平成29年度当初予算の概要について
おはようございます。
私からは、平成29年度当初予算の概要についてお話をさせていただきます。
平成29年度当初予算については、各部局からの要求状況について、先月13日に御説明させていただいたところであり、今月15日には、当初予算案としてとりまとめることとなりますが、それに先立ち、現時点で見込まれる平成29年度の収支の状況などについて概要を御説明いたします。
資料1ページ「1 予算要求額」をご覧ください。
平成29年度当初予算要求額については、先月13日に発表したものであり、一般会計の総額は、6,915億円と、対前年度比3.8%、276億円の減となっております。
次に、「2 歳入見込み」であります。
今回見積もった歳入の主な内容についてでありますが、まず、県税全体については、対前年度比5.1%、125億円減の2,332億円を見込んでおり、うち法人関係税については、法人の課税所得の伸びなどから対前年度比3.9%、21億円の増を見込む一方、地方消費税については、今年度の貨物割の実績が落ち込んでいる状況などから対前年度比19.6%、135億円の減を見込んでおります。
地方譲与税については、法人の課税所得の増による地方法人特別譲与税の増などから、対前年度比5.4%、17億円増の322億円を見込んでおります。
地方交付税及び臨時財政対策債を合わせた地方交付税等については、平成29年度地方財政対策や、岡山市への教職員の給与負担の移譲による影響などを踏まえた結果、対前年度比4.4%、91億円減の1,973億円を見込んでおります。
その他の一般財源では、地方交付税の精算による歳入減や、大規模工場等立地促進補助金などのあらかじめ見込まれた財政需要への対応として積み立てた財政調整基金の取り崩し、26億円などを計上しております。
特定財源については、岡山市への移譲に伴う義務教育費国庫負担金や、参議院議員選挙執行費などの国庫支出金が減となることなどにより、全体で、対前年度比4.6%、70億円減の1,451億円を見込んでおります。
以上により、歳入全体では、対前年度比3.9%、280億円減の6,874億円となっております。
資料2ページ「3 一般会計予算(要求ベース)の収支見込み」をご覧ください。
平成29年度の一般会計の収支見込みについては、現時点での歳出要求額と、今回見込んだ歳入額との差し引きで41億円のマイナスとなっており、歳入歳出それぞれの主な増減要因を、次の「4 平成28年度当初予算との主な増減要因」に記載しておりますが、歳出については、先月13日にご説明したもの、歳入については、先ほど申し上げた内容となっております。
次に、「5 現時点での収支を踏まえた対応」であります。
各部局から要求された事業には、今年度予算の執行を踏まえた改善や工夫が盛り込まれ、好循環の動きをさらに進めようという意欲を感じているところですが、今後の岡山県の発展のため、好循環のエンジンである教育再生や産業振興に加え、人口減少問題を克服し、おかやま創生の実現につながる事業など、私がより一層力を入れたい部分でさらに必要と感じるところへの事業追加を検討しております。
また、最終的に生じる収支不足に対しては、財政調整基金により対応したいと考えております。
最後に、次のページでは、参考として「地方一般財源総額の推移」、「社会保障関係費の推移」、「一般会計県債残高の推移」をお示ししていますのでご参照ください。
私からは以上でございます。
質疑応答
記者)
要求段階で収支がマイナスになるのは3年連続ということに対する判断をお伺いします。
知事)
私、最初の年に10億円を超えるマイナスになったということで大騒ぎしたこと、今でも覚えておりますけれども、岡山県庁の予算の立て方というものが、例えば工事の予算ということで言えば、実際には入札をして少しずつ下げていくわけですが、これが、これまでで言えば、ここまでは下がるのではないかというところで見込むよりも少し保守的に組んでいるということがございます。また、我々とすれば、いろいろな施策について皆さんに応募していただいて、例えば補助金ですとか何かインセンティブについて、基本的に100%応募していただいて施策効果を100%出していきたいわけですが、必ずしもそうはならないと、不用ということがありますので、大体毎年マイナス分を補う、実際には少し上回る程度の余剰が出てまいります。当然ながら、それは出てくるものというよりもちょっとでも節約ができるところはしっかり節約する、その小さな努力の積み重ねということも大きいわけでありますが、これまで決算を締めてみると、大体いいところに着地しておりますので、この41億円ということで特段心配はいたしておりません。
記者)
執行していく中でその41億円は十分補えるということですか。
知事)
7,000億円弱の予算規模からすれば、吸収できる金額です。
記者)
最後に知事の追加分があるということですが、この収支を予測して知事の追加分が上下するということはあり得るのでしょうか。
知事)
そもそも論で言えば、影響されることは一般論とすればあり得ます。
