今議会を終えて
私からは、4項目、お話をさせていただきます。
まずは、先ほど閉会いたしました6月定例会についてでございます。
今議会では、県政全般について、幅広い御質問や御提言をいただきました。
第4次晴れの国おかやま生き活きプラン(仮称)につきましては、教育の再生や産業の振興において、確かな成果が現れてきていることから、これまでの戦略をさらに推進するとともに、人口減少問題、特に、待ったなしの課題である少子化対策に不退転の覚悟で向き合ってまいります。
少子化対策につきましては、今年度は、企業とのタイアップ、結婚の壁対策、空気感の醸成の三つに焦点を絞り、結婚支援の取組を重点的に進めているところであり、引き続き、あらゆる角度から不断に検討を重ね、出生数に響く効果的な施策につなげてまいります。
観光振興につきましては、9月から開催する「森の芸術祭 晴れの国・岡山」に合わせ観光キャンペーンを実施し、相乗効果による誘客と県内周遊を促進するとともに、来年度開催される大阪・関西万博や瀬戸内国際芸術祭からの周遊を見据え、本県の観光情報を積極的に発信してまいります。
また、インバウンド需要の獲得に向けまして、タイにおいてトップセールスを行うなど、海外でのプロモーションの強化に取り組んでまいります。
「子育て家庭留学プログラム」事業の実施について
次に、少子化対策の取組について、2点、お話をさせていただきます。
1点目は、「子育て家庭留学プログラム」事業についてでございます。
この事業は、結婚や子育て、仕事との両立に関心や不安のある若い世代が、子育て中の家庭を訪問し、将来設計のヒントを得る、体験型学習です。
訪問先の家庭で、先輩ママ・パパからリアルな体験談を直接聞いたり、実際に子どもと触れ合ったりすることで、結婚や子育てに対する不安を解消し、自分自身のライフデザインを考えるきっかけにしていただければと思います。
本日から、子育て家庭を訪問する留学参加者と、受け入れていただく子育て家庭を、それぞれ募集いたします。
留学参加者は、若い世代を対象とし、カップルや友だち同士など、形は特に問いません。お一人での参加も大歓迎でございます。
また、受け入れ家庭には、特別の準備は不要でありまして、普段どおりの日々の様子や、結婚・子育ての思いなど、留学参加者に伝えていただければと思っています。
双方を丁寧にマッチングした上で留学を実施いたしますので、安心して、お気軽にご応募いただければと思います。
こどもファスト・トラックの推進について
少子化のうち2点目は、こどもファスト・トラックの推進についてでございます。
こどもファスト・トラックとは、こども家庭庁が進める取組の一つで、公共施設や商業施設の窓口などにおきまして、妊娠中や子ども連れの方を優先的に案内するなど、子どもや子育て中の方を応援するための取組であります。
本県においてもこの取組を推進しており、このたび、県内共通で使っていただける案内表示を作成いたしました。
この案内表示は、本日から、県のホームページに、データの形で掲載しておりまして、どなたでも自由にダウンロードしてご利用いただけます。
こどもファスト・トラックの取組は、各市町村を中心に広がってきているところでありますが、今後一層、県内に普及、浸透するよう、この案内表示の活用を呼びかけてまいります。
以上2つの取組を通じて、社会全体で結婚や子育てを温かく応援する気運の醸成を図ってまいります。
子宮頸がん予防プロモーションについて
最後は、子宮頸がん予防プロモーションについてでございます。
子宮頸がんの原因となるウイルスへの感染予防に効果の高いHPVワクチンの接種については、積極的勧奨が再開され、回復傾向にあるものの、残念ながら過去の水準に及んでおりません。
依然として、子宮頸がん予防の正しい知識が県民の皆様に十分に伝わっていない状況にあり、若い女性の命や健康が今なおリスクにさらされていることに危機感を覚えています。
また、今年度は、接種の機会を逃した平成9年度から平成19年度生まれの女性が無料で接種できるキャッチアップ接種の最終年度となっておりまして、1回目の接種を9月末までに完了する必要がありますので、早めの接種の検討をお願いいたします。
この度、子宮頸がん予防の啓発を一層強化するため、子宮頸がん予防啓発アンバサダーとして、玉野市出身のタレントの「藤原あずさ」さんと県啓発マンガの主人公である「朝倉ひな」さんに就任いただくことといたしました。
【動画再生】
