令和6年能登半島地震への対応
私からは、3項目お話をさせていただきます。
まず、令和6年能登半島地震への対応についてであります。
このたびの地震で、亡くなられた方々に心からお悔やみを申し上げますとともに、被災されたすべての方々にお見舞いを申し上げます。
県では、県内市町村と連携し、全国知事会の広域応援協定や国の応急対策職員派遣制度に基づき、要請があれば、速やかに人的・物的支援が行えるよう準備を進めるとともに、国からの要請に基づき保健師やDMATなどの専門チームをこれまでに派遣してきたところでございます。
今後、被災地の状況やフェーズに応じ支援ニーズも変化してくることが想定されますが、西日本豪雨で大きな支援を受けた本県としては、様々な要請に対してスピーディかつ継続的に対応していきたいと考えておりまして、市町村と緊密に連携し、「チームおかやま」として一体となって被災地を支援してまいりたいと存じます。
令和6年度当初予算要求額の概要について
次に、令和6年度当初予算について、11月に公表した予算編成方針に基づき、各部局と財政当局の間で協議・調整を重ね、予算要求額をとりまとめましたので、概要をご説明いたします。
資料1ページ「1 要求額」をご覧ください。
一般会計の要求額は、7,498億5,200万円となり、前年度当初予算を6.5%、523億円下回る要求となっております。えらく下がったなと思われるかもしれませんが、理由を申し上げます。
主な要因としては、病床の確保などの予算を計上していた新型コロナウイルス感染症対策推進費が438億円の減となることや、県庁舎耐震化整備事業が令和5年度に完了し、71億円の減となること、小田川合流点付替え事業の完了等により国直轄河川事業負担金が36億円の減となることなどが挙げられます。この3つを足しただけで、その減額を上回るということでございます。
特別会計は3,785億1,700万円で、前年度比3.1%の減、また、企業会計は198億5,400万円で、前年度比9.0%の増となっております。
資料2ページ「4 要求額の内訳」をご覧ください。
義務的経費については、前年度比0.5%、26億円の増となっております。
一般行政経費については、前年度比28.2%、458億円の減となっております。
このうち事業費は、新型コロナウイルス感染症対策推進費の減などにより、前年度比36.3%、477億円の減となっております。
投資的経費については、前年度比10.8%、91億円の減となっております。
主な要因は、県庁舎耐震化整備事業の完了や小田川合流点付替え事業の完了等による国直轄河川事業負担金の減などであります。
資料3ページ「5 第3次晴れの国おかやま生き活きプランに基づく主な重点事業」をご覧ください。
当初予算編成方針において、待ったなしの課題である少子化対策に正面から向き合うこととしており、それに基づき取りまとめた、重点的に取り組む少子化対策事業についてご説明をします。
まず、(1)番の「少子化対策総合推進事業」について、5ページの資料をご覧ください。
企業とのタイアップとして、経営者等が子育て支援に前向きに取り組む意識を醸成するための取組など、男女ともに安心して子育てをしながら仕事ができる職場環境づくりを企業と一緒に進めてまいります。次に、結婚の“壁”対策といたしまして、おかやま縁むすびネットの利便性向上や、新婚夫婦や結婚を希望するカップルが協賛店で特典を受けられる結婚応援パスポートのアプリの構築など、様々な手法やツールによりまして、出会い・結婚への関心を後押しし、希望が叶うよう支援を強化いたします。次に、空気感の醸成として、こどもまんなかマナーアップ県民運動など、社会全体の意識醸成・環境整備を進めてまいります。また、市町村バックアップ事業を拡充するなど、市町村との連携を一層密にして、取り組んでまいります。
次に(2)番の「子ども・子育て支援環境の充実」について、6ページの資料をご覧ください。
潜在保育士の就業支援や現任保育士の離職防止などのこれまでの取組に加え、広域エリアでの就職面接会の開催や、保育職場等体験ツアー等による学生と園・地域とのつながりづくり、ICTの活用等による保育士の負担軽減などに取り組むとともに、新たに全国展開が予定されている地域限定保育士制度を本県にも導入いたします。これらによりまして、保育人材の確保を一層強化してまいります。
