おかやまマラソン2023について
私からは、4項目お話をさせていただきます。
まず、おかやまマラソンについてでございます。
12日に開催いたしました「おかやまマラソン2023」につきましては、大盛況のうちに無事終えることができました。御協力いただきましたすべての皆様に、心から感謝申し上げます。1万6千人のランナー、5千人のボランティアの皆様、絶え間ない声援を送っていただきました12万3千人の県民の皆様、御協力・御支援いただいた企業、団体の皆様、そして、安全安心な大会運営にご尽力いただきました医療関係者の皆様、本当にありがとうございました。私も4年ぶりに復活したファンランに出走いたしまして、ランナーの皆様と一緒に楽しんで走ることができました。
今大会は、コロナ禍前の熱気と感動を取り戻し、完全復活した大会となり、あらためておかやまマラソンの素晴らしさを実感したところでございます。
引き続き、おかやまマラソンが「走る」「みる」「支える」全ての皆様に一層愛される魅力的な大会として発展するよう、努めてまいりたいと存じます。
令和6年度予算編成方針の概要
次に、令和6年度予算編成方針についてであります。
まず、予算編成にあたっての基本方針であります。
「生き活き岡山」の実現に向け、「教育県岡山の復活」、「地域を支える産業の振興」、「安心で豊かさが実感できる地域の創造」の3つの重点戦略等に基づく施策、特に、待ったなしの課題である少子化対策に正面から向き合い、希望する誰もが安心して子どもを生み、また、育てることができる社会とするための施策を、市町村等とも一層の連携を図りながら、重点的かつ着実に推進してまいります。これにより好循環の流れをさらに力強いものにし、本県の持続的な発展に結びつけるための予算編成としたいと考えております。
次に、本県の財政状況であります。
令和4年度は、企業業績の改善などから税収が引き続き増加したものの、物価高騰や社会情勢の変化が今後の税収に大きな影響を与える可能性があると考えております。
また、コロナ前からの課題である社会保障関係費の累増や県債残高の高止まり、公共施設の老朽化への対応等に加え、物価高騰の影響による行政運営コストの増加なども見込まれることから、本県財政は厳しい状況が続くものと認識しております。
最後に、要求基準であります。
来年度予算においては、令和5年度当初予算を基に電気料金等の上昇などを考慮して、予算編成を行うこととしております。
来年度予算編成にあたっては、既存の施策・事業の積極的なスクラップ・アンド・ビルドを行い、限られた財源を有効に活用し、「生き活き岡山」の実現に向け、しっかりと取り組んでまいりたいと存じます。
ももっこカードの対象世帯拡大について
次になりますけれども、ももっこカードの対象世帯の拡大等についてでございます。
子育て家庭を応援する「ももっこカード」は、平成18年度の導入以来、多くの店舗の協賛を得ながら、普及・定着してきており、さらなる利用者の利便性の向上を図るため、来年1月から、現在の紙カードのアプリ版の運用開始を目指しております。
これにあわせ、対象となる子どもの年齢を、これまでの「小学校6年生まで」から「18歳未満まで」に拡大し、より幅広く子育て世帯を支援することといたしました。
また、アプリ内で表示するカードのデザインについて、先日(11月18日)発表した、県独自の少子化対策のイメージキャラクターを活用することといたします。
引き続き、協賛店の皆様の協力も得ながら、ももっこカードの利便性の向上や利用拡大に取り組み、社会全体で子育てを応援する気運醸成につなげてまいります。
JR芸備線について
最後に、JR芸備線についてでございます。
芸備線の一部区間につきましては、利用者が少ない状況が続いていることから、新見市や広島県、JR等と連携し、二次交通の整備やPR活動など、様々な利用促進策に取り組んでいるところでございます。
改正された地域交通法に基づき、先月、JRから国に対し、新たな枠組みによる協議の要請が行われました。現在、国から関係する地方公共団体に対し、意見照会が行われており、回答期限は今月27日となっております。
本県といたしましては、JRが要請している備中神代駅から備後庄原駅までの区間のうち、岡山県域にかかる区間について、これまでの利用促進の取組に加え、国の関与による、鉄道再構築の協議を始めることといたします。
今後、正式な回答文書を作成し、27日には中国運輸局へ提出したいと存じます。
私からは、以上でございます。
質疑応答
記者)
JR芸備線のことで、ここに資料が配付されておりまして、回答の方向性というのが示されたのですけれども、その中で再構築協議を始めることとするという中で、これを読むと、再構築協議会ではなくて、既存の法定協議会を活用して協議することが望ましいというふうに読み解けるのですけれども、これはなぜそういうような方向性で考えられているのでしょうか。
知事)
ちょっと文章読んだだけではわかりにくいですよね。我々として二つのメッセージをその中に込めているということでございます。我々が考えるのは、新見市にとって、地元にとって、どういう場で協議するのが一番いいのかということでこれまでも検討を進めてまいりました。やはり法定協議会の方が新見市にとってありがたい、その考えには変わらないということで、法定協議会の方がということを書いておりますが、だからといって、国が再構築協議会を設置する場合に、我々が参加しないということではない。もう少しわかりやすく言えば、国が再構築協議会を設置する場合は、我々も参加をいたします。その二つの思いを込めて、皆さま方への説明文書を書いております。
記者)
第1選択肢としては、法定協議会だという意思を示されるということだと思うのですけれども、今、新見市にとってありがたいというのは、枠組み等含めて、具体的にどういうところが、より法定協議会の方がそぐうというふうにお考えでしょうか。
知事)
