平成30年度(2018年度)当初予算要求額の概要について
おはようございます。
私からは、2項目お話をさせていただきます。
まず、平成30年度当初予算編成について、各部局からの予算要求を取りまとめましたので、その概要をご説明いたします。
予算要求に当たっては、本県発展に向けた好循環の流れをさらに大きく確かなものとし、成果が実感できる県政を力強く推し進めるための予算編成とするよう各部局に指示していたところでございます。
資料1ページ、「1 要求額」をご覧ください。
一般会計の要求額は、6,774億9,900万円となり、前年度当初予算を2.1%、約142億円下回る要求となっております。これは、義務的経費が、個人県民税所得割交付金や公債費などの減により、全体で約123億円の減となっていることが主な要因であります。
特別会計は4,513億3,600万円で、県が国民健康保険の財政運営の責任主体となることに伴い、特別会計を新設し、保険給付費等交付金を支出する等の役割を担うことなどにより、前年度比77.8%の増となっております。企業会計は、111億3,200万円で、電気事業会計において建設改良に要する経費が増となることなどにより、前年度比3.5%の増となっております。
資料2ページ、「4 要求額の内訳」をご覧ください。
まず、義務的経費については、前年度比2.4%、約123億円の減となっております。このうち、人件費については、今年度の給与改定や退職手当の増などを踏まえ、前年度比1.0%、約19億円の増となっております。
公債費については、平成29年度にきらめきファンドの原資償還という単年度措置があったため、その反動による元金償還費の減や、低利での借入の実施などにより、前年度比4.2%、約46億円の減となっております。
また、社会保障関係費については、高齢化の進展に伴う自然増があるものの、国民健康保険の財政安定化に資する基金への積立や、政令指定都市への事務移譲による難病医療費の減などにより、前年度比1.7%、約17億円の減となっております。
その他については、県費負担教職員制度の見直しに伴い創設された個人県民税所得割交付金の減などにより、前年度比6.6%、約79億円の減となっております。
次に、一般行政経費については、国からの補助金を受けて行う基金積立や、その基金を財源に実施する市町村事業の減などにより、前年度比4.8%、約50億円の減となっております。
次に、投資的経費については、個別施設計画に基づく施設等の大規模修繕事業や国直轄事業負担金の増などにより、前年度比4.5%、約31億円の増となっているところであります。
資料3ページ、「5 新晴れの国おかやま生き活きプランに基づく主な重点事業」をご覧ください。
まず、教育県岡山の復活についてでありますが、(1)番の、教員の負担軽減のため教師業務アシスタントの拡充や、中学生の家庭学習習慣の定着・改善を図る「確かな学力の向上」。(2)番の、不登校や長期欠席となる児童生徒の減少に向け、スクールカウンセラーの拡充や医療等の新たな視点からアプローチを行う「不登校・長期欠席対策」。(4)番の、留学につながる環境づくりのため姉妹校提携を促進し、高校生の留学支援に取り組む「グローバル人材の育成の更なる強化」など、教育の再生に向けた事業が挙がっております。
次に、地域を支える産業の振興についてでありますが、(2)番の、自動車関連企業の競争力強化を図るため、工場管理、生産管理等を担う人材の育成を行う「自動車関連企業未来発展事業」。(4)番の、本県の強みであるフルーツを前面に押し出した魅力ある観光キャンペーンを展開する「滞在型観光推進等事業」。(6)番の、年間を通じて多彩で高品質なくだものを提供できるよう、イチゴのブランド育成と供給体制の確立を図る「岡山農産物ブランド力強化事業」。(7)番の、農作物等の被害低減を図るため、イノシシ・シカ・サルの許可捕獲を強化する「総合的な鳥獣被害防止対策事業」。(9)番の、本県出身の大学生へUターン就職の促進を図る「おかやまで就職しよう!人材還流・定着プロジェクト」。(10)番の、多様な人材の柔軟な働き方を推進する「仕事も家庭も生き活きと!働き方改革推進プロジェクト」など、産業の振興に向けた事業が挙がっております。
