三笠宮妃百合子殿下のご薨去について
三笠宮妃百合子殿下のご薨去の報に接し、悲しみの念を禁じえません。
本県へは、昭和37年に開催した「第17回国民体育大会秋季大会」へ御臨場を賜るなど、過去、幾たびも御来県いただいており、親しく県民に接していただきましたことを深く感謝しているところでございます。
在りし日の妃殿下のお姿をしのび、県民の皆様とともに謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
第4次晴れの国生き活きプラン素案について
私からは、4項目、お話をさせていただきます。
まずは、第4次晴れの国おかやま生き活きプランの素案についてであります。
第4次生き活きプランにつきましては、7月に骨子案を公表し、県議会や市町村をはじめ、幅広くご意見をお聞きしながら、検討を進めてまいりました。
選挙期間中は、県民の皆様の声を直接お聞きする中で、県政に対する期待の大きさを感じたところであります。
骨子案公表後の様々なご意見も踏まえながら、このたび、素案として取りまとめたところでございます。
それでは、お手元の資料の「生き活きプラン素案の概要」をご覧ください。
第1章の「基本的な考え方」でございます。
1の「県政の基本目標」については、引き続き、「すべての県民が明るい笑顔で暮らす「生き活き岡山」の実現」としております。
2の「プランの性格等」の「長期構想」については、現在生まれた世代が20代を迎える2040年代半ばの岡山の将来像を展望いたします。
行動計画については、これまでの3つの重点戦略に、「少子化対策」として、「結婚・子育ての希望がかなう社会の実現」を新たな柱に加えた 4つの重点戦略を掲げ、計画期間は、令和7年度からの4年間としております。
次に、2ページにまいりまして、第2章の「長期構想(岡山の将来像)」でございます。
1の「2040年代半ばを見据えた潮流と課題」として、さらなる人口減少社会・超高齢社会の到来に加え、激甚化・頻発化する自然災害などについて、整理しております。
次に3ページをご覧ください。
3の「2040年代半ばの目指すべき岡山の姿」について、4つの重点戦略ごとの視点で描いております。
また、4ページでは、先ほど触れました4つの視点の関係性を示しております。この図のとおり、好循環のサイクルを一層加速させてまいります。
次に、5ページにまいりまして、第3章の「行動計画」でございます。
行動計画では、4つの重点戦略の下に、22の戦略プログラムを掲げております。
プログラムの進捗状況を示す代表的な指標として、99の生き活き指標を設定し、157の施策を推進するものであります。
続きまして、各戦略プログラムの概要となります。
6ページ、新たな柱に加えた重点戦略1「結婚・子育ての希望がかなう社会の実現」では、3つの戦略プログラムを掲げております。
7ページをご覧ください。主なものを説明させていただきます。
1の「出会い・結婚応援プログラム」でございます。
少子化対策の取組みとして、新たに「婚姻率」を掲げ、「社会全体で出会い、結婚を応援する気運の醸成」などに取り組んでまいります。
続いて、2の「妊娠・出産・子育て支援プログラム」でございます。
新たに「出生数」を掲げ、「子育てにやさしい社会づくり」などに取り組んでまいります。
次に、8ページをご覧ください。
3の「子育てと仕事の両立支援プログラム」でございます。
新たに「14日以上の男性の育児休業取得率」を掲げ、「男性の育児休業取得促進に向けた環境の整備」などに取り組んでまいります。
続いて、9ページ、重点戦略2「夢を育む教育県岡山の推進」でございます。4つの戦略プログラムを掲げております。
11ページをご覧ください。
3の「多様な教育ニーズ支援プログラム」でございます。
誰一人取り残されない学びを実現できるよう、指標に、新たに「小・中・高等学校における不登校児童生徒のうち学校内外の機関等で相談・指導等を受けた児童生徒の割合」を掲げ、「不登校児童生徒等の学びの場の確保」などに取り組んでまいります。
次に、12ページ、重点戦略3「地域を支える産業の振興」では、5つの戦略プログラムを掲げております。
14ページをご覧ください。
3の「観光振興プログラム」でございます。
指標に、新たに「訪日外国人旅行消費額」を掲げ、「国・地域の特性を踏まえたインバウンド戦略の展開」などに取り組んでまいります。
最後に、16ページ、重点戦略4「安心で豊かさが実感できる地域の創造」では、10の戦略プログラムを掲げております。
17ページをご覧ください。
1の「保健医療充実プログラム」でございます。
健康寿命の延伸を図るため、指標に、新たに「日常生活動作が自立している期間の平均(健康寿命)」を掲げ、「心と体の健康づくりの推進」などに取り組んでまいります。
次に、18ページをご覧ください。
4の「防災対策強化プログラム」でございます。
指標に、「ハザードマップの確認を行っている県民の割合」を掲げ、「自らの命は自らが守る取組の促進」などに取り組んでまいります。
次に、19ページをご覧ください。
6の「持続可能な中山間地域等形成プログラム」でございます。
指標に、新たに「地域のニーズに応じた交通サービスを導入した件数」を掲げ、「地域公共交通ネットワークの活性化」などに取り組んでまいります。
次に、20ページをご覧ください。
8の「脱炭素化推進プログラム」でございます。
2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、指標に、新たに「岡山県温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度の対象となる事業所の温室効果ガス排出量」を掲げ、「温室効果ガスの削減に向けた取組等の推進」などに取り組んでまいります。
次に、22ページをご覧ください。
今後のスケジュールでございます。
この素案をもとに、パブリック・コメントや、県議会、市町村など、幅広くご意見をお聞きし、必要な修正を加え、来年3月の策定を目指してまいりたいと存じます。
