今議会を終えて
私からは、3項目、お話をさせていただきます。
まず、先ほど、閉会いたしました6月定例会についてでございます。今議会では、県政全般について、幅広い御質問や御提言をいただきました。
新型コロナウイルス感染症につきましては、先月19日から、外出や県外への移動を原則自由とするなど、社会経済活動は広がりつつあるものの、県内経済は、依然として厳しい状況が続いているものと認識しております。医療提供体制については、第2波に備えて、医療従事者の安全・安心を確保しながら、感染者を受け入れる医療機関の病床確保や、医療機器の整備を進めてまいります。また、事業者への支援については、先月26日から、中堅・中小企業を対象とした特別支援金の受付を開始したほか、先日、県の融資制度の限度額の引上げを行ったところであり、厳しい経営環境の中でがんばっている県内企業をしっかり支援してまいります。大きな打撃を受けている観光については、需要喚起に向けた取組を、県内から段階的に展開してまいります。感染症から県民の命と健康を守り、県内経済を再生させるため、今議会で議決いただいた補正予算をもとに、第2波に備えた取組を進めるとともに、事業の継続に向け、全力で取り組んでまいります。
平成30年7月豪雨災害からまもなく2年となり、本日、復旧・復興推進本部会議を開催いたします。あらためて、亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、引き続き、復旧・復興に向けた取組を着実に進めてまいります。
県民限定宿泊クーポンの発行について
次に、県民限定宿泊クーポンの発行についてであります。
県民の皆様には、県内や近隣県で観光を楽しんでいただくこととしておりますが、まずは県内の観光需要を喚起するため、本日から、岡山県民限定の宿泊クーポンの発行を開始いたしました。県民の皆様には、県内の宿泊施設で、ゆっくりと過ごしていただき、様々な観光地を訪ねていただくことで、岡山の魅力を再発見していただければと思います。県民の皆様に観光を楽しんでいただくことで、岡山の地域経済を元気にしていきたいと考えております。
新型コロナウイルス感染症に関する県民の皆様へのお願い
最後に、新型コロナウイルス感染症に関する県民の皆様へのお願いであります。
昨日、新たに2例の感染が確認されるなど、県内でも散発的に患者が発生しており、また、東京都などの大都市部で感染者が増加傾向にあり、引き続き警戒する必要があります。県民の皆様には、患者の発生が続いている地域へ移動する場合、クラスターが発生している施設、特に、夜の繁華街に関連する施設への出入りについては、ぜひ、慎重に行っていただくようお願いいたします。
私からは以上でございます。
質疑応答
記者)
西日本豪雨の関連でお尋ねします。先ほど知事もおっしゃられたように豪雨から間もなく2年となりますけども、ハード・ソフト両面で現在の復旧・復興状況をどのように見られておりますでしょうか。
知事)
あらためまして、犠牲になられた方々に哀悼の意を表したいと思います。ハードに関しては、先日発表いたしましたけれども、河川・道路などの原形復旧工事が7割を超える箇所で完了をしているところでございます。原形復旧自体は、今年度中に完成をさせてしまおうということで進めております。コロナウイルスですとか、いろいろな阻害要因がありましたけれども、順調に進んでいるというのが認識でございます。詳しくは、今日の本部会議で各部局から発表がなされようかと思います。ソフトも、当初、我々が想定していたような、県庁自身が変えなければいけないこと、市町村に対応をしていただかなければいけないこと、県民の皆さんにそれぞれ準備していただきたいことについて、着実に進めてきたと考えているところでございます。ただ、我々が県の計画を立てる、市町村で計画を立てる、また、もっと細かい、例えば町内会単位でそれぞれ自主的に立てていただくためのモデル地区で作ってみて横展開をしてみたり、セミナーをしてみたり、研修会をしてみたり、いろいろなことはしているわけですけれども、それで県内全て細かい網が出来上がったかというと、そうではないわけであります。まだまだ道半ばといったところだろうと思います。それに加えて、2年前には想定していなかった新型コロナウイルス、感染症対策ということがございます。