今議会を終えて
私からは、2項目、お話をさせていただきます。
まずは、先ほど、閉会いたしました11月定例会についてでございます。
今定例会では、県政全般について、幅広い御質問や御提言をいただきました。
経済対策につきましては、今回編成いたしました補正予算に基づき、家庭や中小企業等の負担軽減、防災・減災、国土強靱化をさらに進めるための補助公共事業などを速やかに実施してまいります。
引き続き、国の経済対策に呼応し、迅速に対応することで、物価高騰に負けない地域経済づくりの一層の推進と県民の安心・安全の確保に全力で取り組んでまいります。
来年度の予算編成につきましては、現在策定を進めている第4次プランの初年度であり、4つの重点戦略に基づく施策に着実に取り組むことで、好循環の流れをさらに力強いものにし、人口減少問題への的確な対応と本県の持続的な発展に結びつけてまいりたいと考えております。
本県の財政状況は、今後も厳しい状況が続くものと認識しておりますが、こうした中にあっても、限られた財源を有効に活用し、「生き活き岡山」の実現に向け、全力で取り組んでまいります。
おかやま子育てしやすい職場アワードの受賞企業決定について
次に、「おかやま子育てしやすい職場アワード」の受賞企業決定についてでございます。
今年度の少子化対策のうち、企業とのタイアップにより取り組んでいる「おかやま子育てしやすい職場アワード」につきまして、このたび受賞企業を決定いたしました。
100社を超える多くの企業から応募をいただきまして、いずれも社員の子育て支援に積極的に取り組んでおられ、高く評価できるものでございました。
その中でも、特に優れている10社を、経済団体とも連携して選定をしたところでございます。
ご応募いただきました企業の皆様には、厚くお礼を申し上げますとともに、さらなるお取組をよろしくお願い申し上げます。
表彰は、来年2月8日に開催する「こどもまんなか職場づくりシンポジウム」におきまして行いまして、また当日は、受賞企業による事例発表等も併せて予定しているところでございます。
これを契機に、各企業の状況に応じた取組が県内全域に広がっていくよう、受賞企業を中心とする優れた取組を様々な場面でPRし、男女ともに安心して子育てと仕事を両立できる職場環境づくりの一層の推進を図ってまいりたいと存じます。
私からは、以上でございます。
質疑応答
記者)
「おかやま子育てしやすい職場アワード」の関係で、知事も審査会委員として入られて審査されたと思うんですけども、この10社の取組を見た、率直な受け止めをまずお願いします。
知事)
今回は、基本的に業種別に選んでみました。あと特別賞が3社ということなのですけれども、(子育てしやすい職場環境づくりの)取組が進みやすい業種は本当にそれぞれ素晴らしいですし、なかなか大変そうだなというところであっても、経営者がしっかり取り組んでいるところは、こんな取組を、こういう業界でできるのだなということを感心しながら見せていただいたところでありまして。言ってみればいろいろ言い訳できることはいっぱいあります。私は元々経営者でしたから、人繰りが難しい中で、さらに短期的にはなかなか人繰りがさらに厳しくなるようなことになりやすいですから。でも、対応策、対策を取ることで、こういった素晴らしい施策が十分導入できる、運用できるということを、それぞれの表彰企業の取組を見て感じたところであります。要は、やる気次第なんだなということを感じましたし、大変な中でこういったそれぞれの施策を取り入れられているというのは、放っておいてこうなることではありませんので、特に経営者、経営陣の皆さんの強い意志というものを感じたところでございます。やらなくても別に何か罰金を科されるわけでもない、捕まるわけでもない、でも、我々(企業)は単に売上を上げて組織を存続する以上の存在なのだと、我々はお客さんに満足していただくというのはすごく大事なんだけれども、社会に対して貢献をしていくのだ、従業員の皆さんに積極的にこの会社で働いていてよかったというふうに思ってもらうのだという、そういう意志を感じたところでございます。本当に素晴らしいことでございました。ぜひ、そういう素晴らしい企業を、また素晴らしい経営者を見習っていただきたいと、このように考えております。
記者)