今後、ご家庭で子宮頸がん予防について話し合う機会が増える夏休みと冬休みを重点期間として、アンバサダーのお二人の協力のもと、SNSを活用した動画広告や街頭プロモーションなどを展開してまいります。
子宮頸がんは予防できるがんであることから、「できることはしっかりと行い、一人でも多くの方を救っていきたい」と考えており、今後とも、正しい知識の普及啓発に取り組んでまいりたいと存じます。
私からは、以上でございます。
質疑応答
記者)
2018年の西日本豪雨からまもなく6年ということで、県としてはハード整備がひとまず目処が付いて、一方で記憶の風化防止とか被災地の賑わいを取り戻すとかという課題もあると思いますが、6年の受け止めと、今後県としてどういった復興支援をしていくかといったあたりをお願いします。
知事)
この機会に改めまして、豪雨災害で犠牲になられた方々に哀悼の意を表したいと思います。いろいろございますけれども、まず5月に全国植樹祭に合わせ、天皇皇后両陛下に倉敷市真備町にお越しいただきまして、復興状況をご視察いただいたということでございます。私が被災直後に、天皇皇后両陛下、当時の皇太子ご夫妻に状況説明をさせていただいたときと比べると、格段に復旧復興が進んでいるということを、現地をご覧いただきながら、私と伊東倉敷市長とともに、御報告を出来たというのは大変、ありがたい、誇らしいことでございまして、ハードという面で言えば国の事業であります小田川合流点付替事業の完成ですとか、我々が担当いたしました小田川三支川の堤防の仮復旧など、主だったものは全て出来た。ですから以前と比べれば格段に安全な場所になった。ほとんどの方が、住みたい場所にまた家を建てる、直す、ということで居場所を作ることが出来たということで、ハード面で本当に良い復旧・復興が出来たのではないかと思います。これは本当に国もそうですし、倉敷市も総社市も、若しくは周辺市町村のご協力のおかげで、多くのボランティアの方々のおかげで、また当然被災された皆さんも懸命の頑張りのおかげでありまして、本当にありがたいと思うと同時に、我々が関係したものについては、誇らしく思っているところでございます。ただ皆さんご存知のとおり、被災された方の心のケアについては、堤防ができたからこれですっきりということでは当然ならないわけでありまして、継続的な支援が必要だということで、当該市町村を中心に継続していただいているということを、承知をいたしております。そういったケアをされる方のサポートを県がしております。随分、発災直後、2年目、3年目と比べると、我々自身も仕事量が減ってきていることだと思いますけれども、我々自身も継続して取り組んでいきたいと思っているところでございます。あと、これは真備地区に限らない、若しくは他の西日本豪雨の被災地に限らないわけですけれども、安全度が高まったとしても、岡山県内に絶対安全、どんな災害に対しても絶対安全と言い切れる場所はないわけでありますので、引き続き備えを、それぞれの場所に合った備えをしていただきたい。自助、共助、公助と言われますけれども、やはり何といってもハザードマップをご自身で確認した上で、何が必要なのかということを備えていただく。家族とこういうときにはこうしようね、お子さんが学校に行くときにはこうしよう、旦那さん、奥様が会社にいるときにはこうしようということをあらかじめ話し合っていただいておく、これが非常に大事なのではないかと考えています。我々としても市町村、若しくは住民自治組織、町内会ですとかの皆さんと協力しながら、これからも少しでも備えていきたいと考えております。
記者)
少子化対策に関して2点伺います。一点目は、先ほど発表された「子育て家庭留学プログラム」などがありますが、あらためましてこういった施策を通じての県のねらいを教えてください。
知事)
