーして20人ずつなのか、それとももっと大きいセミナーを1回どかんとやるのか、それともホームページに何か載せる方がいいのだろうかとか、そういうやりたいことをやる、いろんなやり方の中でどれが一番いいのだろうかということを考えてくれたり、そういう何か工夫の跡を今回のほうがより多く感じたという点では、非常にうれしく思っています。

記者)
 もう一点、今回のプラス編成の見通しの大きな理由として、消費税増税に伴う県の負担増ということが主な要因と思われるのですが、知事としては今回プラス編成となった要因としてはどういったことを考えていらっしゃいますか。

知事)
 実は、今回の予算はかなりのでこぼこがございます。例えば、倉敷で特別支援学校をつくっていたわけですけれども、その予算が次の予算からは必要なくなりましたのでそこで随分減ったりですとか、同じ倉敷ですけれども警察署の建て替えも今年度では計上されていましたけれども、それが必要ないというところでどんと減ったりですとか、退職金がどんと減るですとか、先ほどのコメントで随分申し上げたこともありますけれども、あと、償還の経費がどんと増えたですとか、当然、消費税の分も増えました。20億円以上増えているというふうに聞いております。詳しくは担当に聞いていただければ有り難いのですけども、そういうでこぼこをならしてみると、その程度の増になったということであります。当然、政策予算のところも、去年感じた窮屈さよりはちょっと踏み込める余地がありました。

記者)
 話題が変わるのですが、来月予定されている東京都知事選挙に関して、原発問題が一つの大きな争点として浮上してきた感があるのですが、その点についての受けとめと、都知事というある意味オピニオンリーダー的な首長だと思うのですが、どういった方がなられるのがふさわしいとお考えでしょうか。

知事)
 私が1年間知事をしてみまして、知事の仕事は本当に多岐にわたりますし、1点だけ強みが若しくは関心があって、ほかのことに関心がない、若しくは知識がないということでは、なかなかバランスのとれた県政は難しいなということで、その全てにおいてバランスのとれた人というのは多分世の中には余りいないでしょうから、私自身も弱いところを勉強しているわけですけれども、そういう経験に照らしてみますと、シングルイシュー(単一の争点)で選挙を戦うというのはあまり県知事の選挙として適当であるような感じは、ちょっと多少の違和感を覚えるということはございます。あと、そのイシューが都政に非常に関わりが強いものであれば、それはそれでまた一つのやり方なのかもしれませんけれども、これがエネルギー問題ということになりますと、都道府県のレベルというよりも、これは国政レベルのイシューだと私自身は感じていますので、それをこの東京都の都知事選挙でやることがどうなのかなという思いはいたします。
 それ以上のコメントは控えさせていただきまして、どういう方になってほしいかということで言えば、それはしっかりしたやる気のある立派な方になっていただきたい。非常に当たり前の話ですけれども。

記者)
 伊原木知事の原発政策に対するご所見についてコメント願えますか。

知事)
 私自身は原子力は嫌いです。やっぱり怖いですし。ただ、国全体のこと、地域の未来のことを考えたときに、今すぐに原子力を外していくというのは現実的ではないと思っています。原子力に頼らずにエネルギーを確保していくということは多くの人の願いであろうと思いますけれども、そのためには技術開発ですとか、そこそこ長い時間がかかるであろうと思っています。

記者)
 職員の人件費のことで伺いたいのですが、来年度から給与カットを終えると、カットをしないと伺っているのですが、その理由と知事を含めた特別職のカットについてどのような方針で臨まれるのか、理由と一緒に教えていただけますか。

知事)
 私自身、来年度につきましては、職員の給与カットに頼らずに予算を組みたいと考えております。その理由なのですけれども、そもそも10年に及ぶ職員の給与カットについては、職員に責任があることの結果ではないということで、私はちょっと理屈に合わないなと考えております。これは、過去のいろいろな主に大規模事業の結果によるところでありまして、その事業をするしないということに関して、県職員、ここでよく県職員というのですけれども、県庁が給料を払っている2万5千人のうちの3分の2は学校の先生でありまして、残りの半分が警察官、残りの半分が俗に言う県庁職員ですけれども、その人たちはするしないについて投票する権限を持っていなかったのですから。これはある種とばっちりの面もあります。
 私自身は、税金を払っている納税者、産業の中核になって頑張ってくれている民間企業の水準と比べて高いというのは、これはいかんと思っておりまして、是非、この人事委員会で適正な水準というものをきちんと計算して、その勧告をきちんと実行していく。それについては強い意見を、思いを持っているわけですけれども、それ以外のことでカットするということはしたくありません。
 あともう一つは、その10年にわたるカットが、私は岡山の教育ですとか治安、これは特に少年の部分に出ていますけれども、に悪影響を与えたに違いないと思っていますので、是非そこをしっかり手当てするためにも、もともと根拠のないカットにはできるだけ頼らずに予算を組みたいと思っています。
 私自身に関してなのですけれども、若しくは私を含む特別職に関してなのですけれども、県の財政が良くなったわけではありません。今、一時的に税収が増えているというだけのことですので、引き続き私自身のカットは、率をどうするかは現在検討しておりますけれども続けなければいけないと、このように考えております。