この取組をこれからどう横展開していくかというところが重要だと思うのですけども、どのようにこれを広めていきたいというふうにお考えでしょうか。
知事)
いろいろなやり方があろうかと思うのですけれども、まず先ほど申し上げましたように、この表彰式というか、シンポジウムを2月8日に開催をいたします。そこで表彰式をすると同時に、この受賞企業に事例発表をしていただくということで、何か文字で見るだけじゃなくて、実はこんなことをやって、これがうまくいかなかったから、今回表彰されたこういう取組になったのですとか、これがうまくいったので、こういうふうに発展させたのですとか、いろいろな生々しいお話を聞けるのではないかと思っています。そういうお話を聞くと、より、そうか、それぐらいだったら自分たちでもできるのではないかとか、そういう工夫があるのだったら、考えてもいいのではみたいなことが広がるのではないかなと思っていますし、そういった素晴らしい会社が、短期的にはそれがコスト増の要因になったりですとか、なかなか大変だと思うのですけれども、これ素晴らしい会社なのだという評判が広がる、知名度が上がるということで、例えば売り上げ増に繋がるとか、もしくは採用がしやすくなる、そういったことを通じて、頑張れば企業の発展に繋がるのだということを、それぞれの会社に実感をしていただきたいですし、どうせレベルを上げるのだったら、最後の最後に後追いでやるのではなくて、率先して真似をしていこうと、もしくは自分たち独自の取組をしていこうという、触発される企業をできるだけ増やしていきたいと思っています。我々としてもいろいろな場面で(企業の取組を)紹介する機会を増やしたいと思っています。
記者)
韓国の慶尚南道(キョンサンナムド)との交流についてお伺いします。今月韓国の政情不安を受けて、慶尚南道の知事らの岡山への訪問が急遽中止になったと思います。伊原木知事、来月は向こう(韓国)への訪問も検討していると思うのですけれども、現在検討状況がどうなっているか教えてください。
知事)
朴完洙(パクワンス)知事が今月の8日、9日(岡山県に)来られる予定だったことが、韓国のあの事態(戒厳令に係る混乱)でできなくなったと。もうこれ自体は率直に残念でありますけれども、私どもとすれば、「延期になったとしてもぜひお越しください」ということを申し上げておりますし、来年の私の訪問については、「私は行けます」ということをお伝えしています。先方でああいう状態が続いているわけですので、「受け入れ可能です」もしくは「ちょっとやはり今時期が良くないのです」ということになるか、返答を待っているところでありますけれども、もし、「いや、大丈夫です」と、「元々予定されていたいろいろなものが全部できないかもしれませんけれども、それでもいいですか」ぐらいの返答であれば、私はぜひ(慶尚南道へ)伺いたいと思っています。
記者)
訪問が実現した際はどういったことをやりたいという思いがありますか。
知事)
まずトップ同士の交流というのは、現地で会うこと自体に意義がありますので、ぜひ率直な意見交換、(慶尚南道に)行ってみてどんな景色が見えるのかというだけでも楽しみでありますし、せっかくお隣の国ですので、このご縁を生かしてどういった交流ができるのか、お互いにとって得になる何か取組というのがあるのかないのか、ぜひいろいろな話をしてみたいと思っています。
記者)
岡山桃太郎空港の国際線についてですけれども、議会の委員会の中でも、国際線の2便同時に対応できるようにということで、施設の増設などの検討をしているということが明らかになりましたけれども、あらためて岡山桃太郎空港の国際線について受け止めと、今後のスケジュールというか、計画について教えてください。
知事)