令和7年度予算編成方針について
次の項目は、令和7年度予算編成方針についてであります。
まず、予算編成にあたっての基本方針であります。
来年度は、現在策定を進めている「第4次晴れの国おかやま生き活きプラン」の初年度となります。「生き活き岡山」の実現に向け、「夢を育む教育県岡山の推進」、「地域を支える産業の振興」、「安心で豊かさが実感できる地域の創造」へ新たに「結婚・子育ての希望がかなう社会の実現」を加えた4つの重点戦略に基づく施策に、市町村等とも一層連携を図りながら、着実に取り組みます。
これにより好循環の流れをさらに力強いものにし、本県の持続的な発展に結びつけるための予算編成としたいと考えております。
次に、本県の財政状況であります。
近年の好調な企業業績を受け、税収が増加傾向にあるものの、社会保障関係費の累増、公共施設の老朽化への対応等に加え、物価高騰による行政運営コストの増加などにより厳しい状況が続いております。さらに、今後は、金利上昇による公債費への影響が見込まれるほか、激甚化・頻発化する自然災害や新興感染症への対応なども想定する必要があり、予断を許さない状況にあります。
最後に、要求基準であります。
来年度予算においては、令和6年度当初予算を基に、電気料金等の上昇などの物価高騰や賃金上昇の影響を考慮して、予算編成を行うこととしております。また、投資的経費については、国庫補助事業を活用した「安全・安心な県土づくり」をさらに推進するための加算も行います。
令和7年度は、4期目のスタートとなる予算であり、「生き活き岡山」の実現に向け、しっかりと取り組んでまいりたいと存じます。
岡山県県民栄誉賞・岡山県スポーツ特別顕賞について
3つ目の項目は、岡山県県民栄誉賞、岡山県スポーツ特別顕賞の授与についてでございます。
このたび、パリパラリンピックの陸上競技において銀メダル・銅メダルを獲得された佐藤友祈選手に岡山県県民栄誉賞を授与することといたしました。
佐藤選手は3大会連続でメダル獲得という快挙を成し遂げられました。
また、パリオリンピックの自転車競技において入賞された太田海也選手・長迫吉拓選手に岡山県スポーツ特別顕賞を授与することといたしました。
太田選手は、オリンピック初出場ながら、2種目で入賞を果たされました。長迫選手は、チームスプリントの第一走者として、チームの勝利に大いに貢献されました。
3選手の活躍は、県民に明るい希望と活力を与えてくれたところであり、心から敬意を表したいと思います。
なお、県民栄誉賞の授与式は11月20日に、スポーツ特別顕賞の授与式は11月26日に行う予定でございます。
岡山県総合グラウンド陸上競技場の命名権者の決定について
最後の項目は、岡山県総合グラウンド陸上競技場のネーミングライツについてでございます。
来年2月からの命名権者を「JFEスチール株式会社」に決定いたしました。
新たな愛称は、「JFE晴れの国スタジアム」となり、命名権料は、税抜き額で年間3,000万円、契約期間は、来年2月1日からの5年6ヶ月でございます。
これまでの約10年間、「シティライトスタジアム」としてサポートをいただきました、株式会社シティライト様に対しましては、深く感謝申し上げます。
今後は、新たな愛称の下で、県総合グラウンド陸上競技場が、県民の皆様に一層親しまれる施設となるよう努めてまいります。
私からは、以上でございます。
質疑応答
記者)
生き活きプランについて伺います。こうした施策を通して知事はどういった岡山県をあらためて実現しようと思っていますか。また、少子化対策にとりわけ力を入れていますけれども、現状はかなり厳しいと思います。その辺りの思いをお聞かせください。
知事)
大変大事な、大きな質問をいただいたところでございます。とにかく岡山県民が幸せになること、この岡山県の未来が明るくなること、それを実現するためのプランということになります。そうは言っても、一つ一つ細かい取組を分割して総合的に施策推進していくということなのですけども、これまでこの(重点戦略)1(結婚・子育ての希望がかなう社会の実現)がない状態でありました。重要な順番に並べたわけでもないのですけれども、人生のステージにおいて並べたつもりです。まず教育を受けて、しっかり教育を受けて大人になった。地域の若者が就職出来るように、その就職、結婚、子育てで地域貢献をして、引退した後も健やかに幸せに過ごせるようにという、それぞれある中で、今少子化ということで、生まれてこないのであれば、結婚も就職も関係ないよねということで、まずこの結婚、子育ての希望がかなう社会を実現しようと、まず生まれる、教育、仕事で、それ以外の、いろいろな自分自身が暮らしていて幸せだと感じる、それぞれ大事な事を、カバーをしていこうということになっています。それぞれが相互に関係をしていますし、人生の流れで言えば先ほど言ったような順番で辿っていくということになっています。これまでいろいろ努力工夫をしてきたことに、さらに工夫を付け加えた内容ですし、これからでもまだまだできることがあれば、少しずつでもブラッシュアップしていきたいと思っています。少子化の現状ということでありますけれども、これも危機的な状況だと思っています。本当でいえば、もう20年前、30年前に戻って対策をやり直したいと思っています。これよく言われる話ですけれども、戦後の団塊の世代、団塊の世代のジュニアの(世代の)時に随分戻る(多くの子どもが生まれる)だろうということで、あまりその当時のいろいろな担当の方々はそこまで深刻に考えていなかったけれども、その期待をされていた団塊ジュニアの皆さんの出産出来る年齢がほぼほぼ過ぎた段階でこう(少子化が危機的な状況に)なっているということで、関係者ということであれば国民全員ですけれども、本当に危機感を持っている。岡山県も、まさにその真っ只中にいるということでございます。相対的なことと絶対的なことで、少しこの機会にお話をさせていただきたいと思います。よく岡山県は中国地方の中で合計特殊出生率が一番低いですよね。1.32ですよね。全国平均の1.20よりは高いけれども大丈夫ですかというふうに言われます。