再構築協議会は、鉄道を再構築するための協議会であります。前提を置かずにいろいろな可能性を考えています。そうした面で我々としても、国の関与をいただけるということですから、元々拒絶するようなものではないわけですけれども、法定協議会は、新見市が新見市の公共交通について考える場でありまして、鉄道、JR芸備線は非常にその中の重要なファクターではありますけれども、(公共交通は)それだけではない。新見市の交通体系を考える場に、国もJR西日本も参画していただいて考える場合には、新見市の交通体系として、(法定協議会の方が)より整合性をとりやすい話し合いができる。そういう面で、いろいろあるのですけれど、一番我々にとってはありがたいということではあります。再構築協議会で議論をした場合、新見市からすると、そこでの議論をもう一度法定協議会の場に持ってきて、鉄道に関してはこういう可能性が出ている。だとするならば、それに合わせて、バスですとか、いろいろな他のデマンドタクシーなどをどう組み合わせるかっていう、そういう議論になります。(再構築協議会と法定協議会の)二段階の議論ということになるわけでございます。それではできないということではないのですけれども、より都合がいいのは、新見市の法定協議会で協議をしていただければ、それは一番ありがたいということであります。
記者)
中国運輸局からの意見聴取の中では、参加メンバーをどうするかというところも問われていると思うのですけれども、そのあたりはどういうふうにお考えなのでしょうか。
知事)
我々については、参加メンバーを増やしたいということは特にございません。我々自身が参画をさせていただくという方向で(11月)27日に回答するつもりでございまして、他の地方公共団体でいろいろな意見があるということは聞いておりますけれども、我々自身はそれについて、特にお願いすることはないということです。
記者)
既存の法定協議会を使われて、例えば広島県とか庄原市とかがそこに加わってくるということはないのでしょうか。
知事)
法定協議会の場に、広島県が新見市の法定協議会であればそこに加わってくるかどうかちょっとテクニカルな問題になりますけれども、私のイメージではそういうことにはなっておりません。
記者)
続いて、JR芸備線のことについてお尋ねさせてください。岡山県域に係る区間について再構築の協議を始めることとするということが書かれていますけれども、鉄道をネットワークという点で捉えますと、今回JR西日本さんから提案のあった区間というのは、広島県庄原市まで及んだ区間ですけれども、特に岡山県における区間について協議を始めることとすると、広島側を除いた格好になっている。その理由を伺えますでしょうか。
知事)
我々、広島県ですとか、新見市ですとか、関係の地方公共団体と意見交換をしていたわけでありますけれども、全く意思統一をして、一つの文書を出すわけではありません。そういうことを求められているわけではありません。全く意思疎通をせずに、何をやっているかわかりませんけど、我々はこういうふうに思っていますという、そういうバラバラの回答はしないけれども、一言一句、同じ回答を求められているわけでもないし、するつもりもないということでありまして、我々の(県域にかかる)部分について答えたと。広島県のサイドについては、それぞれ関係する皆さま方がその思いを表明されるだろうと、そういうことでございます。
記者)
今回、少なくとも岡山県域については協議をすると。例えばですけれど、広島県庄原市側からですね、では新見市側、庄原市側一緒に、例えば法定協議会のようなものを作ってこの対象区間をともに協議をしませんかという提案があった場合は、どのようにご対応されますでしょうか。
知事)
それについてはまだどういった対応が出るか、先の仮定の話ですので、我々、特にこうしたらこうする、ああしたらああする、全ての場合、別の対応を決めているわけではありません。今、お示ししたのが全てでございます。
記者)
今回の再構築の協議を始めるにあたって、現時点で岡山県として考えている再構築の望ましいあり方、この区間についての望ましいあり方というもの、今現時点で考えておられることがあれば、伺えますでしょうか。
知事)
元々こういった協議を始めるときに、何か前提を置かない、これはすごく大事なことだろうと思っています。JR西日本さんと地元の方で、思いが被る面もありますし、立場が大きく隔たっている部分もあります。被るということで言えば、利用促進を進めてきているわけですけれども、何らかのことで、非常に需要が増えて、便数も増やすことができて、それで採算性も上がっていけば、これはもう本当に双方言うことなしということで、もっともっとみんなが使って、便利になる路線になることについては、文句はないわけですけれども、今でもかなり厳しい経営状況になっているというのは、JR西日本さんが開示をされた資料で明らかになっているわけでありまして、どうするのだというときには、ずいぶんお互いの思いに違いが出てきている、これは現実だろうと思います。これについて、どこがベストなのかというのは、なかなか我々とすれば、現状においては特に文句はない。あえて文句を言えば、もう少し便数があれば、便利でありがたいな、せっかく線路があるのだからということで、それはJR西日本さんからすると、こんなに採算性が悪いのにそんな贅沢言いますか、みたいな話に聞こえるのかも知れません。ですから、我々にとっても何がベストなのかというのはなかなか言えませんし、それが現実的かというと、さらに難しいことになろうかと思います。
記者)
わかりやすく言いますと、岡山県としては法定協議会を希望するけれども、再構築協議会になった場合も参加しますよ、というような形ということでしょうか。
知事)
大変わかりやすくまとめていただきました。
記者)
その理由としては、再構築協議会になった場合には、広島県も含まれて広範囲になることで、岡山県側の新見市の意見が反映されにくくなるのではないかという部分からというところになるのでしょうか。
知事)
それも、はい、あろうかと思います。何が一番新見市、地元の皆さんの移動手段を確保するにあたって、ありがたい場なのか、都合のいい場なのかということを考えたときには、先ほど説明したとおりですけれども、新見市で既に設立している法定協議会、これはそもそも公共交通に関する協議会ですので、整合性を一番取りやすい。ただ、そこにきちんと国がしっかり関与をしてくれるかどうかということがあるわけです。我々にとって、一番都合がいいと今考えているのは、法定協議会に国がしっかり関与をして、いろいろな提案を一緒に考えてくれるということなのですけれども、法改正までして、再構築協議会をつくるということで、国から参加するかどうか意思を問われているわけでありまして、それに参加しないというのは、かなり強い拒絶の意思表示になりますので、それはちょっとさすがに、はい、しないということであります。