次に、安心で豊かさが実感できる地域の創造についてでありますが、(1)番の、若手看護職員の採用が困難な状況にある地域における、人材確保の取組を支援する「特定地域看護職員確保支援事業」。(3)番の、おかやま縁むすびネットの利便性向上や地域の特性に応じた少子化対策を支援する「少子化対策総合推進事業」。(4)番の、待機児童の解消に向け、保育所における1・2歳児の受入の充実を図る市町村を支援する「子ども・子育て支援環境の充実」。(9)番の、ドライブレコーダーを活用して、高齢運転者に安全運転のポイントを個別指導する「高齢運転者の交通事故防止対策事業」。(10)番の、地域の活力を維持・創出するため、若者の働く場の確保に取り組む市町村を支援する「おかやま大好き♥中山間地域等“若者暮らし”推進プロジェクト」などが挙がっております。
以上、これらの内容を見てみますと、私の指示を踏まえ、好循環のエンジンである教育の再生と産業の振興に加えて、人口減少問題に対応するための事業が挙がっております。今後、内容を精査の上、「生き活き岡山」の実現に向け、私がより一層力を入れたい部分へ、事業の追加などを行いたいと考えております。
県外大学との就職支援協定の締結について
次に、県外大学との就職支援協定の締結についてであります。
本県へのUターン就職を促進するため、新たに関東の4大学及び1短期大学、近畿の2大学との就職支援協定を本日付で締結することといたしました。
締結の相手方ですが、関東は、日本大学、中央大学、専修大学、創価大学、創価女子短期大学、近畿は、甲南大学、佛教大学であります。
現在、近畿の9大学と協定を締結しており、関東の大学とは初めてということになります。
本県産業の次代を担う人材確保のため、これらの協定締結大学と相互に連携協力して、県外大学生の県内企業への就職支援に取り組んでまいりたいと存じます。
私からは以上でございます。
質疑応答
記者)
資料3ページの重点事業のことでお伺いしたいんですが、地域の創造の分野で、待機児童の解消であるとか、中山間地域の若者暮らしの推進であるとか、地域の課題に対応した予算というのを盛り込んでらっしゃるのかなと見受けました。
知事、冒頭、好循環ということをおっしゃられましたが、その地域課題については、私が申し上げたような狙いが、やはり今回の予算に盛り込もうという狙いがあったんでしょうか。
知事)
大変ありがとうございます。我々、もともとそういう思いで、これは私が知事になる前から、それぞれの職員が頑張ってきたはずなんです。もう間違いないんです。ただ、どうしても我々がやることが、地域の課題に密着してないんじゃないか、もしくは市町村を初めとする、より地域に近い主体との連携が必ずしもうまくとれてないんじゃないかという批判をこれまで受けておりました。これからもそういうお声は出てくる可能性は十分あるわけですが、我々なりにいろいろ情報を収集し、いろんな方と相談をしながら、これがいいんじゃないかということを考えて今要求が挙がっているところであります。
そういうふうに感じていただいたというのは大変光栄なことでありまして、是非そういった施策を1つでも見つけていく、また、せっかく予算をつけるであろう事業については、きちんといい仕事をしていきたいと思います。
記者)
待機児童の解消のところでお伺いします。基本的には県内待機児童、大部分は岡山市と倉敷市だと思うんですが、そこに県が積極的に関与していく意義について知事はどうお考えでしょうか。
知事)
とにかく実務上、この役割分担というのはあります。法律等で決まっていることはありますが、岡山県に関することは、我々常に関心を持っています。とりあえず第一義的には例えば市町村の仕事だとしても、我々にできることはないだろうか、今の役割分担は本当に適切なんだろうかということは常に考えるようにしております。で、この待機児童の問題に関しましては、保育所の整備というものは市町村の役割でありますので、そこに乗り出すことまでは考えないものの、今、実際、岡・倉を中心として、保育所が足りない、この要素も一部あろうかと思いますが、一番足りていないのは人材であります。資格を持っている人は、実は大変多くいらっしゃいます。潜在保育士の方がいらっしゃいますし、毎年新たに資格を取得される方も、岡山県の場合はそういった学校が多いということもありまして、結構たくさんいらっしゃる。ただ、そういった方が、我々が期待する割合では保育所を就職先として選んでいただけない、また選んでいただいた方も、我々が期待するよりも早目に退職をされてしまう、もしくは結婚、出産、子育て等の理由で一旦仕事を離れた方が、我々が期待するような率では戻ってきてくださっていない。ここを何とか支援しようということで、保育士・保育所支援センターを開設して、今、新たにその復職をされる方を増やしているところであります。