これについては、合計特殊出生率のある種の弱点、計算上の弱点がありまして、自治体間の移動があると結構大きく振れるということがあります。それで我々(岡山県の数字)がかなり悪く見えているわけなのですけれども、より直接的な出生数がどうなっているのかということで、例えば住民、県民1,000人当たり何人赤ちゃんが生まれているのですかという指標で言うと、1,000人当たり6.4人で、これは中国地方で1位です。中四国でも1位になります。あと、この10年間(2013~2023年)で子どもの数をどれぐらい減らさずに頑張っているのですかという指標を言っても、岡山県は全国で11位(※「10位以内」を訂正)で頑張っている地域です。中国地方でも一番頑張っているということですので、子どもの数を減らさずに頑張っているという点で言えば、相対的に頑張っていると。ただ、それでいいのですかというと、もう絶対的な水準が大変低いので、とても安心していられないと。今、小・中学校の統合をしなければ、つい先日会った小学生もクラス替えがない小学校に通っているんだということで、それあんまりね、なかなか大変ですね。いやチームも組めないのですよ、みたいな話を聞いたところです。今、統合の動きが各地でありますけれども、高校の再編をしなければいけないというのもその流れにありますけれども、そういうレベルというのが岡山県の1学年で1万6,000人だとか、1万4,000人のところでそういうことが起きているわけですけれども、ご案内のとおり、昨年の岡山県の出生数はいきなり1万2,000人を割って1万1,500数十人ということで、もう急速にこの数年間、コロナということが大きく効いているのだとは思うのすけれども、急速に減っています。ここを何とか下げ止めなければ、上向きにしなければ、びっくりするようなことが、これから順々に小学校、中学校、高校を襲っていく。20年後にこんなに地元から就職してくれる若者が減るのかということで、本当に地域のいろいろな産業が、もしくはいろいろな機能が、大変厳しい状況に陥っていきます。当然税収にも大きく悪影響が出ます。ですから、少子化対策、この自然増の対策は本当に真剣に取り組むべきでありますし、社会増減についても、特に若い女性が今就職で県外に取られている、他の多くの県もそうですけども岡山県も取られている。これはもう大変な機会損失になりますので、女性に選んでいただける、男性もそうなのですけれども、特に女性に選んでいただける地域、もしくは職場になるために、役所だけではなくて、民間企業、団体の皆さんにもぜひとも協力をしていただき、また、去年、アンケートでわかったのが、業界、もしくはこの企業規模によって随分違うのだけれども、経営者の(少子化対策への)意識が高い、(取組を)やらなければということだったら、小さい会社であっても、あまりそういうことが進んでいない業界の中でも、この社内整備が進んでいるということがよくわかりましたので、とにかく経営者、トップ層の意識を変えていくことによって大きく局面を変えていきたいと思っています。これからもう、10年後、20年後のことを考えた少子化対策と、それがものすごくうまくいったとしても、生まれてくる子どもたちが(成長して)現場で頼りになるまでには、少なくとも20年程度かかるわけで、これから5年後、10年後のこの人手不足には関係ないわけです。5歳の子どもを働かせるなんてことにはならないわけですから。ですから、それはそれでまた別で考えなければいけない。システム、AI、DX、もういろいろなことをして生産性の向上を上げる、もしくは外国人の皆さんにも働きやすいように、もしくは国として地域として選んでいただけるようにする。もういろいろな施策を同時並行して進めなければ、これからジリ貧になってしまう。これはもう日本中、ほぼ一緒なのですけれども、そこにどれだけ早く対応できるのかということで、5年後、10年後の景色はずいぶん違ってくると思います。私自身、他の地域と比べて少し大げさに騒ぎすぎているように見えるかもしれませんけれども、私は10年後(現在を)振り返って、いや、大げさではなかったと、むしろもっともっと騒いでもよかったというふうに言われるのではないかと考えています。
記者)
数値目標を見ますと、出生数1万2,238人を目指すとか数字を設定していますけれど、数字の目標の設定の仕方として荒唐無稽ではなくて、頑張って上げて届く数字なのかなとお見受けするのですが、数字を設定したその考え方と実現に向けての決意を端的にお願いします。
知事)
私は常に到底達成できないような数字だと誰も本気を出さないですし、もうね、手を伸ばしたらすぐ届くようなものだと誰も努力をしないので、つま先立ちをして、ようやく爪が当たるような、そういう辺り、とにかく頑張って、頑張って、頑張ったら、届くような目標にしようみたいなことをずっと言い続けてきたわけでありますけれども、この少子化関係については、正直目標は高いと思っています。日本全国で過去10年間、20年間ずっとこの数字が悪化しています。数字が悪化していて、我々も以前立てた目標、良くする目標だったのですけれども、やはり残念ながら悪化を続けている中で、今よりも婚姻率にしても、出生数にしても改善をする目標を立てています。これもう本当に今のトレンドを考えると、ものすごく厳しい目標になることをあえて承知で、さすがに減るのを前提でこの今すごいスピードで減っている、この減っているトレンドを少し上げようぐらいの目標だと、その程度かと、こんなに頑張ってそれが目標なのかということになって、みんなのやる気を失わせてしまうのが怖いということで、本当にみんなが本気になれば出来るはずだという信念に近いものも込めて、あえて高いのが承知の目標をいくつか設定をしています。
記者)
実現に向けての決意をお願いします。
知事)
私ですとか県庁幹部だけが決意を持っているだけでは到底実現できない目標ですけれども、皆さん方(報道機関)が県民の皆さんに紹介をしていただくことで、そこで自分たちの未来に、地域の未来に非常に大きく関わるのだということで、それぞれの皆さんが少しずつ動いていただければ、私は全く不可能な目標ではないと信じています。