記者)
再構築協議会になった場合についても、岡山県や新見市の意見が反映されるような体制というところも、要望はしていくことになるということですよね。
知事)
そうですね、これは何らかの協議をしていくわけですから。交渉をしていくわけであって、新見市の思いですとか地域の都合を100%、JR西日本さん、もしくは国が飲んでくれるとは思いませんけれども、その逆もないと思います。我々がこんな案は飲めないというものを、100%押し切られるということもあり得ないと思っています。それぞれでいろんな話し合いをしながら、いろんな案を出しながら、メリット、デメリットを考えるにあたって、5年後、10年後、20年後、どういう状況が考えられるのか、どういう案であれば、ある程度の持続可能性があるのかということも考えながら、できるだけ現実的で受け入れられる案が、双方にとってこれなら仕方がないなというような案が作れるのか、そういうことなのだろうと思います。
記者)
広島県側が再構築協議会に参加しないと仮に表明した場合は、岡山県の立場としては、どういうことになるのでしょうか。
知事)
先ほど申し上げましたように、いろいろな組み合わせが考えられるわけですけれども、我々はこういう組み合わせになったらこうするということを、今の時点で決めているわけではございません。我々自身、(11月)27日の回答期限の少し前でありますけれども、我々自身、国が設置するのであれば参加をするということを、今日初めてお伝えをしているわけでありまして、他の地方公共団体がどういうことになるか、我々自身、きちんと把握できておりませんし、その場合の対応について決めているわけではありません。
記者)
岡山県として再構築協議会に参加しない場合でも、新見市の法定協議会を設置して協議を始めるということでしょうか。
知事)
法定協議会はもう既にありますので、ここでの議論はこれからも続いていくことになろうかと思います。
記者)
再構築協議会に参加した場合は、(再構築協議会と法定協議会の)二つの会議があるわけで、どうリンクさせていくのでしょうか。
知事)
今、新見市にある法定協議会は、新見市の公共交通について考える会議体になります。それはJR芸備線のことだけではありません。国が設立、設置する可能性の高い再構築協議会、これはJR芸備線についての会議体でありますので、JR芸備線について集中的に議論をするということになります。JR芸備線での議論をもとに、新見市の法定協議会の方でも、鉄道はこういうことになるのだったら、では他のバス、タクシー、その他こういう調整が要るだろうなみたいな相談はすることになろうかと思います。
記者)
矛盾はしないというか、二つの会議を進めた場合にどうなるのでしょうか。
知事)
それぞれの会議体の目的が違いますので、我々とすれば、新見市の法定協議会、そこでJR芸備線についても、JR西日本や国としっかり話し合う機能が持てれば、そちらの方が我々からするとありがたいということは、これまで申し出てきましたし、今でも思ってはいるのですけれども、別に再構築協議会ができるのであれば、JR芸備線についてそこで集中的に話し合うというのも我々とすれば受け入れます、というのが、今日表明をした内容でございます。
記者)
JR芸備線というか、広島県が再構築協議会に参加しなくても、岡山県としては新見市の法定協議会でやっていくよと、そういうことでしょうか。
知事)
広島県が(再構築協議会に)参加する、しないではなくて、我々自身が、再構築協議会が設置されるのであれば、我々は参加しますということであります。
記者)
既存の新見市が主催する法定協議会で、利用促進というか前に進まなかった議論が、これ以降の法定協議会だと、どういうふうに話が前に進む展望があるということなのですか。法改正が気になるのですか。
知事)
これまで新見市の法定協議会で(JR芸備線の議論が)特に進んでいない一番の理由は、新見市にとっても、岡山県にとっても、JR芸備線の話は現状よりも悪くなる、変更になる可能性が高いということで、我々からして積極的に進めていきたい類の協議ではなかったということが大きいだろうと。
記者)
既存の法定協議会がでしょうか。
知事)
新見市の法定協議会で、JR芸備線の協議が進捗していない理由とすれば、我々からして特に一番極端な話では、JR芸備線を廃線にしましょうかみたいなことは、我々からすると、自分から提案するような内容では全くありませんので。ぜひ我々がお願いしたいのは、何とか利用促進を頑張りますので、維持をしてください、できれば便数を増やすような積極的な対応で、乗客を増やすような取組をしてもらいたい。そういう方向では、我々議論をしたいわけですけれども、JR西日本の方はむしろ逆の方、あまりにも採算が悪いので、これはちょっと鉄道として機能を発揮できていないということです。
記者)
既存の法定協議会と、新しく法定協議会でやっていきたいという法定協議会と、県としてはどういうイメージの違いがあるのでしょうか。
知事)
新しく法定協議会を作りたいと言っているわけではありません。今ある法定協議会の場で、JR芸備線についても、国の関与をいただいた上で、話し合う方が我々にとってありがたいという意見の表明をしています。新見市の法定協議会は、JR芸備線だけではなくて、新見市の公共交通全体について考える場ですので、そこでJR芸備線の話も、その他のJR芸備線と関わる公共交通の話も一緒にすることができれば、整合性がとりやすいということになります。JR芸備線だけ切り取って、再構築協議会で協議をする。これはこれで、JR芸備線のことを考えると、非常にわかりやすくてスムーズかもしれないのですけれども、新見市の立場で言えば、鉄道だけ切り取られて、そこですっと議論が進んだときに、それに対応して他をどうするのだという議論はまた別でしなければいけない。それが、新見市の法定協議会(の方がよい)ということになるわけですけれども。
記者)
新しく岡山県として希望する法定協議会は、新たにどんな展望があるということなのでしょうか。
知事)