私、記者会見をするたびにできるだけ毎回、少子化対策に関するコメントができないかということで、担当課にプレッシャーをかけておりまして、非常に頑張って、今度はこのネタは発表できますということで、今回二つ発表させていただきまして、この子育て家庭留学プログラム、すごく大げさな名前ではあります。留学といいながら数時間なのですけれども、ただ私は既婚者です。つい先日結婚25周年をお祝いしたばかりなのですけれども、実際やはり結婚する前に思っていたイメージと、結婚してみて、若しくは同級生、友達からいろいろ聞いてみるイメージとは違います。これは全てそうです。学校に行く前、入ってから、会社に入る前、入ってから、やっぱり不安とか、もういろんな心配事が渦巻くわけなのです。案ずるより産むが易しというのは、いろいろなことに言えるのだろうと思うのですけれども、実際、(結婚や子育ての)体験をされている方のところに行って、何人かの人から話を聞くと、こんな感じかと、確かにもう何の心配もないということにはならないけれども、こんな心配とかあんな心配というのはかなり極端な心配なのかなということが大体見えてくるということなのだろうと思います。ぜひ過度な不必要な不安で一歩も踏み出せない。そういうことが、これは子育てに限らず、全てについて言えるのだろうと思うのですけれども、そういったことをぜひ解消したいなということと、あと0歳児、1歳児、2歳児、子どもは本当にかわいいですから。実際に触れ合うともう本当にこのかわいさというのがひしひしと伝わってきますので、ぜひ、身近にそういう小さいお子さんがいないという人は、この留学を通じて本当にかわいいということを体感していただければと思っています。「こどもファスト・トラック」の方でありますけれども、昨年の7月になるのですが、私と県内経済団体トップの方々とで「こどもまんなか応援サポーター」共同宣言をしたところでありますけれども、その県の取組の一環ということでございます。とにかく赤ちゃんを連れたり、小さい子どもを連れたりしていると手がふさがったりですとかして、いろいろなことがやりづらい。どうしてももたもたしてしまって、辛い思いをするときに優先レーン、優先窓口、そういったものがあると助かるなと、みんなが応援してくれているのだなということが感じられる、子育てに優しい地域、優しい社会がつくれるのではないかということで、今いろいろな会社ですとか、自治体が取り組んでいます。例えば岡山県内で言えば、我々自身は岡山後楽園で日にち限定ではあるのですけれども、これから来園者の優先入場を行おうとしておりますし、市町村で言えば高梁市ですとか真庭市ですとか、既に取り組んでいらっしゃる。岡山空港において、ANAさんがこの「こどもファスト・トラック」の実施にご協力をいただいている。そういった事例もすでにあります。これからいろいろな会社が、我々もやってみようかということで、とりあえず取り組んでみていただけると本当にありがたいなと思っています。
記者)
先月、合計特殊出生率が公表されまして、岡山県の昨年のデータですけれども1.32と過去最低を更新する低さです。知事の先ほどのコメントに触れられておりましたけれども、こういった結果を受けまして、どのように分析して、今後どのような施策の方向性を考えていらっしゃるのでしょうか。
知事)
1.32、過去最低に落ちたというのは本当に残念なことでございます。同時に1,000人当たりの出生率で言えば我々(岡山県は)6.4でしたか、中国(地方)で一番高い数字でもあります。ですから、合計特殊出生率が中国(地方)で一番低く、1,000人当たりの出生率が中国(地方)で一番高い。非常に奇妙な立ち位置になっています。現時点での我々の分析は、岡山県は中国(地方)でも非常に珍しい、高校を卒業して他県に出て行く人の数と、他県の高校を卒業して、大学進学等の目的で岡山県に入ってきてくれる若い人の数がバランスしている。非常に地方では珍しい県でありまして、ただ、今大学生のうちに子どもを産む人は、ほとんど日本ではいませんので。子どもを産まない若い人がいっぱいいることで、分母が大きくなって、合計特殊出生率で言えば下押し圧力になりますけれども、岡山県に残ってくれた地元出身の女性、若しくは岡山県にお越しいただいた他県出身の女性の方、大学を卒業しても、何割か残ってくれますので、そういった方が将来的に子どもを産んでくださることで、人口1,000人当たりということで比べると、岡山県はある程度の出生率を維持できている、出生数を維持出来ている、ということでもあります。ですから、若い人にお越しいただけているというのは、岡山県の強みなのだなということを改めて感じるとともに、岡山県の場合、就職のときに、男性、女性ともに若い人を流出させてしまっていますので、いかに地元の企業の皆さんに頑張ってPRをしてもらう、若しくは若い人により魅力的に映るような、例えば仕組みをつくるですとか、工夫をしていただく必要があるのかなと思っています。いずれにしても、岡山県の人口が安定的に推移するための水準というのは、どこでもそうなのですけれども、合計特殊出生率が2を超える必要がありますので、その水準には全然足りません。