平成27年度当初予算要求額の概要について
みなさんおはようございます。
私からは2項目、お話しをさせていただきます。
まず、平成27年度当初予算要求額の概要についてでございます。平成27年度当初予算について、本日、各部局からの予算要求をとりまとめましたので、その概要をご説明申し上げます。
資料1ページをご覧下さい。平成27年度の予算要求に当たっては、「晴れの国おかやま生き活きプラン」に基づき、教育再生や産業振興をはじめとする各種施策に全力で取り組み、県民の皆様にその成果を実感してもらえることを目指して予算編成をするよう各部局に指示をしていたところでございます。
まず、「1 要求額」をご覧下さい。一般会計の総額は7,098億600万円で、前年度当初予算に比べ7.5%、約496億円の増となり、10年ぶりに7,000億円台となっておりますが、これは、社会保障・税一体改革の影響などにより、社会保障関係費の増や、地方消費税市町村交付金などを合わせて450億円程度の増となっていることが主な要因であります。また、特別会計は2,705億400万円で、公債管理特別会計において、起債の借り換えに要する経費が減となることなどにより、前年度比13.0%の減、企業会計は123億4,900万円で、前年度比0.5%の増となっております。
資料2ページ「4 要求額の内訳」をご覧下さい。まず、義務的経費については、対前年度比10.0%、約490億円の増となっております。このうち、人件費については、今年度の給与改定などを踏まえ、対前年度比1.1%、約25億円の増となっております。公債費については、臨時財政対策債の償還に要する経費が増となることなどにより対前年度比1.4%、約15億円の増となっております。また、社会保障関係費については、自然増に加え、社会保障・税一体改革により、社会保障が充実されることから、難病医療費が48億円、子ども子育て支援新制度給付費が309%、37億円、介護給付費負担金が6.9%、17億円の増となるなど、全体で対前年度比14.7%、約125億円の増となっております。次に、その他については、消費税の増税に伴い、消費税収の2分の1を市町村へ交付する地方消費税市町村交付金が増加したことなどにより、対前年度比42.0%、約325億円の増となっております。また、一般行政経費については、地域医療介護総合確保事業費や高等学校就学支援金が増となったことなどから、対前年度比1.6%、約16億円の増となっております。次に、投資的経費については、補助公共の増額を見込んでいることなどから、公共事業等費が増になる一方で、国直轄事業負担金や災害復旧事業費が減となることから、対前年度比1.5%、約11億円の減となっているところであります。次に、「5 晴れの国おかやま生き活きプランに基づく主な重点事業」についてでありますが、3つの重点戦略などに基づき、重点的に推進する施策・事業の主なものを資料3ページに記載しております。
資料3ページをご覧下さい。まず、教育県岡山の復活についてでありますが、(2)番の、多忙な教員に児童・生徒と向き合う時間を増やしてもらうため、教師業務アシスタントの配置などを行う「学力の向上」、(3)番の、課題を抱える家庭へのアウトリーチ支援、家庭学習の基本的な考え方や指導方法の学校・教員への提示や保護者への啓発などを行う「家庭の教育力の向上」、(5)番の、スマホやネットの専門家による保護者などを対象とした研修会・講演会、保護者や地域向け学習リーフレットの作成などを行う「スマホ・ネット問題総合対策の推進」など、教育の再生に向けた事業が挙がっているところであります。次に、地域を支える産業の振興についてでありますが、(2)番の、女性創業者サポートセンターの創設や、クラウドファンディングによる資金調達支援などを行う「活力ある中小企業・小規模事業者の育成」、(3)番の、JRと連携した情報発信により、観光客誘致を促進するデスティネーションキャンペーンの取組などを盛り込んだ「晴れの国おかやまデスティネーションキャンペーンの取組」、(7)番の、CLT製造ラインの整備や、CLTに利用するラミナの安定供給体制の支援などを行う「「伐(き)って、使って、植えて、育てる」林業サイクル再構築プロジェクト」など、産業の振興に向けた事業が挙がっております。