記者)
 予算の関係で重点事項について伺いたいのですが、重点戦略「1」と「2」で知事の重点に掲げていらっしゃる産業と教育ですが、産業に関しては土地不足がネックだとおっしゃっていて、その中心課題に手をつけると思うのですが、教育に関しては施策全体の背景にあるのはどういう問題意識で、どういう方向性で立ち上げた事業ということになるのでしょうか。

知事)
 教育に関しては、産業ほどすっきりした一本道が見えているわけではありません。そもそも非常に複雑な問題だと思っていますけれども、大雑把に分ければ症状として現れているのは学力、いろんなタイプの学力とそれ以外のことなのですけれども、私自身、まず学力以外の問題をきちんとしなければいけないと思っています。今でも、中学校をはじめとする学校の視察をしているわけですけれども、ちゃんと授業が行われていない、ざわざわしている、先生がそういう余裕が持てていない、そういう学校が残念ながらまだ残っていると。学校というか学級ですね。そういうところに、まずきちんと手を入れなければいけないと思っています。少年犯罪の率が現在全国でワーストであったり、校内暴力が全国ワーストは脱しましたけれども、依然として非常に悪いレベルにある。そういったところを改善をして、落ちついた環境の中できちんとした授業が受けられるようにする。それが一番大事なことだと思っています。
 あと、これは家庭の教育する力とも非常に大きく絡んでくるわけですけれども、「早寝早起き朝ごはん」、そういった日々の生活習慣、挨拶をするですとか、いけないことをしたら謝るですとか、そういった当たり前のことが学校で当たり前に行われるようにする。そういうことができれば、私はかなりの部分、学力にも反映されると思っていますし、学力のほうは学力のほうできちんとやっていかなければいけません。今回、小5と中2の新たなテスト、それから予算のほうはテストの分析の予算を補正に上げさせていただいたわけですけれども、そういうことによって小5から中3まできちんと毎年テストをすることによって、その年に勉強すべきことをできないまま次の学年に行くことをできるだけ防ぐということを通じて、学力の底上げをしていかなければいけないと思っております。
 いずれにしても、教育の立て直しについては、やらなければいけないことは多々ございます。まずこれは大事だろうということもあるのですけれども、いろいろ並行してやっていかなければいけないこともありますし、どれが本当に役に立つのかということは専門家の間でも一致した意見はございません。私は、むしろいろいろ試してみてうまくいったものを広げていく、若しくは県内でいい成果を出している学校ですとか先生のやり方を広めていく、そういうやり方で少しずつでも成果を上げていきたいと思っております。

記者)
 つまり、教育のほうは、学力向上の高度なことに取り組む以前の段階だという認識なのでしょうか。

知事)
 一言で言えばそのとおりです。私が選挙に出たころに教育について思っていたことというのは、グローバル化に対応した教育というのはこれからの岡山の子どもたちには大事だろうと思っていたわけですけれども、いろいろ岡山県内を回っていろんな方のお話を聞くにつれ、残念ながら、それよりも随分手前の時点で大きな問題があるので、まずそちらのほうにきちんと手を入れて改善しなければ、私がもともと思っていたようなことにはなかなか至らないと思っています。是非、そういうこともしたいのですけれども、落ちこぼれない、きちんとした準備を持って社会に出ていくということは本当に決定的に大切だと思っています。

記者)
 PR動画について拝見させていただいたのですが、アピールポイントにあるとおり知事が弾けているなという印象を受けました。これまで知事ご自身の立ち居振る舞いで広く一般の方にどのように受けとめられているのかということと、実際の知事は本当はどうであって、今後どのような知事像を見せていきたいと考えていらっしゃるのか教えていただきたいのですが。

知事)
 ちょっと順番は前後するのですけれども、私自身そんなに目立つことが好きな人間ではありませんでした。学級委員長とか生徒会長に立候補したことも一度もありませんし、どっちかというとカラオケでも拍手するほうが好きなほうなのですけれども、ただ、実際今回も案が上がってきましたときに、私は跳んだりはねたりする役ですので、ちょっと「ひゃっ」というふうに思ったわけですけれども、そもそも岡山県を良くするということで知事選に手を挙げたぐらい図々しいわけですから、ここでそんなことで恥ずかしがってはいかんだろうということで、開き直って存分にさせていただきました。こういう立場ですので、是非、県民の皆さんがちょっとこれはもうやり過ぎだ、恥ずかしいと思わない範囲内で一生懸命頑張りたいと思います。