記者)
今日からツキノワグマの狩猟の自粛を要請されたという報道もありまして、これはどういう判断でどういう狙いなのか教えていただけますでしょうか。
知事)
今日地元の新聞に大きく出ました。まさにその新聞に書いてあるそのとおりでありまして、ツキノワグマ猟の自粛を、要請をいたしました。これは岡山県だけではなくて、兵庫県、鳥取県も同様でございます。なぜそんなことをしているのだと、クマが心配じゃないのかということなのですけれども、まずもって、元々というか、過去結構長い間、クマは獲ってはいけないものでありました。それはなぜかというと、この東中国地域個体群は絶滅危惧、絶滅を危惧されていたわけでありましたので、保護をしなければいけないと。唯一、有害捕獲、人里に出てきて、人を襲う可能性があるときだけ捕獲をしていた。捕獲が許されていたと。そういう状況が長く続きました。ところが個体数が絶滅を危惧するレベルを超えたということで、管理をする対象になりまして、捕獲数の設定している120頭までは獲ろうと、数をコントロールしようということになったわけでございます。先日集計をしてみると、岡山で13頭、兵庫で61頭、鳥取で53頭ということで、(設定数の)120頭を超えた、上限を超えて127頭を獲っているということがわかりましたので、これ以上獲るのは一旦自粛をしてくださいと。ただ、獲ってはいけないときですら、人命を守るためには有害捕獲はしていたわけですから、今でも有害捕獲は継続している。とにかくこの問題については、人命優先というのはもうずっと前から一貫をしています。ツキノワグマの絶滅が心配だった。少しその心配がなくなった。コントロールしたら、コントロール出来たという、そういう一連の流れです。もう何かこれからクマが出ても何にもできなくなるとか、そういうことでは全くありません。
記者)
財政状況についてお伺いします。会見の中でも社会保障関係費が累増しているというお話ありました。岡山県の財政状況、福祉予算が年々膨張している状況であると思うんですけれども、こういった背景がある中で今後の財政状況、財政運営について改めて知事のご意見をお伺いいたします。
知事)
おっしゃられるとおり、財政状況、この税収は伸びているわけなのですけれども心配することも多々あるわけでございます。社会保障関係費の累増、また公共施設の老朽化への対応、それから物価高騰による行政運営コストの増加などにより、厳しい財政状況が続いているわけでございます。ただそういった状況であっても、社会保障関係費等の福祉予算も含め、義務的な経費にはもう当然でありますけれども、必要な予算を確実に確保しつつ、県に裁量のある経費については、限られた財源を有効に活用しながら、より効果的な事業へ予算を配分することで、持続的な財政運営に努めながら、全ての県民の皆様の幸せをかなえてまいりたいと、そういうことでございます。なかなかやりくりは厳しいわけですけれども、その中でも工夫をして工夫をして、少しでも県民の皆様に良かったと思っていただけるように頑張ろうと思っています。
記者)
現在の国民民主党が掲げる年収103万円の壁の見直しなどの減税措置を巡った議論が行われていると思うのですけれども、もし国民民主党の要望通りになれば、県としても個人住民税の税収がかなり減るということで、県としてもかなり影響あるかなと思うところで、一方で知事も喫緊の課題として挙げておられる人手不足の解消にも一定の効果があると思われます。そういった中で知事として103万円の壁の見直しについて御意見、何かあれば教えていただけますか。
知事)
一番人手が必要なこの年末に、そういったいろいろな壁、税収の壁、それから社会保障の壁で働き控えをされるというのは、これは社会全体とすれば大きな損失だと思っています。ですから、この103万円の税収の壁ですとか、106万円、130万円の社会保障の壁をどう無くしていくのか、低くしていくのか、もしくは遠くにずらすのか、そういったことはぜひとも考えるべきことだと思っています。ただ、やり方を間違えると、国全体の税収に大きな穴が開くわけでございます。今、国民民主党が提案をされていることがそのまま通るとするならば、岡山県への影響が、個人県民税の税収として、今のところもう単純計算で200億円程度の減収になるのではないかと言われておりまして、これは本当に大変な金額になってくるところでございます。国の方で言えば、総務省の試算によりますと、ごめんなさい、国というよりも地方全体で言えば総務省の試算で、個人住民税に約4兆円程度の減収が見込まれているということを聞いているわけでございます。財源不足と人口減少に直面している地方にとりまして、これだけの規模の減収となれば、影響は非常に大きく、この制度の見直しに当たりましては、地方の財政運営に支障が生じないよう、代替財源の確保を含め、慎重に検討をお願いしたいと考えているところでございます。103万円の壁だけ、もし何らかの形で大きくずれたとしても、その多くの方が例えば106万円の壁を気にして、依然として働き控えをされれば、そういう社会全体の労働力の、より適切な配分という意味で言えば効果が小さいわけでありまして、ぜひせっかくこういう議論が沸き起こったのであれば、どういうふうにすれば働きたい人が働いて、世の中がよりうまく回っていくかという全体的なことも、もしくはそれによってもし税収が減るのであれば、どういうふうにどこで補填していくのか、そういったことも含めて議論をしていただきたいと思っています。
記者)
予算編成の関係でお尋ねします。生き活きプランの話ですが、先ほどの財政状況の話を踏まえまして、厳しい財政状況の中、少子化対策ですとか防災対策ですとか、やらなければいけないことが増えている中で、どのようにバランスをとって予算編成をされていこうと思われていますか。
知事)