岡山桃太郎空港、もう(19)88年の開港でしたっけ、36年が経っております。別に何年経ったからということよりも、大変ありがたいことに開港当時と比べれば、開港したときもそのときに合わせて作ったわけではなくて、この10年、15年先ぐらいは当然見て、キャパシティに少し余裕を持って作っているはずでありますけれども、特に国際線の伸び、インバウンド観光客の皆さんの伸びというのは著しかったわけでありまして、今でも日によっては、なかなか待合がごった返している、到着した後がなかなか処理が大変だという声を聞いていますし、これから特に海外からのお客様については増えることが当然想定をされるわけですので、我々としても、将来を見据えて機能拡張、キャパシティの増強というものは考えなければいけないと、これは以前から思ってはいたわけですけれども、今回委員会に提案できる程度の具体性を持って始めることができることになったということでございます。これからいろいろな計画を立てていきますので、いつまでにどうするということはこの場では申し上げられませんけれども、ぜひ岡山桃太郎空港のキャパシティが足りないので、せっかくの直行便の申し出を断らざるを得なかった、もしくはあまりにも混雑をして、特に外国からのお客様の最初の印象が、岡山に対する印象が悪いものになると、そういったことはきちんと防いで、岡山の発展の基礎となる空港であり続けられるように、どういった機能拡張が必要なのか考えていきたいと思っています。
記者)
議会の方でもあったと思うのですけれども、ファジアーノ岡山がJ1に昇格したことに伴って、新しいサッカースタジアムの建設も注目されているところではあるんですが、知事としてのお考えをお伺いできますでしょうか。
知事)
答弁で申し上げたとおりですけれども、これについては関係者が多いと、いろいろな考え方があるということがありますので、我々としても議論、もしくは機運の盛り上がりを注視していきたいと思っているところでございます。現在県の方で何か決めたことは一切ないわけですけれども、今、ファジアーノ岡山が戦っているのは県営グラウンドで戦っているわけでありまして、我々としても全く無関係だとは思っていないということでございます。
記者)
知事としてのお気持ちとしてはいかがですか。(新スタジアムを)率直に作りたいなという、そういったお気持ちとかあったりしますか。
知事)
私自身スポーツ全般大好きですので、基本的にスポーツを応援したいという気持ちは、どのスポーツに対しても持っているわけですけれども、具体的なことについて今私が申し上げられるような状況ではないかなと思っています。
記者)
岡山市と(新)アリーナの問題とかもありますが、もしも岡山市の方からスタジアム(を一緒に建設するのは)どうですかというようなお話があれば、その場合考えたいとか、そういうのはありますでしょうか。
知事)
仮定の質問にはお答えいたしません、というのはこういうときのためのあれだったのかなと思っています。でも本当にいろいろな可能性がありますので、ぜひ我々とすれば、多数いらっしゃる関係者の皆さんのお考えというものは、ぜひそれぞれ参考にしたいと思っています。
記者)
現在のシティライトスタジアムの方についてはどうでしょうか。今の状況で(J1の基準に)足りているという話ではありますけれども、いろいろなところからお客さんいらっしゃることになった場合、(観客が)溢れる可能性もあるのかなと思うと、少なくとも拡張したりとか、そういった可能性はあるのでしょうか。
知事)
これが悩ましいのが、J1が20チームではないですか。ですから、来シーズンは19試合、ホームで試合があると。その19試合については、(県営スタジアムの)1万5,000人のキャパシティがいっぱいになる、もしくは足りないという状況になることは予想されると。ただ365日のうちの19日ということですので、どれぐらいそのキャパシティを増やすことについて、これ私のお金ではなくて県民の皆さんのお金ですので、県民の皆さんの理解が得られるのかということも、それも全て県民の皆さんの思いを集約する県議会の皆様方がどれぐらい理解をしてくださるかというのは非常に大きいと思いますし、ただ(J1に昇格したことで)その景色が変わりますから。もう、これまで我々が16年間見てきたJ2の景色とJ1の景色というのは違いますから。そこでまた違う景色を見た県民の皆さんからの要望によっては、随分、我々のスタンスも変わってくる可能性はあろうかと思います。
記者)
年収の壁の議論のことでお尋ねします。与党の税調(税制調査会)の方で、いわゆる非課税枠を123万円まで引き上げるということで、合意といいますか、されていますけども、このことについての知事の受け止めをお願いします。
知事)