これらの少子化対策に係る事業に取り組むことにより、希望する誰もが安心して子どもを生み育てることができる社会の実現を目指してまいります。
ここで、資料3ページにお戻りください。ここからは第3次生き活きプランの重点戦略に沿ってご説明をいたします。
教育県岡山の復活についてでありますが、(1)番の「学校における働き方改革の推進」では、高校入試におけるインターネット出願の更なるDX化や、教師業務アシスタント及び部活動指導員の配置拡大などを実施いたします。
(4)番の「長期欠席・不登校対策」では、近年増加傾向にある不登校児童生徒の支援を行うため、進学意欲のある不登校の中学生を県立高校内に設置する教育支援センターで受け入れて進路選択を支援するとともに、社会へつながることが困難な児童生徒を対象としたオンライン上の居場所確保の取組を実施いたします。
次に、地域を支える産業の振興についてでありますが、(1)番の「産業用地開発総合支援事業」では、新たに市町村企業誘致担当者の実践力を強化するための研修ですとか、個別課題についてフォローアップを行うなど、市町村の産業用地開発を支援するとともに、産業用地を探している企業に対し、本県の優位性等を積極的にPRしてまいります。
(5)番の「県北アートを切り口とした県観光振興事業「森の芸術祭 晴れの国・岡山」」では、県北部12市町村をエリアに国際芸術祭を開催するとともに、その開催効果が最大限発揮できるよう、地域交流事業の充実や受入環境の整備等を行い、滞在・周遊型の観光振興を図ってまいります。
資料4ページをご覧ください。
次に、安心で豊かさが実感できる地域の創造についてでありますが、(2)番の「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム構築推進事業」では、精神障害のある人が、身近な地域で自分らしく暮らしていける仕組みづくりを包括的に進めるとともに、その一方策として医療費助成の枠組みを構築することとしており、それに向けて必要なシステム改修を行ってまいります。
(3)番の「おかやま安全・安心サステナブル防災事業」では、河川の浸水リスクを低減するため、河道掘削等に引き続き取り組むとともに、橋梁の倒壊や流失防止対策を実施してまいります。
最後に、予算編成方針において重点的に予算を配分することとしていたDXの推進、脱炭素社会に向けた対応についてでございます。
まず、DXの推進についてでありますが、(1)番の「市町村標準化支援事業」では、戸籍や住民税等に関する市町村業務について、情報システムの標準化を支援するため、市町村へ専門人材を派遣することとしております。これらの取組によりまして、行政、産業界を含めた岡山県のDXを推進いたします。
次に、脱炭素社会に向けた対応についてでありますが、(1)番の「脱炭素社会の実現を目指した地球温暖化対策」では、家庭・事業者・市町村への支援に加え、県有施設の照明のLED化を推進するなど、県自らが率先的な取組を進めてまいります。
(2)番の「水島コンビナートの競争力強化とカーボンニュートラル推進事業」では、水島コンビナートの2050年カーボンニュートラル実現のため、CO2排出量の調査や取組の検討を進めてまいります。
以上が主な事業の説明でございます。
第3次生き活きプランの総仕上げに加え、喫緊の課題である人口減少問題に挑んでいくとの私の強い思いに沿った要求になっていると考えておりますが、今後、財政状況も勘案しつつ、より一層力を入れたい部分へ、事業の追加などを行いたいと考えております。
おかやま子育て応援宣言企業1,000社突破について
最後に、「おかやま子育て応援宣言企業1,000社突破」についてであります。
県では、平成19年度から、従業員の子育て等を応援する具体的な取組を宣言した企業や事業所を「おかやま子育て応援宣言企業」として登録しており、先月末、登録数が1,000社を突破いたしました。