我々はもともと、とにかく危険が迫ったときに、対象地域にお住まいの方は、とにかく逃げていただくということを基本的な対処方針にしていたわけでありますけれども、高齢者の方、例えば80代の方であれば、今回の新型コロナウイルスにかかってしまえば死亡率が2割を超えるということが報告をされている。水害でも亡くなる方はいらっしゃるわけですけれども、人口比で言えば1%に満たないことが多いわけでありますので、それからすると、特に高齢の方、基礎疾患をお持ちの方、逃げるべきなのか、自宅にとどまっていただくべきなのかという境目がずいぶん変わってこようかと思います。新型コロナウイルス感染症禍のもとでの避難ということについては、我々自身のマニュアルも改定をし、市町村にもそれを伝達し、適切な避難行動、避難判断、また避難所での体制作りということは進めています。やれることはやっているつもりでありますけれども、まだまだ細かいところまできちんと詰まっているかということになると、やってみて初めてわかることも多分これから出てくるであろうということであります。我々として、わかっていたのにこれをしなかったというような後悔は今の時点ではありませんけれども、やはり、まだまだやるべきことというのは残っているなということが今の実感でございます。
記者)
被災者の方の中には、まだ1,200世帯以上、仮設住宅で暮らしている方がいらっしゃいますけれども、2年を迎えるということで、これからそういった方々に対してどのように支援をされていくお考えでしょうか。
知事)
仮設住宅に入られた方、ピーク時では9千人を超えていたわけでありますけれども、先ほど、3千人を切ったところであります。ピーク時の3分の1以下になった。ただ、裏返せば、3千人近くの方がまだ仮設住宅に身を寄せていらっしゃるわけでございます。3分の2の方は、自主的に再建をされて退去された。当然ながら、働いているですとか、健康であるですとか、もともと何か保険を掛けていた等の資金をお持ちの方、そういった条件のいい方から自主的に再建をされるということでありますので、残られた方は、平均的には条件が厳しい方々が残られていることが多いわけでありまして、一時期コロナでお休みをしておりましたけれども、県も市もいろいろな補助をしております。また、相談会などもしているところでございます。非常に有利なリバースモーゲージですとか、もしくは利子補給ですとか、これについては県も半分補助をすることを決めて今共同でやっているところであります。そういった取組を通じて、ぜひ計画を立てていただきたい。また、自分で建てるのはなかなか難しいという方が、先日、倉敷市の方で災害公営住宅の抽選がありました。抽選に漏れた方にも、市営住宅に有利な条件で入っていただくように手配をされているのは、非常に適切なことだと思います。また、それにも入られない方にも、市営住宅ですとか、場合によっては県営住宅ですとか、いろいろな可能性があるわけでございまして、市もそうですけれども、県としても、そういった入居されている方々に、伴走型で、どういうふうに計画を立てていかれるのか、きちんと相談に乗っていきたいと思っています。実際我々、かなり今でも相談に乗っているところでございます。ぜひ、我々の方でこうですよっていうことよりは、御本人もそれぞれ事情が違うわけでありますので、どういう方向に向けて、どういったスケジュールで考えていくのかっていうことを考えていただき、その実現をバックアップをしていくという、そのような体制で臨んでいきたいと思っています。
記者)
県全体的な話として、ハード面、ソフト面、両方あると思うんですけれど、どのように防災対策を進めていきたいとお考えでしょうか。
知事)