ただ、大体見込みどおりのところに着地しましたので、大きく削減をしようということには多分ならないと思いますし、もともと私、俗に言う知事ダマと呼ばれているものについて、どかっと大きくするつもりはないんです。普段の対話を通じていろんな思いを共有化させようと思ってますので、いきなり知事から思ってもないようなものがどんとこの時期に出てくるということ自体、そんなにいいことだと思っておりません。
予算というのは、やっぱりこれはあるものを使っていくというのが本来の予算でありますので。ところが、県庁はみんなそうなんですけども、出るものは大体見込めると。去年やった施策について、見通しはかなり立ちますので。ところが入るものについて、非常にぶれる可能性があると。1つは税金。税金は率が決まってるからといって額が決まってるわけじゃありませんので。あと、国からのお金も、これは12月末の時点で総額が示されるわけですけれども、それが具体的に岡山県にどれぐらい割り振られるかということが決まっていないわけでありまして、総額がこれだけ確保されたから、例年どおりの比率でいえばこれぐらい岡山県にも来るかなと思ったら、実際には他のところの災害の関係とかいろんなことで岡山県には少なかったということもあり得るわけであります。そういうときには、やはり思っていたようなことができないという可能性もございます。幸いこれまではそう大きくぶれなかったので、どたばたすることが比較的少なかったということです。
記者)
今のところ、知事追加分は大体どのぐらいとなるのか、想定はあるのですか。
知事)
あまり大きいことを考えておりません。表現の仕方によるんですが、私自身が追加する部分はこれぐらい、でもそれトータル、もともと数10億円のものを拡充することで、全体としてこれだけということで大きく見えることもありますけれども、そんなに大きいことを考えているわけではありません。大体、例年どおりぐらいだと思っています。
記者)
関連ですが、知事ダマとおっしゃいましたけれども、その部分の内容についてですが、頑張る学校応援事業に関して、応援費といいますか、これはやめるという判断になる中で、知事として目玉的なものというのが、この知事が上乗せされる部分かと思うのですが、その内容について、おっしゃられる範囲でどういうものをお考えなのかお聞かせください。
知事)
私自身、何かどかっと大きいものを用意しているとか、用意したいと思っているというほうでもありません。もともと予算と関係なくてもできることがいっぱいあるだろうというふうに言ってる人間でありますので、役所の中では予算が非常に大きいというのは重々承知しているつもりではありますけれども、予算でどんと出すぐらいだったら、半年間隠すよりも前にもっと発信をするなり準備をしたほうがいいのではないかと考えている人間でございます。多分、知事査定のときに、皆様方がすごいびっくりする、良いほうも悪いほうでもということにはあまりならないのではないかと。今から査定はするわけですけれども、これまでも大体そうだったと思います。
頑張る学校応援事業のことについて申し上げますと、私自身の一番の思いは、とにかくいろんな状況からでも工夫のやりようはあるぞということを、それぞれの学校が周りの学校から勉強してもらいたいという、しかもそのことにみんなに注目してもらいたいということでありましたので、私自身、あの100万円があそこまで注目を浴びるということをあまり考えずに、副次的に、設計をみんなでしたわけでありますが、その100万円のおかげで随分注目を集めたなということであります。これは3年で区切りをつけるということですから、それはもうそれでどうぞと。ただ、いろいろ工夫を発表する場というのは、残ればありがたいなという話をしていたので、今、教育委員会がそういう方向で考えてくれてるということで、大変ありがたく思っています。
記者)
頑張る学校応援事業をまさに目玉として取り組まれたことかと思うんですけども、それがある意味ではなくなる中で、新たな目玉的なものとしてはどういうのを考えておられますか。
知事)
それに匹敵するぐらい注目を集めるような目玉があるかということで言えば、これだなというのはちょっと思い浮かばないわけなんですけど、ただ、頑張る学校応援事業についても、あそこまで注目されるというのは、発表するときも思っておりませんでしたので。私が思ってないものがまた注目されるのかもしれません。私とすれば、とにかく工夫とはいろんなところにあるぞと、予算が多い少ないにかかわらず、今の現状が有利である、不利である、いろいろ問題がある、そういうことにかかわらず、常に改善の余地があるということは、全ての事業において、全ての部所で皆さん意識してもらいたいと思っています。
記者)
今回も社会保障関係費が増えていて、借金のほうで言うと臨時財政対策債の部分ではまだ伸びていると。臨財債というのをどういうふうに受けとめるか、いろいろ評価はあるかと思うんですが、これがきちんと国から措置されるかどうかというのは、はっきりしていないところが正直あるんだと思いまして、そういう中で、今回、歳入の面もあるんですけれども、今後の財政運営、絞るところは絞っていかないといけないのではないかと思うんですが、それを含めて、今回どういうふうに進めていかれるのか、改めてお伺いします。