今の水準の5割増しになって初めてそういう水準になるわけでありまして、ありとあらゆる施策を導入していって、景色を変えていく、皆さん方も思いを変えていく。県内では岸田総理の視察いただいた奈義町という大成功例がございます。この奈義町でいろいろ何が起きているのかを勉強するわけですけれども、いろいろ奈義町の過去10年以上の継続的な努力が実って、奈義町の女性、全員じゃないのですけれども、いろいろな方に聞くと、ここに住んでいると2人産んで、これでもう解決という感じがしないのです。3人産んでまあこんな感じかなという。その後当然4人、5人と産む人もいるのですが、奈義町では当たり前の子どもの数が、大体他(の地域)では何か2人ということになっているらしいけど、我々は3(人)が当たり前というのが、当たり前という感じですねということを言われる方が多かったのが、私にとって非常に印象的ですけれども、3人なんてとんでもない、こんな狭い家でとか、2人でこんなてんやわんやなんだからということなのか、それとも結構みんなで助け合ってワイワイガヤガヤと、先輩の何々さんも他の知り合いの何々さんも3人、ニコニコしながら育てているから、うちも子ども好きだから、ぜひ今2人目だけど、3人目も目指そうかという、いかにその雰囲気が変わるのか、これよく景色が変わるとか、空気が変わるというふうに言ったりもしますけれども、それが大事なのかなと。そのために、役所は何をすべきなのか、企業にどういった努力、工夫をしていただくべきなのかなど、一人ひとりができることもいっぱいあると思いますし、とにかく出来ることは何でもやるのだというつもりで取り組んでいきたいと思っています。
記者)
今知事がおっしゃった後楽園の優先入園を考えているとのことですが、具体的にどういうことなのでしょうか。
知事)
毎月第3日曜日、家庭の日ということで、ももっこカードを提示してくださった18歳未満のお子さんとその同伴者の方を優先的にご案内しましょうと。とりあえずやってみようかということであります。
記者)
いつからでしょうか。
知事)
いつからでしょうか。もうすぐです。
(子ども未来課長)
今月からです。
記者)
子育て家庭留学プログラムの件で、参加者側としてはすごくいろいろなことを知れるいい機会かなと思うのですけど、受け入れる側のメリットとしてはどういうことがあるのでしょうか。
知事)
結構、受け入れることで、楽しかったという。中国地方でこの取組をするのは岡山県が初めてなのですけれども、NPO法人のmanmaというすごく立派な法人がありまして、2015年から活動を始められているのだそうです。もう10年近くですね。ずっとされている取組を岡山県でも、NPO法人のmanmaと協力をしながらさせていただこうということなのですけれども、やってみて嬉しかったと、ポジティブな反応があってまたやるよという子育て中のお父さんお母さんが結構いらっしゃるということなのですが、私自身の理解は、随分昔話になりますが、リクルーターをやっていまして、就職してから1年目、2年目、猛烈に忙しくて、もう自分ではヘトヘトで、本当にこの会社入ってどうだったのかなとちらっと思いながらも頑張っているのですけども、自分自身が母校に行って後輩たちと話をするのです。今もそうかもしれません、当時外資系のコンサルティング会社と言うと、倍率がものすごかったですから、とにかく入りたいという人たちがたくさんいたのです。どうやって入れたのですかみたいな、勉強法ああだよこうだよと言って、どれぐらい仕事忙しいのですか、こんな感じで死ぬほど忙しいのだと言って説明していると、そうだよな、つい1年前、何とか入りたいと思って頑張っていたよな、今ちゃんと入れて頑張っているなということで、自分自身の何かモチベーションが上がるような経験を何度もしたところなのです。若しくは初心に戻るとか、今自分はこっち側にいるけれども、そういえばほんの数年前、向こう側にいたのだなという、向こう側にいた人の素直な感想を聞くことで、そうだったな、でもこうなのだよとか、いろんな対話というのは、どっちのサイドの人にとっても結構新鮮だったりするので、こういう取組が続いているのだろうなと。おっしゃるとおり、本当に教わる方はメリットあるのですけれども、ただでさえ忙しいのに何で他人のためにそんなことを教えるのということなのです。でもやはり喜びを感じる人もたくさんいらっしゃる。ありがたいことかなと思っています。
