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女性ロールモデルの働き方 (女性リーダーから学ぶキャリアアップ交流会より)

印刷ページ表示 ページ番号:0841366 2024年3月29日更新人権・男女共同参画課
 県では、男女が共に活躍できる社会の実現に向けて、2021年度~2023年度にかけて、「女性リーダーから学ぶキャリアアップ交流会」を開催しました。

 キャリアアップしたいけど自信がない、家庭と両立できるか不安などお悩みの女性に積極的にご参加いただき、女性リーダーや他の参加者と交流することで、未来設計へのヒントを得たり、不安の解消につなげるとともに、女性同士のネットワークを築くことを目的としたものです。

 ロールモデルとして登壇いただいたパネリストの方々やファシリテーターからは、働く女性の参考になる様々なお話を伺いました。
 その内容は次のとおりです。

2023年度の開催内容

1 名称  女性リーダーから学ぶキャリアアップ交流会2023

2 日時   令和6年1月13日(土曜日) 10時00分~13時00分

3 場所  岡山商工会議所405会議室

4 対象   岡山県内の女性でキャリアアップに関心のある方、女性同士で交流したい方等

5 内容

  10時00分~11時30分 パネリスト2名による体験談(パネルトーク)

  11時30分~11時50分 パネリスト2名による質問タイム

  12時00分~12時30分 パネリスト・参加者同士の交流、名刺・意見交換

  12時30分~13時00分  フリータイム(参加者同士の交流) ※任意参加

ファシリテーター、パネリスト

■ファシリテーター   高松太田社労士事務所 社会保険労務士 谷川 由紀氏

 1

■パネリスト

(1) 株式会社天満屋 福山店サポートチーム 人事担当 課長 石井 寛子 氏​

 2

(2) 株式会社富士学院 副校舎長 森澤 郁美 氏​

 3

 

トーク内容

     5  4

自己紹介

〇石井氏

 株式会社天満屋に入社。販売職、売り場リーダーを経験後、課長職となり、人事総務担当として、労務管理や社員の採用、育成に携わる。2度の育児休業を経て、現在は短時間勤務制度を利用しながら勤務しており、仕事と家庭の両立について、悩みながら試行錯誤している最中。仕事については、大変なことも多いがやりがいも感じており、その点も共有したい。

〇森澤氏

 前職は旅行会社で、朝5時から夜中1時まで働き、月に20日家に帰れない状態が続く中で、一生続けられる仕事をと考えて転職。子供と関わることが好きで、大学で学んだ心理学が活かせる仕事をと思い、富士学院という医学部を目指す学校に就職した。生徒のカウンセリング、講師の採用、保護者との三者面談、高校に出向いての医師志望者向け講座などを担当。私生活では2人の子がいる。2度の育休を経験し、育休明けの昨年春から副校舎長となった。等身大の姿をお話ししたい。

〇谷川氏

 美術系の学部を卒業後、旅行に目覚め、旅行会社に就職。その後別の旅行会社に転職し、キャリアアップを重ねた。1度は海外に住みたいという長年の思いから、20代後半にカリブ海の島で現地マネージャーとなる。帰国後、やりたいことをやり尽くしたため退職。その後、人材業界に入り、営業や管理職を経験するが、リーマンショックで将来に不安を感じたことをきっかけに、子育てをしながら1年必死に勉強し、社会保険労務士の資格を取得。香川に引っ越すことにもなった。これからどうキャリアを重ねるか、仕事と家庭の両立など、皆さんが、心と体を守りながら自己実現するヒントが得られる交流会になればと思う。

管理職になったきっかけ、なって感じるメリットやデメリットは?

〇森澤氏  

~ 3つの決定打があった ~

 元々リーダーを目指してはいなかった。子供は2人欲しかったのでやれる自信がなく、会社の打診を1度は断った。育休復帰後に再度打診され、その際、次の3つが決定打となり、管理職を引き受けることにした。

 1つ目は、上司と相談し、急な休みや時短勤務を理解してもらえ、不安が解消されたこと。

 2つ目は、勤続年数を重ね、会社に恩返ししたいと思ったから。

 3つ目は、富士学院として、育休を取得し、長く務めているのは私だけであり、家庭を理由に管理職を断ると、私に続く人がキャリアアップを諦めると思ったから。会社の中で、長年勤務しても活躍している女性が少なく、疑問を感じていた。組織を変えたいという思いがあり、また、自分も先輩女性を目標にしてきたため、今度は自分がロールモデルとなり、後輩にキャリアアップする姿を見せることで、学院全体、社会全体をよくしたいと思った。