登録企業は、製造業をはじめ、医療・福祉業など多岐にわたっておりまして、県ではこれらの企業を、従業員の子育てに理解のある働きやすい職場として、学生等に対し、積極的にPRをしております。
来年度の少子化対策においても、企業との連携のもとで様々な施策を進めることとしておりまして、応援宣言企業の取組についても、さらに拡大が図られるよう、優良事例の公表も含め、県内企業・事業所等への働きかけを強化し、子育てと仕事の両立が可能な職場づくりを一層推進してまいります。
私からは、以上でございます。
質疑応答
記者)
予算要求のことで何点かお尋ねします。まず一点目です。今回知事が先ほど申し上げられましたように、第3次生き活きプランの総仕上げとなる予算だと思います。あらためて知事がこの予算要求を見て、どのように評価されているか教えてください。
知事)
まずこの要求ということですけれども、ちょっとこの名前が紛らわしいのですけれども、要求と言いながら、各部局の要求を財政課が査定をして、ほぼ出来上がったものとして提示をさせていただいています。私とすれば、今回これまでの3本柱に加えて、少子化、これに真正面から取り組んでいくのだと、できることは何でもするのだという思いで、何度も何度も担当部局に来てもらってはアイデアを出してもらう。アイデアを出してもらい、検討したということで、これまでになく少子化対策については、いろいろな可能性について検討をしたということでございます。DX、脱炭素についても、特出しをする形で検討を進めましたが、正直申し上げまして、少子化対策に圧倒的に熱量を込めて検討したというのが、実際のところでございます。あともう一つ特徴的なのが、これまでもやっていたつもりではあるのですけれども、市町村と一緒にやろうということに関して、今回は、常に気を配って施策を取りまとめてきたところでございます。当然ながら、岡山県庁だけの土地、俗に言う直轄地みたいなものはないわけでありまして、岡山県は全て27市町村のどこかに入るわけですし、岡山県民は全て27市町村のどこかの市民、町民、村民であることはわかっているのですが、これまで以上に、とにかく市町村といかに一緒にやっていくのか。応援する場合もあれば、一緒にやっていく伴走、併走、いろいろなことで、とにかく市町村を支援する、巻き込むことができないのかということを常に念頭に置きながら、いろいろな施策を考えてきたというのが、本年度の特徴だと思っています。あと、これまでもそうしてきたつもりなのですけれども、うまくいっているものはそのまま続ける、もしくは拡充をするわけですけれども、本当にどうなのだ、少し離れたところから、もう一回我々がやっていることが本当に効果を生んでいるのか、もしくは県民の皆さんから評価されているのかということを自分たちで批判的に見直した上で、組み立てようねということは意識をします。一番典型的なのが、5ページの少子化対策総合推進事業ですけれども、今日のある新聞にも大きな記事がありましたけれども、少子化対策というと、すぐ子育て支援というふうに短絡的にいくケースが多いけれども、実は結婚支援という方が本当は効くのだと。どうしても、予算の大半が子育て支援に行くけれども、それは少子化対策ということで言えば、ピンボケになりやすいことなのだということを識者が解説をしています。我々もこれだけやっていたのに、合計特殊出生率が1.45から1.39に落ちるなんてどういうことなのだということで、本当に出生率、出生数を上げるためには何をしなきゃいけないのだという、(対策を)やっている雰囲気を出すとか、我々が頑張るというのではなくて、結果を出すためには何をしなきゃいけないのだということで、この三つ、企業とのタイアップ、結婚の“壁”対策、空気感の醸成ということにたどり着いた。一つの例でありますけれども、とにかくお父さん、お母さん、もしくはお父さん候補、お母さん候補の大半は民間企業で働いているのに、これまで十分、民間企業を巻き込んだ取り組みをしていなかったというのが、最近の我々の反省点でありまして、この大規模なアンケートも行って、また個別の面談調査も行って、これからいよいよ企業を巻き込んでいく。調査でわかったのは、企業のトップの考え方次第で、その企業の施策、もしくはその企業の職場での働きやすさが大きく変わると。