(子ども未来課長)
配付資料の中に「子育て家庭留学受け入れ家庭募集中」のチラシがございまして、その裏面にこれまでmanmaさんがこれまで取り組まれて、受け入れ家庭の声というものがありますので、参考にしていただければと思います。
記者)
岡山市と問題になっている建設事業負担金の問題で、岡山市は訴訟は行わず、ただ、県とは協議を続けていくということだったと思うのですけれども、知事と岡山市長の方で何か進展はありましたでしょうか。
知事)
建設事業費市町村負担金については、特に進展はないところです。
記者)
(岡山市が進める新アリーナ建設について)以前、コメントはいただいていますけれども、市の方で独自で単独で行うというふうに言われているところですが、それについての県としての所見というところをお伺いできますか。
知事)
これはもうコメントで発表させていただいたとおり、若しくは前回ここでお答えさせていただいたことがあろうかと思いますけども、市の方で検討を進められて判断をされたということであります。市として独自に整備をされることについても、我々もう一切異論のないところでございます。もしスポーツ施設の整備をされましたら、我々はもうジップアリーナを持っているわけでございまして、その利用調整も含めて協力をしていきたいと思っています。
記者)
そういったところについては協力、連携とかはしていきたいということですね。
知事)
はい。
記者)
費用については、市長の方に行っても、何かそういったアクションがあれば積極的に話をしていきたいみたいなことはおっしゃっていたのですけれども、それについては知事としては費用を含めた協力についてはないということでしょうか。
知事)
我々とすれば、市が望まれたような形での協力は難しいですということを返答させていただいて、それを受けて市の方で独自で進めると決められたわけですので、今の時点でそれが変わるということは我々は想定していません。
記者)
(東京都)知事選が行われていますけれども、週末投開票がありますけれども、新しい知事への注文とか期待することはありますか。
知事)
東京都知事は、同じ知事とは言っても関係する人数が桁違いですので、ぜひ頑張っていただきたいということなのですけれども、東京市、もう今吸収されていますけれども、政令市の市長も兼ねた状態で大変影響力の大きい立場になりますので、ぜひご自身の影響力の大きさを自覚された上で、東京都民のために、またあれだけ東京都民の人口割合が日本全国の中で高くなってきますと、日本全体に与える影響も、それぞれの知事がそれぞれ持っているわけですけれども、格段に大きいものがありますので、日本全体のことも考えた上で、いろいろな決断、発信をしていただければと考えています。どなたが選ばれたとしても、ぜひ我々地方の知事も協力をしてより良い日本のためにがんばっていきたいと思っております。
記者)
東京一極集中の問題についてどう考えて、その是正に向けた必要な具体的な施策だったり、新しい都知事に求めることがあればお願いします。
知事)
100年後のどこかの経済学者が分析をもしするとするならば、21世紀初頭の日本と韓国の、全く国の作り方、国のあり様について、構造的に失敗をした、これを放置したというふうに評価されるに、私は違いないと思っております。一定のところに人が集まって都市が出来る、これは素晴らしいことでありまして、ザーッと分散されるといろいろなイノベーションが起きにくいので、都市が出来ること自体はいいのですけれども、政治、経済、文化、若しくは文化の中に入るのですけれども、出版ですとか、放送ですとか、いろいろな大事な機能の、この国の中で一番大事な都市が全て一つの都市にかぶってしまうというのは、(他の国では)意外とこれまで起きてきていないことであります。自然とそうなることもあれば、意図的に分けてきたということもあるのだと思うのですが、日本の場合は、明治維新、外国の植民地にならないために、若しくは太平洋戦争を戦い抜くために、切羽詰まった事情があったのだと思うのですけれども、いろいろな人の解説された本を読むと、その国力を結集して国難に立ち向かうために、例えば企業を東京に集中させた、若しくはコントロールしやすくした、若しくはいろいろな大事な意思決定が行われる東京、霞が関、永田町に近い会社ほど露骨に有利なことが何度も繰り返し起きたことによって、他の、例えば大阪に拠点のあった有力な企業が実質的な本社を東京に移さざるを得なくなった。