令和6年度6月補正予算案の概要について
このたび、6月補正予算案を取りまとめましたので、その概要について、ご説明いたします。
「1 予算編成のねらい」でありますが、国の重点支援地方交付金を活用し、中小企業等の生産性向上・事業効率化支援や「2024年問題」を抱える物流事業者への支援など、物価高騰に負けない地域経済づくりの一層の推進に取り組むとともに、公立学校の1人1台端末の更新のための市町村等への補助など、当初予算編成後の情勢の変化に対応するため、補正予算案を取りまとめたところであります。
「2 補正予算額」でありますが、44億9,871万円となっております。
「3 事業概要」についてであります。
まず、「物価高騰に負けない地域経済づくり」のうち、「生産性向上・事業効率化支援」でありますが、中小企業等に対し、デジタル技術の活用や新事業展開など生産性の向上に向けた取組を引き続き支援いたします。また、旅館等における人手不足解消、生産性向上に向けた取組や、交通事業者の人材確保、デジタル技術を活用した効率化の取組を新たに支援いたします。
次に、「物流の2024年問題への対応」でありますが、貨物運送事業者が物流効率化に向けて行う設備導入や、青果物の輸送を効率化するためのパレットの仕様統一化に向けた取組を新たに支援いたします。
最後に、「当初予算編成後の情勢の変化への対応」であります。Gigaスクール構想により整備している公立学校の1人1台端末を計画的に更新するため、市町村等への補助や基金への積立を行います。また、水島警察署庁舎建替整備事業につきましては、実施設計の結果を受けた令和6年度予算や債務負担行為の変更を行います。
これらの事業を着実に実施し、県民生活や県内経済をしっかりと支えてまいります。
私からは、以上でございます。
質疑応答
記者)
今回の補正予算を見ますと、旅館の人手不足、それから2024年問題、これは物流(業界)の人手不足だと思います。この辺りが深刻化していると思うのですけれども、この現状への認識と、今回の補正予算でどういうふうにしていきたいかという思いを教えてください。
知事)
人手不足、これは今に始まった話ではございません。日本全国で言えば、例えば、第二次安倍内閣発足後、何年経った頃でしょうか、それが3年だったのか覚えていませんけれども、初期の3本の矢((1)大胆な金融政策、(2)機動的な財政政策、(3)民間投資を喚起する成長戦略)がうまくいっていますという例で、あまり具体的な名前を言ってはいけないですけれども、常に有効求人倍率が1を切っているので有名な地域、日本に何か所かあるわけですけれども、そこですら、久しぶりに戦後でも何回かしかない、有効求人倍率1を超えたということが、内閣の成果として挙げられていたことがございました。基本的にどの時代も、どの国も雇用が増えると、人手が余っているのではないのだというのが成果になるわけです。私も(知事)1期目のときは、岡山県の有効求人倍率は他県よりも高いのですと言っていたのですけれども、途中から私自身は、それについては自慢しなくなりまして、補助の要件についても、新たな雇用という条件を少しずつ緩めたり、落としたりしています。本題なのですけれども、実際、全国的にも今本当に人手不足ということが言われるようになっております。岡山県はもう少し前からそういうことで、有効求人倍率が、少なくとも私が知事でいる間、全国平均よりも常に高いわけですから、企業からすると、団体からすると、なかなか思ったようなレベルの人、もしくは人数が集まらないということが続いているわけでございます。申し訳ないなという思いと、これだけ仕事があるわけだから、ぜひ、岡山に安心して移住していただけますと、ずっとアピールはしているのですけれども、大変な事態であると同時に、よく経済界の学者の方、もしくは外国の友だちと話をしていると、チャンスだと言われます。何かというと、これも外国の話ですけれども、それぞれの国にとって、国を豊かにしたい、国を豊かにするときに、これが今だったらAIに対して、もしくはコンピュータ全般に対して、いろいろな生産性向上のための投資をすれば、その国や地域が豊かになるのはわかっているけれども、それによって大抵の場合、失業者が増える。それは政治的に容認をされない、もしくは制度的にそれがなかなか受け入れられないということで、例えば外国でロボットの導入がなかなか難しかったのに、日本はそういう制約がほとんどなかったこともあって、日本は製造業にロボットを導入することで、非常に日本の製造業(は)、今も強いのです。ただこの10年、20年、実はアメリカ、ヨーロッパと比べて、新しいシステムの導入が日本は遅れがちになっています。例えばライドシェアについて言えば、他の国で当たり前になっていることが、なかなか日本で、いろんな理由があって導入できない。そういうことがライドシェアに限らず、結構たくさんあるわけなのですけれども、今は人手不足だということで、生産性向上に対する投資に対する反発が、日本でいえばこの20年、30年来一番低くなっている時期だと思っています。ここで支援しなければいけない。ここでそれぞれの会社、業界、団体の皆さんに、勇気を持って取り組んでいただくことが、未来の繁栄に繋がると、そういうふうに考えています。ピンチですけれども、もう少し長い目で見ると、チャンスとも言える段階だと思っています。ただ、やはりピンチには違いありませんので、そのときに私が気を付けているのが、どこかの団体が、大変な人手不足なのですと言って、そうですか、では皆さんが人を集めやすいように手当を打ちましょう。その手当を使って時給を上げてあげてください。ありがとうございますと言って、時給を上げました。そこに人が集まってきましたというのは、その部分だけ見ると改善ですけれども、どこからか(人が)移ってきているわけですから、これもゼロサムゲームなのです。それぞれの業界をまたいだ、もしくは地域をまたいだということで、それよりも例えば、青果物を運ぶときのパレットの統一というのがその典型例ですけれども、パレットは、昔はいろんな形のものがありました。それを長方形だといろいろなものがあって大変だから、正方形にします。それも正方形でも大きさがいろいろあると良くないので、1.1メートル四方の正方形にします。これは製造業においては、20年前か30年前にワイワイ言って、ずいぶん前に完了したことなのですけれども、私、少し不勉強で、青果物の運送について、未だにこれができていなかったというのはつい最近知りまして、そんなところで余分の人手をかけていたのか、他の業界では、とっくの昔に解決していたことを、ここまで引っ張っていたのかということで、急いで(改善を)やってと(言った)。これによって、ずいぶん馬鹿馬鹿しい人手を省くことができます。これが一番典型的な話であって、とにかくやらなくていい作業を省けるようにすることで、人手不足に対応する。旅館の話とか共通しています。
記者)
この補正予算に対する思いというものを、全体的なものとしていただけますか。
知事)
今、県民の皆さんが直面しているのは物価高騰です。事業者の皆さんが直面しているのは物価高騰に加えて、人手不足ということがございます。それに国の方から支援があった、国庫補助金をいかに有効に使うかというときに、今だけ、その(補助金)対象の業界だけということではなくて、極力その地域全体での生産性向上を通じて、一過性でない効果が現れる施策をできるだけ拾い上げるようにしたつもりでございます。
司会)
それでは以上をもちまして、知事定例記者会見を終了いたします。
知事)
ありがとうございました。
余談ですけれども、この(26日の)全国植樹祭(関連)にご協力いただきまして本当にありがとうございました。