次に、安心で豊かさが実感できる地域の創造についてでありますが、(1)番の、結婚から妊娠、出産、子育てに至るまで、切れ目のない総合的な支援を社会全体で進め、少子化の抑制を図る「結婚・妊娠・出産・子育ての希望をかなえるトータルサポート事業」、(4)番の、事件・事故が多発する交差点などに、新たに50台の110番通報支援カメラを整備する「重要犯罪等の徹底検挙のための基盤整備事業」、(5)番の、地域おこし協力隊の募集説明会や隊員同士の連携・交流を行う事業、空き家を活用して、中山間地域にサテライトオフィスを開設する企業の誘致を行う事業などを盛り込んだ「中山間地域等“つながる人”づくり強化事業」、(7)番の、インパクトのある動画コンテンツなどを作成するとともに、著名人を活用したイベントを行うなど、首都圏アンテナショップを活用した情報発信などを実施する「「晴れの国おかやま」情報発信力強化事業」、(8)番の、今年11月8日に開催する、本県初の都市型大規模フルマラソン大会である「おかやまマラソン開催事業」などが挙がっております。
次に、資料4ページをご覧下さい。県においては、人口減少問題への対応や、地方創生の動きを念頭に、各種施策を検討してきたところでありますが、先般、国から示された「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の基本目標に応じて区分した主な重点事業を、参考までに掲載しております。なお、地方創生に関しては、現在、国の経済対策に係る交付金の対象事業を、各部局において検討していることや、「おかやま創生総合戦略推進本部」などにおいて、議論が行われている最中であることから、来月中旬に予算案を発表する際に、地方創生に関連する事業の全体像を改めてお示ししたいと存じます。
これらの内容を見てみますと、私の指示を踏まえ、最重要課題である教育の再生と産業の振興をはじめとする諸課題に対応するための事業が挙がっておりますが、内容を精査の上、「生き活き岡山」の実現を強力に推進するため、私がより一層力を入れたい部分でさらに必要と感じるところへの事業の追加を行いたいと考えております。来月中旬には、現在検討中の経済対策に係る2月補正予算案と当初予算案とを一体的にとりまとめたいと存じます。
岡山光量子科学研究所及び生物科学研究所の今後のあり方について
2項目目として、岡山光量子科学研究所及び生物科学研究所の今後のあり方についてでございます。
試験研究機関のうち、岡山光量子科学研究所及び生物科学研究所につきましては、昨年度の有識者による事業再点検の結果を受け、外部有識者による評価委員会におきまして、今年度各機関の機関評価と併せ、今後のあり方の検討を行ったところでありますが、その検討結果などを踏まえ、これらの機関に係る県としての方針(案)を取りまとめました。
配付資料をご覧ください。方針(案)検討の視点として、両機関ともに、
(1)設立により期待された効果が達成されているか。また、今後達成される見込みはあ るか
(2)(1)の結果並びに試験研究に関して県が担うべき役割を踏まえ、当該機関を引き続き県が保有することは適切か
との、2つの視点で検討を行いました。
岡山光量子科学研究所につきましては、物理・科学の普及啓発の面では、物理チャレンジの岡山開催や若者の科学技術への意識醸成などの貢献が認められますが、研究所本来の設立意義である光科学に関する研究を通じて、県民・地域への貢献が行われているとは言い難い状況であり、他の喫緊の課題が山積する中で、引き続き研究を継続していく優先順位は低いといった認識のもと、平成28年度末をもって「廃止」することといたしました。なお、それまでの間に移管の可能性が見出された場合は、適切に対応してまいりたいと存じます。
一方、生物科学研究所につきましては、本県農林水産業の振興に役立つ「問題解決型の研究」を行い、その成果をもって県民・地域に貢献しているといった認識のもと、「存続」させることといたしました。ただし、多様な観点から不断の見直しを行い、より一層、本県の農林水産業への貢献と県民への説明責任を常に意識した運営を行い、県内外から農林水産業の振興に不可欠と認められる研究機関へと成長・発展させることといたします。
今後、2月定例会などの場で県議会の皆様のご意見を頂戴し、本年3月に県としての方針を正式に決定したいと考えております。また、岡山光量子科学研究所を廃止することに伴って懸念される影響につきましても、十分検討を行い、適切に対応してまいりたいと存じます。
私からは、以上でございます。
質疑応答
記者)
予算ですが、各部局からの要求を受けて、事業等を見て率直な御意見を伺います。