一般的には大企業ほど施策が進んでいる、もしくは業種によってずいぶんばらつきがあるということがわかったわけですけれども、そういうことに関わらず、小さい会社であっても、なかなかそういう施策が難しい業種であっても、トップがこれは大事だというふうに思っていると、ずいぶん違うということがわかりましたので、とにかくトップの方に理解をしていただく、協力をしていただくということであります。結婚の“壁”対策は、よく第1子の壁、第2子の壁、第3子の壁と言います。第1子の壁が結婚、第2子の壁が旦那さんの協力、第3子の壁が経済的な問題と言われる話で、当たり前なのですけれども、第1子の壁を越えなかったら第2子の壁に辿り着くこともできないわけですから、まずやっぱり結婚していただく、それもずっと結婚したいかどうかの意向調査については、いろいろなところでアンケートを昔から継続的にやっていて、(結婚を希望する方が)8割を切ったアンケート調査がほぼない。要するに、皆さん結婚はしたい。別の調査でも子どもを持ちたいという方が結構いらっしゃるにも関わらず、いろいろなことで結婚が遅れたり、結婚できないまま40歳、50歳を迎えている。ここはもっともっと結婚しやすい環境を作っていくべきだというのが結婚の壁対策です。空気感の醸成というので反省しているのが、私個人とか私の友だちに聞いても、結婚した、子どもが生まれた、子育てをしている、結構幸せを感じている人多いです。アンケート調査を見ても、どの年代、男性、女性両方とも、結婚している方が、子どもを育てている方が幸せだというふうに答えるアンケートの方が非常に多い。全てとは限りませんけれども。にもかかわらず、ニュースでは、もしくは我々照れ隠しで、結婚してひどい目に遭っているですとか、子育てについては、趣味の時間が取れないとか何とかいろいろなことを、照れ隠しで言っているのかもしれないけど、それを若い人が真に受けてしまう。いろいろなことで、結婚すると大変なのか、子育てすると自分の時間を持てなくなるのかと。ある一面事実かもしれないけれども、トータルで言えば、本人たちが幸せに感じているにもかかわらず、若い人たちが過剰にネガティブに捉えているのではないかという、いろいろな何が起きているのだ、どこをクリアするのだという、そういうことで組み立て直しているということがございます。とにかく我々これだけの予算をかけて、岡山県をより良くするためなので、結果を出していくために必死で考えた必要な人、子育て支援であれば企業ですとか、いろいろな施策において、市町村ですとか、いろいろな人たちを巻き込んで、県庁だけでやろうとするのではなくて、みんなでとにかく前に進めていこう、そういう思いを込めた予算でございます。ついでで言えば、6ページの保育人材の確保についてなのですけれども、実際、我々はこれまで保育士・保育所支援センターにおいて、市町村が保育士を採用しやすくする間接的なバックアップを、自分たちとすれば強力に支援してきたつもりですけれども、この1年間とってみても、あらゆる場で、市長会ですとか、県民局ごとのトップミーティングですとか、もしくは個別のいろいろな公式な場、非公式の場で、それぞれの首長から、とにかく保育士が採用できない、もしくは退職もある一定割合であるので、確保できてない、足りてないという話をお伺いして、これは我々自身が乗り込む勢いで、市町村の皆さんの非常に大きな悩み事に対して対応しようということで、(6ページの資料を)見ていただければ、もう新新新新と新規事業のマークがいっぱいあろうかと思います。これまでだったら、これどれぐらい効果あるかなとか、これは我々がやることかなとか、いろいろやって、もう少し査定をされていた可能性が高いものも複数含まれているのですけれども、とにかく我々の方で、頭で考えて、これはやめておこうというのではなくて、自分たち、この場合は市町村を支援するということですから、自分たちが市町村だとしたら、この企画をどれぐらい期待してくれるだろうかという、我々から見るとどうかなというふうにちらっと思っても、これは期待が大きいかもしれないという、この可能性にかけようということで、広め広めにとって、これまでも小さく産んで大きく育てるということをやってきましたけれども、これまで以上に広めにとって、とにかく何が当たるのか、保育人材の確保ということで言えば、市町村を支援できる、実際にそれぞれの地域で子育てがやりやすくなりそうな可能性があるものはもう全部拾って取り組むことにしたという、これまでよりは、ずいぶん市町村支援に対して、もしくは少子化、子育て支援に対しても、踏み込んだ内容にしたと私は思っております。すいません、ちょっと長くなりました。