今回の取組は、何とか悪循環を止めたいという発想で行おうとしているものであります。これは皆さん方も聞いたことがあるかと思いますが、実際、お母さんの身になって考えると、自分の育児休暇がある、で、その育児休暇がちょうど切れるときに、そのお子さんを預けて仕事に復帰できる、これはもう一番いいタイミングですが、そのちょうど自分が復帰する直前に空きがあるかどうかわからない。自宅の近く、もしくは職場の近く、ここなら使えるという場所にその空きがない場合に、最悪、お子さんを預けられないので復職できないということになってしまいます。これはお母さんからするともう大変恐ろしい事態でありますので。時々聞きますのが、そういった最悪の事態を回避するために、自分とすれば0歳児のうちは自分の手元できちんと育てたい、でもそのときに本当に空きがあるかどうか保障はないので、0歳児のうちに空いているんだったらその保育園に入れてしまうという話が実際にあるんだということを聞きます。これは、お母さんにとっても、本当は子育てを自分でしたい、その休暇を取っているので可能である、そういう面で残念だということと、もう一つは、御案内のとおり、保育園における1人の保育士さんが見ることができる子どもの数、これが法律によって、0歳児だと1人で3人しか見ることができない。1・2歳児だと6人、法律で見ることができる。要するに倍違うわけなんですよね。ですから、この0歳児で預かろうということになると、ただでさえ足りない保育士さんが更に逼迫をしてくるということになります。これ、まさに悪循環でありまして、その1・2歳児の枠がきちんと確保されるのであれば、それだったら0歳児のうちはうちでちゃんと育てようということになって、お母さんの希望を叶えつつ、今の待機児童問題の解消に資する取組だと私は信じているところでございます。
是非、本当の意味でお母さん方に安心をしていただけるよう、県としても努めていきたいと思います。
記者)
教育の再生と産業の振興をエンジンにして好循環を進めていくというのは伊原木県政のぶれない軸だとは思うんですが、昨年度の予算と比べて変更したところとか、今年度予算の特徴について知事の考えをお伺いします。
知事)
私自身、この予算制約をたいへん、この5年間、きつく感じているところであります。だからといって、もう予算が厳しいからできないんだということはないんだと。極端な話、予算ゼロでもできる工夫というのはいっぱいあるし、数千万円、数百万円の予算でもできることというのはいっぱいあるぞということでこれまで工夫をしてきたところであります。
実際、当初、観光関連予算はそのほかで関連するものを足して3億6,000万円程度だったものが、今10億円前後になっているように、顕著に増えたものもあれば、特に増えていないというところもあります。これは、いろんな事情があります。失業者対策の必要性が随分減ったですとか、もしくは、大変ありがたいことに、県所有の工業用地の売却によって、平成30年度は、繰り出しをする必要が無くなったということで、見かけ上、減って見えるということでありますけれども、しっかり、これは大事だと思うところにはきちんと予算をつけるようにいたしております。
教育に関しても、これも本当に潤沢にあれば、もっと先生を増やしたいというのが本音でありますが、なかなか厳しい中でも、スクールカウンセラーですとかスクールソーシャルワーカーですとか、そういった特定の機能を持った、学校にとっては大変ありがたい、自分たちのノウハウの薄いところを補ってくれる、そういった人たちを手厚くしておりまして、私とすれば、そんなに顕著に予算がどんどん増えるということではなくても、大事なところに予算がつくようにみんなが工夫してくれていると考えています。
記者)
岡山農産物ブランド力強化事業の中で、イチゴのブランド化ということをおっしゃられました。岡山の高級フルーツの栽培ノウハウを生かせるものなのかなと見受けられますが、改めて、知事の思いをお聞かせください。
知事)