知事)
この予算を見て1つびっくりしたのが、7,000億円台にのってる。ここまで増やすという指示を出した覚えはなかったわけですけども、先ほど申し上げましたように、ほとんどが消費増税に伴う義務的経費の増、もしくは一旦県に入ってそのまま市町村に抜けていくというものが、増えたほぼ500億円のうち450億円がそういうことであります。
あと、それぞれ見ていきますと、大きなものは上がってきてない。そもそも厳しい予算の枠がありますから、なかなか大きなものを上げてこられなかったということも当然あるわけですけれども、その中でも、今進行している本年度予算を踏まえた、それをさらに工夫をしよう、踏み込んでいこうという意欲をいろいろなところに感じる要求であると考えております。とにかく今やっていることを粛々と進めた上で、さらに楽しみなことを、これまでの事業も通じて、ここについてさらに考えているんだなということ、いろんなことを思い起こさせる予算であると思っています。
記者)
知事の評価としては、満足されているかという、そういう簡単な言葉で言えるかどうかわかりませんけど、いかがですか。
知事)
厳しい中で工夫をしようとしているなという予算だと思っています。
記者)
知事査定で、今回も知事が自由に使えるお金としてどれぐらいを考えられてるんですか。
知事)
あまり多くはありません。私として幾らということを考えているわけじゃなくて、これからいろいろ相談をしながら考えていくわけですけれども、例年そんなに多いわけではありませんでした。それが数億円であったり、10億円を超えてよかったなという年があったりということですので、あまり自由にはならないにしても枠の残りを見ながら、私自身の思い、ここは本当に同じ思いなんだけれども、もうちょっと増やしてみようかみたいな調整をこれからしていこうと思っています。
記者)
7,000億円台でびっくりされたというお話がありました。入りのほうは後でまとめられるということでしょうが、歳出歳入の調整というのはどのようにお考えでしょうか。
知事)
先ほど申し上げましたように、表面上、6,600億円から7,100億円近いんですが、ほぼ500億円増えたわけですけども、これは実質的にはそんなに大きく増えていないわけでありまして、去年より少し踏み込んだ程度の予算かなと思っております。
県の予算は国の予算に大きく影響を受けるわけでありまして、私のこの予算に対する感想と言いながら、政府案に対する感想にかぶってくるわけですけれども、今回、政府の一般財源総額が去年を上回る額として確保してもらえたということを踏まえて、県のほうでも、当然これは十分だということにはならないわけです。去年も厳しかった、それとあまり変わらない金額ではありますけれども、その財政危機宣言を発した当時の予算が組めないといったような状況ではなくて、ここは何とか押さえておきたいというところには、ちっちゃいながらもその布石を打つことができる程度の規模で組むことができたことについては、大変ありがたく思っています。
記者)
見かけ上は500億円ほど増加しているんですが、今後、歳入面での見通しなんですけど、今年度大幅に縮小した収支不足っていうのがどうなっていくんだろうと、どのような見通しをお持ちでしょうか。
知事)
今回、予算が組めた要因とすれば、地方財政計画が地方に配慮した内容であったということと、もう一つは、地方税収のかなり大きな伸びが見込まれるということであります。以前も申し上げた財政の長期見通しというところで、今悪くない見通しをお出ししています。計算の仮定として、現在の税収が続くということで計算をするわけです。確かに、現在の税収、去年の税収というのは確定した数字があります。ですからこれは固い。ただ、実際これまでの数十年の税収の推移を見てみますと、明らかに景気と連動して上がったり下がったりしているわけで、今の高水準の税収がこれからもし続いたら、それは本当にびっくりするわけであります。まず間違いなく、これからも、これまであったこの揺れ幅っていうのは、大きなトレンドとすれば続くだろうということを考えると、3年後、5年後は厳しい局面も十分あり得ると考えており、今回は好景気の中での予算編成ということで、本当に助かったという思いがいたします。
記者)
知事査定なんですが、地方創生は、スケジュール感の事情があるようですけれども、教育なのか、産業なのか、地方創生なのか、どういったところを重点的に考えていきたいとお考えですか。