明治新政府が、日本に分散して作った帝国大学、若しくはナンバースクール、大学とかの高等教育機関が、戦後、企業が東京にさらに集中する過程で、偏差値を落とし、東京にある大学、東京には国立大学は非常に数が少ないですから、その他大半は私立大学ですから、東京の私立大学でもものすごい偏差値を上げた。結果的に日本で優秀な大学を20挙げてもらうということで言えば、以前、例えば昭和10年代、20年代、30年代ぐらいであれば、いろいろなところにトップ20の大学があったのだと思うのですけれども、今もし偏差値でトップ20とすると、大半が東京にある大学に占められてしまうということになります。いろいろな放送のキー局はすべて東京にありますし、大手の新聞社の機能も東京に集中しておりますので、これはかなり危ないことでありまして、一つは災害に対して脆弱だということと、もう一つは、あまりにも何をするにしても東京にいなければ、重要な決定に関われないような構図になってしまったので、あんな狭いマンションが何千万円もするような、もう普通に通勤時間が何十分も掛かるようなところに、住みたくない人まで住まざるを得ないことになっています。海外に転勤されるとだいたい皆さんお気付きのとおり、すごい良い会社の、若しくは良い研究、世界的な仕事をしているにもかかわらず、自宅からたった15分、20分ドライブしただけで綺麗な湖があったり、スキー場があったり、海があったりというところで、そんな仕事が出来る。そんなの日本では絶対に考えられない。日本にも綺麗な湖、綺麗な海岸はありますけれども、その近くに世界的な企業の研究所ですとか、その本社はありませんし、そういった本社があるところから綺麗な湖に行こうと思ったら、高速道路で3時間ぐらい走らないといけない。これが日本人として仕事をする現実でありまして、私は本当にもったいないことが起きていると思っています。よく札仙広福のようなそれぞれの地方の中核都市で、岡山もそこそこ評判がいいと私は信じていますけれども、そういうところの転勤の評判がいいというのは多分、バランスがいいからなのだと思います。良い仕事が出来ても、もう本当に仕事ばっかりで、楽しみがないということにならない。もっともっとそういう街が、狭い日本と言いながら、増えてもおかしくないと思っています。東京は、もう少し人口がここまで集中していなければ、もっとそれぞれの方が住やすくなるはずだと思っています。どちらにしてももったいないことが、何十年も続いたのでみんな当たり前のように思っていますけれども、これは双方改善が可能なことなのですけれども、今集中しているので、1人だけ抜けると損をする。これはまさに合成の誤謬でありまして、ゲーム理論の、もう第2章ぐらいで出てくる話ですけれども、構造的な問題なので、みんなで合意した上で、1社がというのではなく、国として取り組む必要がある。首都移転というのは、どうしてもどこに移転するかということで合意できないわけですけれども、それぞれの企業が(東京の)外に出た方がちょっと有利だということで自発的にゆっくりポツリポツリと出ていくのであれば、パニックのようなことにはなりませんし、それを誘導するために私はある一定の幅で、東京とそれ以外で法人税の税率を変えるべきではないだろうか。ある一定期間ということなのでしょうけれども。これはすごい突拍子もないように聞こえると思いますけれども、例えば大企業と中小企業で、今でも税率は違います。そのような形で税率を使って、国全体として望ましい形でゆっくりそれぞれの企業を誘導していくということで、真剣にお考えいただきたいなと思っています。
記者)
PFASに関連して、国の方が自治体や水道事業者に水質検査をして報告するよう求めているところではありますが、県内では吉備中央町の件も問題になっていますが、県として自治体と連携していくお考えなどありましたら教えてください。
知事)
水道におけるPFOS、それからPFOAの検出状況を把握するとともに、その水道水質に関する暫定目標値の取り扱いの検討に活用することを目的に調査するというところでございます。県としましては、昨年吉備中央町の水道水の暫定目標値超過を指摘した後に、速やかに吉備中央町以外の水道事業者、それから水道用水供給事業者を対象とした緊急調査を実施いたしまして、暫定目標値を超過した事例がないことをすでに確認済みでありますが、今回国として調査をされるということでありまして、県内水道事業者等に対し協力を依頼しているところでございます。今回の調査結果、また、国のPFOS、PFOAの暫定目標値の取り扱いに係る今後の検討について、これもしっかり注視していきたいと思います。