今の新見市の法定協議会というのは、国が(積極的に)関与するものではありません。実際こういう問題について、JR西日本だけでどうこうというのは大変難しい。これまでも内部補助で維持をしていただいてきたわけですけれども、それが難しいというふうにJR西日本が言われているわけです。ではそれを新見市の財政で補填しますというような、そんな簡単な額ではないのも明らかでありまして、それは岡山県庁にとっても、簡単にああそうですかというような額では全くありません。ぜひ、国にも積極的に関与をしていただくことで、よりそれぞれの団体にとって受け入れやすい案が出るのではないかと、私は期待をしています。
記者)
法定協議会を希望されるとして、既存のメンバーを増やさないまでも再編することは考えていらっしゃらないのでしょうか。
知事)
今申し上げられるのは、国にしっかり関与をしていただく形の法定協議会にしたいということであります。
記者)
それは、今回の法改正によって可能になったということですか。
知事)
いや、そうではないと思います。これまでも法定協議会に国が踏み出していただければ、これまでもできたのだと思います。今回、法改正がありまして、国がしっかり関与する形で再構築協議会を国が設置できるようになった。これは、私は一つの前進だと思っています。これまで、国が関与して、そういった議論をする場というものはなかったわけですので、我々とすれば、国に関与してほしいというふうに申し上げてきましたが、そういう場は特になかった。再構築協議会は国が関与する場ができたということで、我々拒絶をしているわけではなくて、国の関与という面でありがたいと思っていますけれども、より望ましいのは、新見市の法定協議会に、再構築協議会のごとく、国が積極的に関与していただければ、そちらの方が我々にとってはありがたいのだ、そういう我々の都合を申し上げている次第です。
記者)
二段構えとして、再構築協議会が駄目だというわけではなく、これはあくまでも意見照会なので、要するに決定権は国にあるという理解、そういう受け止めでしょうか。
知事)
再構築協議会を設置するかどうかというのは国にありますし、参加するかどうかということについては、我々にも権限があると思っています。
記者)
二段構えになっているのは、つまりそれが駄目でも、再構築協議会を否定はしないというのは、広島県が法定協議会ではない選択をした場合でも、ちゃんと話が破綻しないようにされている、岡山県としての配慮なのかなと読んだのですけれど、そういう理解ではないのでしょうか。
知事)
そこまでの配慮をとは考えていません。我々、多分広島県も、新見市も、それぞれ自分たちの最善の利益を追求するがあまり、それが他の地方公共団体からすると受け入れられない、そういったものを主張することにはなっていないと思います。これまでいろいろ意見交換をする中では。極力歩調を揃える、もしくはそれぞれの思いを伝えながら、国に対して回答していく、JR西日本とこれから交渉していくということになるのだと思いますけれども、でも、全て意見が一致しないと外に向けて発信しない、できないというほどでもないと思っています。少なくとも今関係している二つの県と二つの市の、我々が今皆さま方にお伝えしていることで、他の三つの地方公共団体が、こんなことを言われたらもう自分たちはこの話に乗れないとか、動きようがない、そういう話をしているつもりはありませんし、ものすごい配慮をして、我々自身の思いを変えているつもりもありません。
記者)
再構築協議会と法定協議会の違いの一つで、事務局がどこにあるか、主導をどこが取るかというところがあると思うのですけれど、法定協議会にした場合、新見市が主導を取ることになると思うのですけれど、知事がおっしゃったように、国にも積極的にしっかり関与していただく形にしたいというのは、何か事務局の形を変えるとか、そういうことも念頭に置かれていらっしゃるのでしょうか。
知事)
法定協議会に国が積極的に関与して、そこで鉄道の問題について考える。私の知る限り、そんなことをこれまでやったという話は、私自身は、レクは受けていないわけでありまして、再構築協議会そのものが、法改正を受けて初めて動き出す仕組みですし、我々どういうふうに動かそうとしているのかについて、国に問い合わせをしながら、こういうことは認められるのですか、どういうつもりでそれぞれの法律の条文を書かれているのですかとか、いろいろ教えてもらいながら、勉強しながら進めています。それに近いような話ですけれども、法定協議会に国の積極的な参画を求めて、JR西日本と話をしていくということができたとしても、新しいやり方ですので、我々自身、具体的にこうやって、ああやってということが頭にあるわけではない。事務方の人に何か詳しいビジョンがあるのかもしれませんけれども、それを県庁で共有できているわけではありません。
記者)
来年度の予算編成で、少子化対策に重点を置くというふうにありますが、永遠のテーマとなりそうなぐらい難しい課題にあえて向き合うということで、あらためて知事の現在の頭の中でアイディアや思いがあれば、一言お願いします。
知事)
私自身、選挙でこの仕事をできることになりまして、常に考えていますことは、目の前の課題、これに対応する。これは当然なのですけれども、私が退任して、10年、20年、30年、もしくは今から20年、30年経って振り返ったときに、あの時にやっておかなければいけなかったことをできたかどうか、あの時だからこそできたことをしたかどうか、これは常に忘れないようにしています。いろんな課題がありますけれども、本当に一世代経ってしまって、何がその一世代後の地域に影響しているかというと、やはり、人口だと思います。当たり前ですけれども、自然増減と社会増減がありますので、その両方が効いてくるわけなのですけれども、でもやはり、自然増がなければ、移住してもらったと言っても、日本全体で考えれば、ゼロサムゲームですから。ちゃんと岡山に今住まれている方々、特に若い方々が結婚しよう、ここで暮らそう、家族を作ろうというふうに思っていただけるかどうか、これは本当に大事なことだと思っています。日本中で、国を挙げて、もしくはそれぞれの自治体も頑張っているわけなのですけれども、私、この前の全国知事会でも、全国の知事にお伝えしたというか、認識の共有を図ろうとしたところなのですけれども、夏の全国知事会でも他の知事も何か言っていたことと被りますけれども、我々、少子化対策というと、少子化対策イコール子育て支援というふうについ思いがちです。