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平成26年度研究テーマ
戦略的基盤技術高度化支援事業
金属・加工グループ
リチウムイオンキャパシタ(LIC)用孔開き集電体の量産を実現する革新的プレス加工技術の開発
打ち抜き加工後のカスの効率的な回収技術を確立することを目的に、動的な吸引特性を評価するとともに、実機上での性能を検証した。その結果、動的な吸引特性は、静止状態の場合と同程度であることがわかった。また、吸引口を複数個設けることにより、除去範囲の幅広化が図れることが確認できた。
自動車部品の軽量化を促進するためのメタルと炭素繊維強化プラスチック(CFRP)のレーザを用いる異材接合技術のシステム開発
各種エラストマーのCFRPに対する接合性を評価することができた。また、熱可塑性CFRPに対して、熱損傷のない前処理・観察が可能となった。
きらめき岡山創成ファンド支援事業
化学・新素材グループ
微生物変換による未利用資源オリーブ葉からの高機能性素材の開発
未利用資源オリーブ葉を微生物変換により高付加価値化する。微生物変換オリーブ葉エキスの商業化における製造工程の品質管理で必要となるオレウロペイン等の含有化合物や、その他微量成分の評価を行った。
岡山バイオマスイノベーション創出補助事業
高分子グループ
セルロースナノファイバーのゴム材料への分散複合化技術の開発
バイオマス由来素材であるセルロースナノファイバー(CNF)をゴムに均一分散させるための複合化技術の開発に取り組み、手法についての改良を行った。検討の結果、CNFは通常のカーボンブラック配合ゴムよりも少量の添加で高い補強性を示すことを明らかにし、特徴のある力学特性を有するCNF複合ゴム材料が得られることを確認した。
ふくしま医療福祉機器開発事業
金属・加工グループ
次世代生体吸収性ステント用マグネシウム合金チューブ及びステントの開発・商品化
生体吸収性ステントに使用する Mg合金製チューブの機械的特性を検討するために、引張り試験方法の検討を行った。把持部に中芯を入れ、さらに外側にアルミニウム管を接着することで、破損を抑制でき、安定した試験を行うことができた。
次世代産業研究開発プロジェクト創成事業
化学・新素材グループ
有機半導体の大面積・高品質薄膜結晶化塗布技術の開発
スリットダイコーティング技術とは、スリット状ダイノズルから塗布液を精密ポンプにより吐出させ、基板面に塗布膜を形成し、この後、乾燥処理を行い、薄膜を成膜する技術である。ガラス基板、樹脂フィルム等に適用され、数十ナノメーターから数ミクロンメーターの膜厚を成膜することが可能である。本実験では、スリットダイコーティング技術を用いて成膜した有機半導体材料の結晶化に関する評価手法の検討を行い、評価条件の最適化を行った。
科学技術振興調整費(気候変動に対応した新たな社会の創出に向けた社会システムの改革プログラム)
化学・新素材グループ
森と人が共生するSMART工場モデル実証
水熱処理や分級処理を組み合わせたナノファイバー製造用湿式粉砕システムを真庭バイオマス集積基地に設置して、自然エネルギー発電で得られた電力の供給による製造を行った。その結果、木材チップから繊維幅500nm以下のリグノセルロースナノファイバーを製造できることが実証された。
特別電源所在県科学技術振興事業
高分子グループ
洗浄・殺菌用薬剤に対する耐久性に優れた高分子材料の開発
代表的なパッキン素材であるエチレンプロピレンゴム(EPDM)について、食品・医療分野の殺菌・洗浄操作で汎用される次亜塩素酸ナトリウム水溶液による劣化機構を明らかにした。次亜塩素酸の解離状態によって劣化機構および洗浄・殺菌機構は異なり、両者を考慮して、洗浄・殺菌操作における次亜塩素酸ナトリウム水溶液の使用方法について指針を提案した。
基盤技術形成事業
企業支援グループ
データマイニング技術を活用したものづくりの高度化に関する研究
特許情報は、客観性が高く、市場の観点からも分析を行うことができ有用な情報源であるものの、膨大であることから、従来十分に活用されていない。特許情報を解析するため、テキストマイニングを活用して特許マップを作成すると共に、特許文献群の技術内容を推定することで、全ての特許文献を目視しなくても技術動向を把握する手法を提案し検証した。
連携推進グループ
LF,VLF帯の電磁ノイズ対策に関する調査
中間周波数帯におけるシールドの必要性を検討するため、この周波数帯における不要妨害の障害発生事例・規制状況について調査を行った結果、数件の障害事例報告が見つかり、規制についての審議過程も見出すことができた。
組込み技術用エミュレータソフトの開発
マイコンボードArduinoのプログラム開発を支援するために、ソフトウェアでその動作を擬似的に再現するエミュレータ環境を構築した。周辺の電子部品は、GUIライブラリを使用してLEDなどの点滅やスイッチのOn/Offを表現し、これらをソフトウェアからコントロールすることで、実機がなくてもエミュレータ上で開発ができ、ロジックの検証が可能になった。