毎回ですけれども本当に悩ましく思っているところでございます。一つのビルトインされた仕組みとすれば、いろいろな新しい施策について、結構なものについては終期を設けています。3年やって、その後は自立をしてもらうとか、その終期が来たものについては、もう安易に延長することをなしに、とりあえず止めてみると。止めてみることで、影響が大きかったな、これ実はすごく効いていたんだということがわかったりもしますし、止めてみて、意外と影響がなかった、それは元々その施策に効果がなかったのかもしれませんし、もしくはもうみんなが自立できるようになって、継続して燃料補給しなくても大丈夫になったと両方の可能性がありますけれども、そういったことで今度(別の)新たなチャレンジをするための予算を作っていくということと、あと、終期が元々設定されているものでなくても、スクラップアンドビルドをぜひやってほしいということは、主に部局長にお願いをしているところでございます。それぞれの部局長に対してスクラップをきちんと各関係者の皆さんに説得をしたり工夫をしたりということをした場合、その部にとって損にならないような仕組みにしています。この例えば100万円(分)スクラップしたら、その100万円を別に使えるのであれば別に関係ないのですけれども、その100万円以上新しい施策に使えるようなことにして、極力この組み替えをするように、もう去年通りというのが、一番軋轢がなくて楽なのですけれども、かつ1年、1年で見れば、去年と同じ予算を組んでもそんなにずれたことに見えないかもしれませんけれども、それが5年も10年も続くと、さすがに時代と合わなくなってくる。常に先手先手で時代に合わせていく努力をして、初めて県民の皆様からして、こんなものかなというぐらいの評価になるのだと信じています。出来る限り知恵を絞って、多少の調整の困難さがあったとしても、限られた予算を、出来るだけ有効だと思われる施策に使うべく、これからみんなで頑張っていこうと思っています。
記者)
少子化対策、これからいろいろ議論があると思うのですけども、現時点で知事は来年度予算で少子化対策、結婚、子育て支援をどのように予算編成したいというふうに考えられてますでしょうか。
知事)
これまで国もこの少子化対策、私は頑張ってきたと思っています。子育て支援には結構お金が入ってきたと思っています。ここ(会見の場)でも何度も申し上げましたけれども、結婚したカップルから生まれる子どもの数が、実はこの50年、あまり減っていないということがございます。50年前の完結出生児数が2.20だったのが、直近発表されたものが1.90と14%程度しか減っていない。多分ここに、これまでの国を始め、各地方自治体の子育て支援がある程度効果があったということなんだろうと思います。カップルから生まれる子どもの数があんまり減ってない。今でも、カップルの大半は2人子どもがいます。昔もそうでした。じゃぁなぜこんなに少子化になっているのだということで言えば、結婚しない人が昔と比べて大幅に増えたということでありますので、その子育て支援は本当に大事なのですけれども、子育て支援だけ頑張っているのでは、結局この少子化対策は元根本に手を付けていないわけですから、この(少子化の)流れはどんどん続いていくだけであります。結婚をしていただける、アンケートを取ると結婚したい方は、今も昔も非常に多いです。若い方のどのアンケートでも、8割以上、大抵の場合9割近くが結婚をしたいと言われていますので、そういった方々の結婚の希望をいかに叶えるか、ここに私はこれまできちんと施策が届いていなかった、施策を打ってこなかっただけに、(今後は)大きなチャンスが、可能性があると信じています。今でも行政はそういったところに、プライベートなところに立ち入るべきではないという意見があるのも知っていますけれども、これだけの社会問題になっている少子化の一番大事なところに、これまでほぼ手を付けてこなかったわけですので、ここはしっかり取り組んでいきたいと思っています。
記者)
生き活きプラン(素案の概要)19ページの地域のニーズに応じた交通サービスを導入した件数、これを新たに加えた狙いというのを教えてください。
知事)
もう私自身、選挙で(県内を)回りましたが、地域の足の問題というのは、いろいろな地域でお話が出たところでございます。本当に交通問題についてはそれぞれの地域で状況が随分違いますし、また地域の中でも、その買い物が気になる方と、通院が気になる方ともうそれぞれです。ご自身で運転免許をお持ちなのか、車で移動出来るのか、移動出来ないのか、少し声を掛ければすぐ近くに息子さん夫婦がいたりする、しない、もういろいろなことでそれぞれの方(の状況)が違うのですけれども、私自身の思いとすれば、もう今どうしようもないのだという声も無かったわけではないのです。今ギリギリ何とかなっているけれども、例えば運転免許、この先5年先も運転出来るかどうか、もう10年先と言ったらまず無理だし、年齢を考えてもやっぱり迷惑になると、事故を起こしてからでは遅いと、と言われたらどうするのだというお話は本当にいろいろな場所で、選挙中もお伺いしましたし、その前からもいろいろな話が出てきたところでございます。じゃあどうするのだと。それぞれの市町村が工夫、努力をされているわけですけれども、それぞれの地域で、状況が違うとなると、ソリューションも違ってくるはずなのですけれども、これまで県とすれば、市町村を跨ぐものについては県が積極的に関わっていくよと。都道府県を跨ぐものについては、国にぜひ積極的に関わってほしいというのは、JR芸備線の議論でも我々主張をしたところでありますけれども、そのいろいろなパターンというのは多分あるのだろうと、それぞれ千差万別だけれども、でも何らかのパターンというものがあれば、我々自身も関わっていくということは可能であるし、有意義であるなというふうに、これまでよりは少しずつ関わっていく方向で議論を進めているところであります、あともう一ついろいろな技術が変わってきています。自動運転なんていうのはもう10年前は夢物語でありましたけれども、そのレベルによっては随分今、本当に普通に買える値段でそこそこの自動運転が手に入るようになってきました。移動の場合、実は一番お金がかかるのがガソリン代、燃料代とか、車両購入費、維持費ではなくて、その運転手の人件費だというのはよく言われることで、調べてみれば大抵の場合そうなるわけです。ですから、その運転の負荷が軽くなるだけで随分この経済性が違ってきますし、制度が変わってくることによって、お互いの隙間時間で助け合うみたいなことが、これまで以上に出来てくるかも知れません。これまで出来なかった。それは技術的な面、制度的な面で出来なかったことがこれから出来るようになってくる、そういったことも考えながら、我々とすれば、それぞれの地域に合ったソリューションを考えてみてもらいたい。場合によっては我々も一緒に考えていくと、そういうことを思ってこの指標を入れたところでございます。