記者)
協力をお願いしているというのは検査を新たにしてくださいねというところになるのですか。
(生活衛生課長)
令和2年度以降の検査結果の集約ということになります。直近の令和6年度まで、もし超過の数値などがありましたら、どういう対応をとっているのかということを国の方が調査しているというものです。
知事)
データの提出ということです。
記者)
(岡山市が進める新)アリーナとか(建設事業費市町村)負担金含めて、少し前ですが岡山市長はトップ会談みたいなのを希望されていたかと思います。直近で知事と市長が会う機会というのはあったのでしょうか。また今後会う予定というのはあるのでしょうか。
知事)
実は先週の金曜日にお会いをしたところでございます。非公式にお会いをさせていただきました。6月28日金曜日の夕方の5時半から約1時間ということでございます。
記者)
ここではどういった内容をお話しされたんでしょうか。
知事)
これは私の方からお声掛けをさせていただきました。具体的に私以前から申し上げていますが、何か成果を出そうと思ったら、事前の打ち合わせ、すり合わせというのが非常に大事だと。今回はそういう綿密な準備をしてお会いしたわけではありません。そのしばらく前に県議の先生方と岡山市議の先生方が会われていろいろなお話をされた。その中でいろいろ言い分はあるのだけれども、とりあえず1回会ってみたらどうだ、段取りとかいろいろあるのだろうけどというお話があったということで、準備がしっかり出来ていないと成果は出ないというのは私、ずっと考えていたわけなのですが、成果が出ないのは別として、会ってみるのもあるのかなということで、私も以前から条件が満たされれば、会いますよと言っていたこともあって、こちらの方からお声掛けをして、特に段取りはなく会わせていただきました。会うことで何か少し景色が変わるとかそういうことがあるかも知れない、そういうぐらいのことです。
記者)
お話した内容というのは具体的には何を市長と話されたのでしょうか。
知事)
具体的な進展があったとかそういうことではありません。特にこんな進展があったというふうにここでお伝えできるような成果があったわけではありません。
記者)
新アリーナとか(建設事業費市町村)負担金の話もされたのでしょうか。
知事)
話は出ましたけど、何か進展があったかというとそういうわけではありません。
記者)
今後、大森市長はかねてからトップ会談が大事だという認識を示されておりましたが、例えば、引き続きトップ会談を継続していきましょうとか、またやりましょうとか、次の話は出たのでしょうか。
知事)
私とすれば、久しぶりにお会いすることで何かこう景色が変わるということがあるのかなということだったわけでありますけれども、そもそもで言えば約1年前の備前県民局管内のトップミーティングにおいて、(岡山)市長の方からぜひこれは会談すべきだという提案がありまして、ではお会いしましょうということでお答えしたわけなのですけれども、その後の懇親会において、実際には会う前に県側の謝罪が前提条件として必要だというお話がありまして、それは残念ながら出来ないですと。もしそれを要求されるのであれば、我々は我々で謝罪していただかないとということはあるわけでありまして、そこから実はお互いのスタンスがずっと変わっていなかったということであります。今回、私がお声掛けをしたときに、その謝罪の件なしに、お越しいただけたわけでありますが、それについて私は感謝を申し上げ、ぜひ、未来志向でというお話をしたわけですけれども、実際にはあまり肯定的な、前向きな返答はいただけていないところでありまして、次何かするときも、特定の件について、納得のいく説明をまず最初に県がする必要があるというお話でありましたので、なかなかスタンスは変わってらっしゃらないなということがございました。
記者)
知事のお思いとして、今後未来志向とかそういった気持ちで臨んでいきたいなという思いではあるという感じですか。
知事)
思いではあったということです。
記者)
(建設事業費市町村)負担金について、知事はまだ解決していないところだとは思いますが、知事がどのようなスタンスで今後臨んでいかれるのでしょうか。
知事)