とにかく岡山にとって、園芸作物というのは大変ありがたいことであります。これまで、桃とブドウということで、そこでしっかり稼いでいたわけなんですが、この桃についてもブドウについても、これが大体夏なんですよね。この夏の、しかもお中元のときの、桃は特にそうですが、ピークをできるだけなだらかにしていこうということで、「白皇」、「白露」と新しい品種を商標登録して、今売り込もうとしているところでありますけれども、イチゴはもともと需要も冬に大きいですし、且つ、また冬にしっかりつくろうと思えばつくれる品目であります。これができると、「くだもの王国おかやま」が本当にオールシーズンで対応できることになるということだと。フルーツといってもいっぱいあるわけですが、あまりにもマイナーなフルーツだと、やっていてもあまりインパクトがありません。イチゴというのは、イチゴ単体も美味しいですし、ケーキの中に入ったり、非常に汎用性が高いというか、使い勝手がいい、且つ、また結構値段が取れる、美味しいものとそうでないものの、美味しさの差も値段の差もしっかりある。これは、桃、ブドウで培った、本当に美味しいものをつくる岡山の農家の皆さんの、何というか、能力が生かせる分野だと私ども判断をいたしまして、ちょっと後発になりますが、これからどんどん頑張っていく。今つくっていないわけではないんです。ちょっと生産量が少ないということですので、先進県をこれから思いっきり追っかけていこうと考えています。
記者)
予算についてです。予算要求額を見て、改めて、県でいろいろ課題があると思うんですが、こういうものに特に力を入れていく、こういう方針になる、というのをもう一度お願いいたします。
知事)
とにかく私はエンジンということで言えば、教育と産業だと思っております。あともう一つは、人口減少問題が、長いスパンで、この20年後、30年後の岡山県のそれぞれの地域に効いてくるわけですので、これはしっかり進めていくということでございます。
それは全く変わらないわけですが、先ほど大変ありがたい質問をいただきました。そういう長期の問題に、骨太の問題に取り組みつつも、それぞれの地域、それぞれの分野の課題について、「これは市町村」とか、もう何かそれぞれの地域の問題というふうに突き放さずに、県もこういったことにも関心を持ってるんだな、一緒にやろうとしてるんだなというように思っていただける、それぞれの皆さんを応援できるような予算にしたいという思いで、いろいろ一つひとつの企画を練ってきたところであります。
我々だけで全部解決してやろうみたいなことはどだい無理ですし、予算も無いわけですが、一緒になって取り組んで行こう、県ならではの、この県の立ち位置だからこそ有効なこと、頼りにされることをきちんと探していこう、もしくは我々がまず声を上げなければいけないことがあれば、それをできるだけ見つけていこうと、そういう思いで、できるだけ自分たちで、県の仕事はここなんだと、こっちは国だ、こっちは市町村だ、ということではなくて、よく連携、連携と言ってますけれども、広く考えてみようというものが少し見えていれば嬉しいなと思っています。
記者)
具体的には、その長期的な地域への支援というのを、どの辺りに反映されていますか。
知事)
資料の3ページに出したものは、膨大にあるそれぞれの事業の中の厳選された、大変思い入れの強いもののリストでありまして、その中でも更に思い入れの強いものを、先ほど私もコメントで読み上げさせていただきました。ちょっと繰り返しになるかもしれませんが、教育は教育でそれぞれに力が入っていますし、この3番の「安心で豊かさが実感できる地域の創造」ということで言いますと、待機児童のことについて先ほどちょっと長目にしゃべりました。少子化対策については、総合的に、やれること全部やるぞということでやっている一部がここに挙がっていますし。あと、私が気合いが入ってるのは、この(10)番の「おかやま大好き♥中山間地域等“若者暮らし”推進プロジェクト」ということなんですが、とにかく戦後、若い人は都会へ都会へ向かっていったと、それが幸せだと、本当に単純に信じてやってきたわけであります。私は、それで幸せになってる人については、無理やり引っ剥がそうと思っているわけではないんですが、今、東京で満員電車でぎゅうぎゅうになって、狭いんだけれども、遠いんだけれども、えらい高いアパート代を払って毎日お仕事をされてる方、本当に幸せに感じられてるのか、まあ、それぞれいらっしゃいますけれども。