記者)
この件数というのは県が関わった件数ということですか。
知事)
(何らかの形で)関わっていないと我々認識出来ないので(そういうことです)。
記者)
(運転)免許を返納した方の「おかやま愛カード」についてなのですが、県内のタクシー会社の一部が自主割引を終了したこと、このことについての受け止めと対応を少しお聞きしたいのですが、いかがでしょうか。
知事)
この愛カード、素晴らしい取組でありまして、免許を返納する、これやっぱり危ないなとわかっているのに運転をするというのはやはりいいことではありませんので、周りの方の命を危険に晒す行為ですので、返納をしていただく。これ我々も推奨しているのですが、ただそうなるともう本当に不便になりますよね。そういうときに、例えばタクシー会社さんが割引をすることで(タクシー)使用のハードルを下げて、例えば映画館でシニア割引をしたりとかというのと同じ発想で、これはウィンウィン。気軽に使ってもらうことで、売り上げを増やして、使う方も少しこの単価きつい(高い)なというふうに思っていても、少し割引してもらうとこれなら何とかなるなということで、本当にいい取組だということで、実はこれは岡山県だけの工夫ではなくて、基本的に警察が全国でほぼ同じ仕組みで回している取組なんだそうでございます。これまでそこそこうまくいっていたわけですけれども、タクシー業者さんが経営悪化ということで、割引を廃止される動きが出ています。県下でも実際に出ているということについては、残念ながらという思いと、ただ、これはもうそれぞれの会社さんの方針ですので仕方がないということでございます。ここについてどういうふうにすればお互いにとってウィンウィンのやり方が、また同じ形ではないにしても出来るのか、工夫のしどころだなと思っているところでありまして、他県でも同じような状況が起きているということを聞いていますので、ぜひ参考、研究させていただきたいと思っています。
記者)
具体的な対応策、例えばこういうことを考えているのだとかというのは、今お聞かせいただくことは難しいでしょうか。
知事)
一度県議会でも、県が助成すればいいのではないかという質問を受けたこともございます。確かに現実的にはそうなのですけども、今、全国的にほぼ同じ仕組みが導入されているというふうに申し上げましたけれども、全国的にも自治体が、少なくとも都道府県が予算を入れて回している愛カードとほぼ同じ仕組みというのは我々が把握している限りは無いわけでございますし、別に無いからやってはいけないということでもないのですけれども、非常に長い間うまくいった仕組みをどういうふうに維持していくのか、これ主に警察の方がずっと考えられた仕組みでありますので、そういったことの情報収集、研究はしていこうと思っています。
記者)
先ほどのおかやま生き活きプランの公共交通のところにも少し関わってくると思うのですけれども、その辺りについて知事の受け止めを教えていただけますでしょうか。
知事)
足の確保というものは、どこに住むかという、どういう生活をするかということと密接に関わってきます。そもそも何か不思議な感じですけれども、100年前は、我々は車なんて(使って)なかったわけですよね。基本的に普通の人は、自分の足で歩けるところでしか生活をしていなかった、それ(居住地域)に合わせて病院だとか買い物、必要なものは人が歩ける範囲内にできていた。車がこれだけ普及すると、スーパーとかが遠くでもいいから大きなスーパーということになって、近くにある、本当に昔のパパママストア、八百屋さんみたいなものが逆に廃れていったわけでございます。車が使えない、もしくは使わない人が増えてくると、また新たなニーズが出てくる。それが、八百屋さんみたいな小さな商店の復活になるのか、それとも今度はデリバリーサービスのような形なのか、それはこれからのいろいろなサービス競争、新しいいろいろな工夫が、どんなものが出てくるのか、どんなものが受け入れられるのかということによって変わってくるのだと思うのですけれども、皆さんがどこにどういう形で住みたいのか、移動はどう確保するのか、それをその採算性というのは大体移動密度で違ってきますので、例えば新幹線みたいにあれだけ大量に皆をギュッと一つの車両の中に詰めてビュンと送ると、我々からするとそんなに(運賃は)高くないのですけれども、新幹線というのは非常に儲かっている、少なくとも東海道新幹線はものすごく儲かっているわけでありまして、これが、密度が少ないとそんなに安いと思えない料金なのに、実はものすごい赤字になるのだということですので、バスもそうですけれども、いかに(移動)密度を上げることができるのかというのが鍵だと思っています。ここ(会見の場)でも何度かお話しましたし、随分この話ばっかりします南米(ブラジル)のクリチバ市、もしくは日本で言えば富山市がいかにバスの採算性を上げるかということで、バス路線の周りに新たに家を作るのだったら、バス停の近くに作ってください。そうしてくれたら、助成金出しますよということでバス停の周りに人口を集めて、そのバスの採算性を上げて、バスの(運行)頻度を上げて、そこに住んでいる人は結構ハッピーに移動が出来るようにしたという、これ何年もかかる取組ですけれども、ただ勝手に住んだ後、さあ(バスが)どう回るんだというのではなくて、(公共)交通のことも考えて住む場所を柔らかく誘導をしていくというのも非常に大事な考え方、一つの成功例だと思います。これが、当然ながら岡山の全てのところに適用出来るとは思っていないのですけれども、世界中でいろいろな工夫がなされています。それぞれ勉強をしながら、どれがこの岡山県の特定の地域に参考になるのか、そういったことについても、これからもみんなで勉強していかなければいけないと思っています。