記者)
 自己採点は。

知事)
 ちょっと、余り点数をつけるのはよくないのではないかということで、湯崎知事は点数をつけない主義だというふうに教えてもらいまして、それから点数はつけないようにしています。ただ、合田友紀さんみたいなプロの方は安定した演技力を出されているわけですけども、客観的にそんなに高い点数はつかないだろうなと思います。

記者)
 事業再点検の方針変更なんですが、6事業について方針を見直されたということですがその理由と、効果額はそれによって減ってしまったと思うのですが、その点についてお伺いしたいのですが。

知事)
 とにかく常に不断の見直しをしなければいけないということは、私は以前から強く思っておりまして、ただ我々の考えが常に正しいということでもありません。これは、我々は外部の有識者のご意見をいただいて、ああそうだなと納得する部分が多々あったわけですけれども、それを我々がお示しをしたと。これはどちらかというと、全体最適ですとか予算制約ということを念頭に置いた我々の思い、意見であります。それとは別に全体としてこうかもしれないけれども、個別に見たらここにはちょっと厳し過ぎるのではないかと、これは今やらなければいけないのだろうかというようなご意見もこの当該の団体の方ですとか、もしくは県議会での議論でありました。我々も、何が何でも、どんなことがあってもこれをやり通さなければいけないということではないものですから、そういう強いご意見があるので、確かにその理由もあるということについては、我々もその意見を尊重しまして、今回訂正をさせていただきました。
 我々とすれば、常にそういう提案とそれに対する意見、こういう対話を続けていくべきであろうと考えております。当然ながら、それによって効果額が減ってしまったわけですけれども、こういう努力を継続的に続けることで、県民の皆さん、納税者の皆さんが、これは無駄なのではないか、これはもう10年前、20年前ならともかく、現在、現時点では意義がほとんどないのではないか、少ないのではないかということについて、常にチェックできるようにしていきたいと思っています。

記者)
 それでは今後もこういった取組を進めていくというお考えなのでしょうか。

知事)
 予算のチェックということでいえば、これからも継続的に続けていきたいと思っています。今回したような有識者会議を、ほとんど同じようなフォーマットでするかどうかについては未定でございます。私は、是非、いろいろなやり方を常に考えて、そのときのベストなやり方を選択していきたいと思っています。

記者)
 では、最後に。事業の話に戻るのですが、知事は常々「全国初」とか「独自」とかこだわらないとおっしゃられていますが、例えば今回の重点であがっているものの中で他県なんかで効果を上げていたから入れましたとか、それとも独自のものを考えましたとか、そういったものはございますでしょうか。

知事)
 私はそれを区別して普段考えないものですから、それぞれの担当はそういえばこれは独自ですとか、これはここのをまねしましたというのはわかると思うのですけれども。私自身はコンサルティング会社に入って以降、ビジネススクール時代も含めて、それについて何度も何度も繰り返し教育を受けたものですから。これはたまたまアメリカですけども、「Don't reinvent the wheel」、車輪ですね、車輪をもう一回発明するなと、「reinvent」、「invent」のもう一回ということですよね。車輪の発明によって人類はものすごい恩恵をこうむったわけですけれども、2度目にそれを知らずに別のところで発明したという人がいてもほとんど意味ないのですよね。もうみんなこっちで知っているわけですから。
 ですから、「思いて学ばざれば即ちあやうし」でしたか、まず世の中で何が、どんな工夫がなされているのか、それを勉強してからさらに工夫を上乗せできる。これはすばらしいことでありまして、ほかの場所、他県や他業界でどういった工夫があるか知らずにうんうん唸るというのは、余り効率的なやり方ではなかろうと。若しくは自分のところで考えたから、それが何か価値が高いというふうに思うのは、私はちょっと評価基準が違うと思っております。いいものはいいわけですし、その元が他の人のアイデアであろうと自分で考えたものであろうと私は変わらないと。是非、まずいろんな他でやっているいいやり方を検討して、それで取り入れた上で独自の工夫がなされて、それがほかの場所でその考え方が使われるようになったら、これはすばらしい貢献だと思っています。是非、そのレベルを目指したいと思っています。

司会)
 それでは、以上をもちまして定例記者会見を終了いたします。ありがとうございました。

知事)
 ありがとうございました。

2012年の記者会見