これはもうどこまで引き上げるにしても、私の立場からすると両面あります。県民の幸せのために一生懸命職員と頑張っている立場からすると、県民の皆さんの手取りが増えるということは、もう率直にいいことだということですし、ただ、それは岡山県庁の税収減にも繋がっていることですので、まだ123万円のときにいくら我々の税収が下がるのかという試算は、少なくともちょっと私は目にしておりませんけれども、計算は仮定を置いてすぐできると思いますけれども、(国民民主党が主張する)178万円のときには200億円下がるというのが、ザクッとした試算であります。この200億円というのは大変な金額でありますので、国に対しては、どういう判断をするか我々に決定権はないけれども、きっちり我々のするべき仕事はあるわけですので、しかもするべき仕事のかなりの部分は国の方からこれをしなさいということで指示されている仕事ですので、そこについての我々の収入確保についてはきちんと考えていただきたいということを申し上げているところでございます。123万円になると、(県民の皆さんにとっては)178万円ほどの手取り増にもならないし、178万円ほどの我々にとっての減収にもならないということでございますので、そういうことかということでございます。
記者)
これからまた年明け、与党含めて与野党で協議を進めていくことになると思います。国民民主党も178万円を主張しているので、反発することも予想されますけども、この国会での議論に対して知事はどのようなことをあらためて望まれますか。
知事)
私からすると今回、国民民主党の皆さんが年収の壁というものに着目をされたというのは、私は素晴らしいことだと思っています。これはもう何年も前から言われていたことでありまして、働きたい人が11月、12月になったときにこれ以上働くとかえって損になってしまうので、働き控えをしてしまう。それによって、ちょうど年末の書き入れ時に、大事な戦力が足りなくなってその現場が混乱をする、もしくはせっかくの経済の成長、発展の機会を逃してしまうということで、これはもう国民全体が損をするということが、もうずっと続いてきたわけですので、そういった壁を壊していく、取り払っていく、もしくは先に伸ばすというのは一般論としていいことだと思っています。ただ、その俗に言う年収の壁というのは、103万円の壁だけではありません。今同時に議論されているのは素晴らしいことだと思いますけれども、むしろ103万円の所得税の壁は、例えば104万円になった時点でその手取りが減るわけじゃないんですよね。そこから税金がかかり始めるということですから。それよりも今、これも議論になっていますけれども、扶養に入っているお子さんがアルバイトをし過ぎることによってお父さん、お母さんの控除の関係で、ドンと手取りが減ってしまうと。もしくは106万円、もしくは企業規模によって130万円の社会保障の壁については、(手取りの)上がり方が緩やかになるのではなくてドンと下がりますので、こちらも本当、壁どころかもう崖になっていますので、その103万円の壁がなくなってよかったですねと言っても、すぐ3万円先に106万円の崖が残っていて、皆さんそこで立ちすくんでいるのでは、(103万円の壁が無くなっても)ほとんど効果がないということになりかねませんので、ですから私はあまり103万円の壁だけに注目をするということではなくて、働ける人が、働きたい人が働ける、損にならない、そういう仕組みをぜひ考えていただきたいと思っています。
記者)
四国新幹線についてあらためてお考えを伺いたいと思います。岡山ルートで四国が4県合意しまして時間が少し経ちましたけれども、知事からは以前、ハードルが高いといったようなご発言もありましたが、現時点でのお考えをあらためてお聞かせいただけますか。
知事)
そのときと特に変わっておりません。
記者)
どのような点を懸念されているか伺えますでしょうか。
知事)
先日お話したとおりですけれども、我々にとって非常に価値の高い(岡山―高松を結ぶ)マリンライナーが並行在来線になると、(原則としてJRから経営分離される可能性)その一点だけとっても本当に心配することになります。
記者)
今後、四国の期成会と連携するというお考えは今のところないということでよろしいですか。
知事)
我々は調査には協力するということは、以前からお伝えをしているところでございます。
司会)
それでは以上をもちまして、知事定例記者会見を終了いたします。
知事)
ありがとうございました。
皆様も良いお年をお迎えください。