記者)
先日行われた岡山市長の会見で、ここ数年していなかった対談を再開したい、そして6日に読売新聞さんに掲載されました新アリーナの負担金の見解について相違があるので、そこについても話をしたい。ただ今の時点で県からの回答はないという話がありました。知事としては話し合いの場を設ける必要性、あとは必要があると考えていらっしゃれば、その実現可能性についてはいかがかというのをお伺いしたいです。
知事)
提案があったということについては報告を受けているわけでありますけれども、突然のお話でもありますので、提案通りの実施はできないと考えているところでございます。直接面会することによって、有意義な話し合いが期待できるような案件、状況が生じた場合には、トップ会談をする意義があるなと考えているところでございます。
記者)
陸上競技場の新しい愛称についてお尋ねしたいのですけれども、長く親しまれた愛称に代わって「晴れの国」を冠した新しい愛称が使われることになりますが、改めて知事、この新しい愛称の印象や受け止め、それから今後への期待をお聞かせいただけますでしょうか。
知事)
とにかく愛称が変わるというのは少しびっくりするのですよね。もう10年間シティライトスタジアムとかCスタということで馴染んできました。我々実は(命名権者)募集をするときに公表したいろいろな、これがポイントになりますよ、これが得点になるのですよという中に、継続性というものがあります。同じ値段であれば、元々その名前を持っている人の方が少し有利になるという仕組みにしていまして、極力継続出来るようにということを考えているわけでありますけれども、先ほども申し上げました、本当に株式会社シティライト様には10年間サポートをしていただいて、本当にありがたかったという思いでございます。これからJFEスチール株式会社さんとの新たなお付き合いが始まるわけでありまして、とにかく皆さんご案内のとおり、未だに岡山県の工業出荷額の半分は水島(工業地帯)から出ています。60年以上前に岡山県庁がもう一大決心をして大投資をした水島ですけれども、その水島の中で一番広い面積を使って、一番生産をしてくださっているのがJFEさんでありまして、岡山の産業を一番大事なところで支えてくださっている、また、近年グループ全体でもいろいろな大型投資をしてくださっているJFEさんが、この陸上競技場のネーミングライツにも手を挙げてくださったというのは、これはもうネーミングライツでありがたいと。これまで年額1,800万円だったものが、今回、年額3,000万円に、それぞれ税抜ですけれども、大幅に税収が増えるということだけじゃなくて、JFEさんがこれからも岡山県にしっかり関わっていきますよという宣言をしていただいたように、私には感じておりまして、もう本当に心強く、ありがたく思っているところでございます。しかもJFEという名前は短いですから、非常にコンパクトな名前のところに「晴れの国」という岡山らしいフレーズも入れていただきまして、本当にわくわくするような気持ちで、これからぜひ岡山県の皆さまに、この新しい名前「JFE晴れの国スタジアム」が浸透していけばいいなと思っているところでございます。
記者)
現在略称はCスタ(シティライトスタジアム)と呼んでいますが、この新しいスタジアムはJスタなのか、その辺りの略称ってどういうふうにお考えですか。
知事)
これは県で決めることではありませんので、おっしゃられるとおり、シティライトスタジアムがもしCスタになるのだったら、これJスタなんでしょうね。これJリーグのJともかぶることになりますので、多分あのJリーグの方と相談ということになろうかと思います。いややっぱり、JスタでJリーグのどうのこうのということで、いや少しそれはよくないのではないですかみたいなときにどんな知恵が出てくるのか、見守っていきたいと思っています。
記者)
大森(岡山)市長との懇談会、先ほど有意義な話し合いができる案件、状況が生じた場合にはトップ会談もということだったと思うのですが、もう少し具体的に知事としてはどのような場合だったらお話が出来るというようにお考えでしょうか。
知事)
現状、特に今、私の頭の中には無いわけですけれども、はい。
記者)
岡山市の話では2021年から懇談会が出来ていないということだったと思うのですが、この3年間ほど話し合いが出来てない状況自体を(岡山)市長としては少し危惧していた部分があったのですけども、知事としては3年間(懇談会が)出来てないことへの受け止めというのはいかがですか。
知事)
一つは、実務者同士は結構活発に、これまでにないぐらい(話し合いを)やっているということと、これまでいろいろあって、この案件の選び方、実際のやり方にもよるのですけれども、過去あまりいいことになっていなかった、実際どういうふうにそれぞれの役所で必要な交渉、折衝、意思疎通をするのかということがあるわけなのですけれども、私とすればぜひいい形で意思疎通をしたいという思いの中で、今が最善かどうかは別として、最悪の事態は回避出来ているという、そういう認識であります。
記者)
生き活きプランの方に戻るのですけれども、今回の生き活きプランの中では知事としても結婚、出会いの支援のところにすごく思い入れがある、手を打っていかなければいけないという決意みたいなものを感じたのですけれども、仕事があるのかとか、生活していけるかという不安もアンケートを取ると出てくるとところで、婚姻数を増やすために、具体的に知事としてどんな取組をやっていきたいかですとか、こういうことをやっていきたいみたいな具体的な取組があれば教えてください。
知事)