~ リーダーの形は様々だと気付いた ~

 管理職になる前は、部下よりも優秀でいなければならない、リーダーならできて当たり前など、自分の中に多くの「当たり前」があり、不安を感じていた。しかし、現在は管理職をやってよかったと思っている。リーダーでも弱さを見せてよいと考えるようになり、リーダーの形は様々だと気付いた。

 

〇石井氏  

~ 上司の言葉が後押しに ~

 総合職で入社し、性別に関係なく同じ仕事をするのだと思っていたが、実際は男性と女性で配属先が異なり、違和感を覚えた。配属された売場で経験を積みつつ、平等に受けられる課長登用試験にいつか挑戦したいと漠然と考えていた。いざ、受けられる年になった時に、入社当初から課長の代行職をしている男性と違い、自分にはその経験がなかったため受けることをためらった。しかし、当時の上長から「売り場リーダーのノウハウも課長職には十分活かせる」と言っていただき、登用試験に挑戦した。

~ 考え方が変わり、両立できるように ~

 課長になった当初は苦労した。今まで経験のない部署で働き、人事という新しい仕事に戸惑った。リーダーは何事もできて当たり前だと思っていたため、自分は知識がないのに、リーダーになってよいのかと悩んだ。全て自分が判断しなければと一人で抱え込み、つらかった。

 その後、育休を終えて復職した時に、それまでのやり方では無理だ、自分が全て指示をするのではなく、周りの人の力を最大限生かせるようになろうという考えに変わった。、少しずつ業務を分担していき、気持ち的にも楽になった。また、リーダーになってのメリットは、会社に対して自分の意見を言いやすくなり、自分の考えを実現する可能性が高まるという点だと思う。

周りに対する頼り方の秘訣は?

〇石井氏

~ 大切なのは感謝 ~

 1番大切にしているのは、相手に感謝し、それを言葉にすること。些細なことでも、感謝を伝えていると、「ありがとう」が職場で飛び交うようになり、困った時に支え合える関係性ができてきたように感じている。

 

〇谷川氏

~ 頼ること、頼るスキルも重要 ~

 言葉にすることは大切。近しい関係になればなるほど、おざなりになりがち。だからこそ感謝を言葉にすることは重要。

 私も、社労士事務所を開業する際は、開業に関するスキルが全くなかったため、様々なところを頼った。皆さんに意識してほしいのは、何かをお願いした前後だけではなく、後日にも「ありがとう」を言うこと。すると相手に感謝をより深く伝えられる。また、戦略的に、この件はこの人に頼ると決めて、事前に相手とよりよいコミュニケーションをとっておくのも方法。これらは「ヘルプシーキング」という頼るスキルの一つ。

 人材業界にいた際、どんなに優秀な女性でも30代半ばでは採用されないが、スキルがなくても若ければ採用されるのを見てきた。ライフステージを理由に女性が正当な評価を得られないことへ疑問を抱き、現在は社労士として女性の活躍を支援している。国の仕事もあるため出張も多く、子供が小さい頃から周りに頼らざるを得ず、あらゆる人を頼った。私にできることは、みんなもできると思う。

 また、自分の成長のために、どこまで頼るかも決めていた。相手も似たような境遇にあったため、「困った時はお互い様」という頼りやすい関係性をママ友と築いた。何かを実現するために、何かを捨てるという選択肢もあると思うが、もっと貪欲でよいと思う。しかし、メリハリをつけることも重要で、頑張りすぎないからこそ、うまくいくことがあると感じる。

時間の使い方、ワークライフバランス

〇森澤氏

~ 職場には、ペア制を導入 ~

 人に頼りづらい人もいると思い、ペア制を導入。ペアで仕事をすることで、知らない業務を経験して仕事の幅が広がり、スキルアップにもつなげられる。仕事を休んでもピンチヒッターがいるため、自分で全てを抱えこまず負担が分散され、心の余裕ができる。また、気づきを与えてくれる存在ができ、仕事の流れが変わったなどの声が聞かれた。

 家庭内では、あらゆる便利家電を使っている。家電にお金をかけて時間を捻出している。食事の配達も利用して、子供と関わる時間を増やしている。

 

〇石井氏

~ TODOメモを活用 ~

 タイムマネジメントは私も現在、もっとも悩んでいることの一つ。40代になり、仕事、家庭、地域などで様々な役割を担うことが増えたため、手帳やアプリにすぐに記録して、忘れないようにしている。手帳に色を分けて記録し、一目見てスケジュールを把握できるようにしている。また、TODOメモも活用している。人事の仕事では、自分の仕事を一旦止めて、臨時的なことに対応することがあるため、一度仕事を離れても、戻った時にすぐ何をすればいいか分かるように活用している。