知事)
おっしゃられるとおりであります。私の立場で本当に悩ましい2つの方向性がありまして、1つはそれぞれの分野のことを考えると、本当に1億円ずつでも余分につけてあげたい、もしくは1%でも伸ばしてあげたいという思いは、説明を聞けば聞くほどあります。ああそうか、ここをもうちょっと出せればいいんだよなあということがあります。ただ、当然ながら、そういうことをしているとどんどん借金が膨らんでいくわけでありまして、今よかれと思って積極的に事業を進めて借金を増やした結果、その借金を圧縮しなければいけない、もしくは収支を合わせていかなければいけないということになったときにどれだけ副作用が出てくるかというのは、岡山県は特にわかっている場所であろうと思っております。
もう何度も申し上げるつもりはありませんけど、長野知事の時代によかれと思っていろいろな事業をした。そのうちの事業の一部は、岡山県の資産として有効に使われているわけでありますけれども、全部が全部そうではなかった。その後の、石井知事時代のそれぞれの分野の方々の御苦労、県庁関係者の御苦労、それから苦労だけで済むのであれば苦労すればいいんですけれども、副作用というものも大きかったわけであります。ですから、財政規律を保ちながらいかに頑張っていくかということが大事であります。
その中で、社会保障関係費は、我々のコントロール外のものが非常に大きい部分でありまして、メニューを国が決めて、ほぼ自動的にそこで決まるんですけれど、施行を市町村がして、我々は請求書を支払うという立場であります。私が就任してから、大体毎年35億円のペースで増えているわけでありまして、これもう本当に大変なことだな、今、国が地方への財源を、ぎゅっと小泉政権時代みたいに絞ることなく応援してくださっているので、何とか収支を合わせることができておりますけれども、これについては国民全体で考えていかなければいけない問題だろうと思っております。
記者)
今回、絞るという面では、ここに力を入れられたというようなところは何かありますか。
知事)
シーリングをかけて各部長に汗をかいてもらったところでございます。今回も、教育と産業だけ前年100%を認めて、他はシーリングをかけたわけであります。当然ながら、いろいろ組み替えをしたりですとか、細かく削減をすることで、それぞれの分野の皆さんにちょっと残念な思いを、私も個別のことについて幾つもお話は伺っていますけれども、工夫というのか御苦労されながら、少しでも作った枠というか、財源を新しい分野、例えば人口減少問題に対応するためのところに充てようということでございます。本当に苦しいやりくりをしながら、それでも未来への投資をしていきたいと考えて作った予算でございます。
記者)
歳入関係とちょっと外れますが、人口減少の問題の克服で、先日人口移動の状況が発表されて、岡山県が転出超過、これが何年か連続でその幅が拡大しているという流れがあったんですが、それに対する受けとめというのをお話しください。
知事)
どこの県も、自分たちの県から人が出ていってうれしいことはないわけでありまして、特に岡山県の場合、東日本大震災の後、1次避難先というよりもむしろ2次避難先として非常に人気を集めたということで、地域、差し引きのネットマイナスが非常に少なかったわけでありますけれども、一旦そういう動きが収まって、もともとの進学、それから就職を機に、主に若い人が大きな町に出ていくというこれまでのパターンがまた復活していると認識をいたしております。
進学で外に出るというのは、これはある一定程度あると思います。これはもう、出たり入ったりという、岡山の場合は大変ありがたいことに、高校卒業時に県外に出ていく人よりも、高校卒業を機に進学等の理由で岡山にお越しくださる人の数のほうが多い、非常に珍しい県でありますので、出たり入ったりしますし、あと就職のときに東京、大阪等に流れるというような、ちょっと正直残念に思っています。岡山県内にも非常にすばらしい企業がいっぱいありますので、岡山県の有効求人倍率、また更新をしてしまいまして、1.81になっております。県内各地域、各分野に仕事はいっぱいありますので、是非学生の皆さん、岡山県内での就職を考えていただいて、このギャップを少しでも縮めていきたいと思っています。
記者)
人口減少問題の克服という意味でいうと、こういった社会減の克服と自然減の克服というのがあると思います。そのもう一方の自然減の克服という意味で、どのように両者バランスを取りながらやっていくかというのを一言お願いします。
知事)
ありがとうございます。おかやま創生総合戦略の中でこの人口減少問題を真正面から取り上げまして、おっしゃられるとおり、自然減の問題と社会減の問題があります。
社会減の問題については、もうこれ社会増を目指そうということにしています。そのためにやるべきこと、やれること、いろいろ考えてやっているわけでありますけれども、そのあとの自然減をいかに減らしていくか、増にもっていくかということですけれども、岡山県の場合は合計特殊出生率が修正をされて1.54になりましたけれども、そもそも2以上が必要な中で非常に低いということでありますので、第1子、第2子、第3子以降の壁というのがいろいろな調査で随分違うということがわかってきておりますので、それぞれの壁の突破に向けて努力をしているところであります。