2年前の水害で、脆弱なところが浮き彫りになりました。これは国の絶大なる御支援もいただきながら、今、かなりの工事が進んでいるところでございます。堤防のことですとか、合流点の付替えのことですとか、そういった大きなこともそうですし、メンテナンスっていうこと、例えば樹木伐採ですとか、浚渫ですとか、そういったことも3年間の期限を切って大きく進めていく。また、その3年で全て終わりっていうことじゃなくて、我々も優先順位を付けて、これからもやっていくわけでありますけれども、そういったこともしていく。ただ、ハードをどこまで整備をしたとしても、堤防をどこまで高くしても、これは東日本大震災のときの津波に対する堤防と一緒ですけれども、理論上、この高さであれば100%住民を守れるという堤防高はないわけであります。川の堤防で、高さが20mっていったら我々びっくりしますけれども、だから必ず守れるかっていうと、もうほんの小さい割合で、やはりそれが越えられることはあるわけでありますので、結局のところ、最後、堤防、ハードの施設っていうのは、我々が逃げる時間を稼いでくれるものなんだという認識に立って、我々自身が安全な場所に移動しておくということが基本でありますけれども、大事なんだと思っています。今回コロナということがありますので、皆さんに呼びかけておりますのが、出水期に入りました、今日でも御自身の住所がハザードマップ上どういう分類になっているのか、最近のハザードマップは非常にわかりやすく、デジタルで拡大・縮小ができたり、移動ができたりするようになっています。私も自宅をやってみましたけれども、非常にわかりやすく表示をされておりました。どちらの方が危ないか、自宅が危ないかどうかと、東西南北どちらの方がより危ないのか、どのあたりが比較的安全なのか、何かあったらどこの避難所に逃げればいいのか、そういったことをぜひ御自身で、また御家族で確認をしていただきたい。もし、ちょっと周りにあまり良い場所がないなっていうことになったら、少し離れたお知り合いですとか、親戚のお家とちょっと連絡を取っておいていただけると大変助かるところでございます。また、マンションのそこそこの中層階、高層階の場合、そもそも避難する必要はないということもございます。ぜひ御自身のお住まいを、客観的にリスクを判断していただければと思っています。
記者)
ハード面とソフト面をバランスよく進めることで、逃げ遅れですとかそういったことを防ぐ取り組みを実施したいというようなことでしょうか。
知事)
おっしゃるとおりです。長く話しましたけど、一言で言えばそのとおりでございます。
記者)
先ほどコロナのお話で、東京でもまた感染が増えているというお話がありましたけれども、そういった特定の地域へ今後移動自体をちょっと控えてもらうようなお願いをする考えはありますでしょうか。
知事)
現時点ではありません。ただ、コロナの厄介な点が、コロナに限らないんですけれども、昨日の時点で107、その感染が行われたのは、実際には1週間前であったり、10日前であったりということですし、昨日、もしくは今日感染をする方の結果が出るのは、やはり10日後ぐらいになるであろうということですから、東京のグラフだけ見ると、今伸びていますから、このまま行くと、今日感染する実数っていうのは、107程度で済まない可能性の方がむしろ高いわけであります。ですから、どこかこれはやはりまずいということになれば、特に東京圏へ行くのを控えていただくようなお願いを、数日後なのか、数週間後なのか、出す可能性は十分にございます。今の時点で、私自身は東京に行くなとは言いません。いろいろなお仕事ですとかあるでしょう。東京に行かれる場合には、特に夜の繁華街には十分注意をしていただきたいと思っています。ウイルスがあるかもしれないどころじゃなくて、ウイルスがかなりまだまだ広がっているということが強く推定をされます。気をつけていただきたいと思っています。
記者)
先ほど知事が、夜の繁華街についての出入りっていうのは慎重にっていう趣旨をお話しいただいたんですけれども、これはあくまで県民に対しての知事からの呼びかけというレベルであって、正式に県として、繁華街の自粛とか、そういうことを要請というと厳しいかもしれないんですけども、そういうものではないということでいいんですか。
知事)
法的根拠に基づく要請ではございません。私からの呼びかけということでございます。
記者)
コロナの呼びかけの関係なんですけれど、ひとまず東京圏というお話でしたが、今後、岡山県内の過ごし方なんですけれども、あらためて知事はどのようなことをお考えでしょうか。
知事)