記者)
少子化対策のことで伺います。先ほど知事もおっしゃられたように、合計特殊出生率が下がっている、出生数自体もずっと下がっている中で、この状況を打破するためには、予算ではありますように、企業を巻き込む、企業との連携ですとか、結婚支援のところがより重点的になるという形で、今回のこの予算になっていると理解でよろしいでしょうか。
知事)
そうなのです。とにかく結婚を早め早めに意識をしていただいて、(お相手を)探していただく、これが非常に大事なことだと思っています。よく、就職をしました20代のうちに、仕事の基盤も固めて結婚、できれば出産もしておきたいというふうに考える女性は多いように私は理解していますけれども、実際に起きることは、仕事ですごく大変になって、もしくは20代後半の方でようやくちょっとした責任ある仕事を任されて、期待してくれた上司を裏切るわけにいかない、一緒に働いている同僚をがっかりさせたくない、もしくは割り当ててもらったクライアント、お客様をがっかりさせたくないということで、頑張りすぎているうちにプライベートが後回しになってしまったという、自分とすればあの時に仕事も頑張るのは良かったのだけど、ちゃんと結婚しておきたかった、あの時付き合っていた人と結婚すればよかったという体験談は、いろいろなところに出てくるわけでありまして、妊娠できる期間というのが、10年前、30年前と比べて、実は伸びていないという事実に鑑みまして、やはり早め早めの結婚、妊娠、出産に対する心構え、心の準備をぜひしてもらうよう、我々としても努めていきたいと思っています。
記者)
これからこの予算要求を元に、2月の本予算に向けて知事が加えられたり、いわゆる知事査定があると思うのですけれども、今回のこの予算要求を踏まえまして、どういうところに手厚く配分したいというふうに考えていますでしょうか。
知事)
冒頭申し上げましたように、かなり私自身の思いが入っていますので、かなり付け加えなければ私の思いが反映されないというわけではありません。一応ここで出来た中で、これからまた県議会の皆さま方ですとか、お話をさらに追加で伺う中で、やっぱりこうだなですとか、これをもう一回見直した中で、そうは言っても、ここもう少しということについて、これから検討していきたいと思っています。そんなに大きな額には多分ならないと思います。
記者)
予算要求とは少し外れるのですが、岡山市が検討している新アリーナの件について伺います。岡山市の市長は去年の末に、県との協力の上、実施すべき事業だという考えをあらためて示されまして、県のプラスのリアクションを待ちたいという旨の発言もありました。知事として、現時点で新アリーナについてのお考えがありましたら教えてください。
知事)
今回の予算には、新アリーナに関する予算は含んでいないわけでありますけれども、元々、岡山市が進めてきた体育館の計画でありまして、市は合併特例債、合併推進債が使えるのでいろいろな事業をされておりまして、また、岡山県庁が陥ったような財政危機のも陥らずに、高谷前市長がさらに財政基盤を強固にされましたので、ずいぶん置かれている状況が違って羨ましいなということでありますけれども、突如我々の方を振り向いて、県にお金を求めるということがありました。法的根拠があるわけでもなければ、事前の合意があったわけでもありませんので、そもそも格段の理由がなければ、我々予算を支出することを県議会に提案することもできないし、説得なんてさらに難しいわけですので、どういう理由があってそういうこと言われているのですかという、その最初の理由の、経済波及効果が岡山市内よりも市外の方が大きい、岡山市内より市外の方が大きいから県が費用を出すということも、そもそもそのロジックが怪しいわけですけれども、それが前回、岡山市が再計算をして逆転をした。