その対極なんですが、地域おこし協力隊で来られた方が、自分の可能性、能力って、影響力ってこんなにあったのかということで、いろいろできることってあるんだなというふうに思われている、また、そういった方々、若い人たちを受け入れた地域が元気になっているということを考えると、むしろ今、それぞれの地域、そこから若い人が出ていく、出ていってきた地域が、これから若い人が入ってくることによってまだまだ元気になる可能性があるんじゃないかなというふうに思っています。是非、この両方、地域も、入ってくる人も幸せになるような可能性をこれからもいっぱい探っていきたいと思っているところであります。
記者)
先ほどおっしゃったように、限られた予算の中で政策を進めていくには、市町村との連携が重要になってくるという認識だと思います。
知事)
全くそのとおりです。
記者)
企業団地の整備であるとか、先ほどの待機児童対策もそうだと思うんですが、知事が、特に、市町村との連携を重視して、来年度、進めていきたい事業というのはこの中にありますか。
知事)
結局のところ、私も皆さんも、全員そうですが、県民であると同時に、市町村の住民でもあります。これはもう本当に役割分担をしているだけでありまして、全部お任せとか、これは全部こちらの仕事だから手を出さないで、そういうものではないと思っています。できる限りいい協力、もしくは役割分担を相互に確認しながらやっていく。そういうことで言えば、全てがそうなのかなと。
これまでちょっと予算のタイミングのことで、我々が外に発表できるタイミングでは、市町村と連携するものについて当初予算に間に合わないこともあった。これからもある可能性はありますが、できる限り一緒に、同時にスタートが切りやすいように、もしくは市町村にとっても使いやすいように、実際それが複合、総合されて住民の皆さんへのサービスとなるわけですので、その齟齬ができる限り少なくなるように、我々とすれば工夫していきたいと思っています。
では何がというと、少子化対策で言えば、待機児童の問題は非常に当然大きいですし、教育ということで、私が、当然キャリア教育だとか高校の教育、高校こそが県が主体的に責任を持っていることですので、気にはなりつつも、これまでうるさく言ってきたことが、小学校、中学校にかなり重点を置いていたのは、これも事実であります。小学校、中学校はもともと市町村が責任主体でありまして、ですからどっちがということではなくて、最終的にこの県民の、住民の皆さんにとって必要なこと、大事なことをきちんと取り組んでいく、そういうことで考えております。
記者)
今後、知事査定で知事の思いをつけられると思うんですが、現時点でどういう部分に、大事だと思ってやっていかれますか。
知事)
これから精査をさせていただきますが、1年目、2年目は、何かちょっとまだ伝わってないなという部分もありましたので、私はここが大事だと思うよということで知事査定をさせていただきましたけれども、随分、3年目、4年目になってきて、私の思いが浸透してきた、もしくはそれぞれの担当部局からのレクであったり、議論を通じて、私自身の考えが少し変わってきた、両方の作用がありまして、私自身、上がってきたものについて、「うわ、これは修正しなければ」という思いは、正直言って年々小さくなってきているところであります。
この要求を見ても、なかなか大変な制約がいろいろある中で工夫してくれてるなというのが正直な第一感でありまして、ここから、そうはいっても、ボリュームという面で、いや、ここはもう少し本当は増やしたいんだよなということについて、どういう工夫ができるか、いろいろ考えていきたいと思います。
記者)
個別の事業、特定の事業に大きくその知事の査定をつけるというよりかは、より幅広く、細かく振り分けるようなイメージでしょうか。
知事)
これまであったのは、ここを見落としてるじゃないか、何やってるんだというような、そういうタイプではなくて、ここについて、ああ、そうなんだよな、例えば教師業務アシスタントだったり、スクールカウンセラーだったり、そっか、もうみんなつけたいと思ってるんだけれども、やっぱり予算制約があったので、この人数しかつけられないか、でも何とかもう少し増やせないかな、ここを工夫して、こうしてああしてといった、そういうことがこれまでは多かったわけであります。