新エネルギー産業の創出に関する調査研究
新エネルギー関連材料産業の創出に関する現状調査を行った結果、二次電池の高機能化と耐水素脆性材料の開発が急務であるとの認識を得た。そこで、これらの材料開発を支援するために、次世代二次電池に適した新素材の探索と有限要素法による水素ガス下におけるき裂先端の応力解析を行った。
応用技術開発事業
計測制御グループ
振動特性計測技術の開発
モーメント印加装置によって構造物に印加したモーメントの計測信頼性を向上させるため、計測モーメントのキャリブレーション手法について検討を行った。物理特性が既知の剛体を本装置で加振し、錘の運動方程式に計測したモーメント、錘の角加速度を代入することにより、本装置によって計測したモーメントのキャリブレーション手法を確立した。
実用化技術開発事業
化学・新素材グループ
食品・医療分野における施設環境の微生物制御技術の高度化
食品製造装置における難洗浄部位や構造の特定・評価を目的とし、これまでにその構成要素として、拭き取り標準法およびモデル汚れを設計した。これらを活用した洗浄性評価系を構築し、ステンレス鋼製T字配管において洗浄試験を実施したところ、洗浄液流速及びT字配管L/Dに依存した洗浄性の差を定量的に評価できることが確認された。本評価系を洗浄性評価標準試験法として提案する。
固体発酵技術の高度化と応用展開に関する研究開発
製造現場における製麹では、主に手作業(経験と勘)に頼ることで米粒ごとの不均一さと低再現性が問題となる。米粒上での麹菌の生育を適切に管理制御することができる客観的な作業指標を構築するために、マイクロスコープを用いて局所的でバラバラな米粒上での生育を評価できる技術を確立した。
粒子材料の高機能化・高精密化に関する研究開発
マイクロ空間反応場を利用して、生体親和性を有するリン酸カルシウム粒子の合成条件の検討を行った。カルシウム濃度とリン濃度は一定にし、合成pHと合成温度を制御することにより、粒子形態や結晶相を制御できることが明らかとなった。また、粒子形態の違いにより、細胞活性も異なることを明らかとした。
高分子グループ
複合化技術を用いた高分子材料の開発
異種材料の混入によるリサイクル製品の特性低下を防ぐ目的で、相容化剤の選定とその添加効果を調べた。汎用性の高いプラスチックであるポリプロピレンとポリスチレンの組合せでは、相容化剤の種類により材料中の微細な相構造が変化して耐衝撃性に影響することが分かった。
セルロース系素材を活用した環境対応型繊維製品の開発
ジーンズでは水を使用しない脱色加工技術として、レーザー加工が実用化されている。本研究ではジーンズ用レーザー加工による綿繊維への機能剤担持について検討し、レーザー照射強度が機能剤の担持量や洗濯耐久性および機能性に及ぼす影響について明らかにした。
金属・加工グループ
ドライプロセスの複合化によるトライボロジー特性の向上に関する研究
プラズマの複合化処理により,金属基材上に高硬度で平滑性および密着性を向上させた水素添加ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜の開発に成功した。旋盤加工における切削性評価法を開発し,第一原理計算により予測した硬質な新規窒化物をカソードアークイオンプレーティング装置を用いて成膜に成功した。
表面制御技術を応用した金属加工製品の高付加価値化に関する研究開発
アルミニウム合金と高分子の接合に関して、陽極電解による表面改質を行い、10MPaのせん断強度、350%の光沢度とともに、塩水噴霧試験48時間で腐食なしの耐食性が得られた。光沢度と耐食性を向上させるためには、アルミニウム合金中の不純物に由来する金属間化合物を適切に除去することが重要であることが分かった。
計測制御グループ
数値解析技術を用いた熱・振動・騒音対策技術の開発
エンジンなどの発熱源を含む機器の低騒音化と熱対策を両立する防音カバーについて検討した。数値解析手法を用いて発生音や空気の流れをモデル化し、実験との比較を行うことで、計算モデルの妥当性を示した。これにより、防音カバーの構造が防音性能や排熱効率に与える影響について考察した。低周波数の防音性能を改善し、排熱を促進する構造を明らかにした。
グリーンバイオプロジェクト推進事業
化学・新素材グループ
セルロース系バイオマスの微粉砕処理による繊維状粉体の開発
含水セルロースナノファイバーを凍結乾燥した後、乾式で脂肪酸(ステアリン酸)の表面処理を行った。水の接触角測定を行った結果、表面処理により、親水性に富んだセルロースナノファイバーが疎水化されていることが分かった。表面処理量を熱重量分析によって定量した結果、セルロース表面にステアリン酸が単分子層吸着する量が最適な処理量であることが分かった。
その他
企業支援グループ
備前焼を活用した新製品及び耐熱製品の開発
備前焼の耐熱食器の開発のため、備前粘土を添加した耐火性陶土を調整し試作品を評価した。その結果、直火対応耐火性を有する陶土が作成でき、試作した耐熱食器の実用性も優れていることを確認した。