これ自体は、私はまっとうな計算だったと思いますけれども、その最初の我々にお金を要求する理由が崩れてから、プロスポーツは大事なのですけれども、我々が応援をする、例えばスケジュールの調整をするですとか、そういう応援はするのですけれども、お金を出すということ、公金の支出というのは非常に厳格な手続きでしなければいけませんので、その理由については、まだ説明がないなと思っているところでございます。我々が県議会に対して、また県民に対して、こういう理由があるので、公金を我々が元々考えたこちらではなくてこちらに使うのですという、何か、むしろ説得をしていただかないと、我々自身、やりたいと思ってやっているわけではないので。そこはお願いしたいと思います。
記者)
担当課には、能登半島地震のことでアンケートを取らせていただいているのですが、あらためて知事の言葉で認識をお伺いしたくて聞かせていただきます。今回の能登半島地震では、石川県内の幹線道路があちこちで寸断されて、生存率が急激に落ち込むとされる72時間以内に、救助作業とか救命確認とか物資の輸送が滞る事態が起きました。もし岡山県内で同規模の地震が起きた場合、同じようなことが考えられるのか、もしそうだとすれば、事前に何か対策なり被害を減じるなりの方策が考えられるのか、お伺いします。
知事)
大変難しい質問だと思います。今回の地震対応が遅いのではないかという批判が一部の方から出ている。それが一部なのか知りませんが、これは私も認識をしております。ただ、実際あそこまで条件の悪い被災地、この10年、20年の災害の中ではなかったのかなと思っています。非常に細長い半島で起きた、冬の積雪、降雪もある中での作業になった。また、1回ドンと地震が起きた。6年前の西日本豪雨の場合、ひどい災害でしたけれども、雨が3日間降り続いたその後、7月6、7、8日と雨が降って、9日からは、これ以上何か大雨が降ってもっと酷くなるですとか、何かそれ以上のことが起きるということは、ほぼないだろうと想定した中で作業ができたわけですけれども、今回の地震、非常に3年前から断続的に続いて、今回大きな地震があって、その後も結構大きな地震が続いていて、いつ熊本地震のときに起きたような、あの1月1日の地震を上回る地震があるかもしれないという中での作業だったわけでありまして、なかなか石川県の職員の皆さんも、国も対応ご苦労されたのだろうと思います。全国知事会と我々個別の県とすれば、早くこれを支援してくれ、これをやってくれと言われたら、駆けつける思いで待っておりまして、何かして差し上げたいのですけれども、あれだけ道路が寸断をされて、アクセスが例えば真備町の場合、ああいう位置関係ですから、東西南北、どこからでもアクセスが可能だったわけですね。北に山がありますから北からというのはないかもしれませんけれども、それと比べて、ご案内のとおり能登半島、港が隆起とかいろいろなことで大半使えなくなって、船でアプローチが非常に難しいということも考えると、本当にこれまでにない混乱の中での作業だったのだろうと思います。
記者)
今のお話だと、石川県の地形的な問題とか、厳寒期という時期的な問題もあって、余計困難だったということではあるのでしょうけれども、岡山県でも、例えば地震によって道路の寸断とか、地形的とか雪がずっとある状態で降り続いて、寸断された道路が見えない、路面が見えないというような状態はどうでしょう。石川県ほどではないまでも、道路の寸断が起きて、それによって先ほど申し上げたような救助作業とか、安否確認が滞るというようなことは考えられますでしょうか。
知事)