知事)
今日要求が出てきましたので、それぞれ工夫してつくってくれたものであります。先ほど申し上げましたように、実は私の使える枠というのはそう大してないわけなんですけれども、限られた少ないところで皆さん本当はもっとたくさん要求したいところを、制約があって、それぞれに抑えたわけですけれども、見渡してみて、先ほど言われたように、教育のこと、産業のこと、それはこれからの好循環のエンジンになりますし、人口減少の問題、それから地方創生の問題、これも本当に大切なことですので、そういったことを頭に入れながら査定をしていくことになろうかと思います。
記者)
研究所のあり方について、今回2つの研究所について、有識者会議から同じような指摘を受けたんですけれども、光量子は廃止、生科研のほうは存続、判断が分かれた御説明を。
知事)
それぞれについて有識者会議で検討をしていただいたわけであります。それをもとにして我々が検討をしていったわけでありますけれども、先ほど申し上げましたように、2つの視点で評価をいたしました。1つが、設立により期待された効果が達成を現在されているか、また現在されていなくても、将来達成される見込みがあるかということ、それから(2)のほうなんですけれども、(1)の結果、これから試験研究に関して県が担うべき役割を踏まえて、当該機関をこれからも引き続き県が保有することについて適切かどうかという検討を行ったわけでございます。
先ほど申し上げましたとおりでございますけれども、光量子科学研究所におきましては、それぞれ効果のあった部分もあるわけですけれども、もともとの期待された効果、光科学関連企業の誘致などによる地域産業振興、ここについてはほとんど実績がないと、企業誘致等はありませんでしたし、科学技術のレベルアップ、これは2番目の項目、それから3番目、将来を担う人材の育成ということにつきましても、例えば物理チャレンジの開催といった貢献面はあるわけですけれども、ただこれまでの歴代の研究員全員が、任期が終わった後、県外に転出をされるといったことに象徴されるように、設立されたときに期待されたような効果、1、2、3番ともに、我々がこれから保有する意味が、ほかにもいろんな大事なことがある、それぞれ予算が逼迫してなかなか厳しいという中で、適切かという判断を迫られたときに、優先順位からして適切ではなかろうという結論に至ったわけでございます。
生物科学研究所のほうは、そういうことで言えば、非常に楽しみな成果を出していただいておりまして、これは岡山県の農林水産業の振興にとっては、なかなかこれは頼りになる実績もありますので、ここについてはあまり問題なく存続ということになりました。
記者)
光量子研究所の廃止、理論研究の施設ということで、実用価値というのは、なかなか長期のスパンがかかるものだと思うのですが、この10年という期間の中で廃止に至ったことについて、この10年という中での判断というものをどのように思われますか。
知事)
当初、そういった期待があったからこそ設立をしたわけでございます。そういったものは1年、2年では分からないわけですから、今回、10年経って廃止と、効果が十分でないということで廃止したのであれば、もっと早く廃止すべきだったという御意見があるのかもしれません。ただ、先ほどおっしゃいましたように、一年、二年ではなかなかそういうことは判断できません。
今度は逆に、まだ判断できないだろうと、あと5年、10年しなければ、こういう基礎的なものがどう波及するかについては判断が早過ぎるという御意見もあるかもしれませんが、そもそもそれぐらい長いスパンがかかる基礎的な研究については、これは県が担うことであるだろうかという御意見も出されたところであります。私自身も、それはむしろ国ですとか大学にふさわしい仕事なのかなということを考えております。県は県が期待されている役割がありますので、それにふさわしい仕事をしっかりやっていかなければいけないと思っております。
これまで10年間で約10億円を県として予算を使ったわけでありまして、その結果が正直言って十分ではなかったということを岡山県のほうで判断したわけですから、過去10年間の税金の使い方については、結果的にはいいチャレンジだったとは思うんですけれども、結果的には残念であったと申し訳なく思っております。
司会)
それでは、以上をもちまして知事定例記者会見を終了いたします。
知事)
ありがとうございました。