子育て支援というのは、それ自体非常に大事なことなのですけれども、全くイコールではありません。というのが、今の日本の現状からすると、結婚をしないとなかなか子どもを産もうということにならないわけでありまして、結婚をするかしないかで、あともう一つ、結婚をすれば、実は結構安定的に子どもが生まれています。今でも、この国立社会保障・人口問題研究所がこのデータを取っているわけなのです。少なくとも私の手元にあるデータ、1970年からのデータがあります。それは、結婚したカップルが15年から19年経って、何人の子どもを作っていますかという完結出生数。1組のカップルで何人子どもが生まれていますか、15年経ったら離婚していることもあると思いますし、いろいろあるのですけれども、その2人の間で何人子どもが生まれたかというデータを、国立社会保障・人口問題研究所がとっている。その数字が意外なほど安定をしているという、これは事実なんです。1970年のベビーブーマージュニア、戦後の団塊ジュニアの人たちがこれからワーッと生まれるという頃の出生、1組のカップルからの出生数が2.2あたりでした。そこから実は2000年あたりまで2.2というのは、ほとんど変わりません。もっとでこぼこしそうなのですけれども、ずっと真っ平らで、さすがに2005年を超えたあたりから、2.0を下回っているのですけれども、そしたらそこからつるべ落としみたいに、さあっと下がっていたのかというとそうではなくて、実はその後1.9あたりをずっと維持できています。実は、結婚したカップルはなんやかんやで、日本全国で2人前後の子どもを産むということは、この50年間変わっていません。合計特殊出生率が大幅に落ちた、50年で4割落ちたですとか、出生数自体が50年で6割落ちたことを考えれば、意外なほど安定をしているのが、結婚したカップルが産んだ子どもの数ということでありまして、岡山県、特に全国平均よりもさらに有利な状況があります。というのが、日本全国の希望出生率、若い人が、結婚したい人が結婚をして、結婚をしたときに産みたい子どもの数を産んだとすると、出生率は理論上いくつになりますかという計算ですけれども、全国的には希望出生率は1.80になります。2を超えないわけなのですけれども、岡山県の場合、5年前の調査から、希望出生率は2を超えて2.05ということになっています。岡山県の若い人の方が結婚したい意欲、それから子どもを持ちたい意欲、持ちたい子どもの数が、全国平均よりもそれぞれ高いということで、意欲はあるわけですので、結婚すればそういうふうに子どもは今でも生まれているわけですので、いかに結婚をお手伝いをするか、結婚できる環境を作っていくか、ここが非常に大きいと思っています。子育て支援もしっかりやりますし、結婚支援の方もしっかりすることで、ぜひ子どもの数を維持したい、回復させたいと思っています。
記者)
結婚支援の何か具体的な、良い例はありますか。
知事)
一つは縁むすびネット、これは非常に安心して入れる、また大変お安いネットワークになっているのですけれども、今年度、まだまだ半年弱残っていますけども、入会無料キャンペーン中でございます。私もいろいろなところで入ってくださいねというふうにお願いをしておりまして、ぜひ皆さま方も、会社で若い未婚の方がいらっしゃれば入っていただければなと思っております。
記者)
JR芸備線の話でちょっとだけ確認なのですけれども、先ほど二段構えという表現を使われましたが、法定協議会と再構築協議会は二者択一なのか、それともパラレルで並行して存在し得るものなのか、そのあたりはどういうふうにお考えでしょうか。
知事)
新見市の法定協議会は今でもあるものでありまして、これからも存続をします。問題なのは、JR芸備線をどこで話し合うのかいうことについて、せっかく今ある新見市の法定協議会で、JR芸備線について、国の関与をしっかりいただきながら、話し合いませんかというのが我々の提案なのですけれども、国の方が、我々法改正もしたし、JR芸備線については再構築協議会を設立するので、ぜひ岡山県さん、そこでJR芸備線について議論をしてください、というふうに言われたのであれば、我々はそちらに参加をして、そこで議論をすることについて受け入れますということです。そうなった場合には、再構築協議会で議論をして、その議論の過程、もしくは結果を新見市の法定協議会の方に持ち込んで、新見市の方で我々も参画をしながら、他の公共交通とどうやって整合性をとっていくのか、また話し合うということになろうかと思います。
記者)
法定協議会を選ばれた理由として、先ほど新見市の公共交通網全体で考えていくべきだということをおっしゃったと思うのですけれども、配付資料の地図を見てもわかるとおり、JR芸備線の東の端に新見市は位置しますよね。とすると、再構築協議会であれば、議論の主導権を握れないというような危機感みたいなものをお持ちだということなのでしょうか。
知事)
そう言われてもしょうがないのかなと。我々自身、議論の主導権を握って、それでこの他の自治体に振り回してでもという、そんな強い思いを持っているわけではないんです。ただ、地元の切実な願いとすれば、地元の事情をきっちりとわかっていただいた上で、つじつまが合うというか、受け入れられる結論に達したいという思いがありますので、うわーと決まって、とても受け入れがたいというものを押し付けられるという事態は当然避けたいわけなのです。そういうこともあって、新見市でこの議論ができれば、それは我々にとってありがたいというのは、受け入れられるかどうかは別として、そういうふうに思うのは、自分で言うのも図々しいですけれども、自然な発想だと思っています。
記者)
形はどうであれ、存廃を含めたあり方の協議に入っていくということを意思表示されているのだと思うのですけれども、今回の法改正、国の積極的な財政支援なんかも望める状況にもあるのかもしれませんが、そのあたり県として、最終的にどういったところに着地点を持ってきたいというか、イメージをお考えなのでしょうか。
知事)