本当に小さい確率であれば、全ていろんなことが考えられるのだと思うのですけれども、6年前の西日本豪雨の我々の教訓ということで言えば、岡山県でも孤立集落は複数発生をいたしました。岡山県でも広島県でも大体一緒だと思います。大体どこの場所でも、複数どころか、3つ、4つのルートでそこに入ることができる場所が大半ですので、なんか1か所どこか土砂崩れがあったとかぐらいのことでは、全くの孤立集落にはなりづらいというありがたい面はあるのですけれども、ただ厳格な意味での孤立集落ではなくても、非常に物資の輸送ですとか、移動が困難になるというのは、これはもう十分あるわけでありまして、我々が一番困ったのは、山陽自動車道と中国縦貫道を縦に結んでいる高速道路の岡山道が、片側1車線の部分で土砂崩れがありまして、使えなくなった。これが非常に困ったということがございました。それをきっかけに我々、これまで以上に優先順位を上げて、また熱を入れて4車線化を要望し、それについては、確かにこれは大変だと。南海トラフ地震のときに我々は被害を受けるのです。でも、我々自身被害を受けると同時に、四国を何とか救わなければいけない土地の前線基地になります。いろいろな物資を、岡山県に一旦集めてそこから瀬戸大橋等で送り出すときに、我々自身の細い動脈がそんなことで止まったら、これは大変なことになりますよねということは全くそのとおりだと。その前線基地のための備蓄倉庫が岡山道の沿道にあるものですから、こうやって見ると本当に四国にとっては大変なことにもなるということもありました。ですから、全く今回能登半島地震で起きたことが、我々といろんな意味で環境が違うのですけれども、あそこまですぐ近くに数多くの、また、長い活断層は岡山県にはありませんので、あれと同じようなことは、岡山県では起きませんけれども、根っこの共通部分、幹線道路が寸断をされると、格段に対応が難しくなるというのは、これは岡山県でも認識をしているところでございます。
記者)
今回の能登半島地震では、過疎地で高齢化が進んでいる集落の共助の仕組みが崩れて、地元のコミュニティを維持できるところがお年寄りばかりで、なかなか機能しないという事態が起きました。こういうことは岡山県内で例えば想定されないか、想定されるとしたら、そういう過疎地の高齢化が高いところでの共助が揺らぐ事態に、事前に対応できることがあるかお聞かせください。
知事)
これは本当に難しい問題だと思います。ここで私が一言で、ああそうかというような解決策があれば、多分全国で既に取り入れられていたはずでありまして、岡山県の場合は、中山間地域においてそれぞれの集落の人口減少、もしくは高齢化、これは現に起きています。ただありがたいのが、そういった県中部、北部は、地震のリスクがそう大したことはない。非常に地盤の安定した吉備高原がその大半ですし、津波のリスクもゼロです。豪雨のリスクは、常にある一定はあるのですけれども、ただ、そんなに水が溜まるような構造の場所が少ない。さあーと流れていくということで、土砂崩れのリスクはあるわけですけれども、大規模な災害に見舞われる岡山県での可能性はやはり南海トラフ地震ですとか、それに付随する津波、四国と比べると高さも低いですし、2、3時間の余裕はありますけど、そうは言っても、干拓した0m地帯を津波がスーッと早く走りますので、そういったことはあります。そこは先ほどの限界集落とは全然違う地域です。ですから、災害と限界集落、その組み合わせで大変なことになるというのは、岡山の場合、幸い、それぞれ別のものとして対応できるケースがほとんどかなと思っています。ただ、別の地域で起きた困難な事例については、常に我々の参考になる要素がありますので、今回の能登半島地震について、我々一生懸命支援すると同時に、そこからまた、我々にとっての教訓を学び取っていきたいと思っています。
記者)
今回の予算要求の中でも、南海トラフ地震の被害想定の見直しという事業が入っています。個別事業で恐縮なのですけれども、能登半島の地震があったこと、先ほど知事おっしゃられたように岡山においては南海トラフが一番のリスクということで、これまでの教訓ですとか踏まえて、どのように被害想定を見直していきたいと考えていますでしょうか。
知事)