今回も、全く新しいものも、ちょっとここは無理かもしれないといって、それぞれの部局が遠慮していたものを、いや、でもやってみようよということもあるかもしれませんし、ちょっと抑え目の要求をしていたものについて、じゃあちょっとここ増やしてみようかということになるかもしれません。
記者)
人口減少対策というのがポイントだと思うんですが、長期的に見ると避けがたい課題に対して、その未来の姿を想像しながら、今できることという点においては、どういう狙いを持って取り組んでいかれたい感じでしょうか。
知事)
人口減少問題については、これは全ての事業に関わってくることでありますので、まず現実を見つめるということが大事で、そこから、このまま何もしないで、これまでどおりやっていくとここまでいくぞ、これは我々が望んでいる姿ではないので、いかにそれをいい方向に変えていくかと、この2本柱だろうと思っています。
おかやま創生総合戦略でも、まず人口減少を止めるんだというところに1章、2章が割かれています。これは自然減対策、社会減対策。それで、3章、4章というところは、その人口が今の想定に近い形で減っていった場合にどうするんだということで、経済力をつけていくんだと、一人ひとりの経済力をつけることで悪影響を最小限にするんだと。あともう一つは、1人当たりの経済力も思ったほど、期待したほどつかなかった場合には、お互いの助け合いで地域を支えていくんだということで考えているわけですが、とにかくその現実対応プラス、何が我々まだまだできるのか。これは、おかやま縁むすびネットで結婚の機運を盛り上げていくですとか、この保育所の待機児童対策、これ市町村と一緒に取り組んで、2人目、3人目が産みやすくするということであったり、もしくは我々は2年前に3人目以降の保育料の無償化に取り組み始めたわけでありますけれども、この経済的負担をいかに下げてさしあげられるかと、いろんなことをしながら、より良い未来を実現するために頑張っていきたいと思っています。
記者)
予算に関連して、就労継続支援A型事業所についてです。倉敷市でまた新たに事業を縮小するという事業所が出てきました。新年度予算では、事業所の経営改善の事業をメニュー化されているんですけれども、その利用している障害者の方にしわ寄せが来てしまうということで、障害のある人の暮らしを守っていくために県としてやるべきことというのは何かお考えでしょうか。
知事)
障害のある方ですとか、いろいろ福祉を必要とされている方、いらっしゃいます。この、さあどれぐらいなんでしょうか、このブレア政権、クリントン政権のあたりからと聞いてますが、その必要な人に給付を与えるというのが一番わかりやすい発想でありますけれども、それはそれで悪くないが、普通、多くの人は、生活ができないよりできたほうが絶対にいいんだけれども、そのときに、自分自身が働くことによってその対価を得ると、自分が社会に参加をしてその報酬を得るほうがよっぽど前向きなんだということで、この福祉から就労へという流れが随分世界中で広まっていった、その流れを受けたいろいろな施策だと私は理解をいたしております。
これまで、もう自分はそんなにできることがないんだというふうに思っていた人が、そういったいろんな会社がいろんな工夫をして、確かに自分は下半身に障害があるけれども、いや、手は器用なんだから、台さえ工夫してくれれば、いろんなことで、それぞれの障害者の特性に応じて能力を引き出して、経済的価値を、より高い価値を生めるようにしてきたわけであります。
私はその発想自体は大変真っ当な発想だと思っておりまして、ただそのA型事業所の仕組みをつくったときに、ちょっと正直私は、仕組みのつくり方が前のめり過ぎたところがあって、それを見越して、これだったら、そういった障害の特性に応じた工夫なんてしなくても利益が出るじゃないかというふうに安易に考えた業者もいたのかなと思っています。
是非、もともとの制度をつくったときの理念に立ち戻って、いろんな人のいろんな特性をうまく組み合わせたり、工夫をすることによって、能力を引き出す、もしくは能力を高めることで事業として回していく、そういった事業所を応援したいと思いますし、今からでもこの事業の改善をしていただくのは大歓迎でありますので、しっかり県としてサポートしていきたいと考えてます。