今イメージはありませんし、そういったイメージは、逆にあまり持たないようにしています。とにかく、右からも左からもいろんな可能性があるのですけれども、我々、それぞれのオプションについて実際どういうことになるのか、ちゃんと計算したこともありませんし、我々自身にとってどうなのかっていうのを、ザクッと試算したことはあるのかもしれませんけれども、それが先方にとって、どういう影響を及ぼすのかというのは全く多分試算はしてないと思います。それぞれがこういうオプションだとこういうことになるんだということを、お互い資料を出し合って話していく中で、そうだったのかと。意外とこれは悪くないなとか、悪くないなと思っていたものが、結構これは大変だっていうこともあるのだと思います。我々とすれば、できるだけ予断なく、どういうやり方だったら、地元の皆さんが将来の生活を考えるときに、これならということになるのかと。そこはブレないようにしようと思いますけれども、具体的な方策が何かということについては、極力心を広く持って勉強する気持ちで協議に入りたいと思っています。
記者)
先ほど知事は、持続可能な公共交通網というような表現を使われましたけれども、やはりそのあたりは一つのキーワードでしょうか。
知事)
当然ながら、そんな極端な案を提案されるということはないと思いますけど、これから2年ぐらいだけ、こんなにうまくいっていいのですかという条件で、3年後から酷いことになるみたいなことでは、当然受け入れるわけにはいきません。これからどういうことが予測されるのかということも考えながら、我々自身も変化をしていきます。残念ながら、多くの地域で人口は減っていくわけでありますので、その時にどうなのだということも同時に考えなければいけないと思っています。
記者)
JR芸備線を再構築協議会か法定協議会かのどちらかで話し合うかの、ちょっと細かい確認でお聞きしたいのですけれども、再構築協議会の場合は、存続とか廃線とか前提なしに話し合われるということになると思うのですけれども、新見市の法定協議会で国が入ってJR芸備線について話し合うとなった場合も、仮に廃線という選択肢も含めての話し合いになっていくというお考えなのでしょうか。
知事)
我々の立場からすれば、法定協議会で話をする時には、廃線というオプションはありませんということで、JR西日本と国が入ってくれたらすごく都合がいいですよね。ですけれども、多分そういう協議には、国はわかりませんけれども、JR西日本が協議に入るとは普通思えないですよね。ですから、再構築協議会の前提条件と同じ前提条件で、法定協議会はどうですかというふうに呼び掛けはできるのでしょうけれども、(廃線をしないという前提で法定協議会はどうかというのは)ほとんど意味のない呼び掛けになるのじゃないかなとは思います。
記者)
いずれにしても、存続とか廃線とか前提を置かない形での議論に入っていくべき段階に来たということで、今回の意見になっているということでしょうか。
知事)
廃線を前提の協議では、我々はとても入れませんし、廃線はないという前提での協議だと多分JR西日本は入ってこられないと思います。ですから、前提を置かない協議というのは、現時点での立場で言えば、かなりかけ離れているように見える地方公共団体とJR西日本が協議に同時に入る、非常に大事な前提条件なのだろうと思います。
記者)
再構築協議会の場合は、JR西日本の問題だけが切り取られてしまう懸念があるみたいなお話だったと思うのですけれども、そこの懸念が配付資料の回答の2点目のところ、協議の内容が市全体に与える影響についても配慮がされるようにという、ここに反映されているということでしょうか。
知事)
我々、鉄道の問題というのは非常に大事なのですけれども、鉄道も手段のひとつですので、地域の皆さんが必要な移動ができるかどうか、どういうふうにするのかどうかということです。非常に極端な話をしますと、新見市のそれぞれの地域の皆さんが、病院に週に1回行かなければいけないのだ、できれば毎日なのだけれど、少なくとも2日に1回はスーパーに行っていろんな日用品、食材を買わなきゃいけないのだというニーズがあると、そのニーズを鉄道で満たすこともあれば、空飛ぶクルマがものすごい安価に安全にできるのだったらそれもありという、手段については、我々こうでなきゃいけないっていうのはないのですけれど、ぜひきちんと生活が回るように、どういうふうにすれば、それができるのだろうかということには強い関心があります。
記者)
再構築協議会に岡山県の方が参加するという意向は、新見市も同じという解釈でしょうか。
知事)
我々の思いについては、広島県ですとか、新見市ですとかに伝えてありますけれども、少なくとも私自身が、それぞれの団体がどういうふうに思ってどういう回答をしようとしているかということについて、今、私がお話できる状況にはございません。
記者)
新見市の意向を踏まえて、もしくは県庁職員が相談されて、こういう判断に至ったということでしょうか。
知事)
広島県とも意思の疎通はずっと続けていますけれども、特に新見市とは、ずっと連携をしていますので、一つ申し上げられるのは、今日皆さんにこういうお話をしていることで、新見市さんがびっくりしているということはないということでございます。
記者)
足並みを揃えて判断に至ったということでしょうか。
知事)
足並みを揃えたと言えるかどうかわかりませんけれども、岡山県がこういう思いでこういう回答をしようとしているということについては、他の方々にも十分伝わっているということです。
記者)
JR芸備線の件について、今回、第一には法定協議会での話し合いが望ましいということですけれども、既存の法定協議会を使うという理屈でいけば、このタイミングでなくても協議は可能だったと思うのですけれども、例えば昨年の5月に、JR西日本側からJR芸備線のあり方の協議を始めたいという申し出があったときに、それを受け入れて協議を始めることも可能だったとは思うのですが、このタイミングでこの協議を始めることを決めた理由を伺えますでしょうか。
知事)