岡山県、昨日2例出たばかりでありますけれども、岡山県に限らず、地方で散発的にまた確認がなされるようになってきました。大半が、私の勉強している限り、東京、今回の大阪っていうのもありますけれども、東京、大阪、大都市圏からの持ち込み例でありますので、今、岡山の中心部で何か市内感染が広がっているということを示す兆候は出ていないということであります。東京、大阪に行っていただくのはいいんですけれども、特に夜が危ないということでありますので、別に日が落ちたら急に危なくなるということではありません。我々、日中は気を張ってるわけですけれども、夜になるとちょっとほっとする、もしくは昼間から酔っ払ってる人なんて滅多にいないわけですけれども、夜になると普通の人が普通にお酒を飲む、お酒を飲むといろんなガードが緩くなりますので、どうしてもソーシャルディスタンスを取るのが難しくなってくる。そういった関係もあろうかと思います。できるだけ、夜御飯食べないというわけにはいかないですから、さっと食べて、すっと宿舎に戻っていただくというのが大事なのかと思います。
記者)
豪雨から2年なんですけれども、先ほど仮設住宅で生活されてる方が3千人を切ったとおっしゃられていました。当面1年間は仮設の入居延長という措置があったり、災害公営住宅の入居というような措置があったりするんですけれども、3千人近くいらっしゃる仮設生活の方々の解消をいつ目指すのか、県としては今どのようにお考えでしょうか。
知事)
もともと仮設住宅は、仮設であります。2年間、国から期限を猶予いただいたわけですので、当然、2年間で解消を目指していたわけでありますけれども、なかなか実際にはそうそう簡単にはいかないわけであります。そういうことが、だいたいちょうど1年ぐらい前あたりから確実に見えてきたということで、国と協議をして認めていただいたわけであります。法律で条件によっては延長を認めていただけないタイプの災害もあるわけでありまして、例えば九州の北部の豪雨の場合には、そこまでの規模ではなかったということで延長が認められないタイプの災害でありました。今回我々は認めていただいたわけでありますけれども、1年認めていただきました。次の1年、必ず認めていただける保証は全くないわけでありまして、ぜひ、認めていただいた1年間を有効に使って、皆さんが次の安心して住める場所に移っていただけるよう、県としても、当該の市役所と協力をしながら進めていきたい。当然ながら無理やりっていうことにはなりませんので、先ほど申し上げましたけれども、どういう方向性で考えられているのか、どういう可能性があって、どういう問題点があるのか、いろいろ相談に乗りながら、我々としてもアドバイスをし、サポートをし、それぞれの方の再建に繋げていきたいと思っています。
記者)
国から延長を認められるかどうかっていう問題もある一方で、真備町で言いますと、ハードがきちんと完成するまで、やはり不安なので戻るのが難しいという時間のずれがあると思うんですけれども、このあたりが対応を考える上で難しんじゃないでしょうか。
知事)
あんなことがあった。ここにいるほとんどの人は映像で見たわけですけれども、実際に自分の家が浸かってしまった、いろんな思い出の品が駄目になってしまった、御自身も腰まで浸かった、胸まで浸かったっていう方は、工学的に言えばもう確率がこんなに減るんですとか、今の時点でもここまで安全になってるんですっていう、頭ではわかってもなかなか気持ちが向かないというのは、これはある種当然のことであろうと思っています。実際、合流点の付替え事業を10年かけてやるのを認めていただいた、私就任してから1年半の本当にうれしい思い出として覚えておりますけれども、それでもハードルが高かった。それをほぼ極限まで短くしてくれた、5年で進めるべく本当にしっかり工事を進めていただいています。ぜひ私とすれば、5年すればさらに格段に安全になるんだということを信じていただければと思っているところでございます。そういった1年延長っていうのも、ギャップを埋めることには大きく寄与をしていると思いますし、あと、もう一つ別の方向から言うと、身も蓋もないようなことでありますけれども、日本列島、完全に安全な場所はどこにもございません。それぞれ、いろいろなタイプのリスクがある。その中で、岡山県、比較的安全だということで、移住人気も高いところでございます。こんなことはありましたけれども、改善をされているということで、ぜひいろいろお考えいただきたいと思います。
司会)
それでは以上をもちまして、知事定例記者会見を終了いたします。
知事)
ありがとうございました。