とにかく婚姻を増やすということが、出生数に直結するというのがこれまでのデータで示されていることでありまして、結婚を増やしたいです。これはもう本当に増やしたいです。ただ、どうすれば増えるのか、当たり前ですけれども、今の日本の役所とそれぞれの住民の皆さんの関係というのは、こうしたいからこうしてくださいというふうに言う関係ではありません。そうあるべきでも当然ないわけであって、ただアンケートを取ると多くの方が、いや、良い人に巡り合えば、もしくは良いタイミングがあれば、もしくは状況がもう少し改善すれば結婚したいと考えているという人が本当に多いというのも、また事実です。そういった方々のこれがネックなのだ、ここさえというところを、御一人、御一人、少しずつ違うのでしょうけれども、その不安を軽減出来たり、もしくは障害を取り除くことによって、もしくはご縁を提供することで、もしくはそれぞれの職場の雰囲気を改善することで結婚出来るように、結婚に踏み出せるようにしていきたいなと思っています。もういろんなアプローチがあろうかと思っています。それぞれのアプローチ、不正解というのは多分無くて、すごく効果のあるアプローチと、あまり効果のないアプローチ、いろいろあるのだと思うのですけども、ぜひもう皆さま方にもいろいろ、これがいいよみたいなことも教えていただきながら、その一番良さそうなものだけやるのではなくて、これはもう本当にある種、数打てば当たるかもしれないということで、やってはいけないこと、何か特定の人がものすごく不快に感じるとか辛い思いをするとか、そういうやってはいけないことはしないのですけれども、あまりお金をかけずに無駄になるかもしれないけど効くかもしれないという程度のことは、とりあえず私の得意技ですけども小さく始めてみると。それがどれぐらい評判が良いのか、効果があるのかということを見極めながら良さそうなものを広げていくということで、出来るだけ婚姻数が増えたねということにしたいと思っています。これはもう本当に個人のことなので、あまりそれが普遍化できるかということなのですけれども、私もこんな年ですから同級生とか仲の良い人というのは結婚して、もう20年とか25年みたいな人が多いわけですけれども、振り返ってみて、でも本当に結婚したからこそ、こういうふうに毎日元気にみんなでワイワイ家族で楽しく過ごせるし、子どもと会えたわけだよな、奥さんと、みたいな話で、やっぱり結婚してよかったなというふうに思う人は、少なくとも私の周りは非常に多いです。ただ、後輩たちに向かって、結婚はいいよ、本当に結婚いいよというふうに言う人は、私も含めてあまりいないです。照れ隠しなのか、結婚したらもう小遣いなんて減るのだぞとか、夜中2時、3時まで飲み歩くなんてもう無理だからな、みたいな、冗談でついつい言うのを、なんか若い人は真に受けているのではないかなと、私今個人的に心配をしているところです。でもここはもう堂々と結婚してよかったと思っているよというのを、思っている人が言うだけでも違うのではないかと、もういろいろなアプローチで、はい、結婚について伝えていきたいと思っています。
記者)
岡山市役所には、(懇談の)申し入れがあって、その返信はしたということでいいのですか。
知事)
もうしていましたっけ(事務方に確認)、していないので、するとこれからということですね。
記者)
(返信を)するかどうかわからないという感じですか。
知事)
今やり取りをしている最中なのだと思います。
記者)
(岡山市に)返信する内容としては、(トップ同士の懇談会は)実施出来なくて、その理由としては有意義な話し合いが出来る状況にないからという形で返信するということですね。
知事)
はい、そうです。
記者)
103万円の壁についてなのですけれども、こちら県民へのメリット、デメリット、どのようなことがあるとお考えですか。
知事)
先ほど説明したとおりですけれども、もう一度整理しますと、この103万円の壁がどういう形で取り払われる、もしくはずらされるかということで随分違うのだろうと思います。当然、手取りが増えて、嫌がる人はいないと思います。私だって嬉しい。私が気になることは大きく二つでありまして、今、この103万円の壁だったり、106万円の壁、130万円の壁があることで、いや、本当は働きたいのだ、もしくは自分の職場はこれから12月になってすごく忙しくなるときに、自分の税金のこと、もしくは社会保険料のことがあって、あの壁を越えた途端に自分の手取りが減ってしまうということで働き控えをする。それで職場に迷惑を掛けるという辛さも多分あるのだと思うのですよね。そこの現場は回りづらくなって、大変なことになるわけですけれども、それが解消されて自分が働きたい分働けるようになると、本人にとっても良いことですし、職場は回りますし、今人手不足、人手不足というふうに言われているそれぞれの地域、現場が回りやすくなるというのは、これ絶対良いことだと思っています。それぞれの方の手取りと、それから国、地方の税収というのは、これもう一対一の関係ですから、これがどっちなのかというのを、良い悪いというよりも、選択の問題だと思っています。そもそもが今、国の財政も、国から交付金をどんと貰って組んでいる地方の予算も、借金を増やしながら作っている状態ですので、(103万円の壁がずれたことによって)その手取りが増えたものについて、(逆に国や地方自治体は)何か工夫で(減った税収分)ふわっと増えるわけではないんですよね。何か福祉をドーンと減らすことになるのか、それとも借金を増やすことによって実現をされるのであれば、今すごい借金を増やしている状態なので、毎年これよりも早いスピードで借金を増やすことが、本当に日本は可能なのかというところ、もしくはどこか(予算)を削ることが出来るのか、これはもう意思次第だと思いますけれども、ですから単純に手取りが増えた万歳という話ではないと、非常にいろいろな問題がありますので、ぜひ国会において幅広く議論をしていただきたいと思っています。思わぬところにしわ寄せがいくということは避けていただきたいと思っています。
司会)
それでは以上をもちまして、知事定例記者会見を終了いたします。
知事)
ありがとうございました。