~ 楽しさを大切にするように変わった ~

 家庭に2人の子供がいる。帰宅は19時を過ぎることもあり、最初は、子供に早くご飯を食べさせて寝かせなければと思いストレスを感じていた。しかし今は、楽しく家族で食事ができればOKと考えるようになり、気が楽になった。家事は私も苦手なので、平日は最低限しかしないようにしている。ご飯も健康にいいものをと気負いすぎず、楽しく食べられたらよいと思っている。第1子復職時はパートナーの協力があまり得られなかったが、私だけでは出来ないことが分かると段々と協力してくれることが増え、最近は決まった家事を率先して行ってくれている小学生の子供も手伝ってくれるようになり、負担は減りつつある。

 

〇谷川氏

~「べき」という意識に注意 ~

 私も料理には苦手意識がある。第1子の時は、「親の手料理を食べさせるべき」という考えに囚われ、必死だったが、今はできる範囲でやろうという意識になった。これは価値観の問題で正解不正解はないが、「べき」という意識に注意は必要。子供が食事を食べないと親のストレスになる。親が不機嫌だと子供にとってもよくないので、考え直してもよいと思う。便利家電の有効活用はおすすめ。時間の短縮を実感している。タイムマネジメントの本は様々あるため、自分に合うものを取り入れてみてもよいと思う。やることを整理して計画を立てつつ、しかし、計画に縛られすぎず、タイムマネジメントを行ってもらいたい。

キャリアアップし、部下との間で年齢やキャリアが逆転した場合のコミュニケーションの取り方は? また、家庭ではどうか?

〇森澤氏

(職場)~遠慮ではなく期待をかけ、断られても粘る~

 以前は年上の部下に遠慮があったが、現在は期待をかけるよう考えを変えた。相手に対し、お願いや相談する形で話をすると、言われた方もヒントを与えなければと感じる。また、仕事をお願いして断られた時もあえて粘り、遠慮をしないようになった。その人だからお願いしたいという思いを全面に出すことを意識し、あえて相談をするということも大切にしている。自分の中で答えは分かっていても、相談してみると様々な角度の話を聞くことができる。

(家庭)~ 限られた時間の中で愛情をかける ~

 育休期間に比べると子供との時間は減りがちで、最初は申し訳なさを感じていた。また、下の子に手がかかり、上の子へ申し訳なく思っていたが、今は上の子に向き合う時間もとり、限られた時間の中で1人1人に愛情をかけることを大切にしている。

 

〇石井氏

(職場)~ 相手に敬意をもち、しっかり関係を構築 ~

 業務上、幅広い年齢の方と関わるが、目の前の方に敬意をもつことを大切にし、真摯に向き合い話をしている。

 部下とは、年上の方だと教わるという姿勢で接し、年下だと親しみやすいようにコミュニケーションをとっている。初対面の方には雑談の中で、お互いに共感できる話題を探し、相手との距離を縮めることを意識。結婚、出産、子育て、介護などの自分の経験が役立つこともある。相手との関係性をしっかり築いた上で、仕事をお願いするようにしているが、その方が上司としての指示も好意的に受け入れてくれやすいと感じる。

(職場)~ 頼る=育成 ~

 頼る=育成と考えている。会社の将来を考えると、自分と同じ質で仕事ができるように社員を育てる必要があり、全てを自分がやるのではなく、頼りながら育成している。

(家庭)~ 時間の質を大切にし、感謝を伝える ~

 子供との時間が減り、罪悪感を覚えることもあるが、限られた時間の質を大切にしている。

 夫へは、仕事で習得した若手社員の育成方法を取り入れて接している。夫がしてくれたことに繰り返し感謝を伝えるうちに、最近では気持ちよく協力してくれるようになった。

 

〇谷川氏

(職場)~ 望む働き方をすり合わせることが大切 ~

 期待は必須。育休取得者によかれと仕事を与えない会社は多いが、マミートラックと言われるように自身への戦力外通告だと感じたり、いつ元のような仕事に戻れるのか不安を感じたりする。育児中も少しずつでも仕事がしたいと思う人もおり、望む働き方を対話によりすり合わせていくことが、質の高い働き方につながる。

(家庭)~ 子育ての軸を決める ~

 女性にとっても男性にとっても、子育てはスキルアップにつながる点があると思う。私は、親が生き生き働いている姿を子供に見せることを意識してきた。接する時間の長さではなく質。子供に対し、「あなたは大切な存在である」と言葉にすること。これらを子育ての軸にしていた。

 仕事を減らすようアドバイスされたり、子供がかわいそうと言われることもあったが、自分が親として、どのように子育てをするのかの軸がしっかりしていれば、やっていけると思う。