当然、今回の予算の中でも、そういった思いは反映をされているわけでありますが、第1子の壁というのは日本においては結婚するかどうかということであります。日本で婚外子の比率はもう非常に低いですから、良い悪いではなくて事実としてそうでありますので、やはり第1子を増やすためには結婚をしていただく。これ、もう無理に結婚していただくなんてことは全然考えておりませんで、結婚したいなあ、なかなかいい出会いがないなあと思っている方々にいかに出会いを提供するかと、そういった観点で、愛媛県のシステムを活用して、いろんなこれまでにない工夫を考えているところでございます。
当たり前ですけど、第1子を突破しないと第3子の壁の随分手前で終わっているわけでありまして、第2子の壁というのは、これは女性から見て夫の協力が得られるかどうかっていうことでも随分違うということであります。ですから、これはもう働き方改革ということにつながってくるわけでありまして、是非、女性のためだけじゃない、男性のため、家族のために、もしくは日本全体のために、高度経済成長時代の専業主婦とセットになった男性正社員の働き方、そのモデルを変えていかなければいけないだろうと思っております。
第3子の壁というのは、がらっと変わって教育費の負担、それが気になってなかなか3人目までいかないという声が非常に大きくなってきますので、1年前の予算で発表しました第3子以降の保育料無償化拡大というのは、まさにそこに焦点を当てているわけでありますけれども、結局2人産めば何かノルマ達成みたいなイメージがあるわけでありますが、そもそも結婚されない方、結婚されてもいろんな事情で子どもができない方がある一定割合でいらっしゃるということを考えれば、実は社会全体で出生率2を超そうと思ったら、結構3人兄弟、4人兄弟がクラスの中で当たり前でなければ、そういう数字に、結果にならないということでありますので、もっと3人兄弟、4人兄弟を当たり前という雰囲気にしなければいけませんし、3人目、4人目というのは夫婦の子どもであり社会のための子どもだということで、もっと我々応援する機運を作っていかなければいけないと思っています。当然、最終的には金銭面、財政面ということになろうかと思いますけれども。
記者)
確認ですが、収支不足の関係で、知事査定を経ても執行の範囲内で十分おさまるというようなお考えでよろしいですか。
知事)はい、そのとおりです。
記者)
さきほどの話の第1子、第2子、第3子の壁のお話の中で、今、岡山市さんが保育所の入所の関連で、またかなりの待機児童が出る見込みになっているんですが、この対応は全国でこれも都市部中心になかなか大変な問題ではあるんですけども、そろそろ本格的に解決策を導くような何かというのがないとよくないのではないかなと思っているんですが、そのあたり、解決策を含めてどういうふうに対応をお考えでしょうか。
知事)
これは私、岡山市の対応、もしくは大森市長の対応を評価している一人でありまして、これまで実は、若手知事は地方部の知事が多いものですから、我々の置かれている状況は、千葉だとか神奈川だとかの関東、東京とは随分違いますよと。待機児童というのは、そんなに関東と比べて大きな問題になっていません。それよりも、結婚できるだけの収入がないとか、出会いがないとか、そういう構造が随分違うので、全国一律でやるのはやめてくださいみたいなお話をしていたわけであります。その根拠になったのは、岡山県内で待機児童の数が非常に少なかったということでありますけれども、実は、その裏にはかなり緩い定義があったと。
実際、岡山市民の感覚で保育所に30分かけて通う、例えばここのあたりから建部の保育所に、確かに30分ぎりぎりで行けるのかもしれませんけど、これは生活感覚とは全然合いませんので、毎日遠足しているみたいなことになりますので、そういった実際の感覚に合わせた、現実に合わせた定義にしてみたら729人の、待機児童が出てきたと。これは現実から目をそらすのではなくて、きちんと現状を見た上で対策を考えるという観点からすれば、非常に適切なことであったと思っております。そういうことで、また需要が喚起される、これまで諦めていた方が、それならということで手を挙げられるというのは、それ自体別に悪いことではありませんし、これまで抑え込まれていたものが表に出てきたわけですから、解決への短くない道のりの1歩、2歩を今踏んでいるんであろうと考えています。
これは、基本的に市町村の問題ですので、岡山県が直接、保育所の建設に乗り出すということではありませんけれども、是非一緒にいろいろな協力をしていきたいと思います。今回、県とすれば、放課後児童クラブの援助、もしくは設立を通じてこの子育て環境をよくしていこうということで、保育所、それから放課後児童クラブ、これは子育てに非常に大事、子育てしながら働こうと考えられているお母さんにとって非常に大事なことですので、一緒になって盛り上げていきたいと思っています。
それでは、以上をもちまして知事定例記者会見を終了いたします。ありがとうございました。
知事)
ありがとうございました。