今、直近で我々が持っている南海トラフ地震の被害想定は、国によって算定されたものです。発表されたのが10年近く前ですけれども、これは堤防が機能するかどうかで、2種類に分かれています。被害想定とすればちょっと変わったタイプかなと思いますけれども、南海トラフ地震で堤防が崩れて、その直後に来る津波を、その堤防で防げなかった最悪の場合、そのタイミング、潮の満ち引き、いろんな意味で最悪のタイミングで起きたケースで、3,000人以上の死者が出るということになっています。実際の数字は、3千何百人とか何かあるのです。もし堤防が耐震化されていて、最初の地震に耐えた状態で、津波を受けたと。津波を全部堤防で防げるわけではありませんけれども、少なくともそのエネルギーをかなり受け止めた、そういう場合には、最悪のケースでも死者数が300人台365人でしたか、300人台で済むと。これはほぼ10倍違う話ですので、その結果を受けて、私自身はすぐ検討をして、いかに安く堤防の強化ができ、一番強化の必要性が言われていたのが児島湾締切堤防でしたので、ここを強化するのにどうなのだと。最初の試算が3百数十億円かかるということで、いろいろ方法を工夫して、2百数十億円にできるということで、そこで農水省に対して、我々もルールで決まっています3割負担をしますので、ぜひお願いしますということでお願いをして、採択していただいて、今工事中ですけれど、これも小田川合流点付替え(事業)と一緒で10年かかるということで、例えば今日南海トラフ地震が起きると、なかなかまだ機能していない状態ですけれども、今、矢板を打ち込んでいる真っ最中です。工事ができれば、ずいぶん我々南海トラフ地震と津波に対して強くなるのですけれども、その他の堤防の強化もしなければいけませんし、そもそも堤防があるからと言って安心しているのが一番危ないわけでありまして、やはり地震があったら津波を想定して遠くに逃げる、川からも逃げるということについては、これからも県民の皆さんに常に周知をしておかなければいけないと思っていますし、より詳細な被害想定のアップデートも必要だということで、今その作業を始めるための予算を計上しているということでございます。
記者)
新アリーナの関係で確認です。先ほどの話が全てだと思うのですけれども、先週、事務レベルでの協議があったかと思うのですけれども、ここでも、要は議論が前に進むような内容というか、心変わりするような話はなかったという認識でよろしいでしょうか。
知事)
協議は先週の12日に、岡山市の担当者が県庁を訪れていただきまして、県の担当者と協議を行ったと報告を受けています。岡山市の担当の方からは、新アリーナの目的や必要性の他、プロスポーツによる利用頻度など、現状での想定について説明をしていただいたということを教えていただいております。
記者)
従来と同じということでしょうか。
知事)
説明をしていただいたことは大変ありがたいと思っております。ただ結局のところ、我々が県議会に対して提案をし、納得をしていただけるに足るような説明というのは、大変大きなものでありまして、今実務的にいろいろ教えていただいているのですけれども、そもそもどうして我々がというところとは、またちょっと違うのかなと思っています。
記者)
新アリーナの関連でお伺いします。(岡山)商工会議所が署名活動をされていて、集まったら県にも持って行きたいというお話をされていると思うのですけれど、今の時点で、知事に持っていきたいという話は聞いていますか。
知事)
今日の夕方、(岡山商工会議所の)松田会頭が私のところに来られるようになっています。でも、そのときに署名を持って来られるのかどうかは、私は承知をしておりません。
記者)
(松田会頭が来られることに関して)プレス発表はありましたか。
知事)
多分そういうものではなく、ですから多分署名を持って来られるのではなくて、長年のお友達でもありますし、話がしたいということだと思います。
記者)
もし署名を持ってこられた場合には、受け取るお考えはありますか。
知事)
誰が受け取るか、これから相談します。
記者)
岡山市だけじゃなくて、(岡山)商工会議所も、県にも協力を求めたいみたいなことを言っていると思うのですけれど、その点については、何かお考えはありますか。
知事)
最近、市長は、この計画の主体は市じゃなくて経済界なのだというふうに言われていますので、そういう意味でも経済界の方々のご意見というのは、我々聞く必要があるのかなと思っています。
司会)
それではこれをもちまして、知事定例記者会見を終了いたします。
知事)
ありがとうございました。