あと、問題が起きた場合には、そういう中・長期の改善というよりも、とりあえず対応ということになりますので、しっかり市町村とも協力をしながら対応をしていかなければいけないと思っております。
記者)
確認です。先ほど、「私の思いが随分浸透してきたような事業の要求になってる」ということなんですけど、それはどういった意味でしょうか。
知事)
私自身は、何かしようと思ったら、まず予算を取って、予算があればとりあえずいろんなことができるのではないかという類いの予算要求をしているんじゃないかという、ちょっとある種偏見かもしれませんが、私自身は、もともと民間企業で、何とかもがきながらやってきた人間ですので、全て予算ありきではなくて、動けることもあるだろうと。定例的にある予算の組み替え、そんなすごい承認どうのこうのではない、自分たちの権限内で動ける範囲も結構思ってるより大きいんじゃないのということを常に問いかけてきましたし、その正式な提案をして承認をしてもらうこの予算のときには、できるだけ多く取ってこようとか、人数が多いほうがいいよねということではなくて、それぞれの1万円、1万円は我々が払った税金なんだから、それをいかにうまく活用するかということを考えようねということをお願いしてきたわけであります。
また、何かこれは、国から何割出るので、そういう意味でただみたいなお金だからどうのこうの、別に県職員がただみたいなという個別の言葉を使ったわけではありませんが、そういう発想ではなくて、どこからお金が出るにしても、それぞれ元をたどってみると、我々自身が払った税金なんだから、いかに有効に活用するかということをしっかり考えようねということについては、私自身常に伝えてきたつもりでありました。
これは私の理解が進んだだけなのかもしれませんが、私から見て、それぞれ工夫してくれてるな、苦労してくれてるなということが、最初の1年目、2年目よりも最近感じられるようになってきたということであります。
記者)
知事は、小さな予算のものを効果を確かめて大きくしていくというような手法を以前からとられてきてるんですが、今回の知事査定、予算を仕上げる過程でも、そのような視点で取り組むということなんでしょうか。
知事)
はい。これは多分、私自身、一生変わらない信念だろうと思います。必ず小さくするというふうに決めてるわけではありません。場合によっては、ある程度の大きさでなければ効果が出ないものもありますので。それはあるんですが、とにかく、1つはリスクの大きさにもよるんですけれども、リスクが大き過ぎて普通にはとれないものでも、小さくすれば、その程度のリスクはとれるということは時々あります。これは失敗すると大変だなといっておじけづくのではなくて、この程度のリスクならとれるというものに分割できるときには、是非、小さくてもいいからそのリスクをとってみる。それでうまくいけば広げていく。うまくいかなかったら、一旦それは引っ込めて、また別の形で挑戦できないかどうか考える。ということで、私とすれば、小さくすることに主眼があるんじゃなくて、これまでなかなかこれは手が出せないなというふうに思っているものでも、そういった工夫で手が届くことが、可能性が増えるんじゃないかということで、小さく始めてというふうに言ってます。
非常に見込みがいい場合には最初から大きくすることもありますけど、でもそうやって、大抵の場合、小さく始めて、少しずつ大きくしたり、もしくは引っ込めたりすることで、リスクとリターンのバランスが非常に良くなります。大失敗を避けて、振り返ってみると、そこそこの成果が出ている割には、そんな大失敗が起きてないなということがやりやすい仕組みだと思っています。
記者)
知事、やはり地域へ目をより広げたことで、県民の皆さんにもより成果を実感してもらえたらなというお気持ちでしょうか。
知事)
そうなんです。とにかく県だけで全部やりますみたいなことにはそもそもなりません。もし県民の皆さんが、いや、県庁や市役所かどっかがやってくれるから安心だなということになったら、多分それは安心じゃありません。いかにこのいろんな方を巻き込んで一緒にできるかという、そういうような予算にできるかということでありますので、是非、我々も一緒にやることで、随分良くなるな、良くなったなというふうに思っていただけるように頑張っていきたいと思います。
進行)
それでは、以上をもちまして知事定例記者会見を終了いたします。
知事)
ありがとうございました。