我々にとって、JR芸備線の廃線も含めた協議に参加してくださいというのは、現状から悪くする協議ですので、我々の方として、そうですか、ではどんどん進めていきましょうというような類の議論ではありませんで、JR西日本と新見市ですとか、岡山県ですとか、そこでどうこうと言っても、なかなかお互いの立ち位置の隔たりが大きいですから、お互いがこれならと言って、納得できるような着地点が見い出せる、見い出すことができる可能性はかなり低いのだろうなと。ここはぜひ、国にも関与をしていただいて、それも横で話を聞いているだけではなくて、何らかの支援を、財政支援を含めた支援をしていただかないことには、なかなか着地点が見い出せないということですね。国としても、そんな事例があったわけではない、なかなかお互いの思いはあっても、じゃあどうするんだと。拘束力のある形で、それぞれの人たちがテーブルにつくような根拠がなかったわけであります。今回、国会の方で法改正がありまして、再構築協議会というものを設置することができるようになりました。また、設置された場合は、3年以内、一定期間内に結論を出すこととされたわけでございます。これは大きな前進だと思っています。そういった枠組みができた。枠組みができましたし、そういう機運が、もしくはスタンダードができたわけですので、我々、図々しいと言われるかもしれませんけれども、その精神、その考え方をぜひ、今ある法定協議会の方に適用をしていただけると、我々にとっては再構築協議会よりも、さらに良い議論、我々にとってありがたい議論の場になるのですけれどもということをお伝えさせていただきます。そういったように、国がガッツリ関与する法的根拠、法的根拠というのは、法定協議会に対する関与の根拠ではないのですが、国がしっかり関与する、そういう形ができたわけですから、これができるのだったらこっちもできませんかという、そういう話を我々はしています。
記者)
現在、広島県の湯崎知事は、JR芸備線を巡る協議については、広範囲で考えるべきだというような、広い範囲での議論をするべきだという考えを示されていると思います。それは沿線の新見市、庄原市に限らない他自治体も含めたというような認識を持っているのですけれども、一方で、今回の岡山県の回答の方向性を見ますと、むしろ新見市に特化した、ある意味広範囲とは違う方向性だなと思うのですけれども、これだけ見ると、広範囲で議論がしたい広島県と、新見市に閉じて議論したい岡山県でご意見がぶつかっているように見えるのですが、それはいかがお考えでしょうか。
知事)
それぞれの置かれている立ち位置は、結構違うと思います。その立ち位置の違いを反映しているのかなと思っています。我々の都合を我々が置かれている立ち位置からすると、これがありがたいのですということを表明しているわけでありまして、広島県の言っていることが、これが困るとかおかしいとかというふうに言っているわけではありません。それぞれの立場で意見を申し上げて、国の方でどういうふうに整理をしていくのか、そういうことなのだろうと思いますし、それぞれで調整をしていくこともこれからあるのだと思います。我々から見ても、広島県さんの立場で言えば、こういう意見を言われるのも確かにそうだなというふうに思うところも多々ありますので、これまでのいろんな意見交換の中で、我々の思いを広島県の方からも否定をされているとかという印象もありませんし、我々が広島県さんの言っていることが、何だこれはというふうに思っているわけでもありません。
記者)
JR芸備線について確認なのですけれど、新見市の法定協議会だった場合は、広島県は参加されないのでしょうか。
知事)
そうですよね、新見市のことを考える協議会ですので、オブザーバーで来られるのはいいのですけれども、あくまで新見市の交通体系を話し合う場です。
記者)
JR芸備線の話し合いに広島県が参加しないことによる、新見市とか岡山県のデメリットみたいなのものはないのでしょうか。
知事)
はい、いろんなことがあろうと思います。湯崎知事が言われているように、線路は1本のネットワークなので、あまり別のところで話をしても、局所最適の総和が全体最適に繋がるとは限らないよねという、これも大変重要な真実であります。ですから、我々とすればそれが都合がいいということを申し上げていますけれども、それが全ての真理だとか、これが必ず正しい結論に導くということまで主張しているわけではありません。それぞれどっちもどっちみたいなところがあります。全体で議論をすると、全体のことで無茶苦茶なことにはなりづらいのだけれども、地域を見ると残念だなということが起きやすくなりますし、地域で話をすると、そこの整合性は取れますけれども、いやいやこっちとこっちどうなのというところでまた別の調整がいる。ですから、どちらをすれば綺麗にできますということを言っているつもりはありません。我々にとって都合がいいのがこっちですというふうに言っているだけでありまして、それが認められるかどうかについては、我々もわからないですし、全体から見てどちらがいいのだということについて、今我々が申し上げているわけでもないということでございます。
記者)
吉備中央町の水質問題の関係で、県として、知事としてのお考えをお伺いしたいのですが、今回の件については、いろいろと法の問題とかには触れなかったりだとか、難しい部分はいろいろとあると思うのですけれども、とはいえ県の管理するダムに影響があったと思われる中で、もちろん協力はしていると思うのですけれども、吉備中央町に任せるだけではなくて、もう少し積極的に、県としても可能性のある事業者を聞き取りだとか、それぐらいのことはしてもいいのかなと思うところではあるのですが、水質というところについては、県民である町民の方々についてもかなり気になるところではありますので、そのあたりのお考えというところをお伺いいたします。
知事)
