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三石城跡
三石〈みついし〉城跡 (県指定文化財) 備前市三石
備前市の南東端にあたる三石は、船坂峠を越えて播磨に通じる山陽道の宿駅として古くからにぎわってきました。この三石の町を南に見下ろす標高290mの天王山の頂きに築かれた三石城は、南北300mほどの規模があります。
「太平記〈たいへいき〉」によると、元弘3年(1333)、後醍醐天皇〈ごだいごてんのう〉の討幕挙兵に呼応した三石保〈みついしのほ〉の 伊東大和二郎〈いとうやまとじろう〉が城を構えたことに始まります。建武3年(1336)には、九州へ敗走する足利尊氏〈あしかがたかうじ〉方と新田義貞〈にったよしさだ〉との間で合戦が繰り広げられました。その後、赤松氏のもとで備前守護代を務めた浦上〈うらがみ〉氏の居城となり、同宗景〈むねかげ〉が天神山城(和気町)へ移る天文23年(1554)頃まで備前東部の中心としての役割を果たしてきました。
三石城遠景(東から)
虎口(「大手門」)付近(南西から)
城の構造は、南北朝時代の縄張りをよくとどめる一方で、戦国時代のものと思われる堀切〈ほりきり〉や石垣づくりの虎口〈こぐち〉(「大手門」)が部分的に見られ、改修が行われた様子がうかがわれます。山頂から尾根へ数段にわたって築かれた曲輪〈くるわ〉には土塁〈どるい〉、井戸などの施設が良好に残り、昭和54年(1979)、岡山県の史跡に指定されました。
二の丸から本丸を望む(南西から)
堀切(西から)
*JR山陽本線三石駅の西500mにある登城口から徒歩約50分。自動車では、三石駅東側の「深谷の滝」へ行くハイキングコースから分かれた登城口に駐車場があり、ここから徒歩約30分。
三石城アクセスマップ