我々とすれば、これは条例ですので、県議の先生に対して、こういう理由があるのでこの条例は変える必要があるのですという説明が出来る説得材料を、(岡山市に)示していただく必要がそもそもあるのですということは、もうずっとお伝えしているとおりでございます。状況というものは、5年、10年、15年経つと少しずつ変わっていきますから、何十年も前に作ったものが必ず全て正しいというスタンスに立っているわけではありません。新しい状況に応じた新しい取組というのはあってもおかしくないのですけれども、ただ、(条例を)変えるに足る理由が必要なわけでありまして、他の市町村のこともありますし、ぜひそこは(岡山市から)きちんとお示ししていただきたいと思っています。
記者)
岡山市とのコミュニケーションという点においてはどういうふうにお考えで今後臨んでいかれるのでしょうか。
知事)
実は一般の方が思われているよりも副知事、副市長レベルとか担当レベルでは、かなり頻度高く接触はしているところでございます。これからもきちんと連携出来ればと思っています。
記者)
(岡山)市長が、(県庁に)お越しになったということでよろしいでしょうか。
知事)
はい。
記者)
今後、機会があればトップ会談みたいなことはしていきたいというお気持ちはあるのでしょうか。
知事)
どうなのでしょうね。とりあえず会ってみることで、景色が変わるかなというふうに思ったわけですけれども、率直に申し上げて、あまり前向きな愉快な会ではなかったということでございます。第一声から、残念ですとか、失礼という言葉が市長の方から出まして、次に向かうような感じには、現時点ではなっていないということです。
記者)
現状、次があるかということはどうでしょうか。
知事)
わかりません。
記者)
市長との会談の中で、具体的な話があったかというのを知りたいなということで、特に進展がなかったということなのですけども、例えば少なくともアリーナの件とかで、知事の方からもいろいろ協議が、繁忙期の調整なんかでは協力していきたいというような話はあったのですけども、そういった部分での話はあったのでしょうか。
知事)
そういう具体的な話にはなっていません。
記者)
市は独自で進めていくということについて、これについては、例えば応援しますというような話であるとかはありましたか。
知事)
そういう具体的な話ですとか前向きな話は、その時間の中には特になかったということです。
記者)
新アリーナや(建設事業費市町村)負担金についての話はされたのでしょうか。
知事)
それも含む過去のいろいろなことについて、先方からいろいろなお話があったということです。
記者)
知事は市長に対してどのような発言をされたのでしょうか、その会談の中で。
知事)
私は冒頭のご挨拶、建設事業費市町村負担金、それから新アリーナの問題についての県のスタンス、それとそもそも非常に短い時間で調整をしてお越しいただいたお礼と、ぜひ未来志向でという内容の短い挨拶をいたしました。その後は、先方からの質問、若しくは詰問に対して答えるというような感じですね。
記者)
先日、JR西日本の岡山支社の新しい支社長が就任されまして、芸備線の今後の議論は、再構築協議会を中心に進めていくと思うのですが、改めて期待するところみたいなものがあれば、教えてください。
知事)
藤原前支社長にも大変いろいろなことでお世話になったところでございます。芸備線のことだけを考えると、県とJRがすごい敵対している関係のように思われがちでありますけれども、普段から岡山県民の通勤、通学、その他のことで、JR西日本さんは、毎日、安全運行をしていただいているわけでありまして、今年の9月28日から始まる「森の芸術祭 晴れの国・岡山」においては、大スポンサーさんでもいらっしゃいます。いろんなことでお世話になっている中でのこの芸備線の問題ということでありまして、我々のスタンス、思いと、JR西日本さんのお考えが大きく隔たっているわけであります。国が行司役となって再構築協議会が作られ、その中でお互い提案をし、若しくはいろいろなタイプの代替案について試算をすることになっています。この代替案は駄目だ、考えることも許さないとかということじゃなくて、とりあえずいろいろな案について、好きか嫌いかではなく、試算をして、それについて率直な意見交換が出来るような関係を新支社長とも築きたいと思っています。
司会)
それでは以上をもちまして、知事定例記者会見を終了いたします。
知事)
ありがとうございました。