前回(10月26日)のこの記者会見で、どうなのですかということを問われて、報告の遅れがあったことですとか、違う内容の報告があったことですとか、それぞれについて、これは残念、遺憾であるみたいなことを答えて、何かずいぶん吉備中央町に対して、ネガティブな印象が少なくともニュースで流れていましたけれども、確かにそれぞれのことで言えば、私が答えたとおりなので、残念だったり、遺憾なのですけれども、ただ、吉備中央町の山本町長を始め、皆さん今もう必死で頑張ってくれていまして、それも吉備中央町の全町民は全員岡山県民ですので、岡山県民が飲み水のことで困っているわけですから、私としても、全面的にバックアップをしているつもりですし、そのように指示をしています。実は県の支援状況、今ここにまとめている資料があるのですけれども、結構ありとあらゆるところに関与をさせていただいて支援をしていますけども、ただ一つ、ここはきちんとしておかなければいけないのが、応援したい気持ちが強いあまりに、我々の方で何か指揮権を奪い取って、我々でやってしまうからっていうことは、多分してはいけないのだろうなと思っています。水道水を供給する、そのための施設の管理をする。これはそれぞれの基礎自治体にとって非常に大事な役割でありまして、その自主性、主体性というのは、これから持ち続けていただくことが非常に大事だと思っています。我々のバックアップということで言えば、ほぼ全ての場面において立ち会わせていただいたり、一緒に資料を作らせてもらったり、もしくは自分たちの方で、原因究明ということで言えば、吉備中央町の職員の皆さんが本当にてんやわんやであるのは明らかでしたので、我々の部隊が先にワーッと行って、いろいろなところでサンプルを取って分析をして、その分析結果を皆様にお伝えすると同時に、吉備中央町の方にも提供をさせていただくということをしましたし、実際原因なのではないかと言われているフレコンバッグについて、保管をしていた業者に聞き取っていないというふうに一部誤解されている向きがありますけれども、実際には我々も俗に言う聞き取り、どういう状況なのか、業者への接触は何度もさせていただいておりまして、追加のサンプルもいただいておりますし、非常にその会社は調査に協力をしてくれています。動かしたのじゃないかという話をされる方もいらっしゃるのですが、きちんと安全なところに保管をされているだけで、追加のサンプル取得についても、協力をしてくださる姿勢を示してくれています。とにかく我々とすれば、一刻も早く町民の皆さんが、また安心して水道水を飲めるように、我々の力で出来ることは全てやるつもりでおります。
記者)
吉備中央町の問題です。前回の会見で、あの時点での見方として、不法投棄の可能性が高いというふうにおっしゃっていましたけれど、まずこの点に関して、現在の調査状況を踏まえて、この見方は修正されるのかどうか、そこの一点を教えてください。
知事)
そもそも工場がないのに、そういった物質が高濃度であるということであれば、これは何かの物質が投棄をされている。それは大半が不法投棄になるので、これは不法投棄の可能性が高いのではないかということを申し上げたところでございます。今の時点となり、きっちりと強調しておかなければいけないのが、見つかったフレコンバッグの中から、このPFOS、PFOAを総合したPFASが見つかっている、これは事実です。そこまでは事実なのですけれども、現時点でその値は必ずしも高くありません。お伝えしていますように、溶出試験で320ng/L。活性炭ですから、まず水に溶かして、水にどれぐらい長く溶かすのかとか、いろいろなことで違ってくるとは思うのです。ただ、そこで出ているのが320ng/Lで、今我々が水質検査、沢の水から取った物で一番高い値が出て、62,000ng/Lですから、ずっと長く水に浸しておくと、まだまだ出るのかもしれませんが、ちょっとピンと来ない、逆ならわかるのですけれども。もしかしたら全くまた別の汚染源があって、その汚染源がフレコンバッグも汚染し、沢の水も汚染しているのかも知れませんし、我々、それぞれの検査については、そこそこの自信を持っていますけれども、フレコンバッグ置き場、もしくはその会社が原因かどうかについては、まだよくわからないというのが正直なところです。不法投棄かどうかということなのですけれども、不法投棄ではないということは、我々の現時点での認識でございます。保管をしていた、その保管の仕方がどうだったかという議論はあるのかもしれませんけれども、ただ、再処理、再利用をするために保管をしていたもので、実際に再処理をされた分量もあるわけですので、最初から捨ててしまおうという意図で、そこに置いたものではないと我々は認識をしています。
記者)
先ほどの質問にも絡むのですが、循環型社会推進課、環境管理課それぞれの役割と、いったい県はどこまでが県としての役割、ゴールだというふうにお考えなのでしょうか。
知事)
それぞれの役割については、後で担当者が詳しく説明します。我々とすれば、岡山県が水道を基礎自治体がやるような形で提供しているわけではありませんので、吉備中央町に成り代わって水道業務をする、もしくは何か吉備中央町がすべき業務を全部肩代わりするということにはならないと思っています。ただ、吉備中央町が今やらなければいけない仕事はたくさんありますので、その仕事をできるだけ迅速にしっかりできるように、サポートということで言えば、全力でサポートをしようと思っています。ですから、その水道水の水源をどこに切り替えるべきなのか、どういうやり方でするべきなのか、安全宣言はいつ出すべきなのか、これを決めるのは、私ではなくて吉備中央町の山本町長になりますし、ただその判断をするにあたって、必要な情報ですとか、資料ですとか、そういうことについては、町の職員は今もてんやわんやですから、もしくはその一部、非常に専門の知識が必要なものについて、町の職員が今から調べるよりも、我々の方でお伝えする、もしくは我々が調べてお伝えをする、これは非常に大事なことだと思っています。吉備中央町として必要なことができるように、我々も全力でサポートするということです。
記者)
知事が先ほど不法投棄ではないのだと、管理の仕方がどうだったのかという議論はあるけどとおっしゃいましたが、まさにその管理の仕方がどうだったかについては、適正だったのかどうだったのかっていうことに関しては、県は踏み込まないのでしょうか。
知事)
活性炭ですから、一般的に活性炭っていうのは、そんな危険物質だという認識はないわけなのですよね。PFOS、PFOAを含む総称であるPFASについても、ほんの数年前から注意すべき項目に加えられた、もしくは大量に摂取すると健康被害の可能性があるということで、製造が禁止されたものであって、フレコンバッグが置かれたのが、10年前なのか15年前なのか、その時点ではその物質を調べなさいね、気を付けなさいねというのは、言われてなかったはずですので、そこまで要求するのは酷なのかなというのが、今の我々の素朴な感想ではあります。ただ、これからいろんなことで調査が進むにあたって、少し意見が変わってくる可能性もあります。
司会)
それではこれをもちまして、知事定例記者会見を終